kairakunoza @ ウィキ

らき☆すたクエスト第四章

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「おいでませロマリアへ、勇者様ご一行~」
「自分で言うな、自分で」

 旅立ちの日から約半月。
 なんのかんので色々あって、私達はついに糟日部大陸を飛び出し、新たなる大陸へと辿り着いた。
 私はかがみ達やみゆきさんとは違って、産まれも育ちも糟日部大陸だから、余所の大陸に来たのは初めて。
 そして、その余所の大陸で最初に訪れた場所が、ここロマリア。みゆきさんの生まれ故郷の国だった。


「あちらに見える建物が宿屋で、その向かいにあるのが、国営の大商店になります」
「おおー、ビッグサイズー」
「ホント、すごく大きいね!」
「こりゃまた……立派なもんね…」

 みゆきさんによるロマリアガイドに、私達は驚きを隠せずに、素直に感動していた(特にかがみとつかさが)。
 城下街の広さは糟日部の方が上みたいだけど、道や建物はきっちりと整備されていて、造りもしっかりしていたし、
 前方の遥か遠くに見える、夕陽に照らされたお城も、糟日部のそれよりも遥かに立派にそびえていた。

「取り敢えず、今日はもう遅いですし、先に宿を取りましょうか」
「そうね。それにもう、私達もクタクタだし……」
「ねえねえ。なんだったら明日はさ、朝一番でみゆきさんの家に行ってみない?」
「あー、それいいねー!」
「こらこら、当人のみゆきを差し置いて話を進めない!」
「あ、私は構いませんよ。きっと母も喜びますし」
「よーし、んじゃ決まり! 明日はみゆきさんの家にお邪魔しようー!」
「うんっ!」
「ったくもう…」



「お帰りなさい、みゆき!」
「はい、ただいま帰りました!」

 明けて翌朝。私達は予定していた通り、みゆきさんの自宅を訪ねた。
 みゆきさんのお母さんのゆかりさんは、それはもう満面の笑みを浮かべて、今、みゆきさんと感動の再会を果たしている。

「流石にみゆきもテンション上がってる…と言うか、嬉しそうね(ヒソヒソ」
「戦争で離れ離れになった親子の、数年ぶりの感動の再会だからねー(ヒソヒソ」
「ゆきちゃん、本当に幸せそうだねー(ヒソヒソ」
「……ところでこなた。昨夜の言葉、後悔してる?(ヒソヒソ」
「…うん、少し(ヒソヒソ」

 …まあ、ロマリアに来た以上、いずれは“ここ”を訪ねる事になっただろうけど、
 それがまさかこんな形になるんなら、軽々に「行こう」なんて言うんじゃなかったって思ったよ。
 ……だってさ。まさか友達のお家が“お城”だなんて、普通想像しないでしょ…?

「それといらっしゃい、みゆきのお友達さん達!
 色々お話ししたい事もあるし、どうぞ遠慮せず、ゆっくりしていってね!」

 ゆかりさん──女王様って言った方がいいのかな──が、にこやかな笑みを浮かべて私達にそう言ってくれた。
 気持ちはありがたいんだけど、周りの視線や雰囲気もあって、正直緊張を隠せませんヨ……。

「まあ、貴女が泉こなたちゃんなの!? 凄い偶然ねー」
「えっ! あの、ゆかりさんはお母さんの事を知ってるんですか!?」

 私は殆んど反射的に立ち上がり、ゆかりさんにそう問い掛けていた。

 …あれから私達はゆかりさん(最初にかがみが「女王様」って呼んだらこう呼ぶ様に言われた)のお部屋に通されて、
 みんなですっごくテーブルを囲んで、すっごくいい香りのする紅茶を飲みながら、
 ゆかりさんに請われるまま、問われるままに、いろんな話をし始めた。
 そして、話の内容が私達の身の上話や旅の目的のものになると、不意にゆかりさんがお母さんの名前を出し、
 当然の如く、私はあんな反応をしてしまったワケだ。

「糟日部の勇者たるかなたさんの噂は聞き及んでるわ。
 あの魔王ミノルスを倒す為に単身での旅に出て、各地で数多のモンスターを退治した英雄ですもの。
 でも、こんな小……じゃなくって、大きなお子さんがいるなんて知らなかったわ。
 しかもその子がみゆきのお友達になってくれてたなんて……これが運命ってものなのかしら?」

 そう言ってゆかりさんは、とても穏やかで温かで、優しげな笑みを浮かべた。
 …これが“母親”ってものの笑顔なんだろうか…。
 それは私には覚えが無い、凄く心惹かれるものだった……。



「……ところで、ちょっといいかしら。実はこなたちゃん達に頼みたい事があるんだけど……」

 テーブルに置かれた5つのカップが空になった頃、ふと、ゆかりさんがそう言った。
 その表情には少しだけど陰りが見えて、何だか申し訳ないって感じがありありと漂ってた。

「何ですか?」

 みんなを代表するかの様に、かがみがゆかりさんに訊き返す。

「それがね……ついこの間の事なんだけど、アンダタっ人が、このお城から『金の冠』を奪って行っちゃったのよ」
「「「ええぇぇぇーーーーーっっ!!?」」」
「ほ、本当なんですか、お母さん!?」
「ええ……」

 いつに無いみゆきさんの強い口調での問い掛けに、ゆかりさんはしょぼんとうなだれてそう答えた。

「それでとっても申し訳ないんだけれど……もしこなたちゃん達が、旅の途中でその人に会う機会があったら、
 それを返してもらえる様にお願いしてもらえないかしら……?」

 言葉通り、心底申し訳なさそうに、ゆかりさんが言葉を紡ぐ。
 さっきまでの明るい表情は、今ではすっかりなりを潜めてしまっていた。


 結論を言えば、私達は殆んど二つ返事でその頼みを引き受けたんだけど、
 そのアンダタって人が、貴重なお宝を「お願い」して返してくれる様な相手だとは、全く思えなかった。
 ちなみに後でみんなにも訊いてみたら、それは4人全員の共通認識だった。
 モンスター相手ならともかく、人間相手に実力行使なんてしたくないんだけどなぁ…。






コメントフォーム

名前:
コメント:
  • さすがお嬢様属性…王女だったとは~
    てか、これ最後まで続くのか?(不安) -- 名無しさん (2011-04-13 01:15:13)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー