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そうあって、欲しいが為

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「ではここからは二十キロの長い歩行になります。各自トイレ等は済ませたようなので、A組から出発してください」
学年担任の先生が、一年生全員がクラスごとにずらりと並ぶ固まりに対して、拡声器を使って呼びかけた。広い校庭にすがすがしく響く先生の声。
朝だということもあって、先生の声は少し抑えられていたけれど、拡声器を使っているのだから、意味は無いと思う。
「拡声器使ってるんだから、声抑えても意味無いよね」
隣から私が思っていたことをそのまま話しかけるのは、田村さん。クラスが隣なのと歩くのが滅法遅いからとかいう理由で、背の順で並ぶと前の方にいるはずの彼女は、列の最後尾にいた。
「そうだよね。それにしても眠いなぁ~」
大きなあくびを一つすると釣られたように田村さんもあくびをして、二人で笑いあう。
梅雨どきの朝の空はまだ少し暗みがかかっている。午後から暑くなるという予報で、皆半そでを着用していたけれど、この肌寒さはかなりこたえるものがある。
皆の眠い目をこすりながらの出発。高校生活初めての、学年行事、遠足は始まった。


行事は二泊三日の旅だ。大まかな内容は、一日目朝、学校を出発して全員で約二十キロ先の宿泊する療養所を目指して歩き出す。
これがこの行事のメインと言っても過言ではなく、九時間かけて山の中の窪地にある療養所を目指して歩き続ける。それが終わると近くのキャンプ場で、自炊の夕食。
次にその火でキャンプファイヤーを行い、大浴場での入浴を終え、宿泊所で就寝。それで一日目は終了。
二日目は『生徒の社会で生きていく為の力を身につける』という名目で、体育館のような広いホールがある場所で、様々なイベントが開かれる。
実際、社会生活に関係の無いことばかりをするこの二日目は、皆の楽しみの一つでもあった。各クラスの出し物や、学校のように広い療養所内での鬼ごっこ、そして余った時間の自由行動。そしてまた、大浴場での入浴を終え、宿泊所で就寝。それで二日目も終了。
三日目は朝からまた一日目と同様に、約二十キロの道を学校に向かって歩き出す。そして学校に到着、解散。
かなりの体力を要するこの行事だけど、体力が有り余る高校一年だからこそこなせるスケージュールだと思う。一日いっぱい友達と遊ぶことのできるこの行事は、この凌桜高校の行事で修学旅行に次ぐ人気を誇っていた。
しかし、私のような体が弱い生徒は、行事自体に参加こそするものの、九時間かけて友達と語らいながら歩く団体歩行は参加できずに、引率の先生の車で現地に向かうことになっていた。
付き添ってくれるのは保健室のふゆき先生だ。先生には結構お世話になっているし、保健室には私の体質から結構訪ねているので、先生とは仲が良かった。
こなたお姉ちゃんとも仲が良いらしくって、お姉ちゃんの話題でたまに盛り上がったりもしていた。
全ての生徒が校門をくぐり、校庭には私を含めた何人かの団体歩行から外れた生徒がまばらに残っていた。
あらかじめ割り当てられている先生の所へ私たちが行くと、皆でその先生の車に乗り込む。ふゆき先生はすでに車に乗っていたので、私は先生の車まで小走りに走って行って、助手席の開いている窓から挨拶する。
「先生、おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」
「よろしくー。車、暖かくしといたからね。荷物後ろに乗っけて、乗って乗って」
運転席に座っているふゆき先生が助手席をばふばふと叩きながら、楽しそうに乗車を促した。白衣ではない先生を見ることに、新鮮味を感じる。
正直、友達と歩くことも捨てがたいけれど、先生と二人でドライブするのも結構楽しみだった。先生とは小・中・高で知り合った先生の中で一番仲が良くなった先生だと思う。
実際、他の先生より気さくに話し合えるし、何より私の体のこととかを分かってくれているから、些細なところで助けになってもらったりしている、本当に頼れる先生だった。
何台かの車が行ってから、最後尾にふゆき先生の車が続く。体は弱いけれど、車酔いはゆいお姉ちゃんの運転で慣れてしまったので、もうあまりしなくなっている。
車が動いて何十分かは、ずっと学校のことや私の友達のこと、先生の仕事のこととかの話をしていた。どの話も互いに興味惹かれる話だったので、退屈しなくて楽しかった。
しかし、療養所まであと○㎞の標識を何度か見送ったあたりで、先生は唐突に切り出した。
「小早川さん、泉さんのことは知っているかしら」
「……えっ?」
急に声のトーンが一段低くなり、そして切り出された話題に違和感を持った私は、気付けば気の無い聞き返しをしていた。先生を見るとおだやかな表情で、しっかりと前を見据えてハンドルに手を置いている。
「そうよね……」
私の反応からある程度の事情は知っていることを察知したのか、先生は一度深く息をした。
こなたお姉ちゃんのこと、と言えばここ最近で一つしか思い当たりが無い。
最近のお姉ちゃんは、ちょっとおかしかった。以前より笑う回数が多くなったし、家で話しているときも学校の話題を極力避けているように見えた。
笑う回数が多くなった、と聞けば良いことのように聞こえるけれど、実際見ている分には心苦しくなるくらい、乾いた笑いだった。軽い言い回しをすると、目が笑っていない。楽しい話題を話している時でも、心は沈んでいるように見えた。
「お姉ちゃんのことについて、教えてくれませんか?」
本当はあまり聞きたくなかった。悪い予感しか、頭をよぎらない。しかし、ここで目を背けたらいつかお姉ちゃんを助ける大事な時期を逃してしまうような気がした。
先生は私の言葉を聞いた後、終始無言で悩んでいた。その間に時が刻々と過ぎ、ついには目的地の療養所に着いてしまう。しかし、まだまだ生徒たちが来るまでは、七時間以上ある。
丸い窪地の半円を囲むように建つ療養所に、その前にある広い駐車場のような場所。コンクリートで舗装されているぎりぎりの所に駐車場があり、先生はそこに車を停めた。
窪地の外側を向いて車を停めたので、そこから望める風景は感極まるものだった。車が行き交う首都圏からは遠く離れているので、大自然の清閑さに雄大さとともに包まれる。それに耐えられなくなった先生は、観念したように口を開いた。
「泉さんは今、うつ病の傾向にあるの」
うつ病。もしやとは思っていた。テレビや雑誌などでそれを苦に自殺してしまった人だって見かける。しかし、いざそれが身近な人に降りかかると、少し現実味がわかない。
先生はしっとりとした口調で続けた。
「まだ傾向にある状態だけど、その進行速度は異常なまでに早いんです。あくまで私の推量だけど、泉さんは日常生活の中で何らかの精神的苦痛を受け続けていると思うの。それも……毎日ね」
先生の口調は深い沼にゆっくり沈んでいくように、段々と暗くなっていった。
「精神的苦痛……」
聞きなれない言葉だったけれど、妙に頭に残り、攻撃的なイメージを連想させた。
「あまり小早川さんの前で言いたくないんだけれど……例えばいじめ、とか」
いじめ、という単語にお腹の奥がズキンと痛む。それは私の記憶の光の中に、黒い一点を交えていた。
「でも。あくまで可能性の話だから気に病むことは無いのよ。時間とともにゆっくりと療養していけば、回復の見込みはあるの」
先生の言葉には、もうお姉ちゃんは治療しなければならない域に達しているという意味も孕んでいた。お姉ちゃんの様子がおかしいのは気付いていたけれど、ここまでだとは思っていなかった。それもうつ病だなんて。
先生と少しその話をして、私たちは車を出て療養所に入った。歩行メンバーが来るのを待っている間は、先生はずっと公衆電話で誰かと話しているようだった。
団体歩行メンバーが到着し、一時休憩となった。ここまで歩いてきた一学年一同は、赤みがかった空を背に、ぞろぞろと合宿所へと入って行く。
それからのイベントやら何やらは、あまり覚えていない。せっかくの行事だけれど、やっぱりお姉ちゃんのことは心配だった。田村さんやみなみちゃんが心配して話しかけてくれたりもしたけど、空返事しかできなかった覚えが残っている。
そして就寝の時間。男の子たちが他のいくつかある大部屋でグループになって寝て、私たち女の子は体育館のようなホールの中で好きなように布団をしいて寝た。
私たちはいつものメンバーで、田村さん、みなみちゃん、パトリシアさんと私の四人で頭が集まるように四つの布団を二つずつ向かい合わせにして寝た。
当然、監視の先生たちがいない状態ですぐに寝るわけでもなく、他の皆がまだ声を潜めておしゃべりをしていた時だった。
「小早川さん、まだ起きてる?」
暗闇の中、仰向けで天井を見つめて少しまどろんでいた私は、隣の田村さんの小声で少し目が覚めた。
「起きてるよ」
小声でそう返したとき、みなみちゃんとパトリシアさんから反応が無かったことに気がついて、二人は寝てしまったことを知った。
「聞きたいことあるんだけどさ」
「なあに?」
お互い顔を合わせずに話す。田村さんは仰向けじゃないと寝られないと前言っていたから、多分田村さんも私のように同じ天井を見つめているのだろう。暗い天井に広がる、楕円を描く鉄の棒の交差は、学校の体育館を連想させた。
「泉先輩のことなんだけどね」
「っ……」
「先輩、どうしちゃったの?何か最近おかしいよね。気付いてると思うけど、私たちと話してるときとか、なんか億劫に見えるっていうか……」
少し、息を呑んだ。お姉ちゃんと仲良くしている田村さんは、もう異変に気付いていたのだろうか。だとしたら、先生から聞いた話を話すべきなんだろうか。
「それに、最近柊先輩とか、高良先輩とかとあんまり一緒にいるとこ、見ないんだ……」
続けて田村さんが言った言葉で、私は目の奥が冷たくなっていくような不安を覚えた。
―例えばいじめ、とか―
先生の言葉が、脳裏で鮮やかに再生される。だけど、それを覆すだけの理由が私の中にある。
「ただのケンカだよ。お姉ちゃんたちだって、そのくらいするよ」
できるだけ落とした声で明るく言った。
「だって、お姉ちゃんたちは一年生のころからずっと一緒に居たんだから。ケンカの一つくらい……」
「小早川さん、分かってるよね」
私の言葉を遮るように言った田村さんの声で、自分の中で目を背けてきた真実が近づいてくることに気付く。
「分かってるはずだよ、ただのケンカじゃないことくらい」
田村さんの言葉は落ち着いて、私に真実を受け入れさせようとしている声色だった。
「今日、天原先生と一緒にここ来たときに、先生から聞いたこと、教えてくれないかな」
田村さんの言葉に、私は観念した。というより、決心がついたのかもしれない。私はそれまで失っていた平静を、嘘のようにすぐ取り戻して先生から聞いたことを全て話した。
途中、細かく砕いたりして話したりもしたけれど、話の大筋、状況等は伝わったと思う。伝え終わっても、田村さんはしばらく押し黙っていた。遠くで風が吹きぬける音が、高ぶっていた私の心を落ち着かせた。
「じゃあ、天原先生と小早川さんの解釈だと、泉先輩は柊先輩たちに、その……」
「うん、皆まで言わなくていいよ。それに、あくまで私と先生の個人的な解釈だわけだし」
言いづらそうにしていた田村さんは、私の言葉を聞いてもいたたまれないような気持ちのようだった。それは私もそうだ。柊先輩たちとお姉ちゃんの仲が悪いのは目に見えていて、お姉ちゃんの元気が無いのは日頃あまり話していない人だって気付くだろう。
それなのに、はっきりとした原因が分からない。もやもやとした答えが出ているものの、それは肯定しがたい答えなのだ。けど、それは私たちの事情なわけで、私たちにするべきことは見えている。
「お姉ちゃんが元気無いことは事実なんだから、私たちで何とか励まそうよ」
私たちにできることはこれくらい。でも、できないことばかりじゃない。
「そうだよね」
お姉ちゃんの周りには私を含めた友だちがまだたくさんいるんだ。だから、私たちは私たちにできることをしよう。きっと、お姉ちゃんのお父さんも、そう思ってるはずだから。
まどろみの中で得た答えは、私を安眠させるのに十分だった。

次の日の朝。皆で布団を片付けて、洗面所で身だしなみを整える。それからは体育館のモップがけ。体育館で寝た女子全員でモップがけをするのは、ちょっとした運動会気分だった。
それからはどたばただった。この後のイベントで使う出し物の練習や準備。慌しい空気の中、私は一人具合が悪くなってしまったので、ふゆき先生の勧めでみなみちゃんと一緒に風に当たりに屋上に出た。
屋上から望める風景は、都会と自然の境界を見るような、少し幻想的な風景だった。隔てられるものが無い風は私たちの横を足早に走り抜けていく。
すうと深呼吸すると、体の芯まで酸素が行き渡るような心地よさが全身を包んだ。
「ゆたか、具合良くなってきた?」
私が一人で涼んでいるのを見て安心してくれたのか、みなみちゃんはほっとした表情を取り戻した。いつも迷惑をかけている分、今回みたいな行事のときに具合が悪くなるとみなみちゃんに申し訳なく思う。
「みなみちゃん、ありがとうね」
それでも、ここに付いてきてくれることへの感謝の気持ちのほうが大きくて、口をついてでた言葉がこれだった。みなみちゃんはそれに無言で返してくれる。
屋上は結構広くて、その中に私とみなみちゃんしかいない。絵本の中みたいな、幻想的な風景の中に私たちがいるのは少し楽しかった。夕日に染まった私とみなみちゃんが考えていたことは同じだったらしい。
「ゆたか、泉先輩のことなんだけど」
「うん、私も言おうと思ってた」
みなみちゃんにはいずれ話そうと思っていた。みなみちゃんは高良先輩と仲が良いから、何か助けになってくれると思ったからだ。もちろん、理由はそれだけじゃないんだけどね。
お互い夕日を見つめながら、私は田村さんに話したようにみなみちゃんにも話した。私が話している間、みなみちゃんは黙って聞いていてくれた。それがどんな気持ちからくるのかは分からないけれど、私はそれが嬉しかった。
話し終わるころには、屋上に上ってきた時には山の中腹あたりまで登っていた太陽も、今は赤みを一層濃くして地平線に沈もうとしていた。
「今聞いた限りでは、みゆきさんが関係ありそうなんだけど、みゆきさん、最近私といるときも学校の話してくれなくて……。ごめんね、力になれなくて」
「いいんだよっ、気にしなくて。むしろ、聞いてくれただけで嬉しいくらいなんだから」
みなみちゃんは下げてしまった頭を私の言葉で上げた。表情に不安の類のものが入り混じっている。
そういえば、ふゆき先生と話したときも、田村さんに打ち明けたときも、こんな表情をしていたっけ。皆、お姉ちゃんのことが心配なんだな。
そう思うと、自分がお姉ちゃんの立場に立ったみたいに、とても嬉しくなった。けど、同時に心に何かが引っかかるようなものを感じる。
ふゆき先生、田村さん、みなみちゃん、そして私。事情を知っていて、尚且つお姉ちゃんに一番近しい存在なのは私のはずなのに、今思い返して見るとそれ相応のことをお姉ちゃんにしてあげられたことは無かったように感じる。
妙な異変が起きていたのは分かっていたはずなのに、うすうす予測はついていたのに、何もしてあげられなかった。どころか、できなかったのだ。
私は中学時代、いじめられていた。体が弱いから、へなへなしていて面白いからとかいう理由で、肉体的な暴力こそ受けなかったものの、精神的なダメージは相当なものだったと、今この状態で思い返してみると改めて思う。
友達には話していない、もちろん叔父さんにも、お姉ちゃんにも。私がいじめられていたという事実を知っているのは、中学の保健室の先生だけだ。だからこそ、現在の私はそれとはかけ離れた生活ができている。
しかし、親類という形でそれは確実にまた、私に干渉しつつあった。いじめ。たまにニュース等で見かけたりするけど、その度私を虐げていたあの人たちの顔が脳裏にありありと浮かぶ。
心の傷は、未だ癒えていない。今、あの人たちに泣いて謝られたって私は許すことができないだろう。いじめられた経験の無い人は、心の狭い人だと思いそうで、経験有の人でもそれはないだろ、と非難されそうだ。
しかし、私は他の人とは違うのだ。心に余裕を持ち、受けた深い傷を癒しつつ、日常を取り戻すことは私にはできない芸当で、それでいていつかはできるようになりたいと思っている。
窓の外、夕焼けに染まっていた山の頂は、今ではすっかり山際と空の区別がつかないほどに蒼々としている。それを眺めながら、改めて考える。やっぱり私は、家に帰るべきだ。今私ができることがそれなのだから、私は最善を尽くすしかない。
みなみちゃんにこれから帰ることを伝えると、黙ってうなずいてくれて、屋上を出て行った。
叔父さんに今から帰る旨のメールを送って、パタンと携帯を閉じる。
その空の深い色に吸い込まれそうになるほど見つめていると、不意に今頃は行事を謳歌している皆の顔が浮かんだ。

「あの、今叔父さん呼んできますので、ちょっと待っていてくださいね」
焦ったままの口調でそう伝えて、なぜか久しぶりに感じた家のドアを開いた。居間のドアから漏れる光に向かって走る。
「叔父さん、あの、今帰ってきたので、タクシーの支払いを……」
「あ、ああ」
おじさんの生返事を受け取りながら、私はお姉ちゃんの部屋に駆けていった。
暗闇に浮かぶお姉ちゃんの部屋のドアは、目の前にあるのにとても遠く感じる。念のため、ノックを三回。中から返事は無く、いつから降っていたのか窓に滴る小雨の音が、薄く響いていた。
私が引きこもっていたときも、お母さんは今の私のような心持ちで、ドアをノックしたのだろうか。そう考えると、お母さんと私の姿が重なった。
暗闇の中、何故か部屋に入るのにためらっている自分に気付く。早く入ろうという心だけが先走って、体は追いつかずにただ立ち止まる。
怖い。今その感情に気付いた。変わってしまったお姉ちゃんに気付いてから、私はお姉ちゃんとの接触を極力避けていた。なぜかは自分が痛い程分かってる。
過去の傷を思い出してしまいそうで、そしてそれに影響されてまた昔の自分に戻ってしまうのが、怖かった。最後には自分がかわいくなってしまうのが私なのだ。
だけど、今の私にだってできることはある。そう考えると気持ちが楽になって、気付けばあんなにためらっていたドアを開けていた。
光は入ってこない。真っ暗な部屋が私を出迎えた。窓にはカーテンがかかっていて、外の蒼が近くの電灯で和らげられ、青い光を静かに部屋に落としていた。
お姉ちゃんの吐息が聞こえる。それだけ静かだったのだと気付きながら、お姉ちゃんのベッドに歩み寄っていく。赤ちゃんみたいに背中を丸めて、壁側を向きながらお姉ちゃんは何もかけずに寝息をたてている。
疲れが今頃押し寄せてきて、落ちてきた瞼を何とか離す。気付けば膝をついて、お姉ちゃんのベッドに突っ伏していた。
久しぶりに香ったお姉ちゃんの香り。柔らかいその香りと共に、私は深く眠りに入った。














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  • もともと、みんなとは仲良かったんですね・・・どうして、こんなことに・・・
    個人的にはハッピーエンドを希望していますが、
    エピさんの書きたいようにいい作品を書いてください続編期待して待ってます

    -- オビ下チェックは基本 (2009-06-09 21:56:50)
  • 続き期待してますw作者の書きたいように!が大前提でb -- 名無しさん (2009-06-09 02:47:55)
  • 続きじゃなかったら今度は別のジャンルがいいが書きたいものを書いてください -- 名無しさん (2009-05-25 00:59:29)
  • 続きが気になります -- ペテ・クルルーソウ (2009-05-24 15:46:59)
  • スレの住人やwikiの人の賛否両論ある中、保管ありがとうございます。
    取り敢えず、完結はするつもりですのでもう少し見てやってください。
    皆さんの批評や叱咤激励を受け止めて、進めて行きたいと思います。
    -- エピ (2009-05-24 03:46:11)

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