速吸×慰安夫 東「鎮守府慰安労働 速吸編」17-724

723 :名無しの紳士提督:2015/08/30(日) 02:12:31 ID:JoLnJDN.

鎮守府慰安労働を書いていた者です
完全に迷走しているため、ひとまず速吸に手伝ってもらって一区切りつけます
微エロ?だと思います、本番はないのでその辺りはご注意を
一応、本編というか一番メインの世界線ということでお願いします


724 :鎮守府慰安労働 速吸編:2015/08/30(日) 02:13:02 ID:JoLnJDN.

新たな特別侵攻作戦が終了してから数日が経った。
例のごとく、東が所属している鎮守府は全鎮守府中最速で作戦海域を突破している。
提督の戦場を見極める眼力と、異常なまでに高い艦娘たちの練度がそれを可能にしたのだ。
そこまで考えたところで、思わず東は照れ臭いような恥ずかしさを覚える。

「……間宮さんの補給が有限だからって、何で俺があんなことを」
「仕方ないじゃないですか。提督はそれが一番だと思ったわけですから」
「独り言を拾うのは感心しないぞ、明石」
「ふふ、工廠は私の庭ですゆえに」

独りごちた言葉を明石に拾われ、バツが悪そうに東は頭をかくしかなかった。
練度の高さ、提督の眼力だけでは前線を切り開くまでには至らない。
艦娘の繊維を高く保つのも侵攻作戦を成功させうる、一つの妙だった。
しかし間宮の補給は貴重であり、乱用できるものではないのも事実。

提督は補給源となりうる存在として、慰安夫“東”に目を付けた。
理由は調査中とのことだが、艦娘の戦意を高めるには東の存在は艦娘に不可欠である。
そう考えた提督は、戦意のために東を艦娘たちに貸し出す方法を思いついたのだ。

「特別侵攻作戦の時には誰しも忙しくなりますが、東さんはベクトル違いですしね」
「よしてくれ。色々と大変だったんだ」
「引く手あまたでしたからね。いや、モテる男は辛いですね~」
「明石!」
「冗談ですよ、冗談」

からかいながら明石は踵を返し、工廠の中へと戻っていく。
気恥ずかしいのも無理はない。
東は文字通り慰安夫のように、戦場に赴く艦娘たちと男と女の関係を繰り返していた。
全部が全部そうではないが、中には複数人を同時に相手にするケースもある。
街に出て遊ぶこともあったが、多くは“そういうこと”だったといえる。
ふと空を見上げれば星が顔を出している。

「帰るかな。明石ー、お前はいつまで工廠にいるんだー?」
「キリがついたら帰りまーす! お先にどうぞー!」
「それでキリよく帰ってきたことないが、まぁいいか」

それだけ言い残し、東は工廠を離れて自分の部屋へと戻っていく。
特別侵攻作戦に一役買ったということで、今では割り当てられた部屋も変わった。
以前は軽巡洋艦寮の近くだったが、今では重巡洋艦の寮の近くになっている。
部屋の内装もよくなり、ちょっとした軍の尉官にも匹敵するほど。
無論、提督が残してきた戦果による後押しも大きかった。

「東、今日はもうお休みかい?」
「あぁ、提督。お疲れ様です」

そこへ提督が通りかかった。
背丈だけなら軽巡洋艦の艦娘たちと変わらないくらいだが、提督としての能力は絶大。
提督と言う名を持つ者の中では一人として知らぬ者はいない。
しかしそんな面影はどこにもなく、駆逐艦が着るような可愛らしい寝巻に身を包んでいる。
欠伸まじりに歩いてくる姿からは疲れも感じられた。

「随分お疲れのようですね」
「まーねー。新人の子の部屋の手配で忙しかったからさ~」
「そういえばまだ部屋は用意できてないんでしたっけ」
「そーよ。速吸は羽黒がいないから、ひとまず妙高型の部屋で今夜はお休みさ。リペッチオは潜水艦娘の部屋、それで照月は秋月の部屋などなどってね」
「速吸は妙高型の部屋……ん?」

瞬間、東の脳裏にはつい先ほど見送った遠征部隊の姿がよみがえった。
今夜の遠征は東京急行、鼠輸送任務、通商破壊作戦の三方面へと向かっている。
通商破壊作戦に赴いた重巡洋艦は羽黒と妙高、足柄と那智しかいなかった。
悪寒にも似た嫌な予感が東の背筋に走り、同時にその足は妙高型の部屋に向かう。

足柄と那智が何か悪さをする、などとは東も考えていたわけではなかった。
ただ新人が来るというイベントがあれば、二人がそれを肴に酒を飲もうとすることも考えられる。
そうなれば同室の速吸が酒を回される可能性も決してないとは考えられない。
ましてや速吸はまだ来て間もなく、二人の誘いを断れるとは思えなかった。
重巡洋艦の寮に駆け入り、階段を上がって薄暗い廊下に差し掛かる。
そこで壁にもたれながら、うつむき加減に座っている速吸の姿が目に飛び込んできた。

「速吸!? 大丈夫か!」
「あ、東さん。どうしました、こんな時間に」
「それはこっちのセリフだ。大丈夫か? 酒飲まされたりしてないか?」
「大丈夫です。私は」

速吸がそこで言葉を切り、視線を後方に向けた意図を東は一瞬で読み取った。
私は、ということはおそらく既に足柄と那智辺りが酒盛りを始めているのだろう。
ほのかに漂ってくる酒気に、思わず呆れたような笑みもこぼれるというもの。
侵攻作戦が終わってからというもの、鎮守府全体がお祭り騒ぎである。
速吸だけではなく、時を同じくして参戦した艦娘たちも歓迎会に駆り出されていた。
中には自分たちが騒ぎたいだけのように思える者たちもいないわけではない。

「ふふふ、みなさんいい人たちですよ。毎晩のことですけど、楽しそうです」
「そうだな……ってあれ、もしかして声に出てたか?」
「顔がそう言ってます」

スカートを叩きながら立ち上がる速吸の言葉に、東も渋い顔をするしかない。
瞬間、速吸の視線がどこか控えめに見上げてくるのを東は感じた。
元々身長差がそうあるわけではないが、どこか遠慮がちな視線である。
何か頼み事でもあるのだろうか。

「何かあったか? 俺でよければ聞くぞ?」
「あ、いえ、私は別に、何にも……」
「遠慮するな。伊達に慰安夫してるわけじゃないんだぜ?」
「じゃ、じゃあ、その、ひとつだけ、その、ひとつだけ!」

目は口程に物を言うというが、速吸の顔はどんどん赤くなっていく。
そんな状態で言いたいことが分からないほど、東は鈍いわけではない。
ましてや慰安夫として働いていれば、そういうことだろうという察しはつく。
顔から火が出そうなほど真っ赤になり、ようやく速吸は口を開いた。

「東さん! あの、その、ちゅーってしたことありますか!?」
「……酒は飲まされていないが、変なことは吹き込まれたようだな」
「だ、だってちゅーですよ!? 男性と女性との、ちゅ、ちゅー!」
「おう、恥ずかしいのは分かったから連呼するんじゃない。な?」

慌てふためく速吸をなだめながら、東自身も抑えきれない感覚を覚えていた。
口にするのも恥ずかしい単語を口にしながら、顔を真っ赤にしている少女。
普段控えめにもかかわらず、距離がなくなりそうなほど詰め寄ってくる少女。
どこかしら新鮮さすら覚えてはいたが、そうも言っていられない。

二人がいる場所は重巡洋艦の寮の廊下のど真ん中だった。
それも最寄りの部屋は足柄がいる妙高型の部屋、おまけに酔っ払いが二人と来ている。
状況の悪さは折り紙付きで、このまま騒がせておくわけにはいかなかった。

「速吸。落ち着いて俺の話を聞け、というか頼むから落ち着いて聞いてくれ」
「聞きます! じゃあ聞きますから――」
「聞きますから、何だ?」

聞き返すが早いか、身を屈めた速吸が東の腕をすり抜けるようにしてもぐりこむ。
そして顔は真っ赤な顔で、今まで以上に恥ずかしそうな表情で身を跳ねあげながら言い放った。

「私とちゅー、してください」
「本当に酒は入ってないんだろうな?」
「入ってません! ちゅーしてくれたら、落ち着きますからぁ……」
「そんな目で見つめるんじゃない、全く」

切なげな声、縋り付くような視線を速吸に送られては東も無下には断れなかった。
こなれたように口にしている自分に、嫌気が差さずにはいられない。
例え仕事の積み重ねであったとしても、軽々しく行ってはいけない行為だと思っていた。
だが目の前で子犬のようにせがんでくる速吸を前にしては、そんな思いも無意味。

「一回だけだからな?」
「は、はい! じゃ、じゃあ! よろしくお願いします!」

速吸が満面の笑みを見せた瞬間、東は身体の自由が利かなくなったのを感じた。
同時に速吸の黒い瞳が覗きこめそうなほど顔が近付く。
身を引くことすら適わず、それどころか引き寄せられるのすら感じた。
正面から脇を抱きかかえられていることに気が付いたのは、その後のことである。

「東さん……」
「速吸。胸が当たってるんだが、その辺りは大丈夫か?」
「いいです、いいですから、はい、んっ……」
「お、おう」

重巡洋艦というほど大きくはなく、軽巡洋艦というほど小さくもない。
ただ今までにないジャージ越しに押し付けられるという、速吸だけの特徴的な感覚。
慰安夫として長く働いてきたものの、初めての感覚は戸惑いつつも心地良い。
抱きかかえられ、下がれないというマイナスな状態が扇情的に東を駆り立てていた。

慰安夫として鎮守府で働いてきた東は、今までに何人もの艦娘と関係を持っている。
どれも戦意高揚のためであり、事実、艦娘たちが上げてきた功績はかなりのものがあった。
好意を持って接してくれた者たちも多かったが、どこか戦意のためにという艦娘もゼロではない。
東としてもそういうものだと思っていたし、悪い事とは思ってもいなかった。
しかし今、目の前で唇を重ねている速吸はそのどちらにも分類できない。

「んっ、ふぁ、あずま、ひゃん、ひもひいい、れふぅ」

東を抱きかかえ、必死に唇を求めてくる速吸の姿は一生懸命の一言。
決して上手いわけではないのに、次々と唇を求める姿はなんとも愛らしい。
その姿に男として惹かれないわけがなく、東の一物は屹立しかけていた。

「さてと、一回って約束だったな。これで終わりだ」
「ふぇ? あ、そんなぁ、もう少し、もう少しだけお願いします」
「ダメだ。どうしてもっていうなら慰安夫としての俺に依頼するんだな」
「え、あ、う~……」

むくれたように声をこぼす速吸を背に、東は出来る限り余裕を振りまいてその場を去った。
否、もはや余裕など欠片ほどしかない。
声をこぼした速吸の唇がぬめり気を帯び、あやしく月明かりに映えていたのを東は見ていた。
あと数秒遅ければ求める側が逆転しかけていたかもしれないと考えると、やるせない気分になる。

しかし重巡洋艦の寮の廊下である以上、続けるにはあまりにもリスクが高すぎる。
東は自分の選択が間違っていないことを確信しながら、自分の部屋に戻るのだった。


729 :鎮守府慰安労働 速吸編:2015/08/30(日) 02:15:58 ID:JoLnJDN.

以上です。
次の話で鎮守府慰安労働には一区切りつけます
散々迷走してしまったので、では
最終更新:2016年07月20日 13:32