クリンナップ・ステップ(前編) ◆CFbj666Xrw
トリエラは緩やかな安息の中で考えていた。
このまま夜を超え、朝を迎え、そして。
(問題は……それからどうするか、か)
このまま夜を超え、朝を迎え、そして。
(問題は……それからどうするか、か)
どう動くか、という意味なら既に決まっている。
このまま朝まで休息を取り、その後は町を出て南下する。
途中で洞窟を調査し、シェルターに着けばそこで解散する。
それから小太郎とタバサは城へ、トリエラは廃墟へと向かう。
更に別れてからも、小太郎側は定期的に携帯電話で連絡を取る。
このまま朝まで休息を取り、その後は町を出て南下する。
途中で洞窟を調査し、シェルターに着けばそこで解散する。
それから小太郎とタバサは城へ、トリエラは廃墟へと向かう。
更に別れてからも、小太郎側は定期的に携帯電話で連絡を取る。
そうして手がかりを捜す。
仲間を捜し、ジェダに抗う為の手札を集める。
問題はこれだ。
それぞれの捜し人に加えて、誰が仲間として信頼できて、誰が信頼できないのか。
命すら操るジェダを出し抜けるような鍵は、何処に有るのか。
仲間を捜し、ジェダに抗う為の手札を集める。
問題はこれだ。
それぞれの捜し人に加えて、誰が仲間として信頼できて、誰が信頼できないのか。
命すら操るジェダを出し抜けるような鍵は、何処に有るのか。
(幸い、私達は参加者について十分な情報を得ている。纏めておいた方が良さそうね)
情報交換は十分に済ませている。
必要ならグラーフアイゼンに確認を取れば良い。電子知能の記録が忘れる事は無いだろう。
トリエラは情報を纏め始めた。
情報交換は十分に済ませている。
必要ならグラーフアイゼンに確認を取れば良い。電子知能の記録が忘れる事は無いだろう。
トリエラは情報を纏め始めた。
(まずは捜し人についてね)
現在、トリエラ達の捜し人は数多い。
現在、トリエラ達の捜し人は数多い。
一人はタバサの双子の兄である、レックス。
死者の復活──複雑な感情は有るが実在自体は証明された、をも使いこなす回復能力者。
強靭な魔物達と互角に戦える剣の達人であり、強力な攻撃呪文も使えるという勇者。
無事再会する事が出来れば、タバサを守る大きな力となるだろう。
18時の放送直後、E-4の中央森林地帯でレミリアと戦ったのが最後の目撃証言だ。
タバサが城に居ると予想したのは『見覚えのある建物だから何となく』程度の理由だったが、
考えてみればE-4からF-3の城は極めて近い。案外そこに居るかもしれない。
死者の復活──複雑な感情は有るが実在自体は証明された、をも使いこなす回復能力者。
強靭な魔物達と互角に戦える剣の達人であり、強力な攻撃呪文も使えるという勇者。
無事再会する事が出来れば、タバサを守る大きな力となるだろう。
18時の放送直後、E-4の中央森林地帯でレミリアと戦ったのが最後の目撃証言だ。
タバサが城に居ると予想したのは『見覚えのある建物だから何となく』程度の理由だったが、
考えてみればE-4からF-3の城は極めて近い。案外そこに居るかもしれない。
ただし、アイゼンによると、彼は一時期殺し合いに乗っていたらしい。
人の事は言えないし、改心したならそれを咎めていられる状況ではないが、
だからといって彼が殺し合いに乗っていた事と、それにより誰かを殺したかもしれない事。
それにより誰かの恨みを買っているであろう事を忘れて良いわけではない。
トリエラが、何人もの子供達にとっての仇であるように。
(それでもきっと、タバサはレックスと再会した方が良い。
虚勢を張って心に歪みを抱えてしまうよりは、ずっと)
人の事は言えないし、改心したならそれを咎めていられる状況ではないが、
だからといって彼が殺し合いに乗っていた事と、それにより誰かを殺したかもしれない事。
それにより誰かの恨みを買っているであろう事を忘れて良いわけではない。
トリエラが、何人もの子供達にとっての仇であるように。
(それでもきっと、タバサはレックスと再会した方が良い。
虚勢を張って心に歪みを抱えてしまうよりは、ずっと)
捜し人の二人目は、タバサの仲間だった蒼星石だ。
タバサを不安がらせたくは無いし、小太郎に余計な罪の意識を背負わせたくも無いが、
正直蒼星石がどう転ぶかは予測がつかない。
タバサと蒼星石は殺し合いの場という苛酷な環境の中で、互いに依存し支えあっていた節が有る。
その相手から突如裏切られた──少なくともそう受け取ったのだ。
タバサは小太郎に支えられたが、蒼星石は一人ぼっちで迷走してしまっている。
タバサを不安がらせたくは無いし、小太郎に余計な罪の意識を背負わせたくも無いが、
正直蒼星石がどう転ぶかは予測がつかない。
タバサと蒼星石は殺し合いの場という苛酷な環境の中で、互いに依存し支えあっていた節が有る。
その相手から突如裏切られた──少なくともそう受け取ったのだ。
タバサは小太郎に支えられたが、蒼星石は一人ぼっちで迷走してしまっている。
(しかも彼女の姉妹達が揃って危険な行動を取っているのも気になるわ)
少なくとも三人を殺した、殺し合いに乗っていたと思われる金糸雀。
夕方の森でも奇妙な爆弾、タバサ曰く爆弾岩によって多くの者を傷つけている。
大怪我をしていたプレセアという少女の死因はこれである可能性が高い。
そしてその際、明らかに異常な様子で目撃されている雛苺。
雛苺が操る奇怪な人形には、真紅と翠星石の首が吊り下げられていたという。
(以前のタバサ達のように、生き返らせる為に死体を持ち運んでいたの?
優勝のご褒美でそれを望んでいるとか……首だけというのは気になるけど)
少なくとも三人を殺した、殺し合いに乗っていたと思われる金糸雀。
夕方の森でも奇妙な爆弾、タバサ曰く爆弾岩によって多くの者を傷つけている。
大怪我をしていたプレセアという少女の死因はこれである可能性が高い。
そしてその際、明らかに異常な様子で目撃されている雛苺。
雛苺が操る奇怪な人形には、真紅と翠星石の首が吊り下げられていたという。
(以前のタバサ達のように、生き返らせる為に死体を持ち運んでいたの?
優勝のご褒美でそれを望んでいるとか……首だけというのは気になるけど)
蒼星石の姉妹の中で一番無垢だったという雛苺までも殺し合いに乗っていた。
この会場の中でも善良だったと見なせるのは、蒼星石の双子の姉の翠星石だけだ。
ジーニアスという少年の過去が浄玻璃の鏡で上映された時、翠星石は彼の仲間として姿を見せている。
ただし、二人の出会いも翠星石による攻撃という形で始まっている。
幸運にも和解できた、翠星石は悪い子ではなかったという結果だけを見るのは容易い。
だが見方を変えれば、これは。
(もしかすると彼女達は、そういう存在なのかもしれない)
この会場の中でも善良だったと見なせるのは、蒼星石の双子の姉の翠星石だけだ。
ジーニアスという少年の過去が浄玻璃の鏡で上映された時、翠星石は彼の仲間として姿を見せている。
ただし、二人の出会いも翠星石による攻撃という形で始まっている。
幸運にも和解できた、翠星石は悪い子ではなかったという結果だけを見るのは容易い。
だが見方を変えれば、これは。
(もしかすると彼女達は、そういう存在なのかもしれない)
彼女達が根っからの悪人であるとかそんな風に見ているわけではない。
例えば精神的に不安定であり、ふとした事で暴力に走ってしまうとか。
それを取り繕う能力に欠けていて、エスカレートしてしまうとか。
事実関係を確かめる慎重性を持たず、考える前に行動してしまうとか。
心が弱くて、甘い選択肢を用意されればそれに縋ってしまうとか。
自分の姉妹達がほんの少しでも傷つく事を、他の全人類の死より重く感じるとか。
そういった性質が積み重ねられているのではないか?
蒼星石達はアリスゲームと呼ばれる、姉妹達で最後の一人になるまで戦う、
いわばこの島の殺し合いと似た戦いを宿命付けて作られたのだという。
彼女達はその戦いを否定していたようだが……
彼女達の人格は“互いに争いやすいように”作られているのではないか?
例えば精神的に不安定であり、ふとした事で暴力に走ってしまうとか。
それを取り繕う能力に欠けていて、エスカレートしてしまうとか。
事実関係を確かめる慎重性を持たず、考える前に行動してしまうとか。
心が弱くて、甘い選択肢を用意されればそれに縋ってしまうとか。
自分の姉妹達がほんの少しでも傷つく事を、他の全人類の死より重く感じるとか。
そういった性質が積み重ねられているのではないか?
蒼星石達はアリスゲームと呼ばれる、姉妹達で最後の一人になるまで戦う、
いわばこの島の殺し合いと似た戦いを宿命付けて作られたのだという。
彼女達はその戦いを否定していたようだが……
彼女達の人格は“互いに争いやすいように”作られているのではないか?
(……まったく、私が言えた義理じゃないよ)
無理に零した苦笑いは、すぐに翳った。
幾つかはトリエラ自身にも言える事だ。
トリエラには条件付けと呼ばれる洗脳が施されている。
過去の記憶を消され、担当官のヒルシャーに対しては親愛の情を植え付けられている。
殺人への抵抗や罪の意識なども軽減されている。
トリエラのそれは同僚達と比べれば軽いものだが、普通には生きられない自覚は有る。
その人格は人を殺すために形成された。
無理に零した苦笑いは、すぐに翳った。
幾つかはトリエラ自身にも言える事だ。
トリエラには条件付けと呼ばれる洗脳が施されている。
過去の記憶を消され、担当官のヒルシャーに対しては親愛の情を植え付けられている。
殺人への抵抗や罪の意識なども軽減されている。
トリエラのそれは同僚達と比べれば軽いものだが、普通には生きられない自覚は有る。
その人格は人を殺すために形成された。
敵だと認識したならば、トリエラの殺意に揺らぎは無い。
放たれた銃弾が迷う事など有りはしない。
それは条件付けを施された義体の紛れも無い優秀さだろう。
だがこの島には銃《トリエラ》の狙いを付ける人間《ヒルシャー》が居ない。
銃が自分で標的を選んで打ち抜かなければならなくなった。
恐らくその結果が、三人に及ぶ善良な者達の殺害だ。
放たれた銃弾が迷う事など有りはしない。
それは条件付けを施された義体の紛れも無い優秀さだろう。
だがこの島には銃《トリエラ》の狙いを付ける人間《ヒルシャー》が居ない。
銃が自分で標的を選んで打ち抜かなければならなくなった。
恐らくその結果が、三人に及ぶ善良な者達の殺害だ。
(私は一体誰に銃口を向ければいいの?)
トリエラは銃を撃つ為の存在だ。それを否定する事は存在の否定に等しい。
だけど無闇に誰もかも殺す存在になりたいわけじゃない。
条件付けが施されていても、それと矛盾しない範囲で道徳や倫理観だって持っている。
叶うなら自分が引いた引き金で社会が“より良く”なって欲しい。
なのに足掻いた結果は悪い事ばかりをもたらしている。
だけど無闇に誰もかも殺す存在になりたいわけじゃない。
条件付けが施されていても、それと矛盾しない範囲で道徳や倫理観だって持っている。
叶うなら自分が引いた引き金で社会が“より良く”なって欲しい。
なのに足掻いた結果は悪い事ばかりをもたらしている。
(……嫌になるな。本当に)
静かに息を吸って、吐いた。
自虐していても仕方が無い。
逸れた思考を引き戻す。
情報整理を再開する。
静かに息を吸って、吐いた。
自虐していても仕方が無い。
逸れた思考を引き戻す。
情報整理を再開する。
捜し人の三人目はシャナ、吉永双葉、三宮紫穂の一行だ。
正確には三組目というべきか。
吉永双葉は怪我人かつ一応は一般人で、小太郎は三宮紫穂に対して気になる事が有るらしい。
出来る事ならどうにか連絡を取りたいところだが、生憎と目的地は島の正反対だ。
その上、中核を為すシャナが問題だった。
むしろトリエラは、明確にシャナを避けた方が良い。
彼女はトリエラを狙っているのだから。
(自動人形は全て破壊する、か。厄介な物を飲ませたみたいね。
私は人形なんかじゃない。でも、相手がそれを聞いてくれるかは別問題だろうな)
包帯を巻いた右肩に左手を当てる。
その下には深い抉り傷が有り、義体の機械的な骨格が覗いていた。
確かにこれを見られれば、ロボットとかそういう誤解をされても仕方がない。
シャナが自動人形を破壊しようとする理由はよく判らなかったが、
話し合えばきっと分かり合えるなんて楽観的な思考はしない方が良いだろう。
その上に一度は誤解で殺しかけた。恨まれていても当然なのだ。
しかしシャナは、それを止めようとしたのび太を見逃している。
正確には三組目というべきか。
吉永双葉は怪我人かつ一応は一般人で、小太郎は三宮紫穂に対して気になる事が有るらしい。
出来る事ならどうにか連絡を取りたいところだが、生憎と目的地は島の正反対だ。
その上、中核を為すシャナが問題だった。
むしろトリエラは、明確にシャナを避けた方が良い。
彼女はトリエラを狙っているのだから。
(自動人形は全て破壊する、か。厄介な物を飲ませたみたいね。
私は人形なんかじゃない。でも、相手がそれを聞いてくれるかは別問題だろうな)
包帯を巻いた右肩に左手を当てる。
その下には深い抉り傷が有り、義体の機械的な骨格が覗いていた。
確かにこれを見られれば、ロボットとかそういう誤解をされても仕方がない。
シャナが自動人形を破壊しようとする理由はよく判らなかったが、
話し合えばきっと分かり合えるなんて楽観的な思考はしない方が良いだろう。
その上に一度は誤解で殺しかけた。恨まれていても当然なのだ。
しかしシャナは、それを止めようとしたのび太を見逃している。
(あくまで狙ってくるのは自動人形……ロボットだけって事ね。
なら小太郎とタバサにとっては心強い味方になってくれるはず。
そこに私が居なければ)
理想的な形はトリエラが小太郎達と別れた後に、小太郎達とシャナが再会する事だ。
もちろん何時までも別れて行動出来るわけではないが、この島で長く生きるのは難しい。
嫌な話になるが、この島から生きて逃れる前に片方が脱落していれば、衝突は起きない。
小太郎の仲間と殺し合うよりは、この殺し合いに乗った敵と殺し合う方がまだマシだった。
(リルルにも会えたら警戒を呼びかけたいんだけど……)
なら小太郎とタバサにとっては心強い味方になってくれるはず。
そこに私が居なければ)
理想的な形はトリエラが小太郎達と別れた後に、小太郎達とシャナが再会する事だ。
もちろん何時までも別れて行動出来るわけではないが、この島で長く生きるのは難しい。
嫌な話になるが、この島から生きて逃れる前に片方が脱落していれば、衝突は起きない。
小太郎の仲間と殺し合うよりは、この殺し合いに乗った敵と殺し合う方がまだマシだった。
(リルルにも会えたら警戒を呼びかけたいんだけど……)
捜し人の四組目は、リルル。それとひまわりだ。
彼女達の消息は数時間前のトリエラとレミリアの遭遇時を最後に途絶えている。
まだこの街の何処かに居るのか、それともこの街から逃げ出したのか。
とにかく彼女とシャナが遭遇すれば不味い事になる。
彼女は正真正銘のロボットで、破損している片腕はその事を容易に伝えてしまう。
ひまわりの方は赤ん坊で、誰かの保護が必要不可欠な存在だ。
出来れば迅速に合流したいが、何処に居るのかの見当が付かなかった。
彼女達の消息は数時間前のトリエラとレミリアの遭遇時を最後に途絶えている。
まだこの街の何処かに居るのか、それともこの街から逃げ出したのか。
とにかく彼女とシャナが遭遇すれば不味い事になる。
彼女は正真正銘のロボットで、破損している片腕はその事を容易に伝えてしまう。
ひまわりの方は赤ん坊で、誰かの保護が必要不可欠な存在だ。
出来れば迅速に合流したいが、何処に居るのかの見当が付かなかった。
(……ヴィクトリアと太刀川ミミは死体で見つかった)
シャナに似た声の少女、ヴィクトリア。
念話で呼ばれて向かった警察署は諸共に破壊されてしまった。
この時は彼女の罠かと思ったが、どうやらレミリアの仕業だったらしい。
そのまま旅館に逃げ延びて、トリエラの仲間達と共にレミリアを迎撃する。
結局は敗北するがその時点では生きていて、ククリの殺害でご褒美を貰った金糸雀を殺害。
現場を目撃した小太郎に誤解されて逃亡し、その後でトリエラに電話を掛けてきた。
恐らくその直後、レミリアに殺害された。
レミリアが所持していたアイゼンからの断片的な情報だ。
すぐ近くには首輪が爆発して死んだような太刀川ミミの死体も確認されたが、詳細は不明。
シャナに似た声の少女、ヴィクトリア。
念話で呼ばれて向かった警察署は諸共に破壊されてしまった。
この時は彼女の罠かと思ったが、どうやらレミリアの仕業だったらしい。
そのまま旅館に逃げ延びて、トリエラの仲間達と共にレミリアを迎撃する。
結局は敗北するがその時点では生きていて、ククリの殺害でご褒美を貰った金糸雀を殺害。
現場を目撃した小太郎に誤解されて逃亡し、その後でトリエラに電話を掛けてきた。
恐らくその直後、レミリアに殺害された。
レミリアが所持していたアイゼンからの断片的な情報だ。
すぐ近くには首輪が爆発して死んだような太刀川ミミの死体も確認されたが、詳細は不明。
アイゼンは、ヴィクトリアがレミリアとの戦闘において悪辣な挑発をしているのも聞いていた。
その情報を重ねると、トリエラに最初見せた弱気な声色は完全に演技と見て良い。
更に疑って掛かるなら、太刀川ミミとククリの殺害もヴィクトリアの仕業に思えてくる。
だがレミリアの妹はかつてククリから聞いた情報でも危険人物だったように思えるし、
金糸雀の体が不自然に再生していた、ご褒美で傷を治したのも事実であるらしい。
太刀川ミミも首輪爆破による殺害など参加者にできる筈が無い。
弱気を装う狡猾さを持ってはいるが、あくまで危険人物を狙いだったと見るべきか。
(しかしフランドール・スカーレットの殺害者ね……あんなのの妹をどうやって殺したんだか)
ヴィクトリアはレミリアに殺され、全ては闇に包まれてしまった。
その情報を重ねると、トリエラに最初見せた弱気な声色は完全に演技と見て良い。
更に疑って掛かるなら、太刀川ミミとククリの殺害もヴィクトリアの仕業に思えてくる。
だがレミリアの妹はかつてククリから聞いた情報でも危険人物だったように思えるし、
金糸雀の体が不自然に再生していた、ご褒美で傷を治したのも事実であるらしい。
太刀川ミミも首輪爆破による殺害など参加者にできる筈が無い。
弱気を装う狡猾さを持ってはいるが、あくまで危険人物を狙いだったと見るべきか。
(しかしフランドール・スカーレットの殺害者ね……あんなのの妹をどうやって殺したんだか)
ヴィクトリアはレミリアに殺され、全ては闇に包まれてしまった。
(それと、トマも捜さないと)
早くに再会しても彼が答えを見つけていない可能性は高いが、何れまた会いたい。
『首輪』からどうやって逃れるのか。『島』からどうやって逃げ出すのか。
彼はこの『宿題』の答えを見つけられただろうか。
時間にすればまだ丸一日も経過していない。
それなのにもう、猶予は無いのだ。
最初の放送で呼ばれた死者の数は37名。
更に少なくとも金糸雀、ククリ、太刀川ミミ、野比のび太、レベッカ宮本、ヴィクトリアの六人が死んだ。
残る人数は最大に見ても43人。確実に半数を切った事になる。
レックス、蒼星石、シャナ、リルル、ひまわり、トマ……この捜し人もどれだけ生きて再会できるか。
この島はあまりにも過酷だ。
早くに再会しても彼が答えを見つけていない可能性は高いが、何れまた会いたい。
『首輪』からどうやって逃れるのか。『島』からどうやって逃げ出すのか。
彼はこの『宿題』の答えを見つけられただろうか。
時間にすればまだ丸一日も経過していない。
それなのにもう、猶予は無いのだ。
最初の放送で呼ばれた死者の数は37名。
更に少なくとも金糸雀、ククリ、太刀川ミミ、野比のび太、レベッカ宮本、ヴィクトリアの六人が死んだ。
残る人数は最大に見ても43人。確実に半数を切った事になる。
レックス、蒼星石、シャナ、リルル、ひまわり、トマ……この捜し人もどれだけ生きて再会できるか。
この島はあまりにも過酷だ。
(後は小太郎の捜し人が……たくさんだ。
学校に居た者達は木之本桜、高町なのは、ヴィータ、アリサを捜している。
それから……多いな。名簿で纏めた方が良いか)
トリエラは名簿を開いた。
学校に居た者達は木之本桜、高町なのは、ヴィータ、アリサを捜している。
それから……多いな。名簿で纏めた方が良いか)
トリエラは名簿を開いた。
01:×明石薫/02:アリサ・バニングス/03:アルルゥ/04:イエロー・デ・トキワグローブ/05:×イシドロ/
06:×泉光子郎/07:×磯野カツオ/08:一休さん/09:×猪名寺乱太郎/10:犬上小太郎/
11:×イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/15:×江戸川コナン/
16:×神楽/17:×金糸雀/18:×城戸丈/19:木之本桜/20:キルア/
21:×ククリ/22:グリーン/23:グレーテル/24:×小岩井よつば/25:×剛田武/
26:×ゴン/27:×才賀勝/28:×サトシ/29:三宮紫穂/30:シャナ/
31:×ジーニアス・セイジ/32:×ジュジュ・クー・シュナムル/33:白レン/34:×真紅/35:×翠星石/
36:鈴木みか/37:×摂津のきり丸/38:蒼星石/39:高町なのは/40:×太刀川ミミ/
41:タバサ/42:トマ/43:トリエラ/44:×永沢君男/45:ニア/
46:ニケ/47:×ネギ・スプリングフィールド/48:×ネス/49:野上葵/50:×野原しんのすけ/
51:野原ひまわり/52:×野比のび太/53:×灰原哀/54:パタリロ=ド=マリネール8世/55:雛苺/
56:×ビュティ/57:×フェイト・テスタロッサ/58:×福富しんべヱ/59:×藤木茂/60:ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/
61:×フランドール・スカーレット/62:ブルー/63:古手梨花/64:×プレセア・コンバティール/65:×ヘンゼル/
66:ベルカナ=ライザナーザ/67:ベルフラウ=マルティーニ/68:南千秋/69:×美浜ちよ/70:明神弥彦/
71:メロ/72:×八神太一/73:×八神はやて/74:吉永双葉/75:李小狼/
76:×リディア/77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク/80:レックス/
81:×レッド/82:レベッカ宮本/83:レミリア・スカーレット/84:×レン/85:ヴィータ/
86:×ヴィクトリア=パワード/+:リリス/*:Q-Bee
06:×泉光子郎/07:×磯野カツオ/08:一休さん/09:×猪名寺乱太郎/10:犬上小太郎/
11:×イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/15:×江戸川コナン/
16:×神楽/17:×金糸雀/18:×城戸丈/19:木之本桜/20:キルア/
21:×ククリ/22:グリーン/23:グレーテル/24:×小岩井よつば/25:×剛田武/
26:×ゴン/27:×才賀勝/28:×サトシ/29:三宮紫穂/30:シャナ/
31:×ジーニアス・セイジ/32:×ジュジュ・クー・シュナムル/33:白レン/34:×真紅/35:×翠星石/
36:鈴木みか/37:×摂津のきり丸/38:蒼星石/39:高町なのは/40:×太刀川ミミ/
41:タバサ/42:トマ/43:トリエラ/44:×永沢君男/45:ニア/
46:ニケ/47:×ネギ・スプリングフィールド/48:×ネス/49:野上葵/50:×野原しんのすけ/
51:野原ひまわり/52:×野比のび太/53:×灰原哀/54:パタリロ=ド=マリネール8世/55:雛苺/
56:×ビュティ/57:×フェイト・テスタロッサ/58:×福富しんべヱ/59:×藤木茂/60:ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/
61:×フランドール・スカーレット/62:ブルー/63:古手梨花/64:×プレセア・コンバティール/65:×ヘンゼル/
66:ベルカナ=ライザナーザ/67:ベルフラウ=マルティーニ/68:南千秋/69:×美浜ちよ/70:明神弥彦/
71:メロ/72:×八神太一/73:×八神はやて/74:吉永双葉/75:李小狼/
76:×リディア/77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク/80:レックス/
81:×レッド/82:レベッカ宮本/83:レミリア・スカーレット/84:×レン/85:ヴィータ/
86:×ヴィクトリア=パワード/+:リリス/*:Q-Bee
追加参加者のリリスと、それからQ-Beeについてもここで考えておく。
×を付けてあるのは現時点で判明している死亡者だ。
とりあえずは除外して考える。
×を付けてあるのは現時点で判明している死亡者だ。
とりあえずは除外して考える。
02:アリサ・バニングス/03:アルルゥ/04:イエロー・デ・トキワグローブ/
08:一休さん/10:犬上小太郎/
12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/
19:木之本桜/20:キルア/
22:グリーン/23:グレーテル/
29:三宮紫穂/30:シャナ/
33:白レン/
36:鈴木みか/38:蒼星石/39:高町なのは/40:×太刀川ミミ/
41:タバサ/42:トマ/43:トリエラ/45:ニア/
46:ニケ/49:野上葵/
51:野原ひまわり/54:パタリロ=ド=マリネール8世/55:雛苺/
60:ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/
62:ブルー/63:古手梨花/
66:ベルカナ=ライザナーザ/67:ベルフラウ=マルティーニ/68:南千秋/70:明神弥彦/
71:メロ/74:吉永双葉/75:李小狼/
77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク/80:レックス/
83:レミリア・スカーレット/85:ヴィータ/
+:リリス/*:Q-Bee
08:一休さん/10:犬上小太郎/
12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/
19:木之本桜/20:キルア/
22:グリーン/23:グレーテル/
29:三宮紫穂/30:シャナ/
33:白レン/
36:鈴木みか/38:蒼星石/39:高町なのは/40:×太刀川ミミ/
41:タバサ/42:トマ/43:トリエラ/45:ニア/
46:ニケ/49:野上葵/
51:野原ひまわり/54:パタリロ=ド=マリネール8世/55:雛苺/
60:ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/
62:ブルー/63:古手梨花/
66:ベルカナ=ライザナーザ/67:ベルフラウ=マルティーニ/68:南千秋/70:明神弥彦/
71:メロ/74:吉永双葉/75:李小狼/
77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク/80:レックス/
83:レミリア・スカーレット/85:ヴィータ/
+:リリス/*:Q-Bee
ここから自分達一行、それからこの島で確認された時に割合友好的だった人物に◎を。
この島に連れてこられる前の仲間や又聞きなど情報は少ないが友好的と思われる人物に○を。
危険人物に△、判別しかねる人物に□、情報の全く無い人物に?を付けて、纏め直す。
この島に連れてこられる前の仲間や又聞きなど情報は少ないが友好的と思われる人物に○を。
危険人物に△、判別しかねる人物に□、情報の全く無い人物に?を付けて、纏め直す。
02:○アリサ・バニングス/03:◎アルルゥ/04:□イエロー・デ・トキワグローブ/
08:□一休さん/10:◎犬上小太郎/12:○インデックス/13:□イヴ/
14:○エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/19:◎木之本桜/20:?キルア/
22:△グリーン/23:△グレーテル/29:□三宮紫穂/30:□シャナ/ 33:□白レン/
36:?鈴木みか/38:□蒼星石/39:□高町なのは/41:◎タバサ/42:◎トマ/
43:◎トリエラ/45:?ニア/ 46:◎ニケ/49:?野上葵/51:◎野原ひまわり/
54:?パタリロ=ド=マリネール8世/55:△雛苺/60:?ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/
62:△ブルー/63:◎古手梨花/66:?ベルカナ=ライザナーザ/
67:◎ベルフラウ=マルティーニ/68:?南千秋/70:?明神弥彦/71:?メロ/
74:◎吉永双葉/75:◎李小狼/77:◎梨々=ハミルトン/78:◎リルル/
79:◎リンク/80:◎レックス/ 83:△レミリア・スカーレット/85:△ヴィータ/
+:△リリス/*:Q-Bee
08:□一休さん/10:◎犬上小太郎/12:○インデックス/13:□イヴ/
14:○エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/19:◎木之本桜/20:?キルア/
22:△グリーン/23:△グレーテル/29:□三宮紫穂/30:□シャナ/ 33:□白レン/
36:?鈴木みか/38:□蒼星石/39:□高町なのは/41:◎タバサ/42:◎トマ/
43:◎トリエラ/45:?ニア/ 46:◎ニケ/49:?野上葵/51:◎野原ひまわり/
54:?パタリロ=ド=マリネール8世/55:△雛苺/60:?ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/
62:△ブルー/63:◎古手梨花/66:?ベルカナ=ライザナーザ/
67:◎ベルフラウ=マルティーニ/68:?南千秋/70:?明神弥彦/71:?メロ/
74:◎吉永双葉/75:◎李小狼/77:◎梨々=ハミルトン/78:◎リルル/
79:◎リンク/80:◎レックス/ 83:△レミリア・スカーレット/85:△ヴィータ/
+:△リリス/*:Q-Bee
まずアリサ・バニングスは、グラーフアイゼン曰く主人達の友人らしい。
同じ世界から来た他の者達と違って魔法は使えないそうだ。
彼女の情報はこれだけとなる。出来れば保護したい所だ。
同じ世界から来た他の者達と違って魔法は使えないそうだ。
彼女の情報はこれだけとなる。出来れば保護したい所だ。
アルルゥは朝にトマを襲ったらしい、獣耳の少女だ。
支給された謎の石から二種類の奇妙な生物を呼び出す事が出来るようだ。
トリエラが目撃した時は、森に隠れてやり過ごした。
その後のアイゼンから得られた情報が重要で、愛らしい子供像しか出てこない。
どうやら幼い無邪気さから抵抗無く殺し合いに乗ったが、すぐに改心したという事らしい。
放送直後、中央の森でレックスと交戦し片腕を切り落とされるものの、回復呪文により生存。
恐らくはレックスに同行しているものと思われる。
(それにしても、一時期は殺し合いに乗っていた人間が二人か。ある意味で危険だわ)
例え二人が善人でも、どれだけ敵が居るのか判ったものではない。
タバサには『レックスと合流できても警戒が必要』と伝えておくべきかもしれない。
支給された謎の石から二種類の奇妙な生物を呼び出す事が出来るようだ。
トリエラが目撃した時は、森に隠れてやり過ごした。
その後のアイゼンから得られた情報が重要で、愛らしい子供像しか出てこない。
どうやら幼い無邪気さから抵抗無く殺し合いに乗ったが、すぐに改心したという事らしい。
放送直後、中央の森でレックスと交戦し片腕を切り落とされるものの、回復呪文により生存。
恐らくはレックスに同行しているものと思われる。
(それにしても、一時期は殺し合いに乗っていた人間が二人か。ある意味で危険だわ)
例え二人が善人でも、どれだけ敵が居るのか判ったものではない。
タバサには『レックスと合流できても警戒が必要』と伝えておくべきかもしれない。
次にイエロー・デ・トキワグローブ。
リルルの仲間だ。彼女の話からは極めて温厚な様子が見て取れた。
しかしトリエラは、イエローが和解した少年を殺害してしまっている。
相手からは危険人物と思われた恐れがある。
また、森では危険人物金糸雀に協力している。
金糸雀に乗せられていた可能性も高いが、色々と吹き込まれているかもしれない。
更にイエローと名前の法則性がある、後述のブルーとグリーンが危険人物である事も気になる。
もしかすると蒼星石や姉妹と同じように危険な法則がある可能性も──。
リルルの仲間だ。彼女の話からは極めて温厚な様子が見て取れた。
しかしトリエラは、イエローが和解した少年を殺害してしまっている。
相手からは危険人物と思われた恐れがある。
また、森では危険人物金糸雀に協力している。
金糸雀に乗せられていた可能性も高いが、色々と吹き込まれているかもしれない。
更にイエローと名前の法則性がある、後述のブルーとグリーンが危険人物である事も気になる。
もしかすると蒼星石や姉妹と同じように危険な法則がある可能性も──。
トリエラは、息を吐いた。
(いけないな、また考えすぎてる。法則だって本当に有るのか判らないんだ。
それに苗字らしき物まで付いてるし、別の生まれの可能性も高い)
もしかしたらの上に仮説を積み立てるなど、推測ではなく憶測の域に入っている。
気を取り直して整理を続ける。
(いけないな、また考えすぎてる。法則だって本当に有るのか判らないんだ。
それに苗字らしき物まで付いてるし、別の生まれの可能性も高い)
もしかしたらの上に仮説を積み立てるなど、推測ではなく憶測の域に入っている。
気を取り直して整理を続ける。
一休さん。
どうやら中央の学校で目撃された、東洋の聖職者風……の少年の名らしい。
小太郎を経由して吉永双葉曰く、ブルーは学校で彼に襲われたと言って逃げてきたらしい。
しかし結局はブルーこそ危険人物だった。
よって疑いは晴れ、ない。
更にその後、学校に居た者達の証言で本当に変態小僧だった事が判明したからである。
謎の幻術も使いこなす油断ならない人物だ。
学校も彼の放火により焼け落ちたという。
(……って、忘れてた。まず死んだだろうという勢いで殴り飛ばしたって言ってたわね。
死体を確認する余裕は無かったみたいだけど、こいつも死亡者の方に入れておこう)
生前の人物像、こんな島で奇行に走った精神性は奇怪だったが、推定死人の一人だ。
今更掘り返す事でも無いだろう。
どうやら中央の学校で目撃された、東洋の聖職者風……の少年の名らしい。
小太郎を経由して吉永双葉曰く、ブルーは学校で彼に襲われたと言って逃げてきたらしい。
しかし結局はブルーこそ危険人物だった。
よって疑いは晴れ、ない。
更にその後、学校に居た者達の証言で本当に変態小僧だった事が判明したからである。
謎の幻術も使いこなす油断ならない人物だ。
学校も彼の放火により焼け落ちたという。
(……って、忘れてた。まず死んだだろうという勢いで殴り飛ばしたって言ってたわね。
死体を確認する余裕は無かったみたいだけど、こいつも死亡者の方に入れておこう)
生前の人物像、こんな島で奇行に走った精神性は奇怪だったが、推定死人の一人だ。
今更掘り返す事でも無いだろう。
犬上小太郎。今、側で寝ている。
彼とグラーフアイゼンからもたらされた情報は莫大な物だった。
信頼できる仲間で、心配するような事は特に無い。
よってここでわざわざ情報を纏める必要も無い。
彼とグラーフアイゼンからもたらされた情報は莫大な物だった。
信頼できる仲間で、心配するような事は特に無い。
よってここでわざわざ情報を纏める必要も無い。
インデックス。
小太郎を経由して高町なのは曰く、昼に山脈部から中央部へと移動していた一行の一人。
小太郎の曖昧な記憶によれば、少なくとも危険人物ではないようだった。
小太郎を経由して高町なのは曰く、昼に山脈部から中央部へと移動していた一行の一人。
小太郎の曖昧な記憶によれば、少なくとも危険人物ではないようだった。
イヴ。
小太郎を経由して三宮紫穂曰く、ブルーとグルだった推定危険人物。
ただし、小太郎は情報源の紫穂について気になる事が有る様子だった。
確証は無いと念を押していたが、少なくとも口に出す程度には何かが有る。
とはいえ、それでも危険人物と見て間違いは無いだろう。
小太郎を経由して三宮紫穂曰く、ブルーとグルだった推定危険人物。
ただし、小太郎は情報源の紫穂について気になる事が有る様子だった。
確証は無いと念を押していたが、少なくとも口に出す程度には何かが有る。
とはいえ、それでも危険人物と見て間違いは無いだろう。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
犬上小太郎曰く、吸血鬼でライバルの師匠。
一時期多額の賞金を掛けられていた大物であり、善人とは言えないが、
覚悟して向かって来ない限り女子供は殺さないという誓いを立てているらしい。
つまりこの島においては、基本的に自分から手を出さないというのと同意義だ。
リリスに敗北して重傷を負ったらしいが、一命は取り留め、仲間達と共に中央部に移動予定。
(吸血鬼。どうも別世界って事みたいだけど、あのレミリアと同じ種族なわけか。
協力してもらえたら心強いんだけど……ほんと、ファンタジーね)
色々な意味で。
犬上小太郎曰く、吸血鬼でライバルの師匠。
一時期多額の賞金を掛けられていた大物であり、善人とは言えないが、
覚悟して向かって来ない限り女子供は殺さないという誓いを立てているらしい。
つまりこの島においては、基本的に自分から手を出さないというのと同意義だ。
リリスに敗北して重傷を負ったらしいが、一命は取り留め、仲間達と共に中央部に移動予定。
(吸血鬼。どうも別世界って事みたいだけど、あのレミリアと同じ種族なわけか。
協力してもらえたら心強いんだけど……ほんと、ファンタジーね)
色々な意味で。
次は木之本桜。李小狼の捜し人。
アイゼンにより、昼間の中央森大規模戦闘で目撃されている。
時間的に、小狼達学校の一同が一人でも東に行けば合流出来ていた可能性は十分有る。
それに気づいた時、小太郎は随分と歯噛みしていた。
よりによって四分の一の外れを引いてしまったのだから、無理も無い。
(運が悪いとしか言いようが無いよ。
まさか四方の内の三方を選んで、残り一方に居るなんて思わないもの)
とはいえ四分の一を引いただけとも言える。
別な方向には他の捜し人も居たのだから、落ち込みすぎるのもよくないだろう。
木之本桜は、危険人物イリヤスフィールに唆されていたものの無事判りあえたらしい。
性格自体は極めて善良という事だ。出来れば接触したい。
また、アイゼンによるとまだ計画段階で未完成だったはずのデバイスを所持していたという。
支給品と思われるが、何故そんな物が存在しているのかは奇妙な話だった。
アイゼンにより、昼間の中央森大規模戦闘で目撃されている。
時間的に、小狼達学校の一同が一人でも東に行けば合流出来ていた可能性は十分有る。
それに気づいた時、小太郎は随分と歯噛みしていた。
よりによって四分の一の外れを引いてしまったのだから、無理も無い。
(運が悪いとしか言いようが無いよ。
まさか四方の内の三方を選んで、残り一方に居るなんて思わないもの)
とはいえ四分の一を引いただけとも言える。
別な方向には他の捜し人も居たのだから、落ち込みすぎるのもよくないだろう。
木之本桜は、危険人物イリヤスフィールに唆されていたものの無事判りあえたらしい。
性格自体は極めて善良という事だ。出来れば接触したい。
また、アイゼンによるとまだ計画段階で未完成だったはずのデバイスを所持していたという。
支給品と思われるが、何故そんな物が存在しているのかは奇妙な話だった。
グリーン。リリスと共にタバサ達を襲った人物。
高い戦場指揮能力を持っているようだ。
問題は彼が何故リリスと共闘していた、それどころか指揮していたのかだ。
彼は息の合った的確な指示を出し、リリスを使いこなしていたらしい。
また、タバサと蒼星石を経由したのび太曰く、グリーンがそんな事をするわけはない。
身を挺してのび太とひまわりをリリスから逃してくれた人で、
きっと操られていたのだと言い張っていたらしい。
(でも操られてリリスを指揮しているというのは明らかにおかしい。
のび太を逃してリリスと対峙した時、何が起きたの?)
気になる人物だが、今は保留しておく。
高い戦場指揮能力を持っているようだ。
問題は彼が何故リリスと共闘していた、それどころか指揮していたのかだ。
彼は息の合った的確な指示を出し、リリスを使いこなしていたらしい。
また、タバサと蒼星石を経由したのび太曰く、グリーンがそんな事をするわけはない。
身を挺してのび太とひまわりをリリスから逃してくれた人で、
きっと操られていたのだと言い張っていたらしい。
(でも操られてリリスを指揮しているというのは明らかにおかしい。
のび太を逃してリリスと対峙した時、何が起きたの?)
気になる人物だが、今は保留しておく。
グレーテル。
この名は小太郎のうろ覚えな記憶に沈んでいた。
学校に居た小狼とリンクによると、襲撃してきた銀髪の少年が自分をヘンゼルと呼び、
双子の姉のグレーテルがどうとか言っていたのだそうだ。
情報を整理したところでようやく、小太郎は廃病院で現れた銀髪の少女の名に気が付いた。
遅いと思うが、他に山ほど問題が山積していたのだから仕方が無いとも言える。
この銀髪の危険人物は廃病院で小太郎とシャナを襲撃し、撃退されて姿を消した。
この名は小太郎のうろ覚えな記憶に沈んでいた。
学校に居た小狼とリンクによると、襲撃してきた銀髪の少年が自分をヘンゼルと呼び、
双子の姉のグレーテルがどうとか言っていたのだそうだ。
情報を整理したところでようやく、小太郎は廃病院で現れた銀髪の少女の名に気が付いた。
遅いと思うが、他に山ほど問題が山積していたのだから仕方が無いとも言える。
この銀髪の危険人物は廃病院で小太郎とシャナを襲撃し、撃退されて姿を消した。
白レン。タバサの仲間だった少女。
リリスとグリーンが襲撃してきて謎の武器で子豚にされた際に、
タバサ達を手駒のように言って、一人だけ逃げ出したらしい。
動物の言葉を理解できるタバサはそれを聞けたという事だ。
危険人物まで行かないにしても、人を利用する人間には違いないのだろう。
リリスとグリーンが襲撃してきて謎の武器で子豚にされた際に、
タバサ達を手駒のように言って、一人だけ逃げ出したらしい。
動物の言葉を理解できるタバサはそれを聞けたという事だ。
危険人物まで行かないにしても、人を利用する人間には違いないのだろう。
高町なのは。極めて判断しがたい人物。
殺し合いに乗っていた親友の腕を破壊して止め、
襲ってきた殺人鬼を撃退する為に已む無くとはいえ罪の無い他の者ごと焼き払い、
一人を生かすために死の選択を突きつける、冷酷なまでに合理的な人物。
犬上小太郎は、今から思えばあれは強がりだったのだろうと補足している。
ただしそれは、彼女がそうでなかった場合より安全である事を意味しない。
(割り切ってそれをしてる方が理解はしやすいのよね。嫌な話だけど。
精神的に参ってるって事は、逆に暴走する危険も大きいって事だし)
これまで纏めてきた中では蒼星石や、今は安定したもののタバサがこれに近い分類だ。
基本的に悪人では無いはずだが、精神不安定によりどう転ぶか判らない。
廃病院に向かった為、時間帯から見てもトリエラ遭遇前後のシャナ一行と会っているかもしれない。
それ以上はやはり予測不能だ。
殺し合いに乗っていた親友の腕を破壊して止め、
襲ってきた殺人鬼を撃退する為に已む無くとはいえ罪の無い他の者ごと焼き払い、
一人を生かすために死の選択を突きつける、冷酷なまでに合理的な人物。
犬上小太郎は、今から思えばあれは強がりだったのだろうと補足している。
ただしそれは、彼女がそうでなかった場合より安全である事を意味しない。
(割り切ってそれをしてる方が理解はしやすいのよね。嫌な話だけど。
精神的に参ってるって事は、逆に暴走する危険も大きいって事だし)
これまで纏めてきた中では蒼星石や、今は安定したもののタバサがこれに近い分類だ。
基本的に悪人では無いはずだが、精神不安定によりどう転ぶか判らない。
廃病院に向かった為、時間帯から見てもトリエラ遭遇前後のシャナ一行と会っているかもしれない。
それ以上はやはり予測不能だ。
タバサ。今、側で寝ている。
信頼できる仲間だが、精神的な弱さは気になる所だ。
とはいえ、少し前に探りを入れてみたところ復活の実演放送後も安定しているようだった。
彼女の虚勢を崩した犬上小太郎も、その虚勢に代わって彼女を支えてくれるはずだ。
戦闘面の能力は高く、心配しすぎる程でも無いだろう。
信頼できる仲間だが、精神的な弱さは気になる所だ。
とはいえ、少し前に探りを入れてみたところ復活の実演放送後も安定しているようだった。
彼女の虚勢を崩した犬上小太郎も、その虚勢に代わって彼女を支えてくれるはずだ。
戦闘面の能力は高く、心配しすぎる程でも無いだろう。
トリエラ。自分自身。
三人もの、恐らくは善良な少年達を誤殺した少女。
(客観的に見るなら危険人物ね。どう見ても)
寸でのところで制止されていなければシャナも加わって四人になっていた。
現代戦争における戦死者は二割以上が誤射によるとはいえ、全て誤殺は流石に酷い。
これがただの間違いで私は良い人ですと主張するのは勝手だが、
正直トリエラは、自分と同じような者が居たら真っ先に故意を疑う。
次に早とちりしてすぐに殺人に移る危険人物。あるいは人を見る目が無い人間。
これは否定しきれない為、少し辛い。
イエローを襲っていた少年は十分に疑う理由の有る情景だったし、
学校裏で遭遇したネギも誰かを殺そうとしていた意味では間違いないし、
のび太の殺害も状況が切羽詰っていたという理由は、有るが。
(最初の少年は、あくまで性的な危険なら警告から始めても良かった。
ネギも追われている人形の方を疑ってみる余地は有ったはず。
のび太だって……あの場面を招く前に、どうにか出来ていれば)
疑いの上に疑いを乗せていって、固めてしまった。
本当にこれで撃つべき時に撃ち、止まるべき時に止まれるのだろうか。
トリエラという人格の迷いと、条件付けの機械的な有用性が鬩ぎ合う中で。
(……情報の整理を進めよう)
三人もの、恐らくは善良な少年達を誤殺した少女。
(客観的に見るなら危険人物ね。どう見ても)
寸でのところで制止されていなければシャナも加わって四人になっていた。
現代戦争における戦死者は二割以上が誤射によるとはいえ、全て誤殺は流石に酷い。
これがただの間違いで私は良い人ですと主張するのは勝手だが、
正直トリエラは、自分と同じような者が居たら真っ先に故意を疑う。
次に早とちりしてすぐに殺人に移る危険人物。あるいは人を見る目が無い人間。
これは否定しきれない為、少し辛い。
イエローを襲っていた少年は十分に疑う理由の有る情景だったし、
学校裏で遭遇したネギも誰かを殺そうとしていた意味では間違いないし、
のび太の殺害も状況が切羽詰っていたという理由は、有るが。
(最初の少年は、あくまで性的な危険なら警告から始めても良かった。
ネギも追われている人形の方を疑ってみる余地は有ったはず。
のび太だって……あの場面を招く前に、どうにか出来ていれば)
疑いの上に疑いを乗せていって、固めてしまった。
本当にこれで撃つべき時に撃ち、止まるべき時に止まれるのだろうか。
トリエラという人格の迷いと、条件付けの機械的な有用性が鬩ぎ合う中で。
(……情報の整理を進めよう)
ニケ。トマの言う勇者様。
詳細は判らないが、同じく勇者であるタバサの兄のレックスは強大な力を持っている。
もしかすると彼も相当な実力者の可能性がある。
インデックスやエヴァと共に、山脈部から中央部へと向かっているはずだ。
詳細は判らないが、同じく勇者であるタバサの兄のレックスは強大な力を持っている。
もしかすると彼も相当な実力者の可能性がある。
インデックスやエヴァと共に、山脈部から中央部へと向かっているはずだ。
雛苺。蒼星石の妹。
明らかに常軌を逸した様子で中央森に現れた危険人物。
真紅と翠星石の首を下げた、南瓜お化けの人形を操っていたという。
レミリアに襲撃を掛けて返り討ちにされたようだが、放送時点で生存が確認されている。
明らかに常軌を逸した様子で中央森に現れた危険人物。
真紅と翠星石の首を下げた、南瓜お化けの人形を操っていたという。
レミリアに襲撃を掛けて返り討ちにされたようだが、放送時点で生存が確認されている。
ブルー。危険人物。
廃病院にいた者達を掻き回し、一人に重傷を与えたと目される。
小太郎の世界の秘薬により、大人の姿と子供の姿を使い分けているようだ。
イヴと共に廃病院から離れ、その後は消息不明。
廃病院にいた者達を掻き回し、一人に重傷を与えたと目される。
小太郎の世界の秘薬により、大人の姿と子供の姿を使い分けているようだ。
イヴと共に廃病院から離れ、その後は消息不明。
古手梨花。学校にいた者達の一人。
後述のリンクと共に学校から西へ向かった。
基本的に一般人のはずだが、精神的には落ち着いている様子だったらしい。
後述のリンクと共に学校から西へ向かった。
基本的に一般人のはずだが、精神的には落ち着いている様子だったらしい。
ベルフラウ=マルティーニ。
木之本桜と同行していた少女。支給品らしきカードにより炎の魔法を使えるらしい。
やはり善良な人間だったと見ていいか。やや落ち着いた印象。
木之本桜と同行していた少女。支給品らしきカードにより炎の魔法を使えるらしい。
やはり善良な人間だったと見ていいか。やや落ち着いた印象。
李小狼。学校にいた者達の一人。
魔法とかそういう物の知識もあるが剣術もできる人間らしい。
木之本桜を捜しているのだが、現在は南西の市街地へと向かってしまった。
魔法とかそういう物の知識もあるが剣術もできる人間らしい。
木之本桜を捜しているのだが、現在は南西の市街地へと向かってしまった。
梨々=ハミルトン。吉永双葉の親友。
アイゼンにより中央の森で目撃されている。
つくづく中央森林部には縁の濃い者が多かったらしい。
ジーニアス・セイジ、プレセア・コンバティール、アルルゥと敵対していた。
アルルゥを取り押さえる場面が最後の目撃情報だ。
しかしその後、放送より前にアルルゥだけが別に目撃されている。
彼女と和解したのか、それともアルルゥが上手く逃げたのかは不明だ。
(裏を返せば、アルルゥ以外にとっての危険人物ではないはず)
イリヤに丸め込まれていたとはいえ、それにより敵視していた
ジーニアスとプレセアは死んでしまった以上、関係が無い。
よってアルルゥと同時に遭遇しなければ善良な人物と見て良い、筈だ。
イリヤスフィールのような集団の中の危険人物である可能性も無いではないが。
アイゼンにより中央の森で目撃されている。
つくづく中央森林部には縁の濃い者が多かったらしい。
ジーニアス・セイジ、プレセア・コンバティール、アルルゥと敵対していた。
アルルゥを取り押さえる場面が最後の目撃情報だ。
しかしその後、放送より前にアルルゥだけが別に目撃されている。
彼女と和解したのか、それともアルルゥが上手く逃げたのかは不明だ。
(裏を返せば、アルルゥ以外にとっての危険人物ではないはず)
イリヤに丸め込まれていたとはいえ、それにより敵視していた
ジーニアスとプレセアは死んでしまった以上、関係が無い。
よってアルルゥと同時に遭遇しなければ善良な人物と見て良い、筈だ。
イリヤスフィールのような集団の中の危険人物である可能性も無いではないが。
リンク。学校にいた者達の一人。
古手梨花と共に西へ向かった。
近接系の戦闘技術を持ち、機械知識は無いが道具の扱いには長けるらしい。
古手梨花と共に西へ向かった。
近接系の戦闘技術を持ち、機械知識は無いが道具の扱いには長けるらしい。
吸血鬼レミリア・スカーレット。
身近な上、間違いなく最悪の危険人物。
(まだこの街に居るのかどうか、それが問題ね)
アイゼンから詳しく聞きだした話を元にすると、意外にも憎めない人物(?)だ。
彼女が味方したプレセアとアルルゥも、元は危険だが改心していた。
プレセアに至っては彼女が改心させたとも取れる程だ。
更に放送直前の森で戦った時も、アイゼンから見れば陰湿に見えたようだが、
味方を巻き込まないよう割合慎重に戦っていたらしい。
そういった行動も妹の死が判明する夕方までだったが。
身近な上、間違いなく最悪の危険人物。
(まだこの街に居るのかどうか、それが問題ね)
アイゼンから詳しく聞きだした話を元にすると、意外にも憎めない人物(?)だ。
彼女が味方したプレセアとアルルゥも、元は危険だが改心していた。
プレセアに至っては彼女が改心させたとも取れる程だ。
更に放送直前の森で戦った時も、アイゼンから見れば陰湿に見えたようだが、
味方を巻き込まないよう割合慎重に戦っていたらしい。
そういった行動も妹の死が判明する夕方までだったが。
結局のところ、レベッカ宮本の命を懸けた指摘が正しかったのだろう。
レベッカ宮本。ジーニアス・セイジの仲間。現生存者ではアルルゥの仲間。
彼女はレミリアが虚勢を張っている、妹の死が原因で暴走していると指摘した。
それにより激しく動揺したレミリアは、レベッカの血を吸って、殺した。
レベッカ宮本。ジーニアス・セイジの仲間。現生存者ではアルルゥの仲間。
彼女はレミリアが虚勢を張っている、妹の死が原因で暴走していると指摘した。
それにより激しく動揺したレミリアは、レベッカの血を吸って、殺した。
(強がりね。本当に何もかも)
この島の大地を自らの強さだけで踏み締められる者はいるのだろうか。
何もかも失われていく中で、その強さを保ち続けられる者はいるのだろうか。
この島の大地を自らの強さだけで踏み締められる者はいるのだろうか。
何もかも失われていく中で、その強さを保ち続けられる者はいるのだろうか。
とかくその後のレミリアの暴走は留まる所を知らない。
最強の証明を謳い文句に、目に付く端から襲い掛かった。
仲間だったアルルゥをも殺そうとし、レックスを叩きのめし、中央森林部を後にした。
この市街地に辿り着き、警察署を攻撃し、ヴィクトリアを襲い、
その戦いは旅館にまで縺れ込み、小太郎達を圧倒し、旅館はアイゼンの魔法で壊滅した。
ヴィクトリアを殺害し、QBとも戦った。
殺し合いの管理者達もレミリアにとっては敵であるらしい。
トリエラ達にとってはありがたいが、その戦闘力は脅威だった。
上空で繰り広げられていた戦闘は最早桁が違う。
こうなるとトリエラが遭遇した時に逃げ切れた事すら奇跡に思えてくる。
最強の証明を謳い文句に、目に付く端から襲い掛かった。
仲間だったアルルゥをも殺そうとし、レックスを叩きのめし、中央森林部を後にした。
この市街地に辿り着き、警察署を攻撃し、ヴィクトリアを襲い、
その戦いは旅館にまで縺れ込み、小太郎達を圧倒し、旅館はアイゼンの魔法で壊滅した。
ヴィクトリアを殺害し、QBとも戦った。
殺し合いの管理者達もレミリアにとっては敵であるらしい。
トリエラ達にとってはありがたいが、その戦闘力は脅威だった。
上空で繰り広げられていた戦闘は最早桁が違う。
こうなるとトリエラが遭遇した時に逃げ切れた事すら奇跡に思えてくる。
その経緯に共感や同情を抱いている余裕など無い。
遭遇すれば逃げの一手だ。
そう決めておいた方が良いだろう。
遭遇すれば逃げの一手だ。
そう決めておいた方が良いだろう。
ヴィータ。グラーフアイゼンの本来のマスター。
悪い事に、主である八神はやてを守るため殺し合いに乗っていたらしい。
その為、仲間である高町なのはによって両腕を焼かれた。
現在はインデックスとニケに捕縛されたまま中央部に移動中のはずだ。
(無力化されたって事だけど、危険人物には入れておかないとね)
腕を焼くという判断は冷酷だが、殺さなかったのはやはり情が有るからか。
元の世界では、そういう選択が出来る人間でさえ友情を抱ける人間だったのだろう。
それはつまり、そういう人物であるヴィータが凶行に走る程、
八神はやての存在が彼女にとって不可侵の存在であった事を意味する。
そんな主の名が放送で呼ばれた。
彼女がどうなるかは想像できない。
だが彼女がどう想うかは、トリエラなら容易に想像できるだろう。
(私にとってはそう、ヒルシャーさんが殺されたと想像すれ……ば…………っ)
悪い事に、主である八神はやてを守るため殺し合いに乗っていたらしい。
その為、仲間である高町なのはによって両腕を焼かれた。
現在はインデックスとニケに捕縛されたまま中央部に移動中のはずだ。
(無力化されたって事だけど、危険人物には入れておかないとね)
腕を焼くという判断は冷酷だが、殺さなかったのはやはり情が有るからか。
元の世界では、そういう選択が出来る人間でさえ友情を抱ける人間だったのだろう。
それはつまり、そういう人物であるヴィータが凶行に走る程、
八神はやての存在が彼女にとって不可侵の存在であった事を意味する。
そんな主の名が放送で呼ばれた。
彼女がどうなるかは想像できない。
だが彼女がどう想うかは、トリエラなら容易に想像できるだろう。
(私にとってはそう、ヒルシャーさんが殺されたと想像すれ……ば…………っ)
洗面所で口を濯いでいた。
少し前に、気を落ち着ける為に水をよく飲んでいた反動か。
……少しだけ、吐いた。
少し前に、気を落ち着ける為に水をよく飲んでいた反動か。
……少しだけ、吐いた。
胸元でアイゼンの明滅が見えた。
そっと答える。大丈夫だと。
義体である自分の精神の不安定さを再認識すると共に、他人事のように呆れてしまう。
予想以上に心が弱っていたらしい。
確かに条件付けの設定からすれば不味いところに触れたとはいえ、思ったより反応が激しい。
湧き上がる望郷の念、というより一人の成人男性の顔を、今は抑え込む。
一息を吐いてから、アイゼンに聞いた。
「似た感じだと思う?」
少しの間、アイゼンは輝きを消した。
それから。
しばらくして、肯定の意が返った。
トリエラはそれを受けて、答えた。
「アイゼン。あなたのマスター、多分もう退けないわよ」
やはり少しの沈黙の後で、予想は出来ていたと返答があった。
もしもヴィータが腕を取り戻したら、そこに残るのは危険人物が一人だけだ。
ヴィータの腕は、戻らないのが正しい。
アイゼンは誇り高いマスターを失ったのだ。
そっと答える。大丈夫だと。
義体である自分の精神の不安定さを再認識すると共に、他人事のように呆れてしまう。
予想以上に心が弱っていたらしい。
確かに条件付けの設定からすれば不味いところに触れたとはいえ、思ったより反応が激しい。
湧き上がる望郷の念、というより一人の成人男性の顔を、今は抑え込む。
一息を吐いてから、アイゼンに聞いた。
「似た感じだと思う?」
少しの間、アイゼンは輝きを消した。
それから。
しばらくして、肯定の意が返った。
トリエラはそれを受けて、答えた。
「アイゼン。あなたのマスター、多分もう退けないわよ」
やはり少しの沈黙の後で、予想は出来ていたと返答があった。
もしもヴィータが腕を取り戻したら、そこに残るのは危険人物が一人だけだ。
ヴィータの腕は、戻らないのが正しい。
アイゼンは誇り高いマスターを失ったのだ。
トリエラは息を落ち着けて、残りの考察対象について考える。
リリス。主催側からの唯一の参加者。
これだけでも謎は多いのに、彼女は島でグリーンと手を組んでいる。
つまり話は出来るという事なのだろうか。
気になるのが神社で交わされたネギ・スプリングフィールドと江戸川コナンとの約束だ。
夕方の六時までに島南西端のタワーで再会し、集めた首輪の数が多い方に従うという競争。
小太郎は学校に居た者達と情報を交換した際、
その約束が急場を逃れる為の一時しのぎの言いくるめだったと聞いている。
これだけでも謎は多いのに、彼女は島でグリーンと手を組んでいる。
つまり話は出来るという事なのだろうか。
気になるのが神社で交わされたネギ・スプリングフィールドと江戸川コナンとの約束だ。
夕方の六時までに島南西端のタワーで再会し、集めた首輪の数が多い方に従うという競争。
小太郎は学校に居た者達と情報を交換した際、
その約束が急場を逃れる為の一時しのぎの言いくるめだったと聞いている。
(三宮紫穂の事もその時に聞いておけば良かったのに)
リリスとは別の話だが、この時、紫穂について聞いておかなかったのは失敗だろう。
李小狼という少年はその辺りの内実を知っていた可能性も有るのだが、
ネギとリリスのそれが口約束だったと聞いて安心し、確認までを怠ってしまったらしい。
リリスとは別の話だが、この時、紫穂について聞いておかなかったのは失敗だろう。
李小狼という少年はその辺りの内実を知っていた可能性も有るのだが、
ネギとリリスのそれが口約束だったと聞いて安心し、確認までを怠ってしまったらしい。
(それはそうと、リリスね。随分と気になる事が多いんだ、こいつは)
小太郎を経由して高町なのは曰く、朝方に山脈部に現れエヴァに重傷を負わせるも撃退。
その際、ネギとコナンを家来にしているとの発言有り。
小太郎を経由して三宮紫穂曰く、リリスと約束を結んだネギとコナンに襲われた。
小太郎を経由して李小狼曰く、ネギとコナンはリリスと競争の口約束を結んだ。
ネギは悲鳴を上げる金糸雀を追撃していたが、金糸雀が危険人物であった事を鑑みると、
金糸雀の危険性に気づいて追跡していた可能性も有る。
(この部分では李小狼と三宮紫穂の証言も食い違っている。本当にネギが競争に乗っていたの?
小太郎の、ネギの性格上有り得ないという発言を信じるなら、何か不思議な能力でも持っていたの?
例えば……人を操るような)
タバサと蒼星石を経由してのび太曰く、グリーンは操られていたに違いないという。
確かにそういう能力を持っていたとすればグリーンの説明は付く……だろうか?
タバサ曰く、リリスはグリーンの指揮を受けて息の有った攻撃を仕掛けてきたという。
操って自分を指揮させるというのは奇妙な話だ。
やはり、判らない。
ネギは本当に競争に乗ったのか? 紫穂の証言の方が怪しいのではないか?
そうだとすれば、リリスとグリーンはどうして手を組んでいた?
(グリーンは優勝を狙うために自分からリリスに取り入った……赤ん坊を庇うような少年が?
信頼を得て取り入るためのポーズだったと考える事も出来るけど。
あるいは、リリスをコントロールしようとしたの?
でもそれなら、どうしてリリスを指揮して襲ってくる)
神社で交わされた約束。
赤ん坊を逃したグリーンの突然の翻心。
情報は有っても予測が付かない。繋がらない。
グリーンとリリスの間に何が起きたのかは、トリエラにとって想像の埒外だった。
小太郎を経由して高町なのは曰く、朝方に山脈部に現れエヴァに重傷を負わせるも撃退。
その際、ネギとコナンを家来にしているとの発言有り。
小太郎を経由して三宮紫穂曰く、リリスと約束を結んだネギとコナンに襲われた。
小太郎を経由して李小狼曰く、ネギとコナンはリリスと競争の口約束を結んだ。
ネギは悲鳴を上げる金糸雀を追撃していたが、金糸雀が危険人物であった事を鑑みると、
金糸雀の危険性に気づいて追跡していた可能性も有る。
(この部分では李小狼と三宮紫穂の証言も食い違っている。本当にネギが競争に乗っていたの?
小太郎の、ネギの性格上有り得ないという発言を信じるなら、何か不思議な能力でも持っていたの?
例えば……人を操るような)
タバサと蒼星石を経由してのび太曰く、グリーンは操られていたに違いないという。
確かにそういう能力を持っていたとすればグリーンの説明は付く……だろうか?
タバサ曰く、リリスはグリーンの指揮を受けて息の有った攻撃を仕掛けてきたという。
操って自分を指揮させるというのは奇妙な話だ。
やはり、判らない。
ネギは本当に競争に乗ったのか? 紫穂の証言の方が怪しいのではないか?
そうだとすれば、リリスとグリーンはどうして手を組んでいた?
(グリーンは優勝を狙うために自分からリリスに取り入った……赤ん坊を庇うような少年が?
信頼を得て取り入るためのポーズだったと考える事も出来るけど。
あるいは、リリスをコントロールしようとしたの?
でもそれなら、どうしてリリスを指揮して襲ってくる)
神社で交わされた約束。
赤ん坊を逃したグリーンの突然の翻心。
情報は有っても予測が付かない。繋がらない。
グリーンとリリスの間に何が起きたのかは、トリエラにとって想像の埒外だった。
それから参加者ではないが、QBについて。
トリエラはもう何度もQBに遭遇している。
最初の会場の時に加えて、タバサと蒼星石の誤解を解く為に情報を求めたのだ。
更にその後、レミリアと空中戦を繰り広げているところを目撃している。
アイゼンによると、レミリアから喧嘩を売ったらしい。
つまり喧嘩を売れば買う程度の攻撃性は持っているのだ。
(ご褒美の為に呼んでも、慎重に対応する必要があるわね)
トリエラはもう何度もQBに遭遇している。
最初の会場の時に加えて、タバサと蒼星石の誤解を解く為に情報を求めたのだ。
更にその後、レミリアと空中戦を繰り広げているところを目撃している。
アイゼンによると、レミリアから喧嘩を売ったらしい。
つまり喧嘩を売れば買う程度の攻撃性は持っているのだ。
(ご褒美の為に呼んでも、慎重に対応する必要があるわね)
戦いの結果、QBは殺害され零時の放送でジェダに蘇生された。
しかしアイゼンに聞いた戦いの様子は、トリエラ達の予想を裏切っていた。
QBは、あのレミリアに対して終始優勢に戦いを進める程の実力を秘めていたのだ。
アイゼンを握る腕が切り落とされた拍子に吹き飛ばされ見失ってしまったが、
レミリアの受けた傷は人間なら確実に死んでいる程の重傷だったという。
そこからレミリアが逆転した事は驚嘆すべき事だが、
トリエラ達に同じ芸当が出来るとは到底思えなかった。
(万が一戦いになれば……勝てないな)
しかしアイゼンに聞いた戦いの様子は、トリエラ達の予想を裏切っていた。
QBは、あのレミリアに対して終始優勢に戦いを進める程の実力を秘めていたのだ。
アイゼンを握る腕が切り落とされた拍子に吹き飛ばされ見失ってしまったが、
レミリアの受けた傷は人間なら確実に死んでいる程の重傷だったという。
そこからレミリアが逆転した事は驚嘆すべき事だが、
トリエラ達に同じ芸当が出来るとは到底思えなかった。
(万が一戦いになれば……勝てないな)
そもそもレミリアの強さは夜でしかも満月だったとはいえ尋常な物ではない。
トリエラが逃げ延びれた事すら奇跡に思える。
何せ犬上小太郎、ククリ、リルル、ヴィクトリア、金糸雀の五人がかりで戦って、
倒すどころか傷一つ付けられずに押されていたのだ。
その中でも小太郎は文句無しの実力者だ。
人と人でないもののハーフならではの高い身体能力に、極めて高い格闘能力。
気の達人にして、犬神使い。実戦により磨き抜かれた戦闘感覚。
ネギの使っていた瞬動術という超高速移動技術も、小太郎の方が以前から使えたらしい。
小太郎以外のククリ、リルル、ヴィクトリア、金糸雀の実力だって低くない。
レミリアは一人でそれらを押していた。
アイゼンに過去の戦いを聞いてみても、レミリアの命中打は限られる。
金糸雀の爆弾岩による回避不能な大爆発で相当な重傷を受けたものの、
その重態で対アルルゥ&レベッカ、対レックスの連戦に勝利している。
後一撃を受ければ死ぬだろうというギリギリで、全て避けて打ちのめしたのだという。
桁外れの強さだ。
トリエラが逃げ延びれた事すら奇跡に思える。
何せ犬上小太郎、ククリ、リルル、ヴィクトリア、金糸雀の五人がかりで戦って、
倒すどころか傷一つ付けられずに押されていたのだ。
その中でも小太郎は文句無しの実力者だ。
人と人でないもののハーフならではの高い身体能力に、極めて高い格闘能力。
気の達人にして、犬神使い。実戦により磨き抜かれた戦闘感覚。
ネギの使っていた瞬動術という超高速移動技術も、小太郎の方が以前から使えたらしい。
小太郎以外のククリ、リルル、ヴィクトリア、金糸雀の実力だって低くない。
レミリアは一人でそれらを押していた。
アイゼンに過去の戦いを聞いてみても、レミリアの命中打は限られる。
金糸雀の爆弾岩による回避不能な大爆発で相当な重傷を受けたものの、
その重態で対アルルゥ&レベッカ、対レックスの連戦に勝利している。
後一撃を受ければ死ぬだろうというギリギリで、全て避けて打ちのめしたのだという。
桁外れの強さだ。
そのレミリアが、殆ど一方的にやられていた。
レミリアが勝利したのは、勝負強さで辛うじて逆転したという事らしい。
しかもQBは多くの同族を従えている。
最初の会場で見たQBそっくりの蜂女達。
多少は劣るにしても、もしもあれらがQBに近い身体能力を持っているとしたら……。
しかもQBは多くの同族を従えている。
最初の会場で見たQBそっくりの蜂女達。
多少は劣るにしても、もしもあれらがQBに近い身体能力を持っているとしたら……。
(……この位にしておこう)
トリエラは背筋に冷たいものを感じながら、情報の整理を終えた
他に最初の会場で殺された女性、ご褒美システムを提案した太っちょの少年なども居るが、
あの二人の名前は判っていない。
トリエラは背筋に冷たいものを感じながら、情報の整理を終えた
他に最初の会場で殺された女性、ご褒美システムを提案した太っちょの少年なども居るが、
あの二人の名前は判っていない。
裏を返せば情報の無い生存者は僅かに9名(10名の内、1人は最初の会場で死んでいる)。
残り生存者最大で43名中34名、8割方の情報を多少なりとも得ているわけだ。
(多分、私達はこの島で一番他の参加者の情報を掴んでいる)
これから向かうエリアは残り2割が居ると思われる、多少の過疎が予想されるエリアとなる。
大方全体の分布を掴む事が出来るだろう。
それから……どうするのだろう?
「………………」
残り生存者最大で43名中34名、8割方の情報を多少なりとも得ているわけだ。
(多分、私達はこの島で一番他の参加者の情報を掴んでいる)
これから向かうエリアは残り2割が居ると思われる、多少の過疎が予想されるエリアとなる。
大方全体の分布を掴む事が出来るだろう。
それから……どうするのだろう?
「………………」
この殺し合いの島からどう逃れる?
集めるべき仲間が判り、それと連絡が取れたとしても、どうやって?
トリエラにはそれ以上先へ届く手札が無い。
集めるべき仲間が判り、それと連絡が取れたとしても、どうやって?
トリエラにはそれ以上先へ届く手札が無い。
胸ポケットの中で、携帯が震えた。