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マシマロ

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匿名ユーザー

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 §プロローグ

 おとうさんがいなくなった。
 おおきなて。ほっぺでぐりぐりされるとじょりじょりするおひげ、めがねのむこうのやさしいめ。
 ぜんぶなくなった。

 かわりにしらないおんなのひとがきた。むらさきいろのかみをした、きれいなひと。あたしをみてほほえむけど、なんだかちょっとこわがってるみたい。

 ──かがみだよ。

 ママがいう。そっか、このひとが“かがみ”なんだ。
 ママがよくいってたなまえ。
 よなかにおトイレにいきたくなってめをさますと、ママはねむりながらないていることがあった。
 そんなとき、よくママはねごとでそのなまえをいってた。

 ──かなたちゃん、これからよろしくね。

 そういってかがみさんは、あたしのほうにてをのばした。そのてはブルブルとふるえてた。
 なんだろう、あたしがかみつくとでもおもってるのかな? そうおもうとすこしおかしかった。

 そうして、あたしのことをだきしめてくれた。やさしく、ふわっと。

 かがみさんからはいいにおいがした。
 そのにおいはおとうさんともママともちがう、ほかのいえのにおいがして──

 あたしは、ちょっと、いやだなぁっておもった。


──────────────────────────────
           マ シ マ ロ
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 §かなた

 ママとお母さんは世界一仲がいい。
 ずっとそれが自慢だった。

 はじめのうちはとまどった。
 お父さんがいなくなったこと、こなたママの他にかがみお母さんができたこと。
 でも、すぐに慣れてしまった。
 それは、ママが凄く楽しそうに笑うから。
 それまで、ママがこんなによく笑う人だとは知らなかった。
 あたしにはすっごく優しかったけれど、いつも口元を引き締めていた印象があった。

 それが、家にお母さんがきてからは、口元をきゅっと上げて猫みたいな顔をするようになった。
“ママが猫さんになっちゃった!”そういってあたしが騒ぐと、ママとお母さんは顔を見合わせて笑った。
 それがあんまり楽しそうだったから、つられてあたしも笑っちゃったんだ。

 お母さんがきてから、家にはお客さんがよく尋ねてくるようになった。
 それまでにもよく来ていたつかさおばさんが、お母さんの妹だったって聞いてびっくりした。
 みゆきおばさんは、昔は来たと思ったらすぐ帰っちゃっていたけど、それ以降は夜遅くまでママたちとお喋りしていくようになった。
 それに、みなみおばさんとゆたかおばさんが来るようになった。それまでみたことがない人たちだったけど、ゆたかおばさんはゆう君のママの妹さんらしかった。
 この二人もママとお母さんみたいに仲がよくて、なぜだかあたしにすごく優しくしてくれた。

 みんなあたしとママとお母さんをみて凄く嬉しそうにするから、あたしはなんだかそれが誇らしかった。これで正しいんだって、ずっと思ってた。
 だって、それが間違っているのだったら、こんなにみんなが喜んでくれるはずがない。そう思ってた。


 その頃、お客さんがこない日曜日には、必ず三人で遊びにいってた。
 いろんなところにいった。
 動物園、遊園地、お祭り、水族館、プール、展覧会、博物館、お買い物、海、スキー、花火、夏コミ、冬コミ。
 最後の二つは、お母さんは涙ながらに止めたのだけれど、あたしとママに押し切られる形になった。
“多数決は民主主義の基本だよ、かがみんや~”
 ママがそんなふうにいうと、お母さんは“あんたにそんなの教わるほどおちぶれてないわよ!”なんてよくいっていた。
 ほんとうにずっと遊びにでかけていたと思う。
 そのころ撮った写真だけでも120Gぐらいあって、それをながめるだけで一日が潰れるほどだった。

 ママにはよく肩車してもらった。
 ママに肩車してもらうと、お母さんより背が高くなる。
 あたしはそれが嬉しくて、いつもやってもらってるお返しにお母さんの頭を撫でてあげる。そうするとお母さんは凄く嬉しそうに笑うから、あたしも一緒になって笑うんだ。

 でもそんな肩車も、あたしが小学校に入って一年たち、二年たつころには、ほとんどやってもらうことはなくなってた。
 そのころには、肩車してもらった次の日には、ママは腰を押さえて痛そうにしてることが多くなってた。
 そんなとき、よくお母さんは“さすがにあんたも歳かー?”なんていって笑いながら、ママの腰を揉んであげたりするものだった。
 そして、ママは猫みたいな口をして気持ち良さそうにしながら、“なにをいう、かなたがおっきくなったんだよー”といって、あたしのほうをみて微笑むんだ。

 あるときあたしは、ママが差し出した背中にむけて“もう小学生なのに肩車なんて恥ずかしいよ”っていった。
 そうしたら、ママは寂しそうに、でも少しだけほっとした顔で“そっか”っていった。そして、あたしに手を差し出した。
 あたしがママの手を握ると、お母さんはすかさずもう片方の手を握ってくれた。

 左手はママ、右手はお母さん。三人で手を繋いで、あたしは世界一幸せなんじゃないかと思っていた。


 でもお母さんが倒れてからは、遊びに出かけるのは月に一回になった。

 ママと二人で病室にいったときのこと。ベッドで身を起こしたお母さんをたくさんの大人の男の人がとりかこんでいて、色んな書類とかノートパソコンの画面とかをみせながら、お母さんと話してた。
 壁みたいにそびえたつ真っ黒なスーツの群れがお母さんを隠していて、あたしはお母さんがあの人たちに食べられちゃうんじゃないかと思った。
 男の人たちの服から漂ってくるタバコの臭いが凄くって、倒れそうになったのを覚えてる。

「ちょっと! かがみは過労で安静にしてないといけないんですよ! でてってください!」
 そのときママが凄い剣幕で怒って、男の人たちを病室から叩きだしてしまった。
 あんなにお化けみたいにおっきい人たちを、ちっちゃいママが追いだせるなんて思いもしなかった。ママってやっぱり凄い! そう思った。

 そのとき、男の人の一人が、変な目であたしたちのほうをみつめた。
 なんだか凄く嫌な感じの視線だった。背筋がぞわっとして、怖くなった。
 ママの顔に一瞬だけ赤い色が浮かんだのが見えたけれど、すぐに扉を閉めたので、その視線も消えてしまった。

 お母さんはなにかいいたそうな目でママをみていたけれど、ママが凄い顔で睨むと、お母さんも黙ってしまった。
 ママが本気で怒るとこんなに怖いなんて知らなかった。ママの前ではずっといい子でいようと思った。
 お母さんはため息をつくと、あたしのほうをみていった。
「……ごめんねかなた、これからは今までみたいにいっぱいは遊びにいけないかも」
 そういうお母さんの顔色は真っ青で、あたしはすごく不安になった。
「だいじょうぶだよ、がまんできるもん。お母さんがいてくれたらいいんだもん。……お母さんは、お爺ちゃんとかお父さんみたいに、いなくなっちゃったりしないよね?」
 思わずそういった。
 お母さんはそんなあたしをびっくりした顔でみつめたあと、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 綺麗な紫色の瞳が濡れてた。

 お母さんからは、ママともあたしとも違う、お母さんのいい匂いがした。


 ――なんであんなことをいったんだろう。
 あたしはお母さんに抱きしめられながら、あのころのことをおぼろげに思い出してた。

 お爺ちゃんが死んじゃったころ、ママは毎日のように泣いてた気がする。
 お父さんはそんなママを抱きしめてあげようと手を差しだすんだけど、結局いつもその手を戻してしまって、悔しそうに唇を噛んでた。
“ごめんね、かなた……ごめんね”あたしの手を握ってボロボロと涙を流すママ。
“ごめんな、かなた……俺じゃ駄目みたいだ……ママのこと、おまえが守ってあげるんだぞ”そういってお父さんは、あたしの頭にポンと手をおいた。

 大きい手だった。それがお父さんの手だった。

 でもいまあたしの頭を洗ってくれるのは、柔らかくて小さな手だ。
「だいじょうぶ? めにはいってない?」
 お母さんの優しい声。わっしゃわっしゃとシャンプーして、丁寧にトリートメントまでしてくれる。
「はい終わり」
 髪の毛を束ね終わっておしりをぺちんとされると、あたしはいつも湯船のなかで待ってるママの元にむかうんだ。
 お母さんはいつも帰りが遅くって、一緒にお風呂に入れるのは珍しいけれど、そういうときはいつもこんな風にしてもらう。
 ママの腕のなかにすっぽり収まるとママは後ろからぎゅっと抱きしめてくれるから、あたしはつい安心して、この頃考えていたことを口にしてしまった。

「ねぇ、ママはどうしてお父さんとリコンしたの?」

 途端にママもお母さんもぴくっと動きを止めてしまった。抱きしめてくれていた腕がこわばったのに驚いて振り返ると、ママはなんだかあの頃みたいな顔をしていた。
 あたし、間違ったことをいっちゃったんだ。
 背筋がぞわぞわっとした。ママのこんな顔、もうみたくないのに。
 でも一瞬だった。ママはなんだか凄い頑張ったような感じでいつもの猫口になると、子守歌を歌ってくれるときみたいに、あたしの身体を前後にゆっくり揺さぶりはじめた。
 お母さんも、なにも起こらなかったかのように頭を洗ってる。

 そうして、ママは話しだした。
「かなたにはまだよくわからないかもしれないけど…ちゃんというね。……わたしは、お父さんを――男の人を好きになれない人間だったんだ」

 やっぱりよくわからなかった。ケッコンって好きだからするんだと思ってた。ママとお母さんみたいに。わからなかったから、そういった。

「うん……そうだよ。そうじゃないといけなかったんだ。……でも、好きになれるとおもっちゃったの。結婚して、あなたが産まれて、何年も暮らせば、本当の家族になれるんじゃないかって……」

 髪を洗い終わったお母さんが湯船に入ってくる。一杯になったお湯が少し溢れた。
 そして、お母さんはなにもいわずにあたしの手を握ってきてくれた。

「でも、できなかった。あの人とじゃ、今かがみと作ってるみたいな家庭を、作れなかったの」

 ママをみて、お母さんをみた。二人とも真剣な、けれど優しい目であたしのことをみてた。
 いままで三人で過ごしてきた時間を思いだしてみた。そうして、あの頃のことを思いだしてみた。

「ん……わかった……きがする」

 あたしがそういうと、ママは「ありがとう」といって、あたしに抱きついてきた。いつもみたいにあたしを抱きしめてくれるんじゃなくて、あたしに、抱きついてきたんだ。


 この頃のあたしは、やっぱりまだ子どもだったんだと思う。 

 学年が上がっていくにつれ、色々なことがわかるようになってきた。
 あたしたちは、普通の家族とちょっと違うんだってこと。
 お父さんがいて、お母さんがいて、子どもがいる。それが普通の家族だ。
 このときママがいいたかったことも、今はよくわかる。ママは同性愛者なんだ。女なのに、女の人しか好きになれないひと。
 それがわかったとき、あの日のこともわかるようになった。お母さんのお見舞いにいった日。あの日病室で男の人に浴びせられた視線の意味。

 それは、蔑視。

 あのとき、あたしたち家族は、あの男の人に蔑まれ、見下ろされたんだ。



 §かなた

 保健体育の時間で男と女のことを教わった。“子どもを作るには、陰茎を膣にいれて――”クラスでは、男子が奇声を発してたり、女子が顔を赤らめてひそひそ話をしたりしている。
 でも、あたしにはあんまり関係ない気がした。
 教科書の隅にあるコラム。そこに小さく書かれているのがあたしたちだ。

『子どもを作るには、このように男の人と女の人が性交をする必要があります。子どもを育てるために、男の人と女の人は結婚して、家庭をもつのです。けれど、結婚をするのは男の人と女の人だけとは限りません。
 男の人が男の人を好きになったり、女の人が女の人を好きになったりすることもあります。
 それは、身体の大きさや目鼻の形などと同じように、産まれたときからもっている個性で、少しもおかしいことではありません。そういう人たちが、一緒にいるために結婚をすることも、自然なことです。
 あなたが同じ性別の人のことが好きになったとしても、それは悪いことではありません。もし悩みごとがあるなら、保健の先生に相談してみましょう』

 さっちゃんがそこを読んだとき、教室がちょっとざわついた。“えー、そんなことあんのかよー”男子の誰かが叫んだ。
 先生はその子をたしなめて、同性愛がどれだけありふれているかという話をはじめた。
 なんだかあたしのほうをちらちらと眺めていて、凄く意識している感じがした。

 ああ、あたし、気を遣われてるんだ。

 そう思うと、なんだかちょっと――嫌な気持ちがした。


「かーなーたー!!」
「頑張って、ママー!」
 ママがリレーのトラックからあたしに手を振ってくる。あたしは精一杯声を張り上げて、ママに声援を送った。
 保護者対抗クラス別リレーは、今のところA組がトップだった。
 あたしたちのC組はドンケツで、しかもアンカーはなんかちっこい人。
 みんな逆転なんて無理だって思ってただろう。あたしとママとお母さん以外は。

 ママにバトンが渡った途端、まるでトラックに風が吹き込んできたみたいだった。
 目がぴきゅーんって光ったかと思うと、長い髪を地面と水平になびかせて、ママは凄い速さで駈けだしていった。
 運動不足ぎみの人たちを次々と追い抜いていくと、A組のひろ君のお母さんも抜き去って、ママはトップでゴールテープを切った。
 こっちをみて息を荒げながらVサインするママに、あたしとお母さんは抱き合いながら喝采を送った。

 運動会のときは、いつもお弁当が楽しみだった。
 ママは毎年五段重ねの重箱にごちそうを詰めてもってきてくれる。
 昔はただ無邪気に喜んでただけだったけど、今のあたしは、ママがこれを作るために一週間前から下ごしらえしてたことを知ってる。
 来年からは、あたしも少し手伝ってあげたいと思う。

 ママとあたしとお母さん。三人でシートを広げてお弁当をつつく。みんなで自分の分を一口ずつ食べさせてあげたりした。
 お母さんはママに食べさせてもらって、顔を真っ赤にして照れてた。“本当にお母さんはツンデレだなぁ”なんてあたしがいうと、お母さんは“かなたに変な言葉教えるなー!”っていってママに怒るんだ。
 凄く幸せな時間。
 でも、今年は少しだけ気になった。
 ――周りの視線が。
 なんだか近くの家族がちらちらとこっちをみてるきがする。
「かなた、どうしたの?」
 ママが優しく問いかける。
「ん……なんでもないよ」
 ママは物問いたげな様子だったけど、こういうとき、あたしの返事を無視してまで追求してきたりはしない。
 ママはいつもあたしが自分で解決するまであんまり口を出さないで、けれどずっと近くで見守ってくれる。
 そして、お母さんはそんなあたしたちみんなを支えてくれてる。男の人が優位にたってる社会で、自分の能力一つでお金を稼いで、あたしたち家族を動かしてる。

 あたしがこのあとあんなことをしちゃったのも、この家族が好きだったからだ。本当に誇りに思ってたからだ。


 クラス別応援の準備をしてるとき、A組のひろ君が話しかけてきた。
「おまえん家、なんで姉ちゃんがリレーでてくんだよー、ずるいぞー。うちのかあさんじゃ勝てるわけないだろ」
「あははっ、あれお姉ちゃんじゃないよ、ママだよー」
 一緒に買い物にいったときも、歳の離れた姉妹にみられることがよくあるから、そういう反応には慣れっこだった。
「うそつけ、あんな若いかあさんがいるかよ。それにお前のかあさん、あの紫の髪したつり目の人だろ?」
 ひろ君が食い下がってくる。あたしはなんだかちょっとかちんとした。
「その人もお母さんだけど、ママもママなんだよ! ウチはママとお母さんが両親なの!」
 あたしがそういうと、ひろ君はちょっと困った顔をして考える。
「じゃ、とうさんはどこいったんだよ」
「お父さんは…いないよ」
 あたしが声を落としてそう答えたら、ひろ君は真面目な口調でこういった。

「そっか……ごめんな」

 目の前が暗くなった気がした。すーっと血の気がひいていくのがわかった。

「なんで…なんで謝るの……?」
 自分の声がかすれてるのがわかった。ささやくように尋ねた。

「……だって……おまえん家とうさんいないんだろ?……かわいそうじゃん。変なこといってごめんな」

 ひいた血の気が一瞬で頭に上ってきた。視界が赤く染まって、なにも考えられなくなる。

「ば、ばかにしないでよ!!!!」

 叫んで、おもいっきり突き飛ばした。不意打ちになったのか、ひろ君は受け身もとれずに吹き飛んで、倒れ込んだ。
 なんで、なんであたしたちが哀れみの目でみられないといけないんだろう。あたしたちは完全で真っ当な、普通の家族だ。
 もうたくさんだった。哀れみとか、同情とか、蔑みとか、特別扱いとか。

 ひろ君はなにが起こったかわからないような感じで、呆然とあたしを見上げてる。
 そのころになって、やっとあたしも自分がしちゃったことに気がついた。
 気がついたら騒ぎになってた。遠くから先生が走ってくるところがみえた。


 どういう話をしてどうなったか、ありのままを話すと、先生とひろ君のお母さんは謝ってきた。先生なんて、お母さんにひたすらペコペコと頭を下げてた。
 そんなことされても、全然気が晴れなかった。ただ悲しいだけだった。
 お母さんは、そんな先生を押しとどめると、あたしにこういった。

「かなた、ひろ君に謝りなさい」

 びっくりした。あたしがあんなことしちゃったのも、お母さんがバカにされたみたいに感じたからなのに。
「え……な、なんで。そりゃ…突き飛ばしちゃったのは悪いけど…でも、ひろ君がおか…あたしたちのことバカにしたからなんだよ!」
「それでも謝りなさい! ひろ君は精一杯あなたの立場になって考えようとしてくれたのよ。それが合ってるか間違ってるかは関係ない、あなたは人の好意を踏みにじったの!」

 お母さんはすごい恐い顔であたしをにらむ。唇がプルプル震えてた。
 それは本当に恐い顔だった。もうみたくないって思った。
 だって、口調は怒ってるのに、なんだか泣きそうな目をしてるんだもん。

 だからあたしは謝った。嫌だったけど謝った。ひろ君はそっぽをむいてたけど、頬をちょっと赤くしてた。
 ママとお母さんもひろ君とお母さんに頭を下げて、
「かなたが酷いことをしてしまってごめんなさい。これからもかなたのことをお願いします」
 っていった。

 その日の帰り道、ママはあたしの頭にポンと手をおいて、「よくがんばった」っていってくれた。


 しばらくお母さんと口を利かないでおこうと思ったけど、そんな決意は一日ももたなかった。怒ったお母さんが一番しょんぼりとしてたから。やっぱりそんなお母さんはみていたくなかった。
 お母さんの書斎にいって宿題をみて欲しいっていったら、お母さんはまるで太陽が昇ったみたいな満面の笑みを浮かべて、
「もー、しょうがないなかなたは、ほら、みせてごらん」
 っていった。顔を近づけて宿題を教えてくれるお母さんからは、お母さんのいい匂いがした。
 やっぱりお母さんはツンデレだ。あとでママとそういって笑った。
 そうしてこの事件も終わったように思えた。


マシマロ(2)へ続く












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