ノストラダムス全予言(The Complete Prophecies of Nostradamus)は、アメリカの出版業者
ヘンリー・C・ロバーツの著書。英語圏で出版されたものとしては、史上2種類目の英仏対訳版『予言集』である。1947年初版、1949年第二版。その後も、1962年に第三版、以降それが増刷され、1964年、1966年、1968年、1969年と何度も増刷されるロングセラーとなった。
1982年には娘
リー・ロバーツ・アムスターダムとその夫
ハーヴェイ・アムスターダムによる改訂版が出され、1994年には孫の
ロバート・ローレンスがさらなる改訂を行った。
【画像】のちの改訂版の一つ
構成
評価
もとのガランシエールの版自体に変則的な異文が多い上、あまり評価の高くないガランシエールの英訳をロバーツが自己流に改変しているため、原文・訳文とも高く評価できるようなものではまったくない。原文から綴り字記号を全て取り除いていることや、いくつかの状況証拠から推して、ロバーツ自身はほとんどフランス語を読めなかった可能性すら想定できる。
実際、懐疑的な論者や実証的な論者からの評価が低いのはもちろんだが、信奉者にも酷評する者がいる有様である。
その例として信奉者の
ジョン・ホーグを挙げることができる。彼はいくつかの関連書を5段階評価した際に、この本に「1」をつけている。この評価では、
エリカ・チータムの対訳本が「3」、ホーグを酷評した
ジェイムズ・ランディ(未作成)の『ノストラダムスの仮面』ですら「2」となっていることを考えると、ロバーツの評価の低さがよく分かる。
しかし、このような文献でも、日本では過大な評価が与えられてきた。
おそらく最初に紹介したのは
黒沼健であったろうが、広く知られるきっかけとなったのは
五島勉『
ノストラダムスの大予言』(1973年)であったと考えられる。そこではロバーツの本が重要なタネ本のひとつとして機能しており、カバーの写真なども掲載されていた。
2年後の1975年には
大乗和子による日本語訳版『
ノストラダムス大予言原典・諸世紀』が出版された。この翻訳はかなり問題のあるものであったが、日本では
川尻徹らから重視され、一部の懐疑派も用いるなど、スタンダードな訳文として広く用いられてきた。
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最終更新:2010年07月10日 11:09