「なぁキョン聞いてくれ! 昨日、ナンパに成功したんだ!」
……アホの谷口の戯言だ。というか、先週もそんなこと言ってなかったか?
「違ぇよ! 昨日は本当に運命としか思えないファーストコンタクトを……」
だらだらと谷口のスピーチが始まった。実に無駄な時間だな。
どうやら谷口が出会った少女は、とてつもなーく可愛くて、髪形やら笑顔やらがビッグバン並に素敵らしい。どれも谷口の主観だからなんとも言えないが。
「それで谷口。お前はそれを俺に自慢してどうするつもりだ。正直俺はお前がナンパに成功しようがちっとも悔しくないし、失敗したとしてもそれを嘲笑おうなんて思ってないぞ」
「それだ、キョン」
何がだ。指示語で答えるな。
谷口は俺の言葉を無視して突然自分の鞄を漁り出した。まさか俺にそのナンパしたこの友達の女の子を紹介してくれるとかか? いやまさか谷口にそんな他人を気遣うような精神あるはずが無
「これをお前に……」
……あった。谷口は小さなシステム手帳のようなものを取り出すと俺に渡した。谷口、見直したぞ。いつもナンパで失敗するたびに心の中で嘲笑っててすまなかった。これからは応援してやる。
「笑ってたんじゃねぇか! ……まぁいいキョン、俺が何故こんなものをお前に渡したかと言うと、それはもう運命的な……」
誇張やら過剰表現やらが八割以上の谷口の演説を要約すると、
『あなたとお茶してもいいんですが、代わりにあなたの一番の友達にこの手帳を渡してください』
ということらしい。なんだそりゃ。
「いや俺もワケわかんねぇよ。少しだけ、ほーんのちょっと見させてもらったけどな、神やら良く解らない単語やら…… 宗教の指南書かと思ったぜ」
ふむ。つまりこれは不思議手帳ということか。ハルヒに見せたら喜ぶかもしれんな。だが何故友達に渡す必要があるのだろう。まさか呪いの手帳とかじゃないだろうな。
そんなことを思いつつ、俺は受け取った手帳を開いた。
……アホの谷口の戯言だ。というか、先週もそんなこと言ってなかったか?
「違ぇよ! 昨日は本当に運命としか思えないファーストコンタクトを……」
だらだらと谷口のスピーチが始まった。実に無駄な時間だな。
どうやら谷口が出会った少女は、とてつもなーく可愛くて、髪形やら笑顔やらがビッグバン並に素敵らしい。どれも谷口の主観だからなんとも言えないが。
「それで谷口。お前はそれを俺に自慢してどうするつもりだ。正直俺はお前がナンパに成功しようがちっとも悔しくないし、失敗したとしてもそれを嘲笑おうなんて思ってないぞ」
「それだ、キョン」
何がだ。指示語で答えるな。
谷口は俺の言葉を無視して突然自分の鞄を漁り出した。まさか俺にそのナンパしたこの友達の女の子を紹介してくれるとかか? いやまさか谷口にそんな他人を気遣うような精神あるはずが無
「これをお前に……」
……あった。谷口は小さなシステム手帳のようなものを取り出すと俺に渡した。谷口、見直したぞ。いつもナンパで失敗するたびに心の中で嘲笑っててすまなかった。これからは応援してやる。
「笑ってたんじゃねぇか! ……まぁいいキョン、俺が何故こんなものをお前に渡したかと言うと、それはもう運命的な……」
誇張やら過剰表現やらが八割以上の谷口の演説を要約すると、
『あなたとお茶してもいいんですが、代わりにあなたの一番の友達にこの手帳を渡してください』
ということらしい。なんだそりゃ。
「いや俺もワケわかんねぇよ。少しだけ、ほーんのちょっと見させてもらったけどな、神やら良く解らない単語やら…… 宗教の指南書かと思ったぜ」
ふむ。つまりこれは不思議手帳ということか。ハルヒに見せたら喜ぶかもしれんな。だが何故友達に渡す必要があるのだろう。まさか呪いの手帳とかじゃないだろうな。
そんなことを思いつつ、俺は受け取った手帳を開いた。
『今日こそ話を聞いてもらいます』
パタン。
閉じた。
「あー、すまん谷口。確認したいんだが、そのナンパってのは、お前から話して成功したんだよな?」
「そうに決まってんだろ! まぁその女の子俺のことばっかり見てたし俺の周りをウロウロしてたからな、きっと俺に気があったんだ!」
うむ。非常に、残念だ。谷口、お前の運命的な感覚ってのはその程度のものらしいぞ。もうナンパなんて諦めて運命を受け入れろ。
「何言ってんだキョン。で、その中身はなんなんだ?」
手帳をパラパラ捲っていくと、中には名前こそ伏せられてはいるものの、佐々木を神にすることの利点、ハルヒの危険性、その他パーソナルデータについてまで事細かに佐々木とハルヒの違いが記されていた。
その後にも妙な論文や訳の解らない理論、最後の方になると非協力的な未来人や無反応の宇宙人に対する愚痴が延々と綴られてたんだが ……なんだろうねコレ。
ここまでの内容を見る限り、確実にこの手帳は俺宛に書かれたものだ。即ちこれを渡した人間は谷口に"自分から"接触したわけで、つまり谷口のナンパは仕組まれたものだ。谷口、陰謀の上で踊れ。
そしてこの手帳を書いた人間―― 言うまでも無い、解らないほど俺は馬鹿じゃない。
橘京子。必死だな。可哀相にも感じる。
「やれやれ」
俺は今後を妄想して小躍りする谷口を見ながら、今度あいつの話も一回くらい聞いてやろうか、と考えていた。
「そうに決まってんだろ! まぁその女の子俺のことばっかり見てたし俺の周りをウロウロしてたからな、きっと俺に気があったんだ!」
うむ。非常に、残念だ。谷口、お前の運命的な感覚ってのはその程度のものらしいぞ。もうナンパなんて諦めて運命を受け入れろ。
「何言ってんだキョン。で、その中身はなんなんだ?」
手帳をパラパラ捲っていくと、中には名前こそ伏せられてはいるものの、佐々木を神にすることの利点、ハルヒの危険性、その他パーソナルデータについてまで事細かに佐々木とハルヒの違いが記されていた。
その後にも妙な論文や訳の解らない理論、最後の方になると非協力的な未来人や無反応の宇宙人に対する愚痴が延々と綴られてたんだが ……なんだろうねコレ。
ここまでの内容を見る限り、確実にこの手帳は俺宛に書かれたものだ。即ちこれを渡した人間は谷口に"自分から"接触したわけで、つまり谷口のナンパは仕組まれたものだ。谷口、陰謀の上で踊れ。
そしてこの手帳を書いた人間―― 言うまでも無い、解らないほど俺は馬鹿じゃない。
橘京子。必死だな。可哀相にも感じる。
「やれやれ」
俺は今後を妄想して小躍りする谷口を見ながら、今度あいつの話も一回くらい聞いてやろうか、と考えていた。