原文
Deux de poysou1 saisiz, nouueau2 venuz3,
Dans la cuisine4 du5 grand Prince verser:
Par le souillard6 tous deux au fainct cogneuz7,
Prins qui cuidoit de mort8 l'aisné9 vexer
異文
(1) poysou 1557U : poison T.A.Eds.
(2) nouueau 1557U 1557B 1568 1590Ro : nouueaux T.A.Eds.
(3) venuz : Venus 1672
(4) cuisine : Cuisine 1712Guy
(5) du : d'un 1712Guy
(6) souillard 1557U 1557B 1568 1590Ro : soüillard T.A.Eds.
(7) cogneuz 1557U 1568A : congneuz T.A.Eds. (sauf : cognuz 1590Ro, conneus 1653, connus 1665 1712Guy 1772Ri 1840)
(8) de mort : mort 1600 1653 1665 1867LP
(9) l'aisné : lasné 1627, l'aisne 1650Ri
校訂
1行目の poysou は明らかに poyson(poison)の誤植。
ジャン=ポール・クレベールは後述の解釈との関係から、Deux de poison (ドゥ・ド・ポワゾン、二人が毒に)は、D'oeuf de poison (ドゥフ・ド・ポワゾン、毒の卵に)の可能性があるとした。
日本語訳
新参の二人が毒の虜となり、
大君主の厨房で注ぎこむ。
皿洗い人によって二人ともその行為を見通され、
長子を死に至らしめたと思い込んだ者が囚われる。
訳について
大乗訳1行目「毒により二人は新しい金星に養われ」は採用している底本で venuz が Venus となっているので、それの訳としては許容範囲内である。
同4行目「そして取られて 死で長男は混乱する」は qui cuidoit (~と思った者)が訳に反映されていない。
山根訳1行目「二人の新入りが毒を奪いとり」は、saisis が過去分詞なので、能動的に訳すことは不適切だろう。
信奉者側の見解
バルタザール・ギノーは、未来においてある君主の邸宅に外国人が訪れ、子供たちに毒を盛ろうとする予言と解釈した。
同時代的な視点
その他
1611B では39番として、1672では44番として収録されている。前者は一部の詩が省かれているためで、後者は偽の詩篇が42番と43番に挿入されたためである。
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最終更新:2011年01月22日 00:11