「かがみ・・・ごめん・・・」
こなたは近づきながら声をかける。
その声を合図にしたようにつかさはスッと後ろに下がり、ハラハラした顔で私たちを見ていた。
その声を合図にしたようにつかさはスッと後ろに下がり、ハラハラした顔で私たちを見ていた。
「そんなに・・・かがみのこと傷つけてたんだなんて・・・」
その声は震えていた。
その双眸からは涙が流れていた。
その双眸からは涙が流れていた。
「私・・・かがみの気持ち・・・知らなくて・・・。
こんな冗談・・・ひっく・・・最低・・・だよね・・・。
かがみのこと・・・いっぱい・・・ぐすっ・・・・・・いっぱい傷つけちゃったよね・・・」
こんな冗談・・・ひっく・・・最低・・・だよね・・・。
かがみのこと・・・いっぱい・・・ぐすっ・・・・・・いっぱい傷つけちゃったよね・・・」
目の前にまで来たこなたは、そう言って諸手を伸ばす。
その手は小さく震えながら、それでも優しく私を抱きしめようとしていた。
その手は小さく震えながら、それでも優しく私を抱きしめようとしていた。
でも・・・・・・。
「・・・・・・え・・・?」
私は、反射的にその手を払っていた。
「か・・・かがみ?」
こなたの顔が驚愕に歪む。
「・・・・・・・・・どうせ・・・」
「え?」
「・・・・・・どうせまた嘘なんでしょ?」
「え?」
「・・・・・・どうせまた嘘なんでしょ?」
私の言葉にこなたは目を見開き、慌ててもう一度手を伸ばした。
「!? そ、そんなこと・・・」
でも私は椅子から立ち上がり、その手を避ける様に後ろへ下がりながら、尚も言葉を続ける。
「そうやってまた私を騙すんでしょ?」
私から拒否されても尚、こなたは私の方へゆっくりと歩いてくる。
「ち、ちが・・・・・・」
今までの私なら、口では反発しながらもきっとその抱擁を受け入れていたのだろう。
そして、そんなこなたの悪戯もきっと許してしまっていたのだろう。
だからこそこなたは驚きながらも近づけるのだろう・・・。
そして、そんなこなたの悪戯もきっと許してしまっていたのだろう。
だからこそこなたは驚きながらも近づけるのだろう・・・。
だけど・・・・・・。
「もう・・・・・・来ないで・・・」
私の消えそうな声と明確に拒否した言葉はこなたの歩みを止めた。
こなたはまるで信じられない現実を目の当たりにしたように、私を呆然と見つめていた。
こなたはまるで信じられない現実を目の当たりにしたように、私を呆然と見つめていた。
「そうよ・・。私は・・・・・・あんたのことが好きだった・・・。
いつも一緒に・・・いろんなとこに遊びに行って、買い物して、宿題して・・・」
いつも一緒に・・・いろんなとこに遊びに行って、買い物して、宿題して・・・」
私の脳裏にはその時の光景が鮮明な記憶として映っていた。
「私は・・・・・・・・・すごく幸せだった・・・」
そう、幸せ・・・・・・だった・・・。
「でも、そんなこと言えないじゃない・・・。
それに、あんたのこと・・・・・・好きだなんて・・・」
それに、あんたのこと・・・・・・好きだなんて・・・」
あの時そう言えていれば、きっとこんな結末にはならなかったのかもしれない。
もっと幸せな気持ちでいられたのかもしれない。
もっと幸せな気持ちでいられたのかもしれない。
「ラブレターだって・・・・・・もらった時はすごくドキドキしたけど・・・。
でも・・・・・・本当はそれがあんたからだったらって思ってた・・・」
でも・・・・・・本当はそれがあんたからだったらって思ってた・・・」
でも私はそれを選ばなかった。
ううん・・・選べなかった・・・。
こんなどうしようもない意気地なしの私には・・・。
ううん・・・選べなかった・・・。
こんなどうしようもない意気地なしの私には・・・。
「ふふ・・・。あんたの予想とは違うかもしれないけど・・・。
ドッキリ成功したわね・・・・・・」
ドッキリ成功したわね・・・・・・」
この期に及んでまで、私は目の前の現実を信じたくなかった。
こなたが謝罪し、私に歩み寄ってくれているという現実を。
こなたが謝罪し、私に歩み寄ってくれているという現実を。
だって・・・。
それを信じてしまったら、『私を好きなこなた』は永遠にこの世界に存在しなくなってしまう。
私を気遣い、その心痛を汲み取ろうとするこなたは『親友のこなた』であって、『私を好きなこなた』ではない。
それを信じてしまったら、『私を好きなこなた』は永遠にこの世界に存在しなくなってしまう。
私を気遣い、その心痛を汲み取ろうとするこなたは『親友のこなた』であって、『私を好きなこなた』ではない。
あれほど私を安心させてくれたこなたは、ただ俯いたまま微かに身体を震わせていた。
でも私はこなたに近づけない。
近づけばそこで現実を受け入れなくてはならない。
でも私はこなたに近づけない。
近づけばそこで現実を受け入れなくてはならない。
こなたは今や、その苦しい現実に向き合わせるだけの存在でしかなかった。
私は無言で佇むこなたの横をスッと抜け、ドアに向かって歩き出した。
私はただ逃げたかった。
この場にいることも。
こなたの答えを聞くことも。
私はただ逃げたかった。
この場にいることも。
こなたの答えを聞くことも。
でもその歩みは、私の左腕を掴むこなたの右手によって止められた。
「ま、待って・・・」
こなたが絞り出すような声を出し、今にも崩れ落ちそうな様子で私を見つめる。
その掌からこなたの体温が伝わってくる。
その掌からこなたの体温が伝わってくる。
こんな状況なのにこなたに触れられて嬉しい。
でもその柔らかく優しい感触が苦しい。
嬉しいのに苦しくて仕方がない。
でもその柔らかく優しい感触が苦しい。
嬉しいのに苦しくて仕方がない。
「は、離しなさい・・・」
その気持ちは一旦治まったはずの涙をもう一度呼び起こす。
「やだ・・・」
こなたは俯いたまま小さく声を漏らす。
「離してったら!」
私の胸は押し潰されるように息苦しい。
私はこなたの手を振りほどこうと乱暴に手を振る。
私はこなたの手を振りほどこうと乱暴に手を振る。
「やだ!! 絶対やだっ!!」
こなたは負けじと両手で私の腕を掴みその動きを止めようとする。
「だったら・・・・・・」
私はこなたに握られた腕をそのままに、
「だったら、なんで今更こんなことするのよ!!」
涙を流し続けるその瞳で、まっすぐにこなたを射るように見つめた。
「そ・・・それ・・・は・・・」
こなたは目を見開いたままその場で固まった。
その身体は小刻みに震え呼吸が荒くなっている。
その身体は小刻みに震え呼吸が荒くなっている。
「それは・・・・・・」
そして、ゆっくりとその口を開き、
「かがみのことが・・・・・・好きだから・・・」
―――――え?
「私・・・本当にかがみのことが好き・・・。好きなんだ・・・。
だから・・・・・・」
だから・・・・・・」
目の前のこなたは、いつも眠たげだったあの瞳を涙で濡らしていた。
それはまるで宝石みたいに輝いていて、その滑らかな表面には私の顔が映っていた。
それはまるで宝石みたいに輝いていて、その滑らかな表面には私の顔が映っていた。
それまでかたくなだった私の気持ちがぐらりと揺れる。
こなたは私を好きだと言った。
こなたは私と同じ気持ちだった。
こなたは私と同じ気持ちだった。
嬉しい・・・。
すごく嬉しい・・・。
すごく嬉しい・・・。
―――だけど。
それは本当?
目の前のこなたがウソを言ってるとは思えない。
こんなにも真剣な顔で。
こんなにも必死な声で。
こんなにも真剣な顔で。
こんなにも必死な声で。
でも・・・。
それでも信じられない。
それでも信じられない。
好きなのに、目の前のこなたを信じられない。
信じたいのに、こなたの言葉を信じられない。
こんなのって・・・。
こんなのってないよ・・・。
信じたいのに、こなたの言葉を信じられない。
こんなのって・・・。
こんなのってないよ・・・。
まるで心が二つに引き裂かれたみたいに苦しい・・・。
「もう・・・・・・」
耐えきれなくなった苦しさは私の口を通して流れ出す。
「もうわかんない!」
―――もう何も考えられない。
「あんたの言うことが本当かどうかなんてわからない!」
―――本当のことなんてわからなくて良い。
「あんたのこと好きなのに・・・すごく好きなのに・・・・・・」
―――真実なんて見えなくても良い。
「好きだって言えない!!」
そう言った瞬間、ふわりと優しい香りと共に私の唇に温かな感触が触れ、そこで言葉が止まった。
「え・・・・・・?」
気がつくと目の前には目を瞑ったこなたがいて、唇には柔らかな感触があった。
何が起こったのか理解する前に微かな余韻を残してこなたが離れた。
何が起こったのか理解する前に微かな余韻を残してこなたが離れた。
「な・・・・・・」
突然のことに二の句がつげない私をじっと見つめていたこなたは、やがて静かに口を開いた。
「ごめん・・・」
―――その声は小さく震えていて。
「全部私の所為・・・」
―――その顔は涙で濡れてくしゃくしゃになっていて。
「でも・・・」
―――だけど涙はキラキラ輝いていて。
「・・・かがみが信じてくれるまでずっと言う・・・」
―――その声は透き通っていて。
「私はかがみが好き・・・。世界中の誰よりも好き・・・・・・だから」
―――そのすべてが綺麗だった。
「だから・・・・・・だから嫌いにならないで・・・。
う・・・う・・・は・・・離れ・・・ぐすっ・・・ないで・・・」
う・・・う・・・は・・・離れ・・・ぐすっ・・・ないで・・・」
そう言ってこなたは、私にすがりついたまま泣き崩れた。
「もう・・・ひぐ・・・う・・・ウソ・・・つかないから・・・。
もう・・・誤魔化さない・・・だから・・・ひっく・・・。
いなく・・・ならないで・・・・・・かがみ・・・」
もう・・・誤魔化さない・・・だから・・・ひっく・・・。
いなく・・・ならないで・・・・・・かがみ・・・」
こなたはまるで独り言のように一人泣きながら言葉を続けた。
でもその言葉は私の中に染み込み、少しずつ形となっていく。
でもその言葉は私の中に染み込み、少しずつ形となっていく。
こなたは自分の気持ちに素直になれなかっただけ・・・。
だから悪戯したりウソついたり・・・。
だから悪戯したりウソついたり・・・。
でもそれって私だって同じ・・・。
素直になれなくて・・・。
気持ちを誤魔化して・・・。
気持ちを誤魔化して・・・。
そっか・・・。
私とこなたは同じだったんだ・・・。
私とこなたは同じだったんだ・・・。
私はそっと座ると、泣き続けるこなたの両肩に手を添えた。
「こなた・・・・・・」
瞬間、こなたの身体がビクッと震える。
私はそれでもしっかりと両手に力を入れ、こなたに語りかけた。
私はそれでもしっかりと両手に力を入れ、こなたに語りかけた。
「・・・ごめん・・・」
「え・・・?」
「え・・・?」
こなたは驚いた表情で顔を上げる。
「・・・ごめんね・・・こなた・・・」
信じられないものを見たような顔でこなたが私を見つめる。
「な・・・なんで・・・? なんでかがみが謝るの?」
私はその顔を苦笑しながら見つめる。
「だって・・・私もあんたと一緒だったんだもん・・・」
「え?」
「自分の気持ちに素直になれなくて・・・誤魔化してばかりで・・・。
だから、あんたのこと怒れる立場じゃないのよ・・・」
「・・・かがみ・・・」
「え?」
「自分の気持ちに素直になれなくて・・・誤魔化してばかりで・・・。
だから、あんたのこと怒れる立場じゃないのよ・・・」
「・・・かがみ・・・」
こなたは少し哀しそうな顔で私の名前を呼んだ。
「怒って・・・ないの?」
こなたの不安な気持ちが声を通して伝わってくる。
「うん・・・。今はね・・・。だって気がついたんだもん。あんたと私は同じだって」
「かがみ・・・・・・」
「かがみ・・・・・・」
私はその不安を包み込むようにこなたを優しく抱きしめ、その耳元でそっと囁いた。
「こなた・・・私も好き・・・。世界で一番大好き・・・」
こなたは私の背中に手を回し、ぴったりと身体を寄せる。
「う・・・ひっく・・・かがみ・・・か・・・かがみぃ・・・」
そしてそのまま、まるで子どものように大きな声をあげて泣いた。
「こなた・・・ごめんね・・・ぐすっ・・・こなた・・・」
それに呼応するかのように私の瞳からも熱い涙が溢れ、私たちは抱き合ったまま互いに泣き続けた。
その涙が何なのか説明するのは難しい。
気持ちが通じ合えて嬉しかったからなのか、それとも今まで気持ちが言えなかったことへの後悔なのか、それともその両方なのか。
その涙に名前はつけられないけれど、きっとこなたも同じ気持ちなんだって思ったら、泣いているのになぜか嬉しくて、すっごく幸せだった。
その涙が何なのか説明するのは難しい。
気持ちが通じ合えて嬉しかったからなのか、それとも今まで気持ちが言えなかったことへの後悔なのか、それともその両方なのか。
その涙に名前はつけられないけれど、きっとこなたも同じ気持ちなんだって思ったら、泣いているのになぜか嬉しくて、すっごく幸せだった。
「かがみ・・・これからも、ずっと一緒にいてくれる?」
こなたは顔を上げ、涙で真っ赤に腫らした瞳で私を見つめた。
「うん・・・。私も、これからずっと一緒にいたい。いい?」
きっと私も同じような眼をしているんだろう。
「うん!」
だけどいつもの笑顔でこなたが笑ってくれるとそんなことは全然気にならなくて、私はそれが嬉しくて一緒になって笑った。
ひとしきり笑い合った後、こなたは私の顔を見つめ、ゆっくりと口を開く。
ひとしきり笑い合った後、こなたは私の顔を見つめ、ゆっくりと口を開く。
「・・・かがみ・・・大好きだよ・・・」
優しげなその声は、私の気持ちまで優しくさせる。
「私も・・・。こなた・・・大好き・・・」
二人の距離が少しずつ近づき、その柔らかな唇が触れあう瞬間、背後で大きな物音がした。
「きゃあ!」
驚いて振り向くと、つかさが床につまずいて転んでいた。
無言でそれを見ていると、つかさはバツが悪そうに笑いながら振り向いた。
無言でそれを見ていると、つかさはバツが悪そうに笑いながら振り向いた。
「え、えへへ・・・。あ、あの、お邪魔かなって思って・・・。
そ、その、静かに出ようと思ったんだけど・・・。
えと・・・その・・・・・・ご、ごゆっくり~!!」
そ、その、静かに出ようと思ったんだけど・・・。
えと・・・その・・・・・・ご、ごゆっくり~!!」
つかさは何とも言えない台詞を残して物凄い勢いで階段を降りていった。
とまあ、何とも締りのない終わりを迎えてしまったのだけれど、つかさが去った後にもう一度きちんと話をして、
結果的にこなたと私はめでたく付き合うことになった。
その間何があったのかはご想像にお任せするわ。
結果的にこなたと私はめでたく付き合うことになった。
その間何があったのかはご想像にお任せするわ。
あ、そうだ。
ちゃんと連絡しておかないとな。
ちゃんと連絡しておかないとな。
こなたが帰宅し一応の落ち着きを取り戻した私は、携帯電話を取り出してある人物に電話をした。
「もしもし田村さん? 今日、こなたからすっごい上機嫌な電話がきてね?」
「い、いや!! これにはその・・・・・・深ぁ~~~いワケが・・・・・・」
「い、いや!! これにはその・・・・・・深ぁ~~~いワケが・・・・・・」
なぜか田村さんは最初から謝罪モードだったけれど、私は構わずに感謝の言葉を伝えた。
「・・・・・・ありがと・・・」
「ほ、ほんっとーに、すみ・・・・・・へ?」
「え、えっと・・・その・・・た、田村さんのお陰で、うまくいったの」
「あえ? な、何がっスか?」
「あー、その・・・えーと・・・は、話すと長くなるから後で言う・・・っていうか、言えるのか、これ・・・」
「え? 言えないようなことなんスか?」
「い、いや! と、とにかく! 田村さんには感謝してるのよ。
後で必ずお礼に行くから」
「そ、そそそそそんな、お、お礼なんて・・・って、いわゆるあの特別な『お礼』とかじゃないっスよね?」
「特別? あー、わかった。そういうのが良いの?」
「い、いやいやいやいやいや! そ、そんな特別なのなんて大丈夫っスから!!
ま、間に合ってまス!!」
「そんな遠慮しなくていいのに。とりあえず、時間見つけて挨拶に行くから。じゃあね~」
「ほ、ほんっとーに、すみ・・・・・・へ?」
「え、えっと・・・その・・・た、田村さんのお陰で、うまくいったの」
「あえ? な、何がっスか?」
「あー、その・・・えーと・・・は、話すと長くなるから後で言う・・・っていうか、言えるのか、これ・・・」
「え? 言えないようなことなんスか?」
「い、いや! と、とにかく! 田村さんには感謝してるのよ。
後で必ずお礼に行くから」
「そ、そそそそそんな、お、お礼なんて・・・って、いわゆるあの特別な『お礼』とかじゃないっスよね?」
「特別? あー、わかった。そういうのが良いの?」
「い、いやいやいやいやいや! そ、そんな特別なのなんて大丈夫っスから!!
ま、間に合ってまス!!」
「そんな遠慮しなくていいのに。とりあえず、時間見つけて挨拶に行くから。じゃあね~」
電話を切る瞬間、なぜか田村さんの「いやぁぁぁぁぁ!! 逃げ」とかいう叫び声のようなのが聞こえたけれど何でだろう?
ま、手紙も持ってきてもらっちゃったし、どちらにしろお礼はしないとな。
でもどんなのだったら田村さんは喜ぶのかな?
ん~・・・・・・そうだ! こなたに聞けばわかるかも。
早速電話しようっと。
ま、手紙も持ってきてもらっちゃったし、どちらにしろお礼はしないとな。
でもどんなのだったら田村さんは喜ぶのかな?
ん~・・・・・・そうだ! こなたに聞けばわかるかも。
早速電話しようっと。
と、田村さんへのお礼を相談するためなのか、さっきまで一緒にいたのに寂しくなっちゃって声が聞きたくなったからなのかは不問にしていただいて、
私は携帯の通話履歴の一番上の番号に発信した。
私は携帯の通話履歴の一番上の番号に発信した。
今夜も電話が長くなりそうね。
とある休日の昼下がり――――。
私は部屋で勉強をしている。
いつもと変わらない日常。
でも、1つだけ違うことがある。
私は部屋で勉強をしている。
いつもと変わらない日常。
でも、1つだけ違うことがある。
「ねぇねぇ、かがみ。この本の続きってどこ~?」
「あ~、と、その棚に入ってない?」
「ん~? 見当たらないけど・・・」
「あれ~? おっかしいなぁ・・・。この前まで置いといたんだけど・・・」
「あ~、と、その棚に入ってない?」
「ん~? 見当たらないけど・・・」
「あれ~? おっかしいなぁ・・・。この前まで置いといたんだけど・・・」
そう。
私のベッドには、足をパタパタさせながらラノベを読むこなたがいる。
私のベッドには、足をパタパタさせながらラノベを読むこなたがいる。
「むうぅ。続きが気になるんだよなぁ・・・」
「ちょっと待って。ベッドの脇に落ちたりしてないかしら・・・っと」
「ちょっと待って。ベッドの脇に落ちたりしてないかしら・・・っと」
こなたを乗り越えるような形で、壁とベッドの間に手を入れると、その瞬間、不意に下からこなたに抱きしめられた。
「きゃっ!」
「『きゃっ』だって。案外かがみも女の子っぽい声だすんだねぇ~」
「い、いきなり何だよ! つーか、私は女だって!」
「いやぁ、かがみのいい匂いがしたら、ついムラムラっと・・・」
「って、お前はおっさんか!」
「まぁまぁ。よいではないか」
「『きゃっ』だって。案外かがみも女の子っぽい声だすんだねぇ~」
「い、いきなり何だよ! つーか、私は女だって!」
「いやぁ、かがみのいい匂いがしたら、ついムラムラっと・・・」
「って、お前はおっさんか!」
「まぁまぁ。よいではないか」
こなたはいつもの猫口でニマニマしながら私を見つめた。
「ま、まぁ、別にいいんだけどさ・・・」
「とか言って~。ホントは嬉しいんじゃないの~?」
「ぐっ・・・」
「とか言って~。ホントは嬉しいんじゃないの~?」
「ぐっ・・・」
・・・この前素直になろうと決めたのに・・・。
こなたに図星をつかれたことに少しだけ悔しさを感じながらも、その温かな体温と柔らかな感触は私の心を満たしてくれた。
全身でこなたの存在を感じていると、その時、頭の中に1つの質問が思い浮かんだ。
全身でこなたの存在を感じていると、その時、頭の中に1つの質問が思い浮かんだ。
「ねぇ。こなた?」
「うん?」
「私・・・もう少しやせた方がいいと思う?」
「へ? いつも思うけど、そんな気にすることないんじゃない?」
「でも気になっちゃって・・・こなたはさ、私にどうなってほしい?」
「え? う~ん・・・」
「うん?」
「私・・・もう少しやせた方がいいと思う?」
「へ? いつも思うけど、そんな気にすることないんじゃない?」
「でも気になっちゃって・・・こなたはさ、私にどうなってほしい?」
「え? う~ん・・・」
少しだけ考え込むように目を瞑ったこなたは、目を開けると私に笑いかけた。
「そのままで良いと思うよ。かがみ気持ちいいし」
そう言うとこなたは私を抱き寄せ、ぴったりと身体をくっつけた。
「あのさぁ・・・それって、太ってて気持ちがいいんじゃなくて?」
「ちっ、違うよ! そ、そういうんじゃなくて・・・」
「ちっ、違うよ! そ、そういうんじゃなくて・・・」
こなたはしどろもどろになりながらも、頬を赤らめてゆっくりと口を開いた。
「・・・・・・その・・・私は、かがみがやせてても、太ってても気になんないよ。
ただ、かがみにくっついてると、すっごく安心するっていうか・・・・・・。
何か・・・離れたくなくなっちゃって・・・もっと一緒にいたくなっちゃうというか・・・」
ただ、かがみにくっついてると、すっごく安心するっていうか・・・・・・。
何か・・・離れたくなくなっちゃって・・・もっと一緒にいたくなっちゃうというか・・・」
こなたは耳まで赤くし、次第にその瞳も熱を帯びていく。
「・・・だから強いて言えば・・・・・・その・・・ずっと好きでいてほしい・・・・・・」
「 っ!? 」
「 っ!? 」
こなたは不意打ちの一言で私の心臓を射抜くと、間髪入れずに第2撃を放った。
「ねぇ・・・? かがみは・・・私のこと・・・・・・好き?」
少しだけ瞳を潤ませ、こなたは私を見つめた。
そんな顔見たら、ウソなんてつけない。
つけるはずがない。
そんな顔見たら、ウソなんてつけない。
つけるはずがない。
「・・・・・・・・・うん・・・・・・大好き・・・」
私はそう言ってこなたに笑いかける。
こなたも嬉しそうに微笑む。
こなたも嬉しそうに微笑む。
その顔は、私がいつも思い描いていたものと同じだった。
でも今までとは違う。
そこにあるのは私の想像ではなく、紛れも無い『現実』のこなたの笑顔。
でも今までとは違う。
そこにあるのは私の想像ではなく、紛れも無い『現実』のこなたの笑顔。
「かがみ・・・」
「こなた・・・」
「こなた・・・」
私たちは互いの名前を呼び合い、徐々に近づいていく。
そのまま2人の唇が触れ・・・。
そのまま2人の唇が触れ・・・。
「お姉ちゃ~・・・あ、こなちゃんきてたんだ~」
その時突然ドアが開かれ、つかさが顔を覗かせた。
「「 のわぁぁぁぁぁ!! 」」
驚きのあまり2人同時に声をあげ、ベッドから転げ落ちんばかりの勢いで離れる。
「の、ののののの、ノックくらいしなさいよ!!」
「あっ! ご、ごめんなさい・・・」
「あっ! ご、ごめんなさい・・・」
思わず声を荒げると、つかさはしょんぼりと下を向いた。
「まぁまぁ。つかさも悪気があったわけじゃないんだし」
「そ、そりゃそうだけど・・・」
「ごめんね、お姉ちゃん。こなちゃん」
「大丈夫だよ、つかさ。それに、どうせこの前ちゅーしてるとこ見られてるし」
「おいっ! 少しは気にしろよ!」
「あ、そっか。今のはちゅーしようとしてたんだね?」
「だから、つかさも冷静に分析すんな!」
「そ、そりゃそうだけど・・・」
「ごめんね、お姉ちゃん。こなちゃん」
「大丈夫だよ、つかさ。それに、どうせこの前ちゅーしてるとこ見られてるし」
「おいっ! 少しは気にしろよ!」
「あ、そっか。今のはちゅーしようとしてたんだね?」
「だから、つかさも冷静に分析すんな!」
はぁ・・・・・・。
1人で突っ込むのは疲れる・・・。
1人で突っ込むのは疲れる・・・。
「あ! つかさ。そういえば、この前、私の本持っていった?」
「え? あ、うん。部屋に置いてあるけど」
「こなたがそれ読みたいみたいなんだけど、返してもらってもいい?」
「うん。昨日読み終わって返すの忘れてたよ。今、持ってくるね~」
「え? あ、うん。部屋に置いてあるけど」
「こなたがそれ読みたいみたいなんだけど、返してもらってもいい?」
「うん。昨日読み終わって返すの忘れてたよ。今、持ってくるね~」
そう言って部屋を出ようとしたつかさは、もう一度部屋に顔を出した。
「あ、そうだ。さっきあやちゃん家でケーキ作ってきたんだ。
みんなで食べない?」
「おぉ~。さすがつかさ。かがみも休憩しておやつにしようよ」
「あ、う、うん。そうね」
「じゃあ、お茶の準備してくる・・・あれ? そういえばお姉ちゃんってダイエット中じゃなかったっけ?」
みんなで食べない?」
「おぉ~。さすがつかさ。かがみも休憩しておやつにしようよ」
「あ、う、うん。そうね」
「じゃあ、お茶の準備してくる・・・あれ? そういえばお姉ちゃんってダイエット中じゃなかったっけ?」
つかさの言葉に一瞬こなたと顔を見合わせる。
こなたも私の言わんとすることがわかったのか、すぐに笑顔になると頷いた。
私はその笑顔に勇気づけられるように、つかさに向かって言った。
こなたも私の言わんとすることがわかったのか、すぐに笑顔になると頷いた。
私はその笑顔に勇気づけられるように、つかさに向かって言った。
「ダイエットはやめたの。私もちょうだい」
お姉ちゃんが言った通りにはならなかった。
きっと私のダイエットは成功しない。
だって私の大好きな人からお墨付きもらったからね。
ふふ。大好きよ、こなた。
きっと私のダイエットは成功しない。
だって私の大好きな人からお墨付きもらったからね。
ふふ。大好きよ、こなた。
了
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- GJ!!(/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-04-30 02:54:14)
- 職人GJ!
-- T2 (2012-02-22 00:10:26) - 久々の職人さんの作品登場に感謝!!
ガッツリこなかが分を吸収させてもらいました。 -- kk (2012-02-19 22:55:57)