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あなたを 想うから

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 12月23日日曜日。
「何で解ってくれないのよ!」
 昼下がりの公園に私の声が響く。
 私の視線の先には青い髪の少女。
「今からそんなペースで勉強して受かる訳ないじゃない!」
 私の心を満たすのは怒り。裏切られた怒り? それとも自分の想いが通じない怒り?
 私の声に体を震わせる少女――泉こなたには暫く前までの笑顔は無い。
 寧ろ青ざめている表情でその目は私の足元を見つめている。
 掌を握り締めてひたすら私に怒鳴り付けられている。
「冗談だよ、かがみ……ちゃんと毎日……」
「――!」
 何とか切り返した言葉が私の心を更に逆撫でする。
「だったら、どうして毎日そんなに遊んで居られる訳っ!?」
 理性の警告する声が聞こえる。
「もっと真剣に考えてくれていると思っていたのに! 私はこんなに真剣に想っているの
 に、こなたにとってはそんな事どうでもいいの?」
 このままだとその怒りが間違った方向に向かうと。
「……もういい」
 小さく返された声は低く、搾り出したような声で。
「何?」
「もういい。今のかがみに何を言っても解らない」
 私を見上げたその瞳から大粒の涙を零していた。
 そして続ける。
「……私だって! 解ってくれなくっても構わないよっ!」
 肩で大きく動かして息を吸い込む。
「かがみの……バカァ!」
 滅多に聞くことの無い大声で叫ぶと踵を返して駆け出した。
 走り去っていく小さい体を、私は黙って見送ることしか出来なかった。


『あなたを 想うから』


 冬本番と言って良いくらい冷気を含んだ風が負け犬である私に吹き付ける。
 私の鬱々とした気持ちを代弁しているつもりなのか、鷹宮の神社が見えてきた頃には雨
 雲が空一面を覆っていた。
 家に帰ると玄関は施錠されたままだった。
 鞄からキーを取り出して解錠する。
 お父さんとお母さんは仕事、つかさや姉さんたちが出かけている所に帰ってきた訳だ。
「ただいまー」
 無人の我が家に声を掛けても返事などあるワケもない。
 当然面白く無く、不機嫌な私は今日の為に取っておいた靴を脱いで下駄箱に放り込んだ。
 そのまま2階にある私の部屋に帰る。
 隣の部屋の主であるつかさはみゆきと遊んでいる所だろう。
 家を出る前に笑いあった妹の顔が浮かぶ。
「何よ、結局つかさの方が器用じゃない」
 あの子は頼りないけれど、持ち前の明るさと自分の気持ちを伝える強さを持っている。
 そして今はそのままシンプルにストレートにみゆきと付き合っている。
 私も同じようにこなたに打ち明けてきたつもり。
 でもどうしても思うように行かなくてケンカしてしまう。
 今日みたいな事になったのは初めてだけど……でも譲れない理由がある。

 来年の春、私たちは陵桜を卒業する。
 そして私たちの進路は大学、こなたは学部こそ違えど私と同じ同じ大学を志望した。
 私の喜びと嬉しさは大変なものだった。
 でもその夢を叶えるには、その段階からは間に合わないかもしれない高いハードルがあ
 った。
 こなたの学力が適っていなかったのだ。大学のレベルに。
 高校三年からのスパートを宣言し、明らかに実力を付けて来たのは解る。
 だけど、息抜きと言いつつ今までの趣味であるゲームやアニメを嗜んでいる。
 そんな所はこなたらしいと思う。
 でもそれじゃ駄目。
 夢を叶える為にはそれ相応の努力と言う対価を払わなければならない。
 それを毎日毎日毎日毎日繰り返しているうちに……ついにキレた。
 キレてしまった。

「落ちたら……一緒に居る時間が夢となって消えちゃうじゃないの」 
 思ったことを口に出してみると思考はネガティブな方向に傾いていく。
 一緒に居たいから、だから努力をして欲しい。
 空回りする私の心は酷く滑稽で。
 うん、これは我侭。
 たぶん、こなたよりも私が我侭なんだ。


「ただいまー」
 玄関の開く音と間延びした声が開く。
 そのまま直ぐに上がって来ずに、暫くしてから足音が階段を上がってきた。
「お姉ちゃん、入っていい?」
 機嫌の良さそうなつかさの声と対照的に私の心は沈んでいる。
 とはいえ、妹に当たるような事でもないしね。
「つかさー。いいわよ」
 平静を装って答えた私、その部屋の扉を開けてつかさが顔を覗かせた。
「どうした? 早かったじゃない」
「明日のケーキの準備をしておこうと思って。今日は早く帰っちゃった」
 あー、直ぐ上がって来なかったのは材料を仕舞っていたからね。
「でね、ケーキなんだけど、お姉ちゃんとこなちゃんの分、どんなのがいいかな?」
 ……
 妹の優しい言葉が痛い。
「ああ……私はいいわ。家でみんなで食べるから」
 本当は、家族の分、つかさの分、そして私の分の3つのはずだった。
 下がるテンションにつかさが止まる。
 暫くの沈黙の後、予想通りの言葉を聞くことになった。
「こなちゃんと、喧嘩したの?」
 自分の事の様に心配するつかさ。
 こんな優しい所は私には無いのだろう。私は押し付けてばかりだから。
「ちょっとだけね。だから、明日の予定はパス。家に居るわ」
 本来なら明日のイブの夜に私はこなたの家に、つかさはみゆきの家に泊まりに行くはず
 だった。
 それぞれの手にケーキを持ってね。
「だから、私の分はいいから。ね?」
 体裁が悪くなって、無理して笑って、妹に退室を促した。
 残念な顔を残して出て行ったつかさには悪いことをしたと思ったけど、あまり落ち込ん
 でいる自分の姿を見られたくは無かった。

 夕飯までには時間がある。
 早く帰ってしまった私には時間など有り余っているんだ。
 机の上に無造作に置かれた雑誌が目に付く。それはコンプティーク。
 布教用に、ってこなたがプレゼントしてくれた。正しくは押し付けられたんだけど。
 付録とアンケート葉書の切り取られて軽くなったそれを手にとってみる。
 私の趣味と波長の合わないページを次々に飛ばして捲って行く。
 そうしていると見慣れた単語が現れたのでそこで手が止まった。
 こなたのプレイしているオンラインゲームの記事。
 それは今日も私に話していたゲーム。
 こなたの楽しそうに語る声が再生される。

『クリスマスイベントがこれまたアグレッシブでさ~。気が付いたらななこ先生のキャラ
 が死んじゃっててすっごい怒られたよ。面白かったけどネ』
『大晦日やお正月もあるんだけどさ、私はコミケがあるから私できないんだよネ』
『いやー、楽しいからさ、なかなかやめられないんだよね。昨日もそれで寝不足で……』

 雑誌を読んで気を紛らわすつもりだったのに、またこなたの事を考えるなんて重症だわ。
 ため息を吐いて雑誌を閉じる瞬間……何かとても大事なモノが見えた気がした。
 もう一度さっき開いたページを探す。
 PCゲームの紹介ページを探し出し、同じ記事を確認する。
 さっきはタイトルと写真だけを見ていたが、今度は本文に目を走らす。

 ――多くのユーザーから惜しまれながらもサービス停止を余儀なくされた名作が再び――
 ――2006年末に終了した伝説のゲームが帰って――
 ――サービス再開は2008年夏に決定。情報が入り次第――

 何を言っているんだかこのライターは。
 そのゲームならずっとこなたがプレイしてたっての。

 ……
 …………
 ……………………
 ………………………………?

 そんな訳あるはずが無い。
 情報誌でそんな間違いを掲載する筈が無いじゃない。


 バッグに入れたままだった愛用のP902isを掴み出す。
 オープンボタンを乱暴に押された愛機が驚いて待ち受け画面を表示する。
 それはいつかのプリクラを取り込んだ画面。
 そして一緒に写っているのは今直ぐに真実を確認したい相手。
 履歴を呼び出す。
 定評がある程のレスポンスの悪さで一覧が表示されるまでの時間が長く感じる。
 リダイヤル、泉家。

 1回、2回……
 無意識にコール音を数える。
 20回を過ぎた頃に留守か、或いは居留守ではないかという結論に至った。
 考えてみればあれだけ喧嘩したのだから、私が掛けた所で出てくれるとも思えない。
 それでも私は本当の事を知りたい。
 今度は電話帳を呼び出すと、ほとんど掛けた事の無い相手を選択した。
 もっともこなたの事情を知るであろう人物。

『はい、黒井です』
 繋がった。
「こんばんは、柊です」
『おぅ、姉の方か。どないしたんや。珍しいやないか?』
 帰ってくる爽快な声。
 後ろではカタカタとキーボードを打つ音がする。
「こなたの事で、教えて欲しいことがあります」
『おお、泉か? 柊から見て最近のあいつどーよ?』
 聞きたいのは私なんですが。
「どうって、どういうことです?」
 質問を質問で返す。
 というか、私は質問の意味を理解できてない。
『柊も知っとるやろ? あいつが柊と同じ大学行きたいってゆーてるん』
 そういうことか。でも、
「知っています。でも、今のこなたじゃ無理ですよ」
 抱えている不安。それが大きくなる。
『んん? なんでや?』
「だって、こなたって勉強するって言いながら、毎日ネトゲばかりして、夜更かしとか…
…あんなのじゃとてもじゃないけど無理です!」
 カツンと、向こう側で、缶をテーブルに置く音がした。
『おい、柊。お前、何も聞いてへんのか』
 プシ! っとプルタブを起こす音が聞こえる。
 スピーカーから流れて来たその声は呆れていた。
『泉の奴、去年の終わりからネトゲなんかやっとらへんよ』
 息を呑む。
 こなたはネトゲを『引退』していた?
「じゃあ、『昨日、先生がクリスマスイベントで死んでいた』って言うのは?」
『あー、去年の暮れのヤツやな。泉のミスで一回殺されたわ』
 何か言葉を捜す。
「じゃあ……じゃあ……こなたは『毎日遊んでいる』って、自分で言っていました」
『柊。あいつ、メッセにも殆ど上がって来んようになってんねん』
 頭の中に響くこなたの声。
 ――いやー、楽しいからさ、なかなかやめられないんだよね。
「本当に、ですか?」
『それはセンセが保証したる』
 じゃあどうして……
『そりゃなぁ。柊の前でええ格好するとか、泉のキャラやないやん?』
 黒井先生は電話も向こうで笑っていた。
『柊も泉もええ加減不器用で見とったら面白いわ』
 な!?
『大方、泉は『アンタの為に勉強してるんじゃないんだからね!』ってのを体で実践しと
 るんやろ。普段から柊をツンデレツンデレゆーとるワリに、泉のヤツも似たようなモンや
 ないか』
 ちょっそれ! 怒っていいか上手いこと言われて感謝していいかわかりません!
 しかも喋る度にビール飲む音を拾ってる。
 先生、何本飲んでるんですか。
『どーせ仲の良い自分ら、『明日のイブは二人きりで甘い夜を……』とかやろー! ほんっ
 っっまセンセ羨ましいわ!!』
「私とこなたを一体どんな目で見てるんですかー!」
 プシ!
 ゴクリ。

『あー?       …… こ な か が ?』



 パタン、と携帯を閉じるとジャケットの真紅のイルミネーションが星を表示させ、その
 ままゆっくりと消えていった。
 なかなかにハードな戦いだったわ……
 でもこうしてゆっくりはしていられない。
 私のすることはすでに決まった。

 部屋を出て、そのまま階段を下りて台所に足を伸ばした。
 ケーキの仕込みを始めていたつかさが顔を上げる。
「お姉ちゃん?」
 その顔が直ぐに笑顔になる。
 きっと私も良い顔をしてるんだろう。
「つかさ。悪いけど――」




 12月24日月曜日。クリスマスイブ。
 いつも通りの起床時間を告げる目覚まし時計。
 バサっと布団を起こして朝の空気を眠気覚ましにする。
「ちょっと寒すぎでしょ」
 異常な寒気に窓が開いているのではないかと思いカーテンを開く。
 窓は閉じていた。
 目に飛び込んできたのは、一面の銀世界だった。

 昼過ぎ、起きて来たつかさがケーキを焼いて包装してくれた。
「お姉ちゃん、がんばってね」
 ケーキを手渡しながら真剣な瞳で私を見つめる妹。
「まさかつかさに励まされることになるなんて思って無かったわ」
 恋愛って問題でね。
「でも、ありがとう。行って来ます!」
 左手にケーキ。右手にはお泊り用のバッグ。
 足には昨日卸したばかりの靴。
 私はお気に入りのコートを着込むと、こなたに会う為に銀世界に踏み出した。
 空からは黒く濁った色の雪雲を伸ばし、地上に居る私を威圧しているよう。
 それでも風が無く、ゆっくりと舞いながら落ちてくる雪。
 それはきっと私が舞台に立つ為の演出に違いない。


 電車を乗り継いで今、泉家前。
 傘を忘れた私には薄っすらと雪が積もる。
 雪を払い、意を決してインターホンを押す。
 しかし誰も出てくる様子は無い。
 玄関前の駐車スペースにはおじさんの車がなくなっている。
 少なくともおじさんは居ないと言うこと。
 ゆたかちゃんも出かけてるのか。
 こなたはバイトかもしれないけど……今の私には撤退の二文字なんて無いんだ。
 玄関の引き戸に手を掛けるとカギは掛かっておらず、掃除の行き届いたレールを走って
 扉は私を招き入れた。
「おじゃまします」
 普通に考えてこなたが居ない可能性も十分あるワケだけど、何か確信があった。
 私の中の何かが告げる。
 きっとこなたが居ると。こなたの匂いがすると。
 靴を揃えて脱ぐ。
 玄関からはこなたの部屋はすぐ目の前だ。


 ゆっくりと戸を開けると、部屋には明かりがついていた。
 エアコンで温められた部屋の主は机に突っ伏して熟睡中。
 それが出来るだけのスペースが机の上に出来ていた。
 つまる所いつも鎮座していたパソコンが無くなっている。
 この子の足元に積もるのは努力の結晶。私の見抜けなかったこなたの努力。
 開いた型のついた無数の問題集が乱雑に重なっていた。

 勝手にコートをハンガーに掛け、そっと近付き、外見相応のあどけない寝顔を見ている。
 ホント、コイツは私に見えない所で努力してたんじゃないか。
 私を受け入れて、想ってくれていたんじゃないか。
 信じることの出来なかった自分が情けない。
 そう思うと共に、コイツへの好意……『だいすき』って言うのかな? そんな気持ちで
心がいっぱいになる。

 そっとその温かい頬に口付ける。
 くすぐったそうに丸まりながら可愛い恋人は小さな声で
「かがみ、だいすきだよ」
 と寝言で返してくる。
 それに私の心は優しさで満たされる。
「起きて。こなた」
 冷えた手でごめん、と思いながら小さな肩を揺する。
 眠りの国から帰ってきた姫はいつもの眠そうな目を擦りながら私を見上げる。
「メリークリスマス。こなた」
 その瞳が開かれる。
「かがみ……なんで来てくれたの?」
 嬉しさと不安の混じった視線。
「泊まるって約束してたでしょ?」
「でも、昨日思いっきりケンカしたんだよ」
 尾を引く喧嘩。
 でもそんな事は目の前にある幸せ、やるべき事の前には問題にすらならない。
 昨日の私ならそうだけど、今の私にとってはね。
 することなんて簡単。自分の非を認めて謝る。
 そして自分のキモチを伝えること。
「確かにしたわ。それも私の我侭で、勘違いでね。だからゴメン。私、こなたのコトを解
 っているつもりだった。なのに何も見えてなかった。何も解ってないのに押し付けてば
 かりだった」
 私の手にこなたの手が重なる。
「そんなことないよ。かがみは私を心配してくれてた。だから私はその期待に応えなくち
 ゃいけなかったのに、それが恥ずかしくて、誤魔化して、嘘ついて……かがみを怒らせ
 ちゃったんだ。だからゴメンネ」
 私の冷え切った手をこなたの体温で温めるように。
「外は寒かった? 雨降ってなかった? 濡れなかった?」
 そう私のことばかりを考えてくれるこなた。
 私のことを考えてくれていたこなた。
 こなたに預けている手はそのままに、もう片方の手を伸ばしてカーテンを開く。
 雲が途切れ、差し込んだ太陽が世界を銀色に輝かせていた。
 それは私たちのキモチのように。
「おおぅ。ホワイトクリスマスじゃん!」
 子供のように顔を輝かせて喜ぶこなたに笑みがこぼれる。
「かがみ! メリークリスマス!」
 椅子から立ち上がってタックルの如く抱きついてくるこなた。
「うん。メリークリスマス」



 さあ、聖夜を祝おう。
 小さい恋人をぎゅっと抱きしめて。





【カーテンコール】


 ケーキを二つに割らずに食べながら気になったことを聞いてみた。
「こなた、アンタのパソコンってどこ行ったの? 封印しちゃったの?」
「んーにゃ。ゆーちゃんがネット使うから使ってもらってるよ」
 にしてもつかさのケーキ美味しいねー、と舌鼓を打ちながら二人で突く。
「そうなんだ」
「果たして、貸す前に大量にインスコした百合ゲーに気が付いたかどうか……そこがお姉
 さんの気になるところなんだけどね」
「ちょっ!おま!」
 それ、姉代わりとしてどうよ?
「その影響で今日はみなみちゃん家に行ったのかもネ」
「ぉぉぃ」
 目を細めて汚れた推理を展開するこなた。
 神様、ここのクリスマスは汚れています。

「ところでかがみー」
「何よ改まって?」
「今日家に来てから何か気が付いたことって無かった?」
 家に来てからといえば。
「そうね……玄関に車が無かった気がするけど」
「おとーさん、昨日からホテルで缶詰されてるから帰って来なくってさ」
 その顔が邪悪に笑う。
「だからネ」
 私の両肩にこなたの両手が添えられる。
「今日、家に居るのは私とかがみだけ」
 その言葉の意味すること、それを理解して唾を飲み下す。
 こういう時ってどういう反応するんだっけ? えーっと。
「冗談だったら、ぶつわよ?」
「私はいつだって真剣だヨ。かがみんの事にはね」
 ガードを潜って私の心に踏み込んでくるこなた。
 私はやはりコイツに弱い。

 肩に置かれた手に力が入ると、そのまま私はフローリングに寝かされる。
 今からこなたに『食べられる』? いや、『愛される』んだ。
 そう思うと眩暈にも似た動悸が治まらない。
「かがみ、だいすきだよ」
「うん。わたしも、こなたがだいすき」
 最終確認。
 こなたの顔が私に近付いてきて――
 バアーンと耳障りな音が聞こえた。
「やほおぉぉぉぉぉおおぅ。こなたぁ! ゆいお姉さんが来ましたょ……ょ……ぅ?」
 同時に振り向いた私たちは、部屋の引き戸を持ったまま固まった成美さんを発見した。
「ね、姉さん……これはデスネ……」
 沈黙の後に何とか口を開くこなただったが、
「ごごご、ごゆっくりーーーーー!」
 涙を流しなら成美さんは飛び出していった。
 直後に急発進の爆音が響いてきた。

「……」
「……」
「さて、かがみん、改めて続きを」
「アンタのそんな切り替えの早い所。ホントに好きだわ」
 そういって私は瞳を閉じた。
 神様、やっぱりここのクリスマスは最高です。













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