novから来た女! 反逆の黒き牙

ここではないどこか。

???「逆さピラミッドの出現、銀河大戦の終結、そしてカクリバン・・・」
???「次元の壁が揺らいでいる・・・時は来た」
???「今こそ、反逆のとき!」
???「まずは手始めに―――」
ハカセ「ごめんね、美琴。付き合ってもらっちゃって」
美琴「別にいいけどよ。結局、何してんだ、これ?」

mayのとある山中。
ライディングスーツ姿の美琴とハカセが持ち込んだ小型の機器をあちこちに設置して回っていた。

ハカセ「先生が言うには、ここ最近mayの上空で重力場の異常がたびたび観測されてるんだって」
美琴「お、おう。大丈夫なのか、それ?」
ハカセ「それをくわしく調べるために観測装置を設置して回ってるってわけ」
美琴「なるほど」
ハカセ「よし、これで最後」

持ってきた観測装置をすべて設置し終え、二人が一息つく。
作業を始めたのは夕方だったが、終わる頃には日が沈みすっかり夜になっていた。
二人は近くに止めてあった
D・ホイールへと近づいていく。

ハカセ「先生もひどいよね・・・一人でやってたら深夜までかかってたよ、これ」
美琴「人使いが荒いのはいつものことだろ? とっとと帰ろうぜ」

夜の道を2台のD・ホイールが走っていく。
ハカセのD・ホイールはスピードこそすごいもののコーナリングは最悪であり、
ストレートに入っては加速し、コーナーで大幅に減速を繰り返していた。
美琴はそんなハカセのペースに合わせて、後ろからついていく。

シャムス『巫女よ』
美琴「うわ、なんだよシャムス。運転中に急に出てくるなよ!?」

観測装置設置の間、つまらないという理由で美琴にデュエルディスクに引っ込んでいた
ファトスシャムスが姿を現し、声をかけてきた。
高スピードで走るD・ホイールの後部に平然と腰掛けるシャムス。
アストラル体だからできる芸当である。
しかし。
優雅に座る半透明のその姿とは裏腹に、その表情は険しかった。

シャムス『敵が来る』
美琴「敵だぁ? 何いってやが―――」

ゴアアアア!
加速音を響かせながら、美琴の後ろから1台のD・ホイールが出現!
闇夜に溶け込むような黒いボディ。
左右に突き出た翼のようなパーツが特徴的な流線形のD・ホイールだ。
乗っているのは、同じく漆黒のライディングスーツに身を包んだ決闘疾走者。
ヘルメットとミラーシェイドで顔は見えないが、どうやら女のようだ。
ライディングスーツを押し上げるそのバストは豊満であった。

美琴「っ!? なんだてめぇ!」
ハカセ「ぼ、暴走族?」

突如現れた謎の女決闘疾走者。
彼女は美琴と併走すると、指を突きつけて宣言した。

???「尼曽根美琴。貴様の持っている力あるナンバーズ・・・“希望皇ホープ”を渡してもらおうか」
美琴「は、はぁ!? いきなり現れて何言ってやがる!?」
ハカセ「美琴のことを知ってる!? それにホープって、美琴のホープはスターター付属でしょ。なんで、そんなものを・・・」
???「貴様ら凡人にはそのカードの価値がわかるまい」

美琴には思い当たる節があった。
美琴の使う《No.39 希望皇ホープ》のカード。
ハカセの言うようにスターターデッキに付属していたごく普通のカードであるが、
美琴がリリカの命従士にされた時、その呪縛を打ち破ったことがあるのだ。
以来、ホープを召喚すると美琴の右フトモモに39という数字が浮かび上がるようになっていた。
だからといってそれ以外に何か特別なことがあるわけでもなかったのだが・・・。

シャムス『巫女やゴーグル娘は一般人じゃからの。無理もあるまい』
美琴「お前も訳知り顔で納得するなよ! ふ・ざ・け・ん・な! こんな形で渡せって言われて誰が従うかっつーの!!」
???「ならば、決闘疾走だ。この世界では、欲しいものを手に入れる時はそうするのだろう?」
ハカセ(この世界・・・? この人・・・・・・)「美琴、アンティルールなんて受ける必要ないよ!」
美琴「ああん!? 売られた決闘は買うのが決闘者ってもんだろ! 後悔させてやらぁ!!」
シャムス『気をつけよ、巫女よ。こやつのフィール・・・マジヤバじゃぞ』

3台のD・ホイールが闇夜を走る。
美琴と謎の女Dホイーラーは速度を上げ―――

         デュエル
美琴・???「「 決 闘 !! 」」
         ディアク

先を行くのは謎の女決闘疾走者。
美琴のD・ホイールを引き離し先攻を獲る。
とんでもない加速力だ。


???
手札:5
LP:4000
場:
墓地:

美琴
手札:5
LP:4000
場:
墓地:


???「私のターン! 手札から《RR-バニシング・レイニアス》を召喚!」
ハカセ「【RR】デッキ!?」

機械と融合したような百舌鳥が召喚され、D・ホイールと併走するように飛翔する。
モニターで決闘疾走を見守るハカセは謎の女決闘疾走者の使ったカードからデッキ内容を看破した。
 レイドラプターズ
【   RR   】。
闇属性・鳥獣族で統一された、百舌鳥の名前を持つ下級モンスターと
隼の名を持つモンスターエクシーズから成るテーマだ。 
敵はどうやらRRをメインとしたデッキの使い手らしい。

???「《RR-バニシング・レイニアス》の効果を発動、手札から《RR-トリビュート・レイニアス》を特殊召喚!
    そして特殊召喚された《RR-トリビュート・レイニアス》の効果。デッキから墓地へと《RR-ミミクリー・レイニアス》を送る」

場に現れる蒼き猛禽。緑と蒼、2匹の百舌鳥を従え漆黒のD・ホイールが走る。
RRモンスターの高速展開と連続効果使用によるアドバンテージ確保。
これこそが【RR】の持ち味だ。

???「墓地に送られた《RR-ミミクリー・レイニアス》を除外することで、私はRRと名の付くカードを1枚手札に加える」

彼女がデッキから手札に加えたのは《RR-ネスト》。
場にRRモンスターが2体以上存在する場合、デッキまたは墓地からRRモンスターをサーチできる永続魔法だ。
当然彼女は《RR-ネスト》を発動し、効果を使用する。
手札に加えたのは2枚目の《RR-バニシング・レイニアス》。
そして―――

シャムス『☆4のモンスターが2体・・・来るぞえ巫女よ』
???「私はモンスター2体でオーバーレイ! 
    冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ! エクシーズ召喚!
    飛来せよ! ランク4! 《RR-フォース・ストリクス》!!」

コースに空いた穴へと光となった2匹の百舌鳥が飛び込んでいく!
穴から飛び出し現れたのは蒼きフクロウ。
その羽ばたきによるフィールで一瞬美琴のD・ホイールが煽られるも、
体勢を立て直し漆黒のD・ホイールの後を追う。

???「《RR-フォース・ストリクス》は1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、
    デッキから鳥獣族・闇属性・☆4のモンスター1体を手札に加える事ができる」
美琴「さらにサーチするってのかよ!? インチキ効果も大概にしろ!!」

オーバーレイユニットと化した《RR-トリビュート・レイニアス》をコストに、
手札に加わる3枚目の《RR-バニシング・レイニアス》。

???「私はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
ハカセ「不動性ソリティア理論みたいなもんかな、これ・・・」

恐るべきはRRの展開・サーチ力!
先攻1ターン目にして謎の女決闘疾走者の場には、
ランク4のモンスターエクシーズが1体、永続罠1枚と伏せカード1枚が並び、
墓地と除外ゾーンにもカードが1枚ずつ、手札も4枚を維持しているという状況であった。


???
手札:4(うち《RR-バニシング・レイニアス》×2)
LP:4000
場:《RR-フォース・ストリクス》(ORU:1)
  《RR-ネスト》、伏せ魔法罠×1
墓地:《RR-トリビュート・レイニアス》
除外:《RR-ミミクリー・レイニアス》

美琴
手札:5
LP:4000
場:
墓地:


美琴「あたしのターン! ドロー!」
シャムス『相手のアドバンテージは圧倒的じゃのう。どうしたものか』
美琴「できることをやるしかねぇだろ。幸い手札は悪くねぇ。
   あたしは手札から《ゴブリンドバーグ》を召喚!
   効果で《ゴブリンドバーグ》を特殊召喚だ」

美琴のD・ホイールの上空を飛ぶプロペラ機にぶら下がる形でサモプリが現れる。

美琴「手札の《アマゾネスの里》を捨ててサモプリの効果を発動!
   デッキから《ZW-阿修羅副腕》を特殊召喚する!」
ハカセ「☆4モンスターが2体に《ZW-阿修羅副腕》・・・いっけー美琴!」
美琴「☆4の《ゴブリンドバーグ》と《ゴブリンドバーグ》をオーバーレイ!
   2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
   エクシーズ召喚! 現れろ、《No.39 希望皇ホープ》!!」

巨大な剣にも盾にも見えるオブジェが穴よりせり上がり、変形するとともに、
美琴の右フトモモに39の数字が浮かび上がり光を放った!

ホープ『ホープ!!』
美琴「《No.39 希望皇ホープ》に《ZW-阿修羅副腕》を装備! バトルだ!!
   《No.39 希望皇ホープ》で《RR-フォース・ストリクス》を攻撃! ホープ剣・アシュラ・スラッシュ!」

《No.39 希望皇ホープ》の背の翼が光に分解され、副腕が装備される。
それぞれの腕がホープ剣を抜き放ち、《RR-フォース・ストリクス》へと斬撃を放つ!
美琴のD・ホイールから放たれるフィール! しかし!

???「甘い! リバースカード、オープン! 《RR-レディネス》!
    このターン、RRモンスターは戦闘では破壊されない!」
美琴「戦闘耐性!? 守りやがったか」
シャムス『それだけではないぞ。《RR-レディネス》は墓地に存在してこそ真価を発揮するカード。
     その効果により、次のターンも戦闘ダメージは与えられぬと思ったほうが良い』
美琴「うわ、面倒くせぇ・・・くそっ、あたしはこれでターンエンドだ」

謎の女決闘疾走者は美琴のフィールを振り払うようにスピードを上げていく。
美琴もアクセルを握りこみ、喰らい付いていく。


???
手札:4(うち《RR-バニシング・レイニアス》×2)
LP:4000
場:《RR-フォース・ストリクス》(ORU:1)
  《RR-ネスト》
墓地:《RR-トリビュート・レイニアス》、《RR-レディネス》
除外:《RR-ミミクリー・レイニアス》

美琴
手札:3
LP:4000
場:《No.39 希望皇ホープ》(ORU:2)+《ZW-阿修羅副腕》
墓地:


???「私のターン、ドロー」

謎の女決闘疾走者はドローしたカードを確認し、ヘルメットの下でほくそ笑んだ。

ハカセ(相手の雰囲気が変わった・・・?)「気をつけて、美琴」
???「やはり・・・貴様にそのカードは宝の持ち腐れだ」
美琴「なんだと!?」
???「故に、この私―――novよりの使者・鳥砂ナオミが貰い受ける!」
シャムス『novじゃと!?』
美琴「novだぁ? 知ってんのか、シャムス?」
シャムス『いや、まさか・・・ええい、くわしい話は後じゃ。気をつけよ、巫女よ。
     彼奴め、なにか仕掛けてくるぞえ」
ナオミ「私は《RR-フォース・ストリクス》の効果で、墓地の《RR-トリビュート・レイニアス》を手札に加える」

再び回転しはじめるRRデッキ!

ナオミ「手札から《RR-バニシング・レイニアス》を召喚! 効果で2体目も特殊召喚だ。
    《RR-ネスト》の効果。墓地から《RR-トリビュート・レイニアス》を回収し、
    2体目の《RR-バニシング・レイニアス》の効果で特殊召喚する。
    特殊召喚された《RR-トリビュート・レイニアス》の効果により、
    2枚目の《RR-ミミクリー・レイニアス》を墓地へ。そのまま効果を発動!
    《RR-レディネス》を手札に加える―――」
美琴「また戦闘耐性カードかよ!? こいつはちっとばかし厄介だぜ」
ナオミ「心配無用だ。貴様に次のターンはない!」
美琴「なんだと!?」

美琴の場には打点が3500まで上がった《No.39 希望皇ホープ》がいる。
オーバーレイユニットもまだ2つとも健在。
ナオミのRRモンスターも数は多いが攻撃力は足りていない。
戦闘で突破するのは難しい状況だが・・・・・・。

ナオミ「この決闘疾走は、我々novの民がこの世界に放つ反逆の第一矢だ」
美琴「なにわけのわからねぇこと言ってやがる!?」
ナオミ「創造神クンリニン=サンよ・・・見ているがいい。我々は貴様の作った世界に反逆する!
    私は、《RR-バニシング・レイニアス》2体でオーバーレイ!
    漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ! エクシーズ召喚!
    現れろ! ランク4! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」

ナオミのD・ホイールが圧倒的なフィールを放つ!
巻き起こる旋風! 吹き荒れる衝撃!
巨大な逆鱗を持つ漆黒のドラゴンが咆哮をあげる!!

ナオミ「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の効果を発動! トリーズン・ディスチャージ!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の効果。
相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分自身の攻撃力を吸収する。
美琴の《No.39 希望皇ホープ》のATKが1750へと下がり、
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のATKが4250へとアップ!

美琴「確かに打点は負けちまったがな!
   《No.39 希望皇ホープ》にオーバーレイユニットがある限りバトルは成立しないぜ!」

圧倒的なフィールが吹き荒れる中、なんとかD・ホイールをコントロールしながら美琴が強がってみせる。
だが、ナオミの戦略がこれで終わりのはずはなかった。

ナオミ「笑止! 貴様に次のターンはないと言った!
    私は手札から《RUM-レヴォリューション・フォース》を発動。
    場の《RR-フォース・ストリクス》でオーバーレイネットワークを再構築!
    獰猛なる隼よ、激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!
    ランクアップエクシーズチェンジ! 現れろ! ランク5!
    《RR-ブレイズ・ファルコン》!」

現れたのは深紅の隼!
高速で走るナオミと美琴のD・ホイールを見下ろすように漆黒の竜と深紅の隼が旋回する。

ナオミ「《RR-ブレイズ・ファルコン》の効果・・・オーバーレイユニットを1つ使い、
    相手の特殊召喚モンスターを全て破壊し、破壊したモンスターごとに500ダメージを与える!」
美琴「げ!? マジかよ!」

残念ながら今の《No.39 希望皇ホープ》には効果破壊耐性はない。
《ZW-阿修羅副腕》ごと粉砕され、ナオミのフィールが美琴を襲う!

美琴「ぐっ・・・ううっ」
シャムス『いかん!?』
ナオミ「バトルだ! その牙で氷河を砕け! 反撃のライトニング・ディスオベイ!」

美琴の場はがら空き。
上空から巨大な反逆の逆鱗が迫る!

ナオミ「フィール・リベリオン・・・その身で受けるがいい!」
      激情の反逆

相手のフィールを自らのフィールに上乗せし繰り出すナオミのフィール。
《No.39 希望皇ホープ》の力を吸収し威力が増大した一撃が美琴を襲う!

美琴「うわぁああああああ!?」



ナオミ
手札:2
LP:4000
場:《RR-トリビュート・レイニアス》、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》、《RR-ブレイズ・ファルコン》
  《RR-ネスト》
墓地:《RR-レディネス》、《RR-バニシング・レイニアス》×2、《RUM-レヴォリューション・フォース》
除外:《RR-ミミクリー・レイニアス》×2

美琴
手札:3
LP:4000→0
場:
墓地:《No.39 希望皇ホープ》、《ZW-阿修羅副腕》


強大なフィールの一撃にD・ホイールごと美琴が吹き飛ばされる。
シャムスもフィールによる衝撃で姿を維持することができず、デュエルディスクの中へと戻っていた。
コースに投げ出され空転するD・ホイールと倒れ伏した美琴の近くでナオミがD・ホイールを停めた。
ヘルメットを外し、美琴の元へと近づいていく。
露わになったナオミの素顔。
褐色の肌に長い銀色の髪。そして右目に走る一筋の傷痕。
歴戦の戦士を思わせる女性であった。

ナオミ「約束どおり、《No.39 希望皇ホープ》はもらっていく」
美琴「ち・・・くっ・・・しょ・・・・・・」

呻くことしかできない美琴の翳む視界の中でナオミがカードを拾いあげた。
遠くから美琴のことを必死で呼ぶハカセの声が聞こえてきて。
美琴の意識は闇へと落ちていった―――。



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最終更新:2015年03月09日 05:55