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それぞれのバレンタインデー(後編)

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
ここは一年D組の教室

「みなみちゃんっ」
みなみのこと岩崎みなみは、帰り支度をしている途中に、とある女子に呼び止められた

「どうしたの?…ゆたか」
「うんとね、えっと……」
その女子は、もじもじしてなにやら落ち着かない様子だ
ゆたかとは小早川ゆたかの事で、みなみと同じ一年D組のクラスメートだ
意を決したのか、みなみに近づき
「あの……これ……」
背後に隠し持っていた物を、みなみに差し出した
それは、リボンなど可愛らしくラッピングされた小包みだった
「これは……」
「その……これはね、チョコなの」
「チョコ?」
「うん、今日バレンタインだから。昨日作ったんだ。
だから…その…貰ってくれるかな?……」
ゆたかは少し恥ずかしながら俯いて、上目遣いで見つめた
「ありがとう…ゆたか…。これ、頂くね」
みなみはそれを受け取ると、ゆたかの顔が『パアッ』と明るくなった
「うんっ、開けてみて」
「判った、開けるね」
ラッピングを丁寧に剥がし、蓋を開ると、そこにはハート型にかたどられたチョコが有った
「可愛い……」
「ありがとうっ。その……食べて、みて」
「うん…」
チョコを取り出し、一口食べる
ゆたかは少しはらはらしながら、感想を待つ
「美味しい……」
「えっ……」
「とっても美味しいよ、ゆたか。」
「えっ、本当に?よかった~。ありがとう、みなみちゃん」
「お礼を言うのは、こっちの方だよ…。ありがとう、ゆたか」
「えへへ」
照れくさそうに笑った
「そうだ…」
「どうしたの?みなみちゃん」
「実は私も、ゆたかに渡したい物が有るの」
「えっ……」
「うん、後で渡そうと思ったけど、今、渡すね」
鞄から取り出し、ゆたかに手渡した
ゆたかのと多少形は異なるが、白色基調の包装紙で綺麗にラッピングされた小包み
「お返しにあげるね…。私が昨日作った手作りチョコ…」
「えっ、良いの?貰っても」
「うん、良いよ…。ゆたかの為に、丹精を込めて作ったから…」
「えっ、私の為に?…」
ゆたかの顔が、みるみる朱に染まる
「うん、受け取って」
「みなみちゃん…ありがとう…。貰うね」
「うん…開けてみて…」
みなみから受け取り、同様にラッピングを剥がし、蓋を開けると、ゆたかの食べやすいように、小さめのチョコが幾つか並んでいた
「わあ……」
感慨の声を挙げた
「食べて良い?みなみちゃん」


「うん…どうぞ」
チョコを一つ取り出し、口に運んだ
「美味しい…凄く美味しいよっ!」
「そう、ありがとう…。ゆたかにそう言って貰えて、私は嬉しい…」
「みなみちゃん……」
瞳を少し潤ませながら、みなみの顔を見つめる
「私ね、みなみちゃんによく助けて貰ってる……。
私、体が弱いから、すぐ体調を崩してしまうけど、みなみちゃんは嫌な顔を一つもせずに、私の方へ駆けつけてくる。
こんなに優しいみなみちゃんに、感謝してもしきれない気持ちが、私の中にいっぱい有るんだよ」
「ゆたか……」
「迷惑ばかり掛けてゴメンね…」
「気にすること無いよ、ゆたか。私が好きでやってるだけ」
「みなみちゃん…いつもありがとう。
……大好きだよ」
「私も、ゆたかの事が好き…」
「みなみちゃん…」
「ゆたか…」
2人は寄り添い、互いに抱きしめあった

そして、遠くからこの光景の、一部始終を覗いていた腐女子が一人
「くぁ~、良いっす!良いっすよ!2人ともっ」
この腐女子の名前は、田村ひより
同じ一年D組のクラスメートだ
「やっぱり、この百合百合カップルは、いつ観ても最高っすね!」
ひよりは、悶え狂っていた
「速く部室に行って、このネタを原稿に書き移さねば……」
「ナニやってるのデスカ?ヒヨリ」
「うわぁっ!!」
急に背後に現れた彼女は、アメリカからの留学生、パトリシア=マーティン。
ひより同様一年D組のクラスメート
「もうっびっくりさせないでよ!パティっ」
パティとは、パトリシア=マーティンのあだ名だ
「ナニをミていたのデスカ?」
「しーっ、パティ少し静かに……。あれ見て、あれ」
ひよりは声を潜めて、ある方向に指を指す
「アレとはナンデスカ?ヒヨリ……WAO」
そこには、2人がお互い手を繋ぎながら、少し恥ずかしそうに見つめ合っていた
「えへへ」「フフ」
「ワーオ、スバらしいデス。まるでエにカいたヨウな、ウイウイしいユリユリカップルネッ」
「よ~しっ。部室に行って、原稿を書くっすっ。せっかく良いネタを見つけたんだから」
「マツね、ヒヨリ。ブシツにイっても、ダレもイませんヨ。とイうより、ブシツはアいてないネ」
「ほぇっ、そうなの?こうちゃん先輩は居ないの?」
「コウはナンか、ヨウジがアルらしいネ。ヤマトにヨウがアるとか、ナイとか」


「やまと先輩にっすか?じゃあ今は、こうちゃん先輩とやまと先輩が2人っきり……。
と言うことは、フフフっ、そう言う事になるっすね」
「どうしたのですカ?ヒヨリ。どういうコトですか?」
「判らないの?パティ。こうちゃん先輩とやまと先輩が、2人っきりで誰も居ない場所に居るとしたら、これはもう特別なイベントが発生しているに違いないっ!!」
「トクベツなイベントってナンっ……アァっ!!」
「判ったっ、パティ」
「ワカりましタ!」
「そうっそれはっ、『この日』に関係あるイベントっ
所謂『告白イベント』が、発生しているのだぁぁ!」
「ナンだってぇぇぇ!」
「やっぱり、そうだったんスねっ、こうちゃん先輩!やまと先輩の事が好きだったんスねっ!!
よしっ早速2人を捜して、イベントを目撃せねばっ。
行くよっパティ」
妄想を膨らませたひより
「ちょっとマつね、ヒヨリ」
「どうしたの?パティ。速く行かないと見逃してしまうよっ」
「だから、マつね。ヒヨリ……」
パティは急に真剣な表情になり
「どっどうしたの?パティ。何かあったの?」
少し戸惑うひより
「トクベツなイベントは、コウとヤマト、ユタカとミナミだけではナいのデスよ……」
「えっ、パティ……」
パティはひよりに近づき
「ヒヨリ、これをウけトってホしいネ……」
パティは鞄から、包装された小包みを取り出し、ひよりに差し出した
「パティ……これは……」
「これは…チョコ、ネ。ヒヨリ…
キノウ、イッショウケンメイツクったネ」
「パティ…私が貰っても良いの?」
「イいですヨ…ヒヨリ…
モらってくれると、ウレしいネ」
「パティ…ありがとう。これ、頂くね……」
ひよりは、パティの手作りチョコを受け取り、大事そうに抱き締めた
「ヒヨリ、ワタシはヒヨリのコトがスキ。ダイスキ、ネ……」
「パティ……ありがとう。私も好きだよ。大好き」
「アリガトウね、ヒヨリ……。
スゴくウレしいネ」
「あっ、しまった!
私、何も用意してないよっ!どうしようっ」
「イいネ、ヒヨリ。ワタシはヒヨリから『アイ』をウけトったかラ」
「パティ……」
「ヒヨリ…ダイスキ…I LOVE YOU」
「私も…ミィ トゥー」
「「絶対、離さないっ!!」」
お互い抱き締め合った

そして、遠くからその光景を、一部始終覗いていた女子が2人


「どうやら、二人共も結ばれたようだね。みなみちゃん」
「そうだね…ゆたか…」
「みなみちゃん…これからもよろしくね」
ゆたかはみなみの手を握り締めた
「うん、これからもよろしく…。ゆたか」
みなみはゆたかの手を、握り返した

1年D組の教室は4人の愛で溢れていた


そして 次の舞台は 3年の教室


3年C組にて
「あれっ、柊は何処行ったぁ?」
「隣の教室に行ったわよ。みさちゃん」
そこには、日下部みさおと、その幼なじみの峰岸あやのが帰り支度をしていた
「またあいつは~、ちびっ子の所に行ったんだなぁ
私達の方が付き合いが長いのに、すぐ別のクラスの所に行きやがって…
柊の薄情者っ!」
「みさちゃん、そんな事言っちゃ駄目よ」
「だってさ~あやの~。なんかさ寂しいと言うか、悔しいと言うか、物足りないと言うか…。
最近、私に冷たいからなぁ。
もう5年の付き合いなのに、そんなに構ってくれないし……」
「もうっ、いつまでそんな事ぶつぶつ言わないのっ
それとも何、私より柊ちゃんの方が良いの?」
「うっ、別にそんな事言ってないぞっ、あやの。私はただ……」
おたおたと動揺するみさお
「ふ~ん、そうなんだ~。やっぱり、柊ちゃんが良いんだ~。
私の方が付き合い長いのにな~」
「だから~、あやの~。違うってヴァ~」
「なんてね」
「ふぇっ?」
「嘘よ、冗談よ、みさちゃん。
ちょっとからかってみただけ」
あやのは『ぺろっ』とイタズラっぽく舌を出した
「みゅっ、ひっでぇぞぉ、あやのー。
びっくりしたじゃんかー」
「フフッ、ごめんね、みさちゃん」
「みゅ~」
みさおはふてくされていた
「んっ」
「どうしたの?みさちゃん」
「あれは……柊とちびっ子じゃないか?」
「えっ」
みさおが指で指し示すと、そこにはかがみとこなたが廊下を歩いていた
「あら、本当ね。2人で何処に行くのかしら?」
「知らないなぁ~。あっそうだ、気になるんだったら、二人の後をついて行こうぜ?
ばれないようにさ」
「駄目よ、みさちゃん。そんな事しないの」
「判ったよ、あやの。ついて行かないよ。ちょっと気になっただけだってヴァ」
「まったく、もう」
「ところでさ、あやの。少し話を変えるけど……」
「んっ、なあに、みさちゃん」
「今日はバレンタインデーだよなっ」
「そうね。それがどうかしたの?みさちゃん」
「兄貴に、チョコ、わたすのか?」
「えぇっ、うん、家に帰ってから渡すつもり……」
あやのの顔が、徐々に朱く染まっていく
「やっぱり、そうかぁ~。いやぁ~、お熱いねぇ」
「//////そんなんじゃないって」
「うはっ、照れてる照れてる。
あやのって乙女ですな~。本当にラブラブなこった」
「もうっ、みさちゃんったら」
「あやのが私のお姉ちゃんになる日は、そんなに時間が掛からなさそうだな」
「!!!!!!」
あやのの顔から『ぼふっ』と湯気が立ち上り、完全に真っ朱に染まる
「なななななな何変な事言ってるのっ?みさちゃんっ」
「嘘だってヴァ、あやの。さっきの仕返しにからかってみたんだって」
「もうっ、みさちゃんの馬鹿っ」
「♪~」
あやのに仕返しが出来て上機嫌なみさお
あやのはまだ、顔が朱いままだ
「よしっ、もう時間だから家に帰るとするかっ」
みさおは鞄を取り、席から離れようとすると
「あっ、みさちゃん、ちょっと待ってっ」
我に返ったあやのは、みさおを呼び止める
「んっ、どうかしたのか?あやの」
「みさちゃんに渡したい物があるんだけど……」
「なんだ?渡したい物って?」
「これなんだけど……」
鞄から取り出し、みさおに差し出した
それは、ピンクのリボンと淡い紫色の包装紙で綺麗にラッピングされた、小さな箱だった
「なんだ?これ」
「チョコよ、手作りチョコ」
「えっ、私にかっ!?」
「うん」
「なんで私に……兄貴の分はどうしたんだ?」
「お兄ちゃんのは、別に作ったの
……だからこれはみさちゃんが貰って」
「良いけど、でも、なんで……」
「このチョコはね、大切な友達に日頃の感謝を込めて作った、所謂『友チョコ』よ。」
「友…チョコ?」
「そう、『友チョコ』。いつも一緒に居てくれてありがとうね、みさちゃん」
「あやの……ありがとうっ。私、すっげぇー嬉しい」
あやのから、チョコを受け取る
「そしてこれからも、よろしくね。
私の大事な親友のみさちゃんっ」
「おうっ、これからもよろしくなっ。あやの!」
互いに手を繋ぎ合い
「よしっそろそろ帰ろっか」


「そうね、みさちゃん」
一緒に教室から出て行った

2人の友情はこの日を境に、更に固い絆で結ばれていた



そして 最後の舞台は 3年B組の教室


――ねぇ、まつりお姉ちゃん。誰にチョコを渡すの?――
――えっ、うんとっ、内緒。そう言うつかさこそ、誰に渡すの?――
――えへへ、私も内緒――
――ふ~ん――
――って言うか、渡す相手が居たんだ。まつり姉ちゃん――
――うっ五月蠅いなっ、かがみはっ。あんたこそ、いったい誰に渡すのよ?――
――内緒――
――あっそ、まあ良いか。二人共頑張りなさいよ――
――うん、ありがとう。まつりお姉ちゃんも頑張ってね――
――おうっ。かがみも健闘を祈ってるよ――
――ありがとう。まつり姉ちゃん――
――さあ、明日が決戦の日!みんな頑張ろー!――
――オーー!!――

来る 決戦当日

「んっ、あれは……」
一人の男子が突如走り出し、教室から出て行った
「どうしたの?こなちゃん」
「いやっ、なんかセバスチャンが忙しそうに、教室から出て行ったからさ。
少し気になっただけ」
「セバスチャンって、白石君の事?」
「うん、白石君ってなんか、セバスチャンっぽいよね」
「あっ、なんかわかるかもー」
「言われてみれば確かに、お嬢様に仕える執事に見えますね」
そこに3人の少女が他愛もない話に華を咲かせていた
その少女の名前は、泉 こなた・柊 つかさ・高良 みゆき
全ての授業から解放された生徒達は一斉に帰ったのか、気づけばこの教室には、3人だけが残って居なた
「さて、私達も帰りますか。かがみを呼んで来るから少し待ってて」
「判りました」
「あっ、こなちゃんっ!ちょっと待ってっ」
「どうしたの?つかさ。そんなに慌てて」
つかさはそわそわしていて、落ち着かない様子
すると、教室の扉が開き
「あっ、お姉ちゃんっ」
つかさの双子の姉、柊 かがみが教室に入って来た
「おっ、かがみから来たのか。じゃっ、一緒に帰ろー」
「あっ、待って、こなた」
「どうしたの?かがみん。なんか様子がおかしいけど」
「実はね……こなたに大事な話があるの」
「大事な話ってなにかな?かがみんや」
「ここで話すの難だから、屋上に行って話さない?」
(お姉ちゃん……)
「屋上に?……判った、行くよ。」
「ありがとう、こなた。ついてきて」
「うん、判ったよ。つかさ、みゆきさん、先に帰ってて」
「はい…判りました……」
「……」


こなたを連れて、教室から離れようとする間際に
(つかさ、行ってくるね…)
(うん、頑張って…)
(つかさもね…)
と目線で会話した
「かがみさんは泉さんを屋上に連れて、一体どんな話をするのでしょう?
何か深刻そうでしたが……」
みゆきは不思議そうに、2人が歩いていた方向を見ている
「あの、ゆきちゃん……」
「はい、何でしょうか?つかささん」
「あのね…私も、ゆきちゃんに大切な話があるの」
「私に、ですか?……」
「うん…実はね…」
つかさは、鞄からある物を取り出し、みゆきに差し出した
「これ、受け取ってほしいの……」
それは、カラフルなリボンと赤色基調の包装紙で綺麗にラッピングされた、ハート型の小箱だった
「これは……」
「チョコ、だよ。ゆきちゃん」
「私に、ですか?」
「うん、昨日ね、ゆきちゃんの為に作ったんだ」
「私の為に……」
「ゆきちゃん……これから、私の言うことを聞いて……」
「はい……」
「私ね、ゆきちゃんの事が……好きなの……」
「えっ」
「ゆきちゃんの事が好きっ、大好き!
ずっと前から好きなのっ!」
「つかささん…」
「私達、来月で卒業でしょっ。
みんな進学が違うし、お互い離ればなれになって、多分今までみたいに会えないかもしれないっ!
私はそんなの……嫌っ!
ゆきちゃんに会えなくなるなんて……嫌だ……」
「つかささん、私は……」
「私…私…、ゆきちゃんと一緒に居たい。
ずっと…ずっと…一緒に居たい……」
つかさの瞳から涙が溢れ、そのまま流れていた
「ゆきちゃん……私と……付き合って下さい……」
「……」
つかさは目を瞑りながら俯いて、ふられるのを恐怖、肩を震わしていた
「つかささん……」
みゆきはつかさの元へ近づき
「ありがとうございます」
「えっ……!」
優しく抱き締めた
「ゆっ、ゆきちゃん…」
「私も、つかささんの事が……好き、ですよ」
「えっ、本当?」
「はい、本当です。私は、つかささんが好きです。愛してます」
「ーーーーっ、うえぇぇぇぇぇんっ、ゆきちゃぁぁぁぁん」
つかさは感動のあまりに、みゆきの胸で泣いた
みゆきは抱き締めたまま、つかさの頭を優しく撫でた
「つかささん、もう泣き止んで下さい」
スカートのポケットからハンカチを取り出し、つかさの涙を拭いた
「ゆきちゃん……」
「私は、つかささんの笑った顔が好きです。
ですから泣き止んで、私に素敵な笑顔を見せて下さい」


「ありがとう、ゆきちゃん……えへへ」
満面の笑みを浮かべながら、みゆきの顔を見上げた
「つかささん、例え互いの進学が違っても、私達とずっと一緒ですから」
「うん、いつまでも一緒にね。ゆきちゃん」
「はい……」
そう言いながら、再度抱き締め合った

そして、その光景を見てしまった女子が2人
「高良ちゃんと…」
「柊の妹が……」
「「抱き締め合ってる!!」」
「「ひゃっ」」
2人の大声にびっくりするみゆきとつかさ
「あっああ、峰岸さんと……」
「日下部さん……」
2人の名前を交互に言う
「あっ、私ら別に何も、みっ見てないかんなっ」
「そっ、そうよ。なんか大声が聞こえて、近づいてみたんだけど、私達何も見てないからっ」
明らかに、動揺しまくるあやのとみさお
今更この期に及んで言い訳している
「「……」」
「私らの事は、背景だと思っといてくれっ。じゃっ、じゃあな。2人共」
「そうねっ、私達そろそろ帰るね。また明日ねっ」
そして、2人は逃げるかのように、走り去った
「「……」」
少し沈黙が続き
「見られちゃったね…ゆきちゃん」
「そうですね…見られてしまいましたね」
「少し、恥ずかしいね…」
「そうですね、少し恥ずかしいですね…」
「ねぇ、ゆきちゃん」
つかさはみゆきの顔に振り向き
「何ですか?つかささん」
みゆきもつかさの顔を向き返し
「いつまでも一緒に居ようね」
「はい。つかささん」
そして、互いに手を握りしめ合った
「お姉ちゃん、大丈夫かなぁ?」
「大丈夫だと思いますよ。私達でさえ結ばれたのですから。
巧くいくと思います」
「そうだねっ、そうだよね!」
(お姉ちゃんとこなちゃんが結ばれますように……)

一方、屋上にて

屋上に辿り着き
「かがみん、大事な話って、何かな?」
かがみに疑問をぶつけた
「えっとね、まず先に渡したい物が、あるの」
「渡したい物?」
「うん」
そう言い鞄から取り出し、こなたに差し出した物は、青色のリボンで結ばれていた赤色基調の小さな袋だった
「これはね、チョコなんだ……昨日こなたの為に作ったの。たがら、あげるね」
「えっ、かがみが、私の為にっ」
「そうよ。少し不恰好だけど、味の方は大丈夫だと思うよ」
「本当に貰って良いの?」
「うん、受け取って、くれるかな?」
「ありがとう、かがみん。貰うね……」
かがみからチョコを受け取り、大事そうに抱き締めた


「私達、来月で卒業するよね……」
「うん、そうだね」
「みんなそれぞれの道を歩んでいくね……。
私は法学部、こなたは文芸部、みゆきは医学部に、つかさは料理専門学校…
大学はそれぞれ別だけど、自分が望んでいた道を歩き出そうとしている……
でも、みんなに会える時間が今まで以上に減っていく……
私はそれが、少し寂しくて……」

「そうだよね、けど、きっと大丈夫だよっ
私とかがみの通う大学は違うけど、少し近い場所にあるから、会えると思えばいつだって会えるよね。
みんなにも会えるから。
だって友達だもん」
「ありがとう、こなた。優しいのね……」
「心配しなくても良いよ。かがみん。
まったく、相変わらずの寂しがりのウサちゃんだねぇ~」
こなたは、によによとネコ口で笑う
「……そうね」
「あれっ、かがみん。どうしたの?」
かがみの予想外の反応に戸惑うこなた
「確かに私は、寂しがり屋なのかも知れない……
私はね、こなたとの関係をそれだけで終わらせたくないの……」
「かがみん……」
「そして、今日、チョコを渡すだけの日にしたくない……」
「えっ……」
「こなた……私は……こなたの事が……好き……大好き……」
「……」
「もちろん、恋愛感情で……好き……。出来れば、ずっと一緒に、居たい……
こなた……私と、付き合って……」
「……」
かがみは少し涙を浮かべて、返事を待つと
「うぅっ、ぐすっ、かがみぃ……」
突然、こなたは泣き出した
「えっ、どうしたの?こなた」
「まさか……まさか……かがみから言ってくれるなんて、……思わなかった……」
「こなた……」
「私も、かがみの事が……好き……」
「!」
「私も、ずっと前から、好きなの……
いつも……どんな時も……かがみの事、考えてた……」
「……」
かがみは黙りながら、続きを待つ
「私の勉強を嫌な顔ひとつもせずに、手伝ってくれる。
……かがみのお陰で私は、大学に受かったんだ……」
「違うわ、こなた。私は少し手を貸しただけ。
受かったのは、こなたの実力よ……」
「かがみは、私のおかしな話に合わせてくれる……。
どんな時でも、隣に居てくれるかがみの優しさに、私は惹かれたんだ……」
「こなた……」
「だから……かがみから好きって言ってくれた時、凄く嬉しかった……。
それが両思いだって気づいた時、嬉しくてたまらないんだ……」
「こなた……私も嬉しいよ……」


かがみはこなたに近づき、抱き締めた
「ありがとう、こなた……
私を、好きで居てくれて……」
「私こそ、ありがとう。
ずっと一緒に居ようね……」
「うん、いつまでも一緒だよ。」
「ほらっ、涙を拭いて……」
「かがみもね……」
かがみは、スカートのポケットからハンカチを取り出し、こなたの涙を拭った
「へへへっ、ありがと。かがみ」
「それじゃあ、帰りますか」
「うん、そうだねっ」
2人は互いに手を握り合い、屋上に出て行った

そして、3年B組の教室までさしかかった時
「あっお姉ちゃ~ん、こなちゃ~ん」
「あれっ、つかさ、まだ居たの?」
「泉さん、かがみさん、お疲れ様です」
「みゆきさんまでっ!どうしたの、一体。
私達を待ってたの?」
「うん、そうだよ。あっ、お姉ちゃん。
私達、付き合う事が出来たの!」
「あら、良かったじゃない。私達もよ」
「やったぁ、そうなんだぁ。おめでとうお姉ちゃん」
「つかさも、おめでとう。
みゆき、これからもつかさの事よろしくね」
「はい、かがみさん」
「えっ、付き合うって、つかさ!みゆきさんの事がすきだったのっ?
知らなかったよっ!」
「そうだよ~、こなちゃん。
これからもお姉ちゃんと一緒に居てね」
「うんっ、そのつもりだよ。
だって、かがみは私の『嫁』だから」
「ちょっ、こなた。急にそんな事言って、恥ずかしいじゃない//////」
「くふっ、照れてるかがみん萌え~」
「もうっ//////」
かがみの顔が、真っ朱に染まる
「あはは」「うふふ」
互いに見つめ合い、笑みを浮かべた
「それじゃあ、帰りますか」
「うん、そうだね。お姉ちゃん。
そうだ、ゆきちゃん、手を繋いで帰ろう?」
「えっ、ええ。判りました//////」
突然のつかさの誘いに、照れてしまったみゆき
「うわっ、つかさったらだいたーん。
じゃあ、私達も手を繋いで帰ろう。かがみん」
「えっ、良いわよ、こなた。手、繋ぎましょ」
「やったぁ、かがみん大好きー」
「//////」


そして、4人は互い互いに手を繋ぎ合い、学校から出て行った

夕日、まるで祝福するかの様に、4人の少女を照らしていた……






バレンタイン

それは、新しい愛が生まれ、そして、改めて愛が築ける特別な日

その他に、友達や家族の絆が増し、互いに成長を願い合う特別な日でもあり
全ての人達が、愛情で溢れる素敵な1日
全ての人達に温もりを…
全ての人達に願いを…
全ての人達に奇跡を…
全ての人達に祝福を与えてくれる……

一年に一度の、特別な日



それぞれのバレンタインデー
終わり










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コメント:
  • ここが理想郷か -- 名無しさん (2011-01-02 10:06:24)
  • 感動した! -- 名無しさん (2009-04-07 10:04:01)

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