非エロ:龍田・吹雪13-492

ふと思いついた妄想を投下

※独自設定あり
※本番無し
※俺はエロ妄想しようとしたのに戦闘の方が長かった。な、何を言ってるのか(ry

鎮守府からほど近い海域。遮るものの何もない洋上の太陽は、穏やかな海面に真一文字の航跡を残す一隻の艦影を照らし出す。
影は遠洋マグロ漁船と同じかやや大きいぐらいだが、小さな艦橋に衛星通信アンテナや航海用レーダーに混ざって立ち並ぶ対空、対艦用の各種レーダーや射撃指揮装置、20mmCIWS、
そして何より艦尾ウェルドック上に翻る軍旗が、この船が軍艦であることを示している。

この軍旗の下、薄暗いウェルドック内に6人の艦娘が3人ずつ向かい合って座っている。
艤装をつけたままの彼女らは普段の賑やかさが嘘のように、誰一人口を開かない。

唐突なサイレンが、エンジン音だけが低く響くこの場所の沈黙を破った。
≪方位260、距離4000、レーダー、ソナーに感あり。数6。反応より1乃至2の空母を認む。全艦出撃用意≫
続いて聞こえてきた彼女らの司令官の声に、スピーカーに集まっていた12の瞳は2つずつそれぞれの艤装に散ってゆく。

艤装から顔を出した妖精たちとのやり取りは十人十色で、ただそれぞれの艦娘に準備完了の合図を送るだけのものや、
その一方で艦娘の指と円陣を組むものや互いの拳を打ち合わせるものがいるなど、どの艦娘の装備になったかによって性格も変わってくるらしい。

それらが終わり、それぞれの持ち場につくと、今度は艦娘が声を上げる。
「吹雪、準備よし!」
「電、準備よしなのです!」
「若葉、準備よし!」
「龍田、準備いいわよ」
「五十鈴、準備よし!」
「鳥海、準備よしです」

全員の準備が整ったところで、旗艦が据え付けられているマイクを手に取る。
「ドックより艦橋。全艦出撃準備完了です!」
「艦橋了解。ドック開放。全艦出撃!」

その返事と共にガァンと音が響き、薄暗いウェルドック後方の壁が空と海とに変わり、先程までの壁が海面へのスロープとなる。

≪出撃と同時に単縦陣展開。対空警戒を厳とせよ!……健闘を祈る。生きて帰れ≫
全員の耳に緊張した声が届くと、鳥海を先頭にした単縦陣が伝えられた方位に向かって一直線に向かっていく。

≪敵影捕捉。空母1、軽空母1、重巡1、軽巡1、駆逐2≫
「対空警戒!対空警戒!」
無線の直後、鳥海の妖精が遠くに蚊柱のような影を認めて後続に伝える。

やがて蚊柱は黒い雨雲となり、低いエンジン音の雨が彼女らの頭に降り注ぐ。
回避行動をとる彼女達の航跡が無数の輪を描き、花火のように機銃や高角砲が煌めく。
雨を掻い潜り、または追い散らし、またはそれを浴びながら、無数の輪は少しずつ雨雲の向こうへと近づいていく。

「左舷砲雷撃戦、用意!」
「あはははっ。砲雷撃戦始めるね」
雨が止んだ途端、それまでのうっ憤を晴らすようにそれぞれの主砲が敵艦隊に襲いかかる。

鳥海と龍田の砲弾がヌ級を包み込み、若葉の砲弾がニ級に突き刺さる。
負けじと敵艦隊も応戦するも、1隻、また1隻と動きを止めてゆく。

日が傾き、西の空がオレンジから紫に変わり始めるころ、ついに1発の砲弾がヲ級を捉えた。
それを皮切りにいくつかの方向から次々と命中弾が送り込まれ、ヲ級の姿が爆炎と水柱の向こうへと消える。
その水柱に吸い寄せられるように幾条もの白線が伸びていき、また大きな水柱が上がる。

唐突に轟音が響いた。
同時に一際大きな水柱が上がり、それを囲むように小さな水柱が無数に誕生と消滅を繰り返す。

≪反応消滅を確認。敵空母撃沈に成功した!繰り返す、敵空母を落とした!≫

無線の声に艦娘達の歓声が上がる。
最早大勢は決した。
敵艦隊は正規空母、軽空母、駆逐艦2隻を失い、重巡と軽巡は浮いているのがやっとの有様だ。
対する艦娘側は鳥海が小破、電が中破した以外は大きな被害は出ていない。

圧勝である。
まだ創設から日が浅く、空母や戦艦がいないこの艦隊にとってはまさに大金星と言ってよかった。

「素晴らしい戦果だ!皆よくやってくれた!!」
ウェルドックが開くのを待つのももどかしいと言った様子で、若い提督は彼女らに駆け寄った。

「やりました!司令官!!」
晴れやかで充実した笑顔を浮かべ、吹雪が駆け寄る。

近づいた彼女達からすさまじい熱気を提督は感じた。
考えてみれば当然の話で、先程まで砲身が焼け付くまで壮絶な撃ち合いをしていたのだ。
彼女達は皆、赤熱した砲身を空に向け、そこから放たれる陽炎に包まれて滝のような汗をかいている。

吹雪はウェルドック端に置かれていた人数分の高速修復剤ではない、ただのバケツを掴むと外で待つ仲間にバケツリレーで渡していく。
「何やって―」
提督の質問は途切れた。

吹雪が、鳥海が、龍田が、電が、若葉が、五十鈴が、足元の海水を掬って頭からかぶった。
ジュウウという音と共に湯気に包まれた彼女達は、生き返ったというような顔をしているが、驚いたのは若い提督である。

「なっ!?」
艤装と自分自身を冷やすのに効率のいい方法と言うのは分かる。
だが、服を着たままそれをすればどうなるか、提督の眼は、目の前でふるふると犬のように水を払っている吹雪に向いている。

戦闘で水をかぶった所で艤装によってある程度は遮られてはいるが、この様に全身にかかるように被るとなれば話は別だ。
濡れた服は体に貼りつき、成長段階と思われる小ぶりな胸に似合う白いスポーツブラがくっきりと透けている。

「何ですか?」
男の目が自分の裸体に向いていると分からないのか、吹雪は提督の方を見て小首を傾げる。
「いっ、いや、何でもない!」
まさか、言える訳がない。

帰投する船の中、提督は一人悶々としていた。
あの後、ウェルドックに全員が戻ると、そこはとんでもない空間になっていた。

薄暗い密室に、濡れた髪に肌に貼りついた服と言う何とも男を乱れさせる美少女6人。
それも汗に混ざってむせ返るような色香を放っている。
この空間にいておかしくならぬ男はいない。

慌てて艦橋に避難してきた訳だが、ウェルドックとの間には数段の階段と扉一枚しかない。

「うふふ。提督~どうして逃げるんですか~?」
「龍田!?…いや、別に逃げてるわけでは……」

窓に反射した龍田の眼は、面白い玩具を見つけた時のそれだ。
「あら。それなら私をまっすぐ見て~」
提督はちらりと横眼で龍田を見ると、すぐに目を逸らした。

濡れた龍田はその紫の髪が顔に少し貼りつき、濡れた服はその堂々たる胸をしっかりと見せている。
何より本人がそれを理解した上で、胸元を見せつつ上目づかいで覗き込んでいるのだから余計に質が悪い。

「どうして目を逸らすのかしら?」
「良いからむこうに戻っていろ」
「そうねぇ、疲れたしそうしようかしら。でもごめんなさいね提督」
龍田はそう言いながら提督の後ろに回り込み、その顔を提督の横に並べる。
抱きしめるようにその腕が提督の首へと回されている。

「今日みたいな長い戦いの後はああでもしないと暑くて仕方ないのよ。うふふ。それとも暑そうにハァハァしてる私や吹雪ちゃんが見たかったかしら~」
そんな事を甘い声で、かつ耳元で囁かれたら、いかに想像力の乏しい男でも妄想を掻き立ててしまうものだ。


流れる汗、それを拭う白い腕、貼りついた髪の毛と紅潮した頬。
健康的な色香を振りまいて、しかしそれを自覚せずに、荒い息遣いの吹雪がまっすぐに提督の眼を見つめながら小首を傾げる。
「はぁ、はぁ……。なんですか司令官?」


「……ッ!!」
「あらあら~どこを大きくしているのかしら~」
首に回っていた手がゆっくりと滑り落ちていく。

「良いから戻れっ!!命令だ!」
何かを振り払うように立ち上がった提督は龍田を振り返らずにそう言って話を終わらせる。
「は~い。では失礼しますね」

後ろで扉が閉まる音が聞こえる。
こうして、この新人提督は提督の洗礼を受けたのだった。


これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
最終更新:2014年12月04日 18:05