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Elope 第7話

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 7-1. (みゆき視点)


 小早川さんは、結局『桜通線』の改札口へ向かう通路の途中で、
急追してきた岩崎さんの手によって捕まえられました。
「いやっ、こないで! 」
「ごめん。ゆたか」
 岩崎さんは、拒絶の声をあげて、なおも逃れようとあがく
彼女に『当て身』を加えたのです。
「うっ」
 小早川さんは、小さく呻いて意識を喪い、もつれるように倒れかかります。
「ゆたか…… 」
 岩崎さんは、地面に崩れ落ちる寸前で、愛しそうに小早川さんを
抱きとめて、そのまま背負います。
「高良先輩、戻りましょう」
「ええ」
 私と岩崎さん以外は、逃走しているこなたさんを追って地下1階へと
昇っています。
 ただ、泉さんは陸上部からも勧誘がくるほど足が速いので、こちらの
方はあまり期待できないでしょう。

 1時間後に、私の携帯にかがみさんから連絡がありました。
 結局、泉さんの後を追っていた、田村さん、パティさん、かがみさん、
つかささんは、全員、地下街の中で泉さんの姿を見失ったということです。
 私達の状況も、彼女に報告した結果、全員宿泊しているホテルに
戻ることになりました。
 名古屋駅の近くにある、ホテルに着いた時には午後4時を
回っており、あたりは既に暮色に包まれておりました。

「こなたには、結局、逃げられてしまったわ」
 私達が泊まっていた部屋の一つに集合すると、かがみさんは
深いため息をついて、肩を落としています。
「でも、居場所はゆたかちゃんが知っていると思うよ」
 つかささんの言葉で、一同の視線が、寝息を立てている
小早川さんに集中します。
「ゆたかちゃん。起こそうか」
「ええ…… 少し可哀想ですが」
 私の言葉に頷くと、かがみさんは小早川さんの肩を揺らします。
「ゆたかちゃん。ほら、起きて…… 」


 7-2. (ゆたか視点)


 私は、目を覚ました。
 目の前にはかがみ先輩がいて、私の肩を掴んでいる。
 部屋にはつかさ先輩、高良先輩、みなみちゃん、田村さん、
パティちゃんもいる。
 あっ、そうか。私、捕まっちゃったんだ。
 どこか他人事のような感じがする。
「気がついたようね」
 かがみ先輩は不機嫌そうに、腕を組んで私を見下ろしている。
「ゆたかちゃん。あなたに聞きたいことがあるの」
「なんでしょうか? 」
「こなたの居場所を教えて欲しいの」

 やっぱり来た。 
「実は…… 良く分からないんです」
「分からないはずないでしょう! 」
 いきなり憤りをみせるかがみ先輩に対して、高良先輩は、少し
落ち着いて質問するように窘めた。
 かがみ先輩が、かなりヒステリー気味なのは、お目当てが『私』
なんかじゃなくて、こなたお姉ちゃんだからだ。
 所詮、私は釣り餌にすぎない。
 半ば自虐的な感想を抱きながら、怯える様に震えて視線を落とす。

「本当なんです。だって、名古屋に来たのは生まれて初めてだし、
こなたお姉ちゃんに、ついていっただけですから」
 お姉ちゃんに渡したリュックに、マンションの位置を示した地図が
入っているけど、場所を正確に覚えていないという言葉自体は嘘ではない。
 もっとも、住所を知っていることまでは、教える義理はないのだけど。

「本当かしら? 」
 かがみ先輩は、なおも疑いを解かずに、周囲の見渡して意見を求めた。
 高良先輩が皆を代表するように答える。
「確かに、小早川さんが分かっていない可能性はありますが…… 」
「お願いです。信じてください」
 私は涙目になって、みなみちゃんに顔を向けて訴えかけた。

 みなみちゃんは、私の予想通り、
「ここにいたって、ゆたかが嘘をつくとは思えません」
と、答えてくれた。


 かがみ先輩はため息をつく。
「明日、大まかでいいから場所を教えてもらうわ。
それと、地下鉄のどこの駅なのかしら」
「あのっ、どうして地下鉄から来たって分かったのですか? 」
 私は、不思議そうに首を傾ける。

「みゆきが指摘してくれたのよ」
 長いツインテールの先をいじりながら、高良先輩に視線を向ける。
「一度、通った道は安心しますから」
 高良先輩は、ごく簡潔に答えただけだった。

「確かにそうです。地下鉄で3駅ほど乗った記憶があります」
「名前は分かるかしら? 」
「えっと、それはちょっと…… 」
 私はここで嘘を織り交ぜた。正しくは1駅先の伏見駅で、
3駅先は……
「3駅先ですと『新栄町駅』になりますが、小早川さん、
栄には買い物にいかなかったのですか? 」
 さすが、高良先輩だ。名古屋の中心街は栄地区と、
名古屋駅前地区の2箇所に別れていることを既に知っている。


「実は、よく分からなくって。だから駅前まで来たのです」
「そういえば、ゆたかちゃん。リュックはどうしたの? 」
 つかさ先輩も意外と鋭いところを突いてくる。
私は申し訳なさそうな表情をつくった。
「最後に、こなたお姉ちゃんと別れるとき、お姉ちゃんが
リュックを持っていってしまいました」
 ちなみにこれも嘘。本当は、私が証拠となりそうなものを全部、
こなたお姉ちゃんに預けたんだ。
 リュックの受け渡しを至近でみていたはずの、高良先輩も、
みなみちゃんも、私の意思か、こなたお姉ちゃんの指示かは、
判断がつきかねるだろうから、バレることはないはずだ。

「こなたも少し抜けているわね」
 少しだけ嘲りの表情を浮かべながら、かがみ先輩は言った。
「ゆたかちゃんの携帯電話まで持っていってしまうなんて。
連絡を取り合うこともできないしね」

 私は黙っていた。
 しかし、所詮、携帯は取り上げられてしまうし、メールの
履歴には、滞在先の住所も書かれている。
 情報のカタマリを、みすみす『相手』に渡す方が愚かしいともいえる。
「とにかく…… ゆたかちゃんの為でもあるんだから。明日の夕方まで
にこなたを見つけないとね。下手をすると、もう会えなくなっちゃう
かも知れないんだから」
「はい…… すみません」
 私は、ココロに荒れ狂う怒りを必死で抑えて、頭を下げた。
 でも…… どうして? 私とこなたお姉ちゃんの仲を
引き裂いた人は、何故、傍観者のような顔をして眺めているの?


 かがみ先輩の厳しい追及が終わった後、私はこの場の全員に
たいして、詫びをいれた。
「みなさんに、ご迷惑をかけてしまい、本当にごめんなさい」
 真冬の嵐のように荒れる心をひたすら隠し、低姿勢かつ殊勝な
態度を装う。
 一度、仮面をつければ、後は徹底的に演じるだけだ。

 更に私は立ち上がって、ひとりひとりに対しても、丁寧に謝っていく。
「かがみ先輩。昼間は酷いことを言って申し訳ありません」
「え、あ…… わ、わかったわよ」
 こんなところでも、ツンデレなんですね。
「つかさ先輩。急に逃げたりしてごめんなさい。あの、
びっくりしたからつい…… 」
「いいんだよ。ゆたかちゃん。気にしないで」
 どこまでも優しいんですね。でも、霊感商法なんかに騙されないで
くださいね。

「パティちゃん。ごめんね」
「No,No,気にしない。ワタシは十分楽しめたヨ。オニゴッコ」
 なんでも楽しめる性格が素直に羨ましいよ。
「田村さん。忙しい時期に迷惑かけてごめんね」
 冬のコミケも、みなみちゃんと私の絡みになるのかなあ。
 それとも締切に間に合わず、原稿落ちかな?

「高良先輩…… ご迷惑をおかけしてしまいました」
「いえ…… 」
 高良先輩は深刻な顔をしたままだ。私をまだ疑っているのだろうか?
それとも別の心配をしているのだろうか?

「みなみちゃん。私を心配してくれてありがとう。
あと、ごめんなさい…… 」
 みなみちゃんは、無言のまま、表情も変えずに私をじっと見つめていた。

 私が皆に謝った後、全員で明日の行動についての相談がはじまった。
まず、もう一日かけてこなたお姉ちゃんを探すことが確認される。
 話し合いの途中で、かがみ先輩が、逃走したこなたお姉ちゃんに何度も
電話したけれども、一度として繋がることはなかったことを知った。
 そして、私を囮に使って、お姉ちゃんを捕まえる算段も、念入りに
話し合われた。
 最終的な方針が決まった後は、明日の朝までホテル内だけではあるが、
自由行動となった。
 各々が夕食を取り、入浴した後、私は、ひよりちゃんと、パティちゃん、
みなみちゃんと、トランプやUNOで遊んで、11時前にはベッドに横たわった。


 私は、目を覚ましている。
 ほどなく、同室となった、みなみちゃんが私のベッドにもぐりこんでくる。
「ゆたか…… 」
 みなみちゃんは、私の顔をみつめながら、唇を近づけてくるけど、
私は全く拒まなかった。
「ゆたか、いいよね」
 小さく呟きながらみなみちゃんは、私の唇に触れた。
 軽いキスから、深いキスへと進み、みなみちゃんの舌が絡みつき、
同時に、唾液が私の喉に流れ込んでくる。

「ん…… 」
 擦れた声が喉の奥から出る。
 私は、口腔内をみなみちゃんに犯されながらも、彼女の瞳をじっと
観察している。
 多分、私の想像どおりなのだろう。

 深い口付けが済んだ後、みなみちゃんは私の服を脱がしにかかる。
セーターからブラウス、そして下はスカート。
 私は抵抗せず、されるがままに身に着けたものを外されていく。

 みなみちゃんは、自分自身も下着だけになってから、私の
小さな胸に掌をあててくる。
「んんっ…… 」
 思考は醒めきっているのに、身体が熱くなるのはとても不思議だ。
「感じているんだね。ゆたか」
 みなみちゃんは私の反応を確かめると、私の下着の中に手を
もぐりこませてくる。

「んあっ」
 ため息とも、あえぎ声ともつかない声がでてしまう。
「ゆたか。ぬれているよ」
 嬉しそうな表情でみなみちゃんは言うと、私のアソコに
潜り込ませた手を、もぞもぞと動かし始めた。
「ん…… んんっ」
 私の身体が震えて、嬌声がもれる。
 みなみちゃんが一生懸命私を愛撫している姿をみていて、私は…… 

 何の感情も生まれなかった。


 身体だけの交わりに何の意味があるんだろう? 大切なのは
ココロの繋がりなのに。
 それでも、私の幼い身体でも、愛撫に対しては正直に反応する
ところが面白い。
「んあっ、ああっ…… 」
 何度も嬌声を響かせながら、裸身を揺らす。
 みなみちゃんは顔を火照らせながら、更に指の動きを強めていく。
 快感が急に高まり、私はシーツの端を掴みながら、切ない快楽に
酔いしれる。
「ああっ…… んああっ」
 私は、よがりながら叫んで、あっという間に絶頂を迎えた。

 コトが終わったあとも、私はみなみちゃんと抱きあっている。
 みなみちゃんの身体は大きくて、私はすっぽりとおさまる形になる。
「ねえ…… みなみちゃん」
「何? ゆたか」
「みなみちゃんって、私の事好きなのかな…… 」
 今さら何でそんな事を聞くのか、と思われるような質問を投げかける。
「好きだよ。ゆたか」
 でも、みなみちゃんは大真面目に答えてくれた。
「嬉しいな…… 私もみなみちゃんの事が大好き」
 私は笑顔を浮かべて、みなみちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「あ、ありがとう」
 みなみちゃんは、綺麗な顔を真っ赤にしている。とても可愛らしいね。
 私は、ごく自然な口調で尋ねた。

「みなみちゃんの事、大好きなのに、どうして、こなたお姉ちゃんの
家から、私を追い出したの? 」

「え!? 」
 みなみちゃんが絶句して、固まっている。
「ごめんね。責めてるつもりはないんだ。でもね。実家からだと
陵桜に通うのは遠いから、もしかしたら、転校しなければならなくなって、
みなみちゃんにも、会えなくなるかも…… 」
 私は、悲しそうな表情をつくって、みなみちゃんを見上げる。

「仕方がなかった…… 」
 随分と長い間、躊躇ってからみなみちゃんは呟いた。

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Elope 第8話へ続く














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  • ご指摘の通りのミスで、修正いたしました。
    ありがとうございました。 -- 23-251 (2008-03-19 23:45:26)
  • ゆたかを詰問してるシーンでのみゆきの発言にある「岩崎さん」
    は誤字だと思うのですが・・・ -- 名無しさん (2008-03-19 23:26:42)

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