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それぞれのバレンタインデー(前編)

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匿名ユーザー

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バレンタインデー
それは、女性が男性に求愛できる日

新しい愛が生まれ、そして、改めて愛を築ける特別な日


この物語は、バレンタインによって、淡く、切なく、そして喜びに満ち溢れた人間模様が描かれている
さぁ、覗いて見ましょうか?


「ふ~ん、あっそっ。じゃっ、次の収録もこの調子で、頑張りなさいよ」
「わかりました。では次も、お願いします」
「……じゃあ、私、先に……」
「あっ!あきら様。控え室に、待ってもらえませんか?」
「えっ、何でよ?」
「渡したい物が有りますので、すみませんが、控え室で少し待って下さい。すぐ取りに行ってきますから」
白石は、それを言い残し、あきらの元を離れた
「?、何だろ、とりあえず待っとくか」
あきらは、白石に言われたとおり、控え室室に移動した

10分後ーー
控え室で待機していると
「すみませ~ん。遅くなりました!」
白石は控え室のドアを開け、入室した
「遅いわよ!白石!一体、どこに行ってたのよ。私を待たせるなんて、いい度胸してるわね!」
「すっすみません……」
「まったく……。でっ、何を持ってきたのよ」
「あっ、これです。あきら様」
白石はそう言い、鞄から綺麗に包装された小包みを取り出した
「何よこれ」
「あきら様……」
「んっ」
「誕生日、おめでとうございます」
「えっ、嘘?白石、覚えててくれたの?」
「はい。収録後に、渡そうかと思いまして……どうぞ、受け取って下さい」
「あっありがとう……開けて良い?」
「どうぞどうぞ」
あきらは、白石に渡された小包みの包装を、丁寧に剥がし蓋を開けた
「これは……ペンダント?」
「はい、そうですよ。あきら様に似合うと思いまして、……気に入りませんか?」
「えっ、いっいや!とっても可愛いわよ。……私が貰って良いの?」
「はい、よろしいですよ。あきら様の為に、色々と探して来ました」
「大事にするね。白石……」
「あっ!すみません!飲み物持ってくるの、忘れてました。今すぐに、買って……」
「まっ待って!白石っ」
「どうしたのですか?あきら様」
「実は……私も、渡したい物が有るの」
「何でしょうか?。渡したい物とは……」
「こっこれ……」
あきらは、ポーチから綺麗にラッピングされた小包みを取り出し、白石に渡した
「これは、何ですか?」
「開けてみて……」
「はい……」
あきら同様に、ラッピングを剥がし、蓋を開け、中身を確かめた


「これは……チョコ……ですか?」
「そうよ。手作り……だけど……」
「あきら様の手作りですか!?」
「うん(コクリ)」
「食べてみても、良いですか?」
「良いよ。食べても」
「では、頂きます(パクリ)」
「どう?」
あきらは、心配そうに見つめている
返事を待つ
「美味しい……」
「えっ」
「美味しいですよ!あきら様。お世辞ではなく、本当に美味しいですよ!!」
「ほっ本当!?良かった……」
安堵の溜め息をついた
「ありがとうございます!あきら様。こんな、美味しい物を頂けて。」
「誉めすぎよ、白石。そんなに大した出来ではないのに」
「本当ですよ、あきら様。お上手ですね」
「そっそれは……白石の事を思いながら、作ったし……」
「えっ、なんですか?あきら様」
「////なんでもない」「はぁ」
「じゃっ、私、先に帰るねっ。……次の収録は、2日後だから、遅れずに来なさいよね!わかったっ」
「はいっ。わかりましたっ」
「じゃあね。また!」
あきらは、控え室から出て行き、その場を後にした
「帰りましたか……どうしたのですかね?こんなに慌てて……んっ、何かありますね」
そこには、一枚の紙が同封されていた
「これは……メッセージカードですか?」
メッセージカードを開き、文を読んだ
内容はこうだ

『お疲れ!白石
本当にあなたのお陰で、どんな仕事でも、楽しくこなせる事が出来たわ。
あなたが、懸命にサポートしてくれたお陰でもあるんだからね。感謝してるわよ!あなたがずっと、隣に居てくれたから。どれもこれも白石のお陰……
時には厳しく、辛くあたっているけど、それでも、文句や小言を言わずに、私に付いてきてくれるあんたに、本当に感謝している。
だからこれは、ほんの感謝の気持ち、時間掛けて作ったんだから、ありがたく頂いてよね。残したら次の仕事は絶対容赦しないわよ。良い?わかった?
じゃっ、また会おうね。
私の大切なアシスタントへ
あきらより』
「あきらさま……」
白石は、メッセージカードを読み終え、ポケットにしまい込んだ
「よ~し!次の仕事も頑張るぞ~!!」
白石は、決意を新たにし、その場を後にした


ひとりの男は、実に幸せに満ちていた


少し時間を遡り、舞台は柊家宅

「ふー、仕事も無事に終了!いやー、少し疲れたね」
「ただおさん、お疲れ様でした。はい、お茶ですよ。」
「あぁ、すまないね」


みきに渡されたお茶を、一口飲む
「ふぅ、美味しいよ。温まるねぇ」
「そう、良かったわ。ゆっくりと休んで下さいね」
「あぁ、そうするよ」
「そういえば、ただおさん。今日は何の日か、わかります?」
「んっ、今日か。何の日だったかな?ごめん、忘れたよ」
「もう、今日はバレンタインですよ」
「そうかそうか。今日はバレンタインだったか。すまないね、忘れてたよ」
「別に良いですけど……はい、どうぞ。これも召し上がって」
みきは、だだおにそれを渡した
「これはなんだね?」
「チョコですよ」
「私にかい?」
「そうですよ。ただおさん以外、誰に渡すと言うのですか?」
「いや、子供達に渡すんじゃないのかい?」
「違いますよ、これはただおさんだけ。子供達なら、他に渡す相手がいるみたいですよ」
「あっ、そうか。だから昨日の夜、台所があんなに騒がしかったのか」
「そうですよ。かがみとつかさとまつりが一緒に、一生懸命作ってましたから。
いのりは……作ってないわねぇ。あげる相手が居ないのかしらね」
「そうかぁ、まつりとかがみにつかさは、チョコをあげる相手が居るのかぁ。
少し寂しいような……」
「何言ってるのですか?だだおさん。時間が経てば、子離れしないといけない時は、来るんですよ」
「判っているんだか……」
「もうっ。まつりとかがみ、それにつかさも、もう恋する年頃なんですよ。親が心から娘を、応援しないといけませんからねっ」
「でも、変な男性に引っかかれて、騙されたりしたら……」
「だだおさんっ!いつまでもそうやって、心配してないで。
かがみなら、しっかりしていますし……まつりとつかさは……少し信用出来ないけど……、その時なったら私達が、支えてあげればいいんです!」
「そうだな、支えてやらないとな」
「そうですよ、だだおさん。でも……逆に、いのりの方が心配だわ。本当に好きな男性が居ないのかしら」
「いのりはまだ若いから、慌てなくても良いんじゃないかな?」
「そうですけど……」
「大丈夫だ、問題ない。娘達を信用するのが、親の義務ではないのかな?」
「あらっ、だだおさんったら」
「ははは」
「ふふふ」
「では、少し洗い物が有りますから、片付けますね」
「うん、頼むよ」
「はいはい」
「みきさん」
「何ですか?だだおさん」
「愛してるよ……」
「私もですよ。……だだおさん」


こうして、二人の絆がまたひとつ、深まった


同時刻――いのりの部屋



コンコン
「いのり姉ちゃん、居る?入って良い?」
「良いわよー。入ってー」
「……入るね」
部屋の扉を開け、室内に入るまつり
「どうしたの?まつり。少し表情が暗いわよ」
「うん……えっとね……これ、渡すね」
まつりはいのりに、包装された小包みを渡した
「これは、何?」
小包みを手に取り、中身を聞いた
「バレンタインチョコだよ……」
「バレンタインチョコ!?まつりが……私に……」
「うん……開けてみて……」
「うん、開けるね」
いのりは、包装を丁寧に剥がし、蓋を取り外した
「うわぁ。これ本当に、まつりか作ったの?」
「そうだよ。変かな?」
「いや、良くできてるわよ」
「本当?じゃっ、食べてみて」
「うん。食べるね」
チョコを取り出し、一口食べた
「どう。美味しい?」
「美味しい!美味しいわよ!見た目もさることながら、凄く美味しいわよ。本当に良くできてるじゃない」
「そう、ありがとう。いのりお姉ちゃん」
「でも、どうして私に、バレンタインチョコを?」
「それは、日頃のお礼とお詫びに……作ったの」
「お礼とお詫び?」
「そう。いつも、いのりお姉ちゃんに、助けて貰ってるから」
「まつり……」
「私が、かがみと喧嘩している時、間に入って仲裁してくれたり、恋人にふられた時だって、あんなに落ち込んだ私を、誰よりも一番に慰んでくれたり……」
「……」
いのりは、黙って聞いて、次の言葉を待つ
「どんな時でも側にいてくれて……どんな時でも優しくしてくれた……。
私は、私は、感謝してもしきれない程、いのりお姉ちゃんに助けてもらってる
私には……してやれる事は限られているけど、でも、でも!それでも!いのりお姉ちゃんにお礼がしたい!
これから、ずっと、いのりお姉ちゃんが私にしてきたように、助けたい!」
まつりは、瞳に涙を溢れさせ
「だから、だからぁっ……ひっく、本当に……ありがとう……。いのりお姉ちゃんは私にとって、大切な、大切な……『お姉ちゃん』だよ……ぐすっ」
「まつり……ありがとう……。その気持ちだけ、充分、嬉しいよ……」
「うううっ……いのりお姉ちゃぁぁぁん!」
まつりは、泣きながらいのりに抱き付いた
「ほら、泣かないで。可愛い顔が台無しよ……」
いのりは、まつりの涙を、そっと指で掬った
「へへへ。ずずっ、年甲斐も無く泣いちゃったね。私」
「良いのよ。まつり。泣いても良い時だってあるから」
「ありがとう。いのりお姉ちゃん」


「これ、頂くね。まつりの特製のバレンタインチョコ」
「うん、良いよ。全部食べてね」
「ありがとう。あっそうだ!……ちょっと台所に行って、紅茶淹れて来るわね」
「あっ、私が淹れて来るよ」
「良いのよ。まつりは、部屋で待ってて。すぐ戻って来るから」
「うん。判った」
いのりは、部屋から出ようとした時
「そうだっ。ねぇまつり」
「んっなーに?いのりおねえ……」
名前を呼ばれた所を振り向いた瞬間、
『チュッ』
「!!」
いのりはまつりの右頬に、口付けした
「おねっ……お姉ちゃん……」
「これは、バレンタインチョコのお礼よ。じゃっ、行って来るわね」
それだけを言い残し、台所をへと向かった
「……」
まつりはしばらく、放心状態をした後、口付けされた所に指で触れ、自分の唇になぞった
「いのり……お姉ちゃん……」


これが、姉への愛情が芽生えた瞬間だった


続く












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  • 白石が幸せなのって珍しい気がする -- 名無しさん (2009-08-18 22:38:00)

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