仮面ランサー

~蛇王龍に魅入られし運命に叛逆する戦士~


1.覚醒までのエピソード


  • 前日談エピソード(アーチャーがまとめたTogetterに飛びます)




 ギルド軍に所属するハンターの一人、シンキ。彼はユクモ村を拠点としてモンスターを狩る日々を送っていた。与えられた命令には従順で任務を実直にこなすハンターだが、強権化するギルド軍の影響力を危惧した友の死をきっかけに、その改革を目的とした反乱を起こす野望を密かに持っていた。
 そして、マスクドハンターズによるギルド軍との全面戦争が始まると、これに乗じてこれを工作活動により影から支援。ギルド軍の壊滅に成功するが、その組織としての機能を失い混乱の続く中でハンター達を纏め上げるのは困難を極め、モンスターの対処だけでも手が回っていない状況であった。

「もっと俺に力があれば……」

 かつて友を失った時の無力さが今の自分と重なり、世界を統べる程の圧倒的な力などという絵空事のようなものに憧れを抱くようになっていた。

 連日に及ぶモンスターとの戦闘に明け暮れるある日、狩りを終えて拠点に戻ってきたシンキは疲労が重く圧し掛かるような感覚に襲われてそのまま眠りについてしまう。

『力を望むか……汝には我の力を受け入れる資格がある』

 何の景色もない暗い夢の中で荘厳な声だけが耳に響く。

(何者だ……?)

『力をくれてやろう……だが汝はこちらの世界に辿り着く術を持たぬ』

 シンキの問いかけに答えず一方的に話し続ける。

(答えろ!)

『まずは「この世界」を取り込まねばな……』

 目覚めると、そこには昨日までとは異なる世界が広がっていた。文献上の記録では滅びたはずの村が何事もなかったかのように存在し、真っ当な組織としてのハンターズギルドが機能している。突然の世界の変化に戸惑いながらも新たなギルドとの協力関係を結びハンター活動を続けるシンキ。

 そして、運命の日が訪れる。御伽噺が現実のものとなった。そう語るギルドマスターから蛇王龍ダラ・アマデュラの討伐を依頼されたシンキは千剣山へ向かった。
 辺りを剣のように細く鋭い岩に囲まれた決戦の地。空には渦を巻くように暗雲が立ち込めており、その中心から注ぎ込む光に照らされた最も高くそびえる高台はあたかも王の玉座を彷彿させるように神々しく輝いていた。
 シンキが千剣山の頂にその足を踏み入れた途端岩の一つが崩れたかと思うと、身体に無数の剣を携えた長大な龍が姿を見せる。大地を切り刻みながら蠢くように這い回り、周囲を取り囲んだダラ・アマデュラは「玉座」に身体を巻きつけるとその紅い眼で睨みつけるようにこちらを見下ろしてきた。
 シンキはこれまでに感じたことのないその絶大な力こそまさに自身が求めているものだと確信した。未知の力を纏い、天から無数の隕石を降らせてくるその圧倒的な力を前に恐怖と期待の入り混じった感情を抱きつつ立ち向かう。

 そして、死闘を繰り広げた末に王は地に伏し沈黙した。

 死力を尽くしたシンキもその場に膝をつくと、ほんの少し前まで悍ましいまでの暴威を振るっていた敵が最早微動だにしない姿を暫く眺め、ようやく勝利した事実を確信し笑みをこぼす。ふと、倒したダラ・アマデュラの傍らに目を向けると銀色に輝く球体が落ちているのが見えた。鉛のように重くなった身体を起こして歩み寄り、それに手を触れた瞬間、かつての夢の中で聞こえたあの声が耳に響いてきた。

『汝が倒したのは我が分身……汝の力は示された。天剣の龍玉の手に取るがよい。さすれば我の力をその身に授けん』

「これで……あの力を俺のものにできる……!」

 その言葉に従い天剣の龍玉を掴み取ると龍玉がシンキの身体の中に取り込まれ、身に着けていた装備が徐々に変質していく。だが、それにより凄まじい力が宿ると同時に激しい頭痛に襲われ、意識が遠のき始めてきた。

「ぐっ……これは……どういうことだ……!?」

『我の力を受け入れるという事は我に仕える従者になると同義。その為に汝をこの世界に招き入れたのだ。じきに汝の意思の支配は完了する』

 崩れ落ちるように地に膝を着くシンキ。頭の中を蛇王龍の意思に蝕まれていき、その身体が、精神が、『自分』から乖離していくのを感じた。

「……ッ! 俺を……俺を支配するだと……? ふざけるな!」

 自分や仲間達をギルド軍に支配されている世界から解放し、自由を掴み取る為に戦ってきた自分が、自由を失い奴の駒として扱われる事となる。そんな許容できない運命を前に、天剣の龍玉のものとは異質の『何か』の力が身体から湧き出てきた。そして蛇王龍の干渉を断ち切ると共に奪われかけていた意思を取り返した。その手にはいつの間にか黒いライザーが握られている。

「俺は……俺を支配しようとする奴に叛逆する……Rise Up」

 持っていたライザーをかざすと不完全な状態で変化を止めていた装備が銀色を基調とした完全な姿になる。この瞬間、「シンキ」という人間は「仮面ランサー」として生まれ変わった。

『その力、マスクドエナジーか。汝の性質は「自由」。それにより我が支配を拒絶するだけでなく龍玉の力も制御するとは面白い』

 仮面ランサーは眼前の虚空を睨むと手に持っていた槍を天に向けて突きつける。

「ダラ・アマデュラ。貴様はこの手で倒す。そしてその力の全てを頂く」

『面白い、実に面白いぞ。ここで倒してしまうにはあまりにも惜しい程にな。汝が我と戦うに相応しい力を身に付けた時、雌雄を決するとしよう』

「望むところだ。首を洗って待っていろ」

 蛇王龍を倒し、理想の世界を築き上げるための仮面ランサーの戦いが始まるのであった。


2.概要


 天剣の龍玉の力を使って戦う仮面の戦士。常に「叛逆」の象徴としてリベリオンヘルムを被っている。
 変身時の台詞は「Rise Up、仮面ランサー! さあ、叛逆を始めようか」。この台詞での「叛逆」とは人々の脅威となっているモンスターに対する叛逆であると同時に、龍玉の持ち主であるダラ・アマデュラの干渉に叛逆して変身することで戦闘を開始するという二重の意味を持っている。
 基本的には冷静沈着で落ち着いた物腰だが、負けず嫌いな部分もあり感情が昂ると無茶な戦いを意地になって一人で挑みに行くこともある。
 主な使用武器はランス。それ以外の武器もそこそこ扱いを心得ているがやはり最も実力を発揮できるランスを用いるのがほとんど。
 現在はダラ・アマデュラの本体を倒しその力の全てを手に入れることを目的としている。
 普段は単独行動を好む一匹狼だが、割と人付き合いは良く必要とあらば協力的に活動する。特に仮面ガンナーとは「この世界」で度々共闘した仲でもあり信頼は強い。しかし、蛇王龍の事に関しては自力で倒す事に固執している。

3.天剣の龍玉とマスクドエナジーの関係


 仮面ランサーが手に入れた天剣の龍玉は、ダラ・アマデュラの本体と直接リンクされており元々は蛇王龍自らが生み出した分身(MH4の上位個体に相当)に力を供給する為の所謂中継用の媒体で、龍玉の力=蛇王龍本体から供給される力である。また、その分身を倒し蛇王龍が認めた者に龍玉を与えることでその者の精神に干渉する用途もある。
 そのため本来であれば蛇王龍自身の意思に依らなければ力を得ることはできないが、仮面ランサーは「自由を求める」性質のマスクドエナジーを発現させたことにより蛇王龍からの干渉を遮断すると同時に蛇王龍の力を「強引に」引き出すことができるようになった。
 ただしその手段を用いた結果、ライズアップ中は身体にかかる負荷が他の仮面の戦士と比べ大きい部類となり高いマスクドエナジーを維持できないと出力も不安定なものとなり、後述の黒いデュアルライザーによる負荷軽減で何とか戦闘可能となっている。その上、自力で引き出すことのできる出力はマスクドエナジーが極限まで高まっている状態ですら仮面ガンナーらの平時の龍玉の力に届くか怪しいレベルと控え目なものである。その代わりに精神面の制御に関してはかなり安定しており、暴走状態のような事態には陥りにくい。

4.ライズアップデバイス


 変身(ライズアップ)にはデュアルライザーを用いるが、シンキのそれは通常のものとは異なる性能を持つ黒いカラーリングのライザーである。各種機能の処理速度が高く、特にそのエネルギー転換効率によりライズアップ中の負担が大幅に軽減される。
 なお、シンキはマスクドエナジーを初めて覚醒させたときに「いつの間にか」持っていた、つまり自分の意思で形成したわけではないようだ。

5.仮面ランサーのフォーム


 仮面ランサーはマスクドエナジーにより自分の意思で龍玉の力を引き出す性質を応用して、龍玉の力を調整することによりフォームを切り替えることができる。フォームは現在2種類ある。

  • リベリオンフォーム
 最初にライズアップした時のフォームであり、仮面ランサーの基本フォームである。天剣の龍玉の力をそのまま抽出しているだけのため、パワーは強いがそれ以外の目立った特徴はない。
 「繋がりし世界」の初期までは一貫してこのフォームで戦っている。
 固有技は突進を一定数ヒットさせた後にジャンプフィニッシュ突きを叩き込む「チェイサーリベリオン」。
(頭:リベリオン 胴:リベリオン 腕:クロオビ 腰:グリード 脚:ギルドナイト)

  • グランドフォーム
 「繋がりし世界」において実力を認められた仮面ランサーは大老殿への立ち入りを許可されたが、そこでのG級クエストのモンスターを相手にするには攻撃面偏重のリベリオンフォームでは多大な苦戦を強いられることと、そのダメージによって変身中の身体への負荷が増大することが発覚。
 そこで天剣の龍玉の力を防御力に転換することでグランドフォームを覚醒させた。ゲネル・セルタス亜種とグラビモスの力を取り込んだことで屈強な装甲を手に入れると同時に継戦能力の向上を実現している。(なお、設定上はリベリオンフォームの鎧を覆う形でグランドフォームの追加装甲を纏っている)
 フォーム単体での攻撃能力は総合的にリベリオンフォームを下回るものの、「千刃竜の槍」を手に入れたことでデメリットをある程度緩和している。
 現在はこのフォームが中心だが、大老殿以外では短期決戦用にリベリオンフォームを用いる場合もある。
 固有技は突進でそのまま相手を貫き続ける「グランドペイン」。
(頭:リベリオン 胴:セルタスZ 腕:グラビドX 腰:セルタスZ 脚:グラビドX)

  • G-リベリオンフォーム
 リベリオンフォームが強化されたフォーム。G-リベリオンフォームという名称は従来のリベリオンフォームと区別が必要な場合に便宜上使われるものでこのフォームも普段はリベリオンフォームと呼ばれる。
 新たに手にした天剣の龍神玉によって出力を大幅に向上させ、攻撃型のリベリオンフォームの課題であったG級モンスターとの戦闘にも耐えうる性能となった。
 固有技は従来と同じく「チェイサーリベリオン」である。
(頭:リベリオンX 胴:リベリオンX 腕:クジュラハトゥー 腰:グリードZ 脚:G・ナイトX)



最終更新:2016年07月10日 21:26