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ちまこんお姉ちゃん

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匿名ユーザー

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 今日は私のお弁当当番の日だったので、早めに起きてお弁当の準備。
 二人分のお弁当箱に、作ったおかずを順番に詰めていく。
 今日のおかずは、お姉ちゃんの大好物のプチオムレツ。
 といっても、大好物っていうのは私の勝手な思い込みなんだけどね。
 本当は、お姉ちゃんは、私の作った料理なら何でも「おいしい」と言って食べてくれる。
 私はそれがとっても嬉しい。
 本当なら、私が毎日作ってあげてもいいくらい。
 でも、毎朝早起きしてお弁当を作るのはやっぱりつらいかも。
 う~ん、どっちだろ・・・?

 そんなお姉ちゃんが、今朝は何故かなかなか起きてこない。
 どうしたのかな?
 勉強のしすぎで疲れちゃったのかな?

「つかさー。ちょっと、かがみ起こしてきてくれる?」

 お母さんに頼まれて、私はお姉ちゃんの部屋に向かう。
 私がお姉ちゃんを起こしに行くなんて、なんか変な感じ。
 これって、天変地異の前触れっていうのかな?
 お空からバルサミコスー、な予感。

 「おねえちゃーん、入るよー」
 お姉ちゃんの部屋のドアの前に立ってお姉ちゃんに呼びかける。

 ・・・。

 返事がない。
 まだ寝てるのかな?

 私はゆっくりドアを開ける。

 ・・・あれ?いない?

 部屋の中を見渡してみたけど、お姉ちゃんの姿が見当たらない。
 ベッドにもいないみたい。
 念のため、布団の中を確かめてみようと思って、私はベッドに近づく。

「ダメ!」
「え・・・?」

 どこからかお姉ちゃんの声が聞こえる。
 私はもう一度部屋をぐるりと見渡してみるけど、やっぱりお姉ちゃんの姿は見えない。

「お姉ちゃん、どこー?」
「来ちゃダメー!」
「お姉ちゃん?」

 どうやら、お姉ちゃんの声はベッドから聞こえてくるみたい。
 でもどうして、来ちゃダメなんだろう・・・?

 私はベッドの上の布団を手に取り、そっとゆっくりめくった。
 そこにあったのは・・・。

「パジャマ?」

 ・・・脱ぎ捨てられたお姉ちゃんのパジャマだった。
 お姉ちゃんはそこにはいなかった。
 おかしいな、確かにここから声が聞こえたはずなんだけど・・・。

 しばらくそのパジャマを眺めていると、突然、パジャマの胸の中で何かがガサゴソッと動いた。

「いやあぁぁ!ね、ネズミ!?」

 私はびっくりして思わず悲鳴を上げた。

「ちょっと待て。誰がネズミだ」

 またお姉ちゃんの声。
 やっぱりベッドの上から聞こえてくる。

「いい?つかさ。これから何を見ても驚かないって約束できる?」
「う、うん・・・」

 訳が分からなかったので、とりあえず返事をする。
 すると、パジャマの胸の辺りにあった膨らみが右袖に向かってガサゴソと動いて・・・。
 何かが袖口からひょこっと顔を出した。
 その顔は・・・。

「お姉ちゃん・・・?」

 お姉ちゃんだった。私は袖から出てきたお姉ちゃんを黙ったままじっと見つめる。
 お姉ちゃんもじっとこっちを見てる。
 えっと、黙りこんじゃったのは、何が起きているのか分からなくて、頭が混乱しちゃったからで・・・。
 で・・・。
 状況把握。

 ・・・!!

 ・・・!!!!

「お姉ちゃんが、ちっちゃくなってる!!??」 

 また声を上げちゃった。

「やっぱり無理だったか・・・」

 お姉ちゃんがボソッと呟く。
 驚くな、なんて言われても無理に決まってるよ・・・。

「お、お姉ちゃん。どうしちゃったの!?」
「どうしちゃったの?って訊かれても・・・。目が覚めたらなんか、こうなってて・・・」
「ほ、ほんとうにお姉ちゃん?」
「ほ、本当よ。間違いなく本当の私よ。・・・たぶん」
「そっか」

 お姉ちゃんは少し混乱しているみたい。
 私もまだ混乱しているけど。

「ど、どうしよう・・・」
「うーん・・・。と、とりあえず、何か着る物が欲しいわね」

 よく見るとお姉ちゃんは裸で、ちょっと寒そうにしている。
 どうやら、着ていたパジャマまでは一緒に小さくなってはくれなかったみたい。

「着る物って言わ・・・」

 そう言いかけたとき、ピコーンと頭の中で何かが光った。
 そうだ、いいこと思いついちゃった!





「何なの、これ?」
 私が手渡したお洋服を着終えたお姉ちゃんが尋ねてくる。
「白のワンピースだよ」
「見れば分かるわよ。何で今の私のサイズにぴったりの服があるのかって訊いてるの」
「えっとね、昔ね、お人形さんで遊んでいた頃にね、お母さんに頼んで、着せ替え用のお洋服を作ってもらったことがあったの」
「それが、この服?」
「うん。でも良かったー。大事にとっておいて」
「それにしても・・・」
「ん?なあに?」
「・・・下着まで作ってあるとは・・・凝ってるわね」
「履き心地、悪くない?」
「こんな状況で、贅沢も言ってられないわよ。今日はこれで我慢するわ」
「うん、ごめんね。そんなのしか見つからなくて」

 小さなワンピースを身にまとったお姉ちゃんがベッドの上にちょこんと立っている。
 私はその姿を見てお姉ちゃんのサイズを再確認。
 お姉ちゃんは、ちょうど携帯電話を広げたとき位のサイズまで縮んでしまっていた。
 でも、頭身は小さくなる前のまま。
 まるで、本当のお人形さんみたい。
 お姉ちゃんは落ち着かないのか、時折スカート部分を掴んで左右に揺らしたり、バタバタとその場で足踏みをしたりする。

「お姉ちゃん」
「ん?何?」
「・・・かわいい」
「んなっ!?」
「その服、すごく似合ってるよ」
「まったく、からかわないでよ。人の気も知らないで!」

 お姉ちゃんの顔が赤くなっちゃった。
 やっぱり本物のお姉ちゃんだ。





 お姉ちゃんが学校に行くと言い出した。
 私は危ないからやめた方がいいって言ったんだけど、勉強で遅れをとるわけにはいかないって・・・。
 こんな状況なのに、たくましすぎるよお姉ちゃん・・・。
 それから、家族にはこのことは内緒にしておくことにした。
 私は、お姉ちゃんの指示に従い、お姉ちゃんの靴と制服と鞄をクローゼットに隠してから、お母さんに
「お姉ちゃんは友達に電話で呼び出されて先に学校に行っちゃった」
 と告げた。
 嘘、うまく言えたかな・・・?怪しまれてないかな・・・?よし、大丈夫。

 支度を整えてからお姉ちゃんの部屋に戻ると、お姉ちゃんがベッドの上から覗き込むように床を見ていた。
 あ、そっか、降りられないのか。そうだよね、高すぎるよね。

「お姉ちゃん、危ないよ」

 私は両手をそっとお姉ちゃんの前に差し出す。
 するとお姉ちゃんは恐る恐る足を私の手の上に乗せる。
 うぅ・・・足ちっちゃいよぅ・・・かわいいよぅ・・・。

「ありがと、つかさ」
「ふぇっ!?」
「ど、どうしたのよ?」
「あ、ううん。何でもない」
「しっかりしてよね。今はあんただけが頼りなんだから」
「う、うん、大丈夫だよ!お姉ちゃんは私が守るから!だから安心してね」
「お、頼もしいわねえ。じゃあとりあえず、私を鞄の中に入れてくれる?」

 私は手に乗せたお姉ちゃんを慎重に鞄まで運ぶ。
 お姉ちゃんは、バランスを崩さないように、私の両手の親指を一生懸命掴んでいる。
 うぅ・・・手もちっちゃいよぅ・・・。
 そしてお姉ちゃんは鞄の中へ・・・。
 うわっ、本当に入っちゃった。
 このままだと何だか可哀想な気がするので、私はタンスから厚手のハンカチを探してきて、それをお姉ちゃんに手渡した。
 お姉ちゃんはハンカチを受け取ると、それをクルリと体に巻いて、私に向かってニコッと微笑んだ。
 わーぉ。

「じゃあ、出発しますか」
「うん」
「つかさ」
「うん?」
「あまり揺らさないでね」
「うん」
「それから、くれぐれも鞄、落とさないようにね」
「うん」
「それから・・・」
「お姉ちゃん」
「なに?」
「私って、そんなに頼りないかなぁ・・・?」
「うーん・・・。まあ、何と言うか・・・そうね」

 さっきは頼もしいって言ってくれたのに・・・。

「冗談よ。頼りにしてるから。さ、出発しましょ」
「・・・うん!」

 お姉ちゃんは、自分で学校に行くなんて言い出したけど、心の中はきっと不安でいっぱいなんだ。
 だから、私がしっかりしなくちゃ。

「じゃあ行こっ、お姉ちゃん!」

 私は鞄を持って部屋を飛び出す。

「つかさストーップ!」
「な、なに!?」
「・・・世界史の教科書が入ってないわよ。今日授業あったわよね?」
「はうぅ・・・」

 ・・・いきなりやっちゃった。
 というか、何でお姉ちゃんが私のクラスの時間割を把握しているんだろう?

「まったく、幸先悪いわねえ・・・」


















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  • 続きぷり~ず!です。 とりあえず、こなたに いじられる所まで… -- 名無しさん (2011-05-01 00:45:49)
  • バスサミコ酢ーで、おもちうにょーんで、どんだけーで、でもそんなの関係ねぇ!だね!← -- 名無しさん (2010-08-24 22:12:36)
  • うわー、欲しいいいいいいい!! -- 名無しさん (2010-08-15 11:35:07)

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