kairakunoza @ ウィキ

ある四姉妹の夜

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 リビングで家族におやすみなさいを告げてから数時間。今は草木も眠る丑三つ時。
 お父さんは仕事柄早起きだし、お母さんも主婦だから似たようなものだ。かがみは基本
的に真面目だし、つかさは論外。絶対に起きてるはずがない。大学生のまつりだけは気を
つけなきゃいけないけど、それを除けばうちは基本的に早寝だ。
 というわけで私は自分の部屋を出て、音を立てないようにそのドアを閉めた。廊下は暗い
けど、二十年以上住んだ自分の家なんだから、目を瞑ったって歩ける。通るついでに妹の
まつりの部屋を確かめる。大丈夫、光が漏れてきてないから、もう寝ているはず。
 もう夏の暑さも盛りを過ぎていて、それでもやっぱりクーラーなしでは寝苦しい。六人
家族のうちでは全員がクーラーを使うわけにはいかないから、夏の夜を快適に過ごすことは
できない。だからって、私がこうして出歩いているのは眠れないからというわけじゃない。
 目的のつかさの部屋に辿り着く頃にはもう暗闇にも目が慣れていた。音を立てないように
慎重にドアノブを回す。ゆっくりとドアを開けて、その中に踏み込む。ベッドを確かめると、
案の定つかさは……いなかった。
 別に落胆しているわけじゃない。想定の範囲内のことだった。
 多分、電気代の節約とか言って、つかさはかがみの部屋で一緒に寝ているのだろう。その
光景を想像すると……

『お姉ちゃん、一緒に……いい?』
『あんたねー、歳考えなさいよ。私たちもう高校生なのよ』
『そんなこと言わないで……お願い』
『うっ……しょ、しょうがないわねー。ほら、こっち来なさい』

「はぁ、はぁ、はぁ……うっ」
 危ない危ない。危うく妹の部屋によだれを垂らすところだった。今かがみの部屋に行けば
実物が見れるのだから我慢よ。妄想に耽るのは後だってできる。
 音を殺してかがみの部屋のドアに忍び寄り、耳を当てる。かがみとつかさ、二人分の寝息
が聞こえる……ような気がする。
 理想郷は目の前にある……しかし焦りは禁物よ。ドアを開けるのは慎重に、慎重に。
 逸る心を必死に抑えて、ゆっくりゆっくり……私の身体が通れる程度の幅を開けた。
 部屋の中を覗き込んで……かがみが何かに気づいた様子はない。間違いなく寝ているはず。
 中に入ってこれまたゆっくりとドアを閉める。……ここからは殊更に慎重に。
 もう壁は音を遮断してくれない……忍び足で二人が寝ているベッドに……今すぐ飛びつき
たい衝動に駆られるけど、そんなことをしたら何もかもおじゃんだから……。
「はぁ……はぁ……」
 ああ、呼吸が乱れるわ。でもダメ、息を殺して。余計な音は何一つ立てないで。
 私が求め続けた理想郷……かがみ×つかさの添い寝姿が目の前にあるんだから!

 四人姉妹の長女に生まれて、妹たちは可愛く思っている。特につかさはドジで甘えんぼで
家事は得意で……かがみもかがみで双子なのにお姉ちゃんぶって寂しがりやなのに意地を
張ったり妹に厳しくしようと思っても全然できてないところなんか堪らなく可愛いわね。
よくぞこうも理想通りの姉妹に育ってくれたわ。ありがとうお母さん。
 そんな二人の姉に生まれた私がかがみ×つかさに萌える、もとい、二人が仲良くなること
を願うのは至極当然のことなのよ。
 そんなわけで、私は二人の仲睦まじい姿を堪能しに来たというわけ。
 二人には薄いタオルケット一枚が掛かっているだけ。暑いからってパジャマを脱いだり
してくれていたら最高だったけど、流石にそこまではなかったみたい。クーラーはタイマー
をかけていたのが、ちょっと前に切れたという感じの中途半端な涼しさで、これから外気と
同じくらいになっていくはず。そうなると暑苦しいからって寝ている間に二人の距離が離れて
しまうかもしれない。部屋の中を見回して……勉強机の上にリモコンを見つけた。足音に
気をつけてそっちに行き、電源をつける。……これくらいでは起きないはず。
 やっと準備完了よ。今度こそ二人の寝姿を堪能しないと。
 つかさ……あぁ、可愛いわ。普段はあどけなさを感じる顔だけど、寝顔となるとあどけない
を通り越して幼いわね。頬をぷにぷにと突きたい。その唇にキスしてしまいたい。ああ、でも
ダメ。その唇はかがみのものなのよ……!
 かがみ……かがみも愛しいわ。意地っ張りな性格に育って、普段は目つきもきつめだけど、
寝顔になるとそんなところも鳴りを潜めてしまうのよね。今は優しい表情でつかさのほうを
向いて寝息をたてていて……これが本当のかがみなのね!
 今、つかさは仰向けだけど、かがみは横を……つかさの方を向いて寝ている。本当は二人
が抱き合って寝ているのが理想だけど、これは次善の状況ね。こんなときは二人が抱き合う
ように私が動かしてあげるのが常なんだけど、動かすのは眠りの深いつかさの方がいいのよね。
 そもそも二人がこうして一緒に寝ているうちの半分は、つかさが寝ている間に私がつかさを
抱えて寝かせたものだということは、当の二人も気づいてはいないでしょうね。
 いや、普通は気づくんだろうけど、かがみはつかさが自分で布団に潜り込んできたものだと
思ってるし、つかさは自分が寝ぼけてかがみのところで寝たのだと思い込んでるのよね。
 つかさはちょっとやそっとのことでは起きない。というわけで、つかさの身体をそっと抱え
てかがみに近づける。身体を横にして二人が向き合う形にする。
 もっと近くなるように位置を調整して……顔は互いの寝息がかかるくらいに。二人が目を
開けたとき、互いの顔だけが視界に入るように向きも変えて……。
「はぁ……はぁ……んっ」
 危ない危ない。またよだれが垂れそうになったわ。まだ作業は終わってないのよ。つかさが
かがみの肩を抱くように腕を動かす。次はかがみの腕がつかさを抱くように動かす……慎重に
慎重に。ああ、かがみの手って思ったよりすらっとしてて綺麗ね……いや、頬擦りしそうに
なっちゃダメよ私。慎重に慎重に。
 次はもっと慎重にしないとダメなのよ。つかさの両脚、というより太股でかがみの脚を挟む
ようにしないといけない。姉妹で抱き枕というのが私の理想なのよ。
 つかさの脚を持ち上げて……ああ、つかさの太股柔らかいわ。でもこれはかがみのものなの。
あ、つかさのお尻も目の前に……ああ、触りたい、触りたいわ。でもこれもかがみのものなの。
 そんなこんなで、自分の理性とも戦いながら、どうにか抱き合って寝る姉妹を実現すること
に成功したわ。気持ちを落ち着けて、俯瞰で二人を見てみると……

 クラッ

 危ない、思わず立ちくらみを起こしてしまうところだったわね。

 まだあどけなさを残す高校生の双子姉妹が、生まれたときから、これからもずっと一緒だと
誓って、互いの温もりを感じながら安らかな眠りにつく……素晴らしい! 素晴らしいわ!
姉として血が滾るわ! 互いの寝息が掛かるくらいの距離で見詰め合っているのよ。このまま
ちょっと動いて自然にキスしてくれないものかしら。きっと二人の夢の中ではとっくにキス
しているのよ。

『お姉ちゃん、こんな甘えんぼな妹でごめんね』
『今更なに言ってるのよ』
『私、もっとお姉ちゃんに甘えたいんだ。こんなふうに……』
『つかさ……!?』

「そしてつかさはかがみの頬に手をかけて、唇をつきだして目を瞑って、そんなことをされた
かがみはもう我慢も限界で……はっ!」
 思わず妄想を声に出してしまった。慌てて二人を確認すると……。
 二人の寝顔は変わってない。起きてはいないみたい。
 そのままじっくりと寝顔を見つめる。ああ、このまま二人にキスしてしまいたい。でも
つかさはかがみの嫁で、かがみはつかさの嫁だからそういうわけにはいかないのよね。
「ん……お姉ちゃん……」
 こ、これは寝言! つかさが寝言でかがみのことを呼んでいるのね! これはレアな体験を
したものだわ。そうね、つかさがかがみを呼ぶのはもう本能の領域なのね。つかさはそれほど
までにかがみを求めてるのね!
 それにしてもかがみったら、なんでつかさを襲ってしまわないのかしら。こんなに可愛くて
姉にべったりの妹だったらとっくに襲っていてもよさそうなものなのに。まったく、姉として
理解できないわ。
 これはもう私が手助けするしかないわね。
 いきなり襲うっていうのもなんだから……そうね、つかさのパジャマのボタンを2つくらい
はずしておこうかしら。そーっと、そーっと……もう1つくらいはずしておこう。これなら
つかさのブラが自然に見えるくらいはだけるわね。ああ、つかさの胸を触ろうとしちゃダメよ
私の手! この身体はかがみのものなの!
 さらにつかさの肩を抱いていた腕を動かして……よし、お尻を触らせたわ。つかさのお尻を
触れるなんて、羨ましいわかがみ。
 あとは……かがみの太股を、つかさの股の方に近づけて……かがみの太股を堪能したいけど、
ダメよ、起きないようにそっと……これで、ふとした拍子でかがみの太股がつかさのあそこを
撫でたりしたら素晴らしいわね。
 あとは手を繋いでもらいたいところだけれど、もうかがみの手はお尻を触っちゃってるから
無理ね。もう片方の腕を動かすのはリスクが高いし。
 胸を手で触らせるとか、寝ている間に愛撫させるとかはまだハードルが高すぎるから、まず
はこの辺りで済ませておこうかしら。
 朝になってどんなリアクションをするのか楽しみだわ。かがみのことだから、その場は何も
なかったように済ませるんだけど、つかさのお尻の感触を忘れられなくて、次の夜にはつかさ
のことを……。
「うっ」
 は、鼻血が出てしまったわ……。この部屋から出るのは名残惜しいけど、血痕を残すわけ
にもいかないから、今夜はここが潮時ね。

 ゆっくりとドアを開けて部屋から出ると、そこには……
「ま、まつり!?」
「しっ、声が大きい!」
 吃驚して何もできない私をよそに、まつりはゆっくりとドアを閉める。
「あの、これはね……」
 深夜に妹の部屋からこっそり出てきたことを正当化する言い訳も思いつかず、しどろもどろ
になっていると。
「まずは拭きなよ」
 ティッシュを差し出してくれた。
「あ、ありがと」
「それにしても姉さんは手ぬるいよね」
「へっ?」
「媚薬でもなんでも使っちゃえばいいのに」
「何言ってるの!? そんなものを使うのは邪道よ!」
 言ってから気づいたけど、もしかして私のやってることって……。
「とっくにバレてる?」
「姉さんも難儀だよね。かがみとつかさを妹にもったばかりに『妹の双子姉妹で百合妄想する』
なんて趣味を持っちゃって」
「あんなに可愛い双子姉妹を妹に持ったんだから、当然のことよ」
 私は胸を張って言う。
「まぁ、人の趣味に口を出すつもりはないよ。私だって『妹に手を出したいんだけど、その
妹は双子の姉妹で結ばれると決めてるから手を出せないでいる長女』フェチだから」
「変わった趣味を持ってるのね?」
「四姉妹の次女に生まれたら当然のことだよ」
「そうなの?」
「そうだよ」
 世の中いろんな人がいるものね。
「まあ、今夜はこんなもんでいいでしょ。おやすみ」
 朝は起きるのが辛いだろうけど、かがみとつかさがどんなリアクションをするのかを聞く
ためにも、それより早く起きてないといけない。少しでも寝ておこうと思う。
「そうね。おやすみ、まつり」
 そう言って、自分の部屋に戻る。私の妹にしては変な趣味の持ち主が生まれたものねと
思いながら。

(おわり)














コメントフォーム

名前:
コメント:
  • ウホッ! -- でゅーく (2012-08-02 15:45:08)
  • かがみよ、 や っ て し ま え -- 名無しさん (2012-06-03 16:40:05)
  • 妄想どおりになってもらいたいものです -- 名無しさん (2010-12-17 14:52:02)
  • 長女自重しろwwwwwwそして次女も・・・・・・まさか三女と四女は汚染されてないよな・・・・・・? -- 名無しさん (2009-10-14 00:37:16)
  • 新ジャンルだな
    かなりおもしろい -- 名無しさん (2009-09-05 18:19:05)
  • 粗削りだが才能を感じる。GJ -- 名無しさん (2009-09-01 03:31:19)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー