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禁断の果実は天上の味?

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 12月のある日の放課後、みゆきはこなたと2人で廊下を歩いていた。
 みゆきが手にした学級日誌を職員室へ持って行く為に。
「すみません、わざわざお付き合いいただいてしまって」
「いいってば、そんな気にしなくても。謝ったりお礼を言うべきは私の方なんだしね」
「そんな。お礼なんて……それこそ気にしないで下さい」
 2人はこの後図書室で勉強会をする予定である。
 こなたがギリギリまで課題を放置していた為、翌日の提出日にノートを写すだけでは間に合わなくなってしまったのだ。
 普段ならかがみに助けを求めるところなのだが柊姉妹は実家である神社の手伝いがあり、今日は既に下校した後である。
 そこで最後の頼みに綱であるみゆきに頼ることになったのだ。
 ちなみにつかさは手伝いがある事がわかっていたので、かがみの助けにより昨日の夜で終わらせてあるらしい。ただ些か頑張り過ぎた為か、今日は1日中眠そうにしていたが。
 これらの事情から2人きりの勉強会なのだが、その前に日誌を出してしまおうと言う訳だ。

 職員室に行く最後の下り階段があと数段で終わろうとした時、不意に2人の背後から声が掛けられた。
「Hi! ミユキにコナタ~」
 独特のイントネーションの元気のいい声、その主がパティだとすぐに分かり、2人は振り返って挨拶を返す。
「やふー、パティ」「こんにちわ、パティ。今帰りですか?」
 何気ない挨拶、のはずである。
 ただ1点、みゆきが他人を敬称無しに呼んだ事を除けば。
 その事実に気づいたこなたが先に下りていたみゆきを振り返り見る。
 悲劇……否、喜劇の始まりはここからだった。

「みゆきさん? 今何と? って、うわっ!」
「い、泉さん?!」「コナタッ!」
 驚きのあまり勢いよく振り向いたせいで、こなたが階段を踏み外してしまったのだ。
 下にいたみゆきは当然受け止めようとしたがみゆきの両手は塞がっており、手で受け止めることが出来ないものの体で受け止める事には何とか成功した。
「ふぎゅっ」
 くぐもった呻きが、みゆきのふくよかな胸に顔を埋めたこなたから発せられる。
「だ、大丈夫ですか? 泉さん」「コナタ、ケガはないデスカ?!」
「ぷはっ……ご、ごめんね、みゆきさん」
 柔らかな胸から顔を勢いよく離す。
 と、その後方にはパティが慌てて駆け寄って来て、止まり切れずにこなたを後ろから押してしまった……みゆきにやや劣るものの、豊かに成長した胸で。
「Ouch!」「んぷっ?!」「きゃっ?!」
 三者三様の声が上がる。
 こなたは再び顔からみゆきの胸に顔を埋め、
 驚いたみゆきが体を強張らせた拍子にこなたを押し返し、
 弾かれたようにみゆきから離れたこなたが後頭部からパティの胸に飛び込み、
 みゆき同様パティもこなたを押し返してしまい……

 気がつけば、みゆきとパティの胸の間でボールのように弾むこなた、という構図が完成していた。
 こなたはされるがまま行ったり来たりを繰り返し。
 みゆきは驚きのあまり荷物を落として受け止めるという事に気づかず。
 真っ先に気づいたパティだが、面白がってわざと勢いよくこなたを弾ませている。

「パ、パティ、みゆきさっ。はぷっ、とめっ! くるし、んぎゅ」
 そんなこなたの声で我に返ったみゆきがパティに向かって
「パティ! 泉さんで遊んではダメですよ! 止めて下さい!」
 と声を掛けると、一瞬の後ニヤリと笑って一言言った。
「デハ止めまショウ♪」
 ちょうどみゆきの胸にこなたが収まった時に、その後ろからこなたを挟むようにみゆきに抱きついたのだ。
「きゃっ?! ちょ、ちょっと、パティ?」
「言われた通りにちゃんと止めたヨ? ん? どーしました、コナタ?」
 2人分4つのふくよかな胸に押さえ込まれたこなたが弱々しくパティの腕を叩く……いわゆるタップと言うものだ。
 が、その腕は力なくだらんを垂れ下がり、体がゆっくりと崩れ落ちていく……
「え? い、泉さん?!」
「Oh! コナタ?!」

 目を覚ましたこなたの目に映ったのはどこかの天井だった。
「知らない天井だ……って、ここどこ?」
「あ、泉さん。気がつかれましたか?」
「Sorryネ、コナタ。チョットからかい過ぎたのデス」
 辺りを見回すと保健室のベットで横になっていた事にすぐに気づいた。
 みゆきに支えられ、ゆっくりと体を起こすこなたは心配そうに見つめるパティを見て、
「えっと……パティに呼ばれて振り返って、今度はみゆきさんの方に振り向いたら階段から落ちそうになったんだっけ?」
「Yes. その後は、ワタシがちょっとイタズラしてしまいマシタ」
「あー、女の人のおっぱいってあんなに弾むんだ……知らなかったよ。しかも凶器になるなんてね?」
 みゆきの持ってきた水をゆっくりと飲み干して人心地ついたこなたにジト目で睨まれ、パティは深く頭を下げる。
「まぁいーよ。あれはあれで貴重な体験だったしね。ところでみゆきさん?」
「あ、はい。どうしました?」
「いつからパティを名前で呼ぶようになったの?」
「あ、えっと……ごく、最近です、ね」
 頬を染めて視線を泳がせながら答えるみゆき、対照的にどこか楽しそうに笑うパティを見比べて、
「ふーむ、2人に一体何があったのやら……よければ教えてくれる?」
「実はワタシ達は恋人なのデスヨ、コナタ。ね、ミユキ♪」
「お恥ずかしながら、その通りです」
 嬉しそうに告げるパティと顔をりんごの様に真っ赤にするみゆきに、こなたはただ唖然とするしかなかった。
「あー……そ、そーですか。まぁ大方パティがそう呼ぶように迫ったってとこかな?」
「Yes! なかなか呼んでくれなくて大変デシタヨ。デモ、この前やっと……可愛く啼か……Non ナ、ナンでもないのデス」
 嬉々として語り始めようとしたパティだったが、不意に口を噤んでしまう。
「? どったの、パティ。顔色悪いよ?」
「何でもありませんよ、泉さん。ね、パティ?」
「そ、その通りデスヨ。ア、アハハ、ハハハ……」
 2人の様子に首を傾げるこなただったが、みゆきの浮かべる微笑……の裏に潜む何者かの気配に、質問を続けられなくなってしまった。
「そ、そっかー。何でもないならそれでいいや、うん」
「ところで泉さん。申し上げにくいのですが……」
「ん? 何が?」
「その……勉強する時間が、もう……」
 言われて壁に掛かった時計を見ると、既に5時になろうとしていた。
「うそっ?! 一体どんだけ意識飛んでたのさ!」
「何度か声を掛けたのですが……」
「スヤスヤと安らかに眠ってマシタヨ? なかなかCuteな寝顔デシタ!」
 すまなさそうなみゆきと笑顔でサムズアップするパティを見比べながら、
「ここまで対照的な2人が付き合ってるってのも不思議な話だねぇ……」
 などと勉強の事を忘れて呟くこなたであった……


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