バトー博士。
死人で溢れかえる日常が続く苛酷な荒野の辺境に
助手のサースデーと2人きりで暮らしていた老人。
彼の特技は戦車作り。
彼ほど天才で誠実な人間を俺は・・・・・・2人しか知らない。
異世界に来るという常識を2つ3つ飛び越えた現実の果てに、
バトー博士はデバイスマイスターとなった。
全てはトモダチである俺の頼み『アルファを蘇らせてくれ』を叶えるがために。
かつてのバトー博士は一人ぼっち。
そのバトー博士にとって産まれて初めてのトモダチが俺。
やがて、なのはがバトー博士の2人目のトモダチとなった。
そしてある日、バトー博士のトモダチがたくさんになった。
魔法少女リリカルなのはStrikerS―砂塵の鎖―始めようか。

第6.5話  バトーのトモダチ、機動六課

これは繰り返し続けられた日常の中の一コマに過ぎない。
全ては偶然の産物。
たまたま食堂ではやてちゃんとヴォルケンリッターの皆が食事をしていて、
たまたまフェイトちゃんとシャーリーの仕事が簡単に片付いて食堂に来て、
たまたま少し早く午前の訓練を切り上げたわたしがたまたまバトー博士に
レイジングハートの改造をお願いしてみようなんて思って頼んだ後に食堂に来て、
たまたま他の課員がたくさん食堂にいたせいでスバル達フォワード4人の注文が
出てくるのに時間がかかったのも手伝って皆が相席することになって、
たまたまはんた君が、見間違いじゃないのなら、唐辛子の山盛りを目の前に
ドラム缶についてシグナムさんの隣で話しながら
(正直なところ物凄く2人が盛り上がっていたことに驚いた)食べていた。
こんな状態が生まれたのはほとんど奇跡のようなもの。

「みんながこうやって揃ってお昼食べられるなんて本当に久しぶりだよね。」
「本当。エリオ達も固くならないで、和やかに話してくれていいから。」
「そうや。ご飯は皆で仲良く楽しく食べんとな。
しかし、報告見たけど、ヴィータまではんたにノックダウンされてしまったわけやな。」
「違う!!あれは不意打ちだったからだ!!正面からやれば負けるはずがねぇ!!」
「なのはちゃんのときに比べればたいした怪我じゃなかったから。
非殺傷設定があったことに初めて感謝したかもしれないわ、私・・・・・・。」
「しかし、主はやて。傍から見ていたに過ぎない私ですが、彼は騎士としては
最低かもしれませんが、戦士としては疑いようもなく最高の人材と言えるでしょう。
彼のような人材を六課に組み込んだ御英断、感服いたしました。」
「映像をみせてもらった限り私も人間的にどうかとは思ったがシグナムと同意見だ。」
「(はやて部隊長、賭けに負けたからいれることになったなんて言えないですよね。)
なによりもバトー博士のデバイスとはんた君の組み合わせが反則っぽいんですよね。」
「ソニックムーブを詠唱0魔力消費0で使っていたって本当なんですか?フェイトさん。」
「ええ、本当よ。エリオ。あと、なのはがノックダウンされたことも本当。」
「あはは。あれは痛いなんてものじゃなかったよね。でも、わたしは元気だし、
あれは些細な誤解からのことだから。だから、スバルとティアナも本当に
もう気にしないでいいから・・・・・・ね?」
「へぇー。すごい人だったんですね。フリードが物凄く怯えてたけど。」
「あれ?キャロ。お皿が空っぽだよ。パスタとってあげる。
たくさん食べないと大きくなれないよ。」
「あ、ありがとうございます。スバルさん。」
「でも、人格的に問題がある人を部隊に編入するのは組織として問題があると
思うんですけど大丈夫なんでしょうか?はやて部隊長。」
「こっちにもこの言葉はあるのか?『ネズミを取るのが良いネコだ』って。」

珍しく、本当に珍しく奇跡的に和やかに会話が進んでいた。
山盛り唐辛子を食べ続けるはんた君がいきなり殴りかかったりすることもなく、
ヴィータがはんた君に絡むこともなく、
ちらちら見てははんた君のほうをティアナが警戒しているけど攻撃するわけでもなく、
目の前のパスタの山とスバルとキャロが格闘し続けて、
エリオのケチャップ塗れになった口元をフェイトちゃんが拭ってあげて、
机の下でザフィーラさんががつがつと食べていて、
和気藹々としたそんな本当に和やかな場面だった。
全ての切欠はフェイトちゃんの一言。

「そういえばなのは、レイジングハートはどうしたの?」
「バトー博士に改造を頼んでみようかなって思って、簡単な改造をお願い・・・・・・。」
「本当なんですか!?正気なんですか!?なのはさん。」
「えっと・・・・・・なにか問題あったかな?シャーリー。
午後も訓練があるから1時間くらいで終わる改造にしてって頼んできたんだけど・・・・・・。」
「なのはさん、甘すぎ、甘すぎです。リンディ・ハラオウン提督のお茶よりも甘すぎます。」
「シャリオ・フィニーノ、そのバトー博士という人にデバイスをいじらせるとまずいのか?
メカニック主任と聞いたが。例えばデバイスが再生不能なまでに壊すような人間なのか?」
「いえ、むしろ逆で物凄い性能になって帰ってくると思います。本当に本当に本当に
本当に本当に常軌を逸した天才ですから、バトー博士は・・・・・・。ただ・・・・・・。」
「おや?皆さん、お揃いのようだね。」

噂をすれば影というが、まさにそれだった。
現れたのは話題の人物バトー博士と助手のサースデー。
その手に持つのはレイジングハートってもう改造終わったの?
頼んだのついさっきだよ!?

「どうやら初対面の方もいるようだから自己紹介くらいしよう。私はバトー。
メカニック主任というものをやっている。こっちは助手のサースデー。」
「私はシグナム。ご老体が誰のことをお知りになっているか私は存じ上げませんので
私から時計回りに紹介させていただきます。順番にはんた、シャリオ・フィニーノ、
テスタロッサ、ザフィーラ、シャマル、主はやて、ヴィータ、エリオ、キャロ、スバル、
ティアナ、なのはが各々の名前となります。」
「はやてちゃんとフェイトちゃんとなのはちゃんとシャーリーとはんたは知っているよ。
フォワードの4人も訓練所であったのを含めて2度目だね。
ああ、あとシャマルっていう人も1度会っているね。」
「あのバトー博士、それで用件は・・・・・・。」
「ああ、そうそう。レイジングハートの改造が終わったから届けにきたんだ。
なんだか出力リミッターとかいう面倒な条件がくっついてたから、どう説明したものかな。
減った分を補強するブースターって思ってよ。それをさらっと作って組み込んでみたよ。
ああ、重量も見た目もそのままだし、フレーム強度なんかの問題もクリアーしてるよ。」
「ええと、バトー博士、それってどういう・・・・・・。」
「はやてちゃんにも分かりやすく説明すると10から8を引いた後の数字を5倍したら
元通りの10になるでしょ?そういうことだよ。」

本当にさらっと説明するバトー博士。
そんなに簡単にデバイスって改造できるものなの?

「ティア、ティア。5倍の性能にしたって意味であってる?」
「誇張とかがないなら・・・・・・たぶん・・・・・・そうよね?」
「そんなに簡単にデバイス強化できるんですか?」
「キャロ。簡単にできたら技術部やデバイスマイスターは苦労しないんじゃないかな。」

小声でフォワードの4人が話している。
たしかにすごいことだよね。
リミッターの存在がありながら、リミッターの制限条項を破らないで、
元通りの性能を出させてくれる改造だなんて。
あれ?リミッター制限かかっているけどリミッター前の力が出せる?
なにかおかしくない?
ヴォルケンリッターの4人も感心した様子で話を聞いている。
真っ先に口を開いたのはヴィータちゃんだった。

「そりゃすげぇな。それならあたしのグラーフアイゼンも強化してくれよ。」
「んー。別に構わないけど。んんんー。」
「なんだ?なにか問題でもあるのか?」
「せっかくやるんだから仕事は気持ちよくやりたいよね。それにトモダチのためなら
いくらでも無茶してがんばってあげたくなるものじゃないか。わかるかい?」
「おう、そりゃ当然だよな。」
「けれど、ボク、トモダチが2人しかいないんだ。だからどうしてもトモダチの頼みを
優先させたくてしかたないから、シャーリーもいることだし、ボク自身の手で改造する
時間が作れないかもしれないんだよね。」
「なんだよ、お前。トモダチ2人しかいねぇのかよ。」
「うん。産まれてからこの歳になるまでずっとトモダチがいなくてね。
それが、ついに2人もトモダチができたんだよ。」
「だったらここにいるあたし達全員がトモダチになればいいだろ?
そうすりゃ、お前にたくさんのトモダチができるし、気分よく仕事ができる。
どうだ、あたしの考えは完璧だろ?シグナム達も構わなぇよな?」
「ああ、私達は構わんが・・・・・・。」
「あ、あのな、ヴィー・・・・・・。」

皆が首を縦に振ったりして同意を示す傍ら、はやてちゃんが止めようとしているけど。
ああ、もうだめだ。
この後、どうなるか予想がつき始めた。
シャーリーとフェイトちゃんも同じように、どこか諦めた顔をしている。

「んー。んんんー。つまり、それってもしかしてひょっとしてまさかとは思うけれど、
ここにいる皆がトモダチになってくれるっていうことなのかな?」
「ああ、そうだ。」
「本当に?」
「本当だ。」
「本当に本当に?」
「本当に本当だ。」
「本当の本当の本当に?」
「あーーーーーーーーー!!しつこいぞ!!お前。
本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当に本当だ。」
「ヒャッホー!!!!!!」

歓声をあげて狂乱したように踊り始めるバトー博士。
事情を知らない皆は微笑ましそうにバトー博士を眺めている。
ああ、バトー博士の気持ちは分かるけどこの後いったいどうなるんだろう。
祈るような顔のシャーリーとフェイトちゃんがいる。
はやてちゃんは壊れたみたいに遠い目をしちゃってるし。
はんた君は変わらずに唐辛子を顔色1つ変えず汗もかかないで食べ続けてるし。
やがてバトー博士がはんた君に抱きついて言った。

「今のを聞いたかい?ゴキブリ!!!!!信じられるかい?
ボクにトモダチがたくさんできるんだって!!!!
あまりの出来事にボク、もう怖くて怖くてしかたないよ。」
「ゴキブリ?」

スバルが不思議そうな顔でバトー博士に尋ねる。
はんた君にゴキブリって呼びかけたのだから驚きも大きいだろう。
普通は呼ばないもんねぇ。
ゴキブリなんて・・・・・・。

「ボクの産まれて初めてできたトモダチがゴキブリなんだ。
いくつもアダナの候補を挙げたんだけどゴキブリ『が』いいって言ったんだもの。
だからゴキブリをゴキブリって呼んでいるんだよ。わかったかい?」
「あははははははははは・・・・・・・・。ゴキブリ、ゴキブリなんて最高だぜ。よかったら
これからあたしもゴキブリって呼んでやるよ。あはははははははは・・・・・・・・・・・・。」
「ちょっとヴィータ。そんなに笑ったら・・・・・・。」

お腹を抱えて笑い転げているヴィータちゃん。
シャマルさんが注意しているのだけど。
でもね、ヴィータちゃん。
目の前に危機が迫っているって分からないの?
バトー博士が向き直って口を開く。

「さて、トモダチになったんだからトモダチ同士いつまでも他人行儀じゃいけないよね。
だからキミ達それぞれにぴったりのステキなアダナで呼ぼうと思うんだ。
トモダチだもん、当然だよね。」
「おう、当然だよな。びしっとかっこいいアダナを頼むぜ。」
「それじゃ、ヴィータちゃんからアダナをつけていこうか。」

既にはやてちゃんは席を後ろに引いて逃げる準備をしている。
同じようにシャーリーとフェイトちゃんも・・・・・・。
実はわたしも少し席を引いていたりする。
その様子を不思議に思ったのか、シグナムさんは警戒を始めたようだった。

「んー。んんんー。うん、そうだね。キミのアダナはチンクシャだね。
どうだい、ステキなアダナだろう?」
「・・・・・・今なんつった、じじい。」
「んー、耳が遠いのかい?だからチンクシャのアダナはチンクシャって言ったんだよ。」
「グラー・・・・・・。」
「あかん、ヴィータ、頼むからちょっと待って、頼むから。シグナムもシャマルも
ザフィーラも止めるの手伝いや。食堂にいる課員の皆はやく逃げてーーー!!!!!!」

ヴィータちゃんに飛びつくようにして止めるはやてちゃんが絶叫する。
ただならぬはやてちゃんの取り乱しように、ざわざわと騒ぎながらも
慌てて駆け足で一般課員が食堂から出て行った。
グラーフアイゼンを片手に震えるヴィータちゃんをヴォルケンリッターの3人と
はやてちゃんが押さえつけている。

「な、なぁ、バトー博士。他のアダナはないんかな?
もうちょっといいアダナがあると思うんよ。」

はやてちゃんが必死にヴィータちゃんを抑えながらそう尋ねている。
ああ、はやてちゃん、たぶんそれは自殺行為だよ。
一方、危険を感じさせる濃密な気配を前にフォワードの4人は固まっていた。

「んー。んんんー。たしかにその通りだね。チンクシャじゃあまりにもひねりがないし
センスのかけらもないし響きもイマイチだし、ちょっとかっこ悪いもんね。」
「そ、そうや。分かってくれて嬉しいわ。」
「んー。んんんー。それじゃこれはどうかな?」
「な、なんや。いったいどんなアダナなんや?」
「クソチビ。どうだい。今度こそピッタリでしょ?センス抜群で、響きもいいし、
見た目どおりだし、うん。完璧じゃないかな。どうだい?クソチビ。」
「アイゼン、ギガント・・・・・・・。」
「わーーーーーー、ヴィータ、お願いやから落ち着いてーーーーーー!!!」

ああ、やっぱり・・・・・・。
なんかどんどん心を抉るようなアダナが続くんじゃないだろうか。
もしかしてわたしのバカチンとはんた君のゴキブリってすごくまとも?

「な、ヴィータ。もうちょっとだけ我慢してや。頼むから本当に・・・・・・。
それでバトー博士、お願いやからもうちょっとソフトなアダナはないんかな。」
「んー、クソチビもだめなの?たしかにクソチビじゃ面白みのかけらもないからね。
それじゃもうちょっとマイルドな口当たりのアダナにしてみるよ。」
「それや。是非ともそれでお願いや。」
「んー。んんんー。ムシケラなんてどうかな?捻りもあって、響きもよくて、
センス抜群でそれでいて口当たりも実にマイルドなアダナだよね。
ムシケラに本当にピッタリのアダナだよね。どうだいムシケラ?」
「アイゼン、ギガントフォルム。」
「Jawohl.」
「わーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
頼む、お願いやからヴィータもアイゼンもあと少しだけ待ったってーーーーー!!!!!
バトー博士、この際かっこよくなくてもひねりがなくても口当たり悪くても
センスなんてどうでもええから、もうちょっといいアダナないんか?」

はやてちゃん。
バトー博士の言葉が全部逆の意味で使っているんだと思ってそう言ったのかな。
でもね、はやてちゃん、そうじゃないんだよ。
バトー博士は褒め言葉と酷い言葉の区別がついていないんだよ。
だからそんなこと言っちゃうと・・・・・・。

「んー。んんんー。仕方ないなぁ。それじゃ、あまりにもかっこ悪くて捻りがなくて
口当たり悪くてセンスなんてかけらほども感じられないこれかな。」
「そ、それや。是非ともそれでお願いや。いったいどんなアダナなんや?」
「ゲボ子♪」

凄まじい破壊音が食堂に響き渡る。
「ヴィータ、落ち着け!!」
「ヴィータ、落ち着いてーー!!」
「気持ちは分かるがやめろ、ヴィータ。」
「お願いやからヴィータ、落ち着いてーーーーーーー!!!!」
「うるせーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!
シグナムもシャマルもザフィーラもはやても邪魔をするなーーーーーーー!!!!
は・な・せーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」

最終的にシグナムさんの当身でヴィータちゃんが止まった。
ギガントフォルムのグラーフアイゼンを振り回してヴィータちゃんが暴れたから
食堂は当然めちゃくちゃになっている。
食堂の片隅に転がされたヴィータちゃん。
気持ちは分かるよ、ヴィータちゃん。
わたしも以前訓練所半壊させたから・・・・・・。


「それじゃ、次は赤い髪のエリオ君かな。」

身体が固まってしまって逃げ出せなかったのがフォワード4人にとって最大の不運だろう。
でも、エリオはどんなアダナになるのかな?
ヴィータちゃんで背丈に関するのは出尽くしたと思うんだけど。
フェイトちゃんが保護責任者やっているのとか書類上のことは知っているけど、
他はこれといってエリオのことを知らないのもあってどんなアダナがつくのか
見当もつかなかった。

「んー。んんんー。うん。キミのアダナはムッツリだね。どうだい。ステキなアダナだろ?」
「えっ、そ、そんな・・・・・・。」
「うん。人助けしながらちゃっかりしっかりじっくりオッパイ揉みしだいちゃったり、
年上のお姉さんがかがんでくれるのをいいことに胸の谷間をしっかりじっくりチラチラ
じろじろ念入りに見つめてたり、女の子の後ろをわざわざ歩いて目の前で
フリフリ振られているお尻を穴が開きそうなほどにしっかり見つめていそうな
顔してるもんね。ムッツリにピッタリのアダナだよ。」
「ち、違うんです。あれは事故・・・・・・。」
「エリオ・・・・・・覚えがあるの?」
「・・・・・・あ。」

慌てて弁解しようとしたのだろう。
けれど、スバルの言葉に空気の流れが変わった。
あー、墓穴掘っちゃったみたいだね。
そう言いながらも女性陣、皆胸元を抑えている。
もちろん私も・・・・・・。

「だ、大丈夫よ。エリオ。年頃の男の子はそういうことに興味を持つものだし。
私はその・・・・・・気にしないし・・・・・・だから・・・・・・・その・・・・・・ね?」
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!!」

フェイトちゃん。
フォローのつもりだったんだろうけどそれトドメだよ。
それに胸元隠していたんじゃ説得力ないし・・・・・・。
エリオ、泣きながら食堂から出てっちゃった。

「うん。すごくいい感じだよ。じゃんじゃんアダナつけていこうか。
次は桃色頭のキャロちゃんだね。」
「は、はいっ!!!!!!!!」

いったいどんなアダナをつけられるのかびくびくしているのだろう。
そういえば書類上の事以外、キャロのことも特に知らないよね。
可愛らしいは無理だとしても、小動物っぽいアダナならまだ救いがあるんだけど・・・・・・。

「んー。んんんー。キミのアダナはコシヌケだね。どうだい。ステキなアダナだろ?」
「えっと、えっと、えっと・・・・・・。」
「うん。すごく強い力を持っているけど振り回すのが怖いからって使わないでいたり、
いつも小動物のネズミやリスやウサギやオケラやカマドウマみたいにビクビクしてそうな顔してるもんね。
コシヌケにピッタリのアダナだよ。どうだい。気に入ってくれたかな?」
「は、はい。わたしはコシヌケ・・・・・・いいアダナですね。」

すごいよ、キャロ。
そこまで言われて笑い返せるなんて。
どこか虚ろな笑い方だけど・・・・・・。
いけないことだけど、ちょっぴり評価におまけしてあげようかな。

「ええと、次はスバルちゃんだね。トモダチになれるか分からなかったけど、
マッハキャリバーを使うって聞いたときからもうこれしかないってずっと思ってたんだ。」
「え!?あたし!?マッハキャリバー!?」
「What’s?」
「うん。キミのアダナはウスノロだね。どうだい。これ以上ないくらいにピッタリで
ステキなアダナだろ?」
「Hey, Mr.Bato. Why do you say such a thing? 」
「そうだそうだ。マッハキャリバー。言ってやれー!!」

ああ、スバルとマッハキャリバー。
何故を聞くとまずいんだってば・・・・・・。

「んー。んんんー。なんで分からないかなぁ。どこからどう見たってウスノロは
ウスノロに決まっているじゃないか。他にどこをどう見ればウスノロじゃなくなるのか
是非とも教えて欲しいくらいだよ。もしかしたらバカチンもありかなって思ったけど、
バカチンはバカチンに使っちゃってるから。同じアダナなんて使う気しないしね。
あ、それともバカチン、ウスノロにバカチンっていうステキなアダナを譲ってあげて
新しいアダナつけてあげようか?」
「バカチン『が』いいです!!!!!」

思わずわたし即答しちゃったよ。
ああ、分かっちゃった。
どうしてゴキブリ『が』いいってはんた君が言ったのか。
バトー博士の言葉が続く。

「そう。それならやっぱりウスノロはウスノロだよね。それとも他になにかウスノロを
表現するいい言葉でもあるのかな?それなら是非とも教えて欲しいんだけど。」
「Well, let me see, let me see, Ah, hmmm・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.」
「考え込まないでよ!!マッハキャリバー!!!!!!!!!!!」
「OK,OK. I see, I see, I understand. My buddy is ・・・・・・nice・・・・・・girl・・・・・・may be.」
「『たぶん』ってなんだよ『たぶん』って。マッハキャリバーーーーーーーーー!!!!!」
「So, so, sorry. Buddy. But I can’t think your・・・・・・・・・・・・・・・.」

ああ、インテリジェントデバイスと口論する人なんて初めて見たよ。
あはははははは・・・・・・。
インテリジェントデバイスが困るなんて初めて見たよ。
あはははははは・・・・・・。
でも案外まともに聞こえるよね。
ウスノロってアダナ。
あはははははは・・・・・・。

「それじゃ、ウスノロのガラクタデバイスも認めてくれたことだしウスノロはウスノロで決定として、次はティアナちゃんか。」
「あ、あたしは結構で・・・・・・。」
「遠慮することないよ。ティアナちゃん。なんたってボク達トモダチだろ?
トモダチ同士遠慮なんかしちゃダメだよ。それじゃティアナちゃんのアダナは・・・・・・。」

さすがバトー博士。
人の都合なんてお構いなしだよ。
そういえばティアナってどんなアダナがつくんだろう?
多少感情的になりやすいかなって気はするけど、
身体的特徴とか特にこれといって目立つところもないし・・・・・・。
バトー博士も初めて困ったようなふうに考え込んでいる。

「んー。んんんー。んんんんんー?
難しいなぁ。一目見てアダナが思いつかないなんてこんな経験初めてだよ。
それでもボクは天才だからね。なんとか2つも考えてみたんだ。
片方は以前トモダチになってくれそうだった女の子がいらないって言った
アダナなんだけど、結局使われなかったから些細なことだよね。」
「ちょっと、本当に、あたしはいいから・・・・・・。」
「それじゃ、どっちがいいか選んでよ。ノウナシとヒステリーの2つからさ。」

あらら。
ティアナ、物凄いショックを受けたのか崩れ落ちるみたいに膝ついて泣き出しちゃったよ。
どっちにショック受けたんだろ?
わたしにどっちか選べって言われたら迷わずヒステリー選ぶのに・・・・・・。

「んー。どうしたんだい?急に泣き出しちゃって。そうか、泣くほど嬉しかったんだね。
そんなに喜んでくれるなんてアダナを考えたボクとしても本当に嬉しいよ。
最初はどこからどう見ても身の程知らずの癇癪持ちとしか言いようがない顔していたから
ノウナシってアダナにわざわざしてあげたんだけど、やっぱり感情に振り回されて
馬鹿やり放題な顔してるからヒステリーのほうがお似合いなのかなって思ったんだ。
他の皆はどっちがお似合いだと思うかな?ああ、でもやっぱり本人が選ばないとね。」

お願いだから答えにくい質問しないでください、バトー博士。
皆で視線を合わせないことでなんとかスルーしたけど。
ああ、しかしフォワード4人。
これじゃ午後の訓練できそうにないかもしれないなぁ・・・・・・。

「それじゃノウナシヒステリーのアダナはしばらく保留にしてノウナシヒステリーって
呼ぶことにするよ。どっちか決まったらボクに言ってね。なんたってボク達トモダチだろ。」

バトー博士、それって物凄い追い討ちです。
おかげでティアナが泣き止まない。

「さて、バカチンとゴキブリはいいとして、次はシグナムちゃんだね。」
「ほう、私の番か。」

今までの惨状を見ていながら平然としているシグナムさん。
さすがだと思ってしまう。
でも、どんなアダナがつけられるんだろう?
シグナムさんだけは検討が本当につかないな。
強いし美人だしスタイルいいし・・・・・・。

「んー。んんんー。うん。キミのアダナはニートだね。どうだい。
まさにキミにピッタリの実にステキな響きのいいアダナだろ?」
「ふむ。悪くないな。」
「うん。私に教えられるようなことはないとか言って仕事すっぽかしたり、
家族に養ってもらって自分はほとんど引きこもりっぱなしだったり、
働いたら負けだと思っているなんて考えをしてそうな顔してるもんね。
ニートに本当にピッタリのアダナだよ。」
「ふむ。事実だな。それでは私のアダナはニートで決まりだな。」

シグナムさんーーーーーーーーーーーー!!!!!!
認めちゃダメなところですよーーーーー!!!!!!
シャマルさんとザフィーラさんとはやてちゃんは唖然としちゃってるし。
シャーリーさんはニートの意味分かってるのかな?って言わんばかりだし。
それでも平然としていられるシグナムさん、さすがです。

「うん。だいぶアダナが揃ったよね。それでシャーリーはいいとして、
次はフェイトちゃんか。」
「あ、あの、私、急用・・・・・・。」
「フェイトちゃん。まさか今更どこか行くなんて言わないよね?」

にこっとフェイトちゃんに微笑んであげる。
引き攣ったような笑みを返すフェイトちゃん。
シャーリーもどうしたのかな?
まるで悪魔でも見たような顔をしてるよ。
わたし達の会話にお構いなしでバトー博士が口を開いた。

「んー。んんんー。うん。キミのアダナはロシュツキョーだね。
どうだい。キミにピッタリのまさに専用と言わんばかりのステキなアダナだろ?」
「露出狂!?」
「うん。小さい頃からとても恥ずかしくて人前にでるなんてできそうにない
露出し放題の格好で当たり前のように外を出歩いたり、
自分からぽんぽん服を抜いでいきそうな顔をしているもの。
その内、裸で空を飛び始めるんじゃないかな。どうだい、ロシュツキョー。
キミに本当にピッタリのかっこいいステキなアダナだろ?」
「ち、違うの。あれは母さんの趣・・・・・・。」
「フェ、フェイトさん!?」
「違うの、違うのよ。シャーリー。お願いだから信じてー!!」

シャーリーが物凄く戸惑ったような声を上げると
フェイトちゃんは髪を振り乱して必死に否定している。
でも、初めてあったころのフェイトちゃん、たしかにあれで外歩くって勇気いるよね。
あんなに際どいレオタードみたいなバリアジャケット・・・・・・。
それに今でもバリアジャケットをぽんぽん脱ぐような仕様、そのままだったような。
髪を振り乱して必死に否定していたフェイトちゃんがぴたりと突然止まった。
そしてフェイトちゃんが口を開く。

「はやて。服を買いに行きます服を買いに行きます服を買いに行きます・・・・・・。」
「わかったわかったから。公休って扱いにしておくから。だからフェイトちゃんも
そんな壊れたラジオみたいに同じ言葉繰り返しておっかない顔せんと・・・・・な?」
「バルディッシュ。ソニックムーブ。」
「Sonic move.」

文字通り一瞬でフェイトちゃんの姿が消えた。
やっぱり気にしていたんだ、フェイトちゃん。
でもバリアジャケットの仕様を変えないと服をいくら買っても意味がないと思うんだけど。

「うんうん。あんなに喜んでもらえるなんてアダナをつけたボクとしても嬉しいよ。
それで次はザフィーラって言っ・・・・・・犬?」

バトー博士の視線の先にいるザフィーラさん獣形態。
バトー博士が首を傾げている。
なにを悩んでいるのだろう。
もしかすると犬だからトモダチになれないって考えているとか?
やがてなにかを思い出したようにバトー博士が口を開く。

「そういえばゴキブリも犬を相棒にしてたよね。相棒を家族と呼ぶのって
トモダチと同じくらいとってもステキな関係だよね。でも犬なのかー。
犬じゃアダナつけてあげるわけにもいかな・・・・・・もしかして人間になれたりする?」

ザフィーラさん、物凄く分かりやすいです。
『ぎくっ』て今したでしょ。
冷や汗をだらだら流し始めてるし、視線を合わすまいと必死に横向いてるし。

「な、な、なぁ、バトー博士。はんたが飼っていた犬ってどんな犬なんや?
私とっても物凄く興味あるなー。」
「うん?そうなの?たしかはんたの飼っていた犬は4匹いてね。
たしか柴犬と土佐犬とボストンテリアとセントバーナードだったっけ?」
「念のために聞きたいんやけど、犬ってどんな生き物や?」
「なにを言っているんだい?そこのザフィーラと同じで頭があって耳があって目があって口があって牙があって4本足で尻尾を振ってワンと鳴くもの以外に犬がいるのかい?」
「あ、ああ、たしかにそうやな。おかしなこと聞いたわ。」
「特にゴキブリの犬は躾も行き届いていて優秀だったから、物を掘り起こしたり、
遠くの獲物を引きずってきてくれたり、見えないものを見つけてくれたり、
縄張りをちゃんと示して他のものを寄せ付けなかったり、マシンガン撃ったり、
ミサイル撃ったり、ロケットランチャー撃ったり、体当たりで戦車叩き壊したり、
ジャンプしたついでに戦闘機叩き落してきたり、一個小隊を1発の体当たりで
壊滅させたり、目からビームだしたり、口から火を吐いたり、光学迷彩したり、
瀕死の人間をちゃちゃっと治療してくれたりする実に素晴らしい犬だったよ。」
「「「「「「絶対にそれ、犬じゃない!!!」」」」」」
「あれ・・・・・・?気のせいかな?なにか声が1つ多かったような・・・・・・。」

思わず皆で突っ込んじゃったけど、ザフィーラさんまで突っ込んじゃダメでしょ。
言いたくなるのも分かるけど。
必死に視線をそらそうとするザフィーラさんに
バトー博士が、首の辺りに手を置いてぐりんっと自分のほうを向かせた。
じっと見つめあう2人。

「そんなことないよね。ザフィーラは犬だよね?犬なら尻尾振ってワンって鳴くもんね。
それとも犬の格好をした恥知らずの人間なのかな?」
「わ・・・・・・わ・・・・・・わ・・・・・・。」

バトー博士、それはイジメです。
ザフィーラさんもどうするべきか傍目に物凄く悩んでいるのが分かる。
もしも喋っちゃったら他の皆みたいなアダナがつけられてしまう。
けれど犬のフリを続けたらプライドがズタボロになる。
はやてちゃんとシグナムさんとシャマルさんはどうするのかと言わんばかりの表情。
ヴィータちゃんが食堂の片隅にまだ転がったままだけど良かったかもしれない。
起きていたら大声でばらしちゃっただろうから。
でもそのほうが逆に諦めついたのかな?

「ほら?どうしたんだい?ザフィーラ。犬は犬らしく尻尾振ってワンって鳴くものだろ?」
「わ・・・・・わ・・・・・・わ・・・・・・。」
「ん?」
「ワン。」
「ザフィーラ、あなた・・・・・・。」
「ワンワンワン・・・・・・。」

ザフィーラさん、そんなにアダナが嫌でしたか。
尻尾を振ってワンワン叫ぶザフィーラさんの涙ぐましい姿に泣きそうになる。
シャマルさんも呆然としたような声上げてるし。
はやてちゃんは全部分かってるみたいな顔してるし。

「おー、よしよし。やっぱり犬だったんだね。そうだよね。犬に決まってるよね。
食事を犬食いして誰にでも尻尾振って女の人のスカートを下から眺め上げ続けるなんて
こんな恥知らずな行動を人間が取っていたら首でも吊っちゃいたくなるもんね。
やっぱり犬は犬に決まってたよ。ハハハハハ・・・・・・。」

バトー博士の言葉が響き渡る。
物凄く肩を落としたザフィーラさんが印象的だった。
後で聞いた話によると、この後ザフィーラさんが鏡の前から動かないで
壊れたように独り言を言い続けていたらしい。
シグナムさんが聞き取れたまともな言葉が『ベルカの盾の騎士』と
『主のためならプライドくらい』と『しかし私は犬では』と
『アダナぐらい、だがしかし』の5つだったらしいけど。

「ええと、それで次はシャマルちゃんと言ったっけ?」
「ええ!?私も!?」
「んー。最初に見たときから考え付くアダナがイマイチぱっとしないんだよね。
一応5つぐらい考えたんだけど、これ以上考えるのも大変だし、
皆と一緒にアダナつけないなんて仲間外れみたいで心が痛むから、
本当に悪いんだけど選んでよ。どれもがんばって考えたんだ。」
「え、ええ・・・・・・。」
「それじゃ、1つめ。トシマ。」

仰け反るシャマルさん。
その様子と同時に、シャマルさんの胸にレヴァンテインが突き刺さったような
イメージが思い浮かんだ。
いや、たしかにシャマルさん、闇の書の端末だったから相当年上ではあるんだけど。

「2つめ。バアサン。」

よろめくシャマルさん。
まるでグラーフアイゼンで殴られたようなよろめきぶり。
最初のよりも直接的だったからなおさらに衝撃が大きかったのか。

「3つめ。アツゲショウ。」

シャマルさん、今度はミストルテインを受けたみたいに固まって独り言をつぶやき始めた。
そういえば妙に白いなぁって思ってたけどまさか・・・・・・。
でも目元とか確かに妙だなって・・・・・・。
そんな様子にお構いなしでバトー博士が言葉を続ける。

「4つめ。バカジタ。」

がっくりと膝を落とすシャマルさん。
ひどい料理を作ったっていうけど・・・・・・。
でもどれを言われてもショックを受けるってことは全部覚えがあったのかな?

「次が最後。ウッカリ。」
「あかん。あかんてバトー博士。幾ら皆がそう思ってい・・・・・・あ、しまった。」

はやてちゃん、トドメを刺したね。
もうなにが酷いのか区別つかなくなっちゃったんだろうね。
フォローのつもりだったんだろうに。
シャマルさんがすすり泣くところなんて初めて見たよ。

「ああ、本当にごめん。シャマル。本音・・・・・・じゃなくて
決してそう思ってたわけやなくて・・・・・・ああ、なにがなんだか分からんようなってきた。
お願いやからとにかく泣き止んでや。私が悪かったから。」
「ええと、それじゃ最後にはやてちゃんのアダナだね。」
「ええ!?私!?」
「んー。んんんー。うん。キミのアダナはナイチチだね。どうだい。
まさにピッタリの疑問の余地すらない完璧なアダナだろ?」
「ちょ、ちょ、ちょ、待ちいや。これでも・・・・・・。」
「うん。自分のろくにありもしないオッパイを僻んでニートのムダに大きなオッパイを
揉みしだいたり、他にもトシマとかバカチンとかロシュツキョーとか相手にも
もう見境なしの手当たり次第にそんなことやってそうな顔してるもんね。」
「なんで知っとんのや!?」
「あ、やっぱりそうなんだね。そういう顔していたから思いつくところを思うがままに
言ってみただけなんだけどな。そうそう。残念なことにナイチチは戦車じゃないんだ。
だから戦車の装甲を取り替えるみたいに、ナイチチの終わっちゃった貧弱でマナイタで
抉れちゃってる平原オッパイを取り外してニートの砲弾みたいなムダに大きなオッパイに
付け替えることはできないんだ。でも大丈夫。ボクはナイチチが
例えどんなに終わっちゃった貧弱でマナイタで抉れちゃってて背中と区別がつかない
平原オッパイしていたって気にしないからね。なんたってボク達トモダチだろ。」

あ、はやてちゃんが倒れた。
なんだろう、目の前に広がるこの惨状・・・・・・。
あ、そうだ。
これを聞かないと。

「バトー博士、シャーリーはどうしてシャーリーなの?」
「ん?んんんー?もしかしてまさかひょっとしてとは思うけどシャーリーは
どうしてシャーリーって呼んでいるのかっていう意味でいいのかな?バカチン。」
「う、うん。」

そう。ずっと疑問だったのだ。
バトー博士の呼び方の中で唯一たった1人だけシャーリーだけはシャーリーだったことが。

「バカチン、本気で言っているの?なんでそんなことを聞くのかまったく理解できないけ
れど仕方ないからバカチンの貧弱で脆弱でウジの湧いた脳味噌でもわかるくらい簡単に説
明してあげるよ。つまり弟子は弟子、助手は助手、トモダチはトモダチだからさ。だから
シャーリーはシャーリーで、サースデーはサースデーで、バカチンはバカチンなんだよ。
分かったよね?バカチン?ああ、そうそう。これを忘れちゃいけないじゃないか。
バカチンのガラス玉デバイスのレイジングハートの改造が終わったから届けにきたんだよ。
早速訓練所で試し撃ちして感想聞かせてほしいな。
さて、あまりの嬉しさにさっきからずっとシャセイしっぱなしで
パンツがぐしょぐしょになったボクはこれからパンツを履きかえるという
重要な仕事があるんだ。それじゃ、またね。」

そう言ってレイジングハートわたしに渡すとバトー博士とサースデーは
食堂の面影が残っていない食堂からハハハと哄笑をあげて去っていった。
あー、本当にどうしよう、この惨状。

「なのは、とりあえずこれから訓練所でレイジングハートの性能を見せてもらえないか。
バトー博士の改造に興味が出た。それにはんたからドラム缶を押させてもらう
約束も取り付けたしな。」
「食べ終わったから俺は構わない。」

シグナムさんとはんた君の声が虚ろに耳に響く。
ああ、そうだね。
とりあえず放っておこうか。
はやてちゃんが目を覚ませばこの惨状をどうにかしてくれるだろうし。
この気持ちも訓練所で全力全開で撃てば少しは晴れるだろう。

「・・・・・・うん。そうしようか。レイジングハート。」
「All right. Fuck’n master.」
「・・・・・・レイジングハート?」
「What’s up?」

気のせいだ。気のせいだ。気のせいだ。
なんか物凄い言葉をレイジングハートが言った気がしたけど気のせいだ。

「Hey, fuck’n master. Let’s fuck’n shoots your fuck’n star lignt fuck’n breaker
in the fuck’n training place.」
「バトー博士ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

わたしの絶叫が響き渡った。
その日、機動六課が完全に機能しなくなった。
冗談みたいな本当の話。

その後の経過を簡単に列挙。
食堂、修理完了。
レイジングハート、口調が元通りになって性能1割増。
フェイトちゃん、山のように買い込んだ服を前に呆然。
はやてちゃん、バストアップ体操をするように。
ヴィータちゃん、今まで以上に怒りやすくなった。
シグナムさん、Myドラム缶を購入、それとはんたさんといい感じなのは気のせい?
シャマルさん、高級化粧水を大量購入。
ザフィーラさん、鏡の前で独り言を言い続ける。
ティアナ、なにがあったか記憶を封印した模様。
スバル、マッハキャリバーと叫びあいながら疾走するようになる。
エリオ、前を歩くようになり女の人をみると逃げ出すようになった。
キャロ、たまに虚ろな笑いをするようになった以外は変わらず。
シャーリー、レイジングハートがどうしてパワーアップしたのか検討中。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年04月10日 22:06