7_セッション運用


■■■セッション運用■■■

 ここでは実際にセッションを行う際の流れについて解説する。

■シーンとは■

 このゲームはチャプターと、その中のシーンの繰り返しで構成されている。
 映画を思い出して欲しい。登場人物の出生から死去まで、途切れなくずっと一人の人物を映し続けて終わる映画など存在しないはずだ。(そんな映画、見終わるのに一生かかるじゃないか!)
 実際には一連の出来事の中から、一部分ずつを切り出し、繋げたものが物語となる。
 このゲームも同じで、映画のように、ここぞという場面を切り出してプレイすることになる。
 ニンジャスレイヤーの本編を思い出すんだ! 軽快に切り替わっていく場面はそれだけで小気味良いものだ。


■チャプターとは■

 物語は起承転結に例えられる。
 物語の発端から、それが加速していく様はニンジャスレイヤーにも当てはまる。
 本作ではそれをチャプターとして表現し、
1・オープニングチャプター
2・ミドルチャプター
3・トリガーチャプター
4・クライマックスチャプター
5・エンディングチャプター
 以上のように大別される。

▼オープニングチャプター▼

 チャプターの中で、特殊なもののひとつがこの「オープニングチャプター」だ。
 これは今回の事件の始まりを描くもの……ではない!
 「オープニングチャプター」内では、はそれぞれのPCごとに個別の「シーン」が用意される(シナリオによっては複数名合同の場合もある)。
 そのシーン内では、今回起きる何らかの事件の始まりではなく、別の物語の結末が描かれるのだ。
 何らかの事件が解決した、その直後のキャラクターの様子を描写する。それによって、全てのPLに、そのキャラクターがどんな個性を持っているのか把握してもらう。このシーンの意図とはそれに他ならない。
 同時にその事件は、今回の事件に繋がっていると望ましい。そうすることで、「オープニングチャプター」で描いたスタンスで今回の事件に臨むことが出来るからだ。
 ※僕ら製作チームは、初対面のPC同士が共闘する際に、互いのキャラクターのスタンスを把握する為に牽制しあう恒例行事に飽き飽きしている!
 PL同士は共闘させよう、とか敵対させよう、とか、既に心を決めているのにも関わらず、相手のキャラクターがどういう個性を持っているのかわからない故にだらだらと進展しない会話を続ける。これはこれで味わいのある物だが、ニンジャスレイヤーには相応しくないと考える。
 よってこの導入において、存分に盛り上がった状態のキャラクターを魅せることで、全てのPLに「このキャラクターはこういうやつなんだ!」と把握して欲しいのだ!

▼ミドルチャプター▼

 そのシナリオにおいて用意された事件が発生し、それにPCが立ち向かう(また共謀する)シーン。
 「ミドルチャプター」内のシーンの長さは短く、テンポよく切り替えていくことを推奨する。また、できるだけGMは情報を出し惜しみしないことだ。シナリオ上どうしても明かせないことまで明かす必要はないが、先行きが不透明すぎることは大きな問題となる。
 情報(この事件には黒幕がいる、だとか、実は真犯人はこいつではなかった、だとか、そういったものだ)の公開については、随時適切な技能で判定をさせるといい(隠れて会話を聞くのなら≪隠密≫だろうし、聞き込みをするなら≪調査≫、部下に命じて調べさせるなら≪地位≫といった具合だ)。
 ただしGMは注意をしておかなければならない。こうして判定によって情報を公開することを例示したのは、ともかく判定をさせよ! というわけではない。
 判定は必要以上に行ってはいけない。僕らが判定ルールを用意したのは、物語をよりスピーディに運用するための判断材料としてであり、プラスティックの塊をじゃらじゃら振って悦に入るためではないのだ。

▼トリガーチャプター▼

 劇的な変化が起こったり、黒幕のモノローグが入ったり、ともかく、ミドルまでの単調さが一瞬で崩壊する場面が「トリガーチャプター」である。ミドルチャプターにおいて決定的な情報を手に入れたら、すべての情報を集めたら、などといった、シナリオごとの目標を達成すると、このシーンに移ることになる。
 このシーンは決戦直前の嵐の静けさであり、滝壺へ落下する直前の一瞬の浮遊感であり、これから決戦へ赴く、そのために頭のスイッチを切り替えるためのシーンなのである。

▼クライマックスチャプター▼

 物語が最高潮に盛り上がる瞬間がこのチャプターだ。GMはここが正念場なのだとわかるように、「クライマックスチャプター」に突入したことを必ず宣言すること。
 このあとも敵が出るかもしれないから出し渋りしよう、なんてPLが警戒しては、盛り上がるものも盛り上がらない! GMはそのことを決して忘れてはいけない。
 このシーンは主に戦闘が行われることだろう。ジツが乱舞する大活劇のシーンだ。
 しかし、必ずしも戦闘を行わなければ行けないわけではない。始終陰謀劇として描く物語もあるだろうし、しっとりとした、昼下がりの情事もあり得るだろう。ただ、製作チームの総意として、"非常に悔しいし、納得の行かないことだが、戦闘をしておいた方が盛り上がる"ということだけは明記しておく。

▼エンディングチャプター▼

 物語の結末を描くチャプター。エンディング。
 このシーンをだらだらと続けてはいけない。短く、歯切れよく区切るべきだ。
 余韻を残し、次回への期待を抱かせるためにね。


■■シーンの長さ■■

 ひとつのシーンの長さは明確には設定していない。しかし僕ら製作チームとしては、少しだけ切りの悪い場面でシーンをカットすることを推奨している。
 何もかもやりきってしまえば、満足してしまって「次はどうしよう」と考えられないじゃないか!
 ジャッジの交代は全てのジャッジがワザマエカウンターを1~2枚配布したタイミングが良い。何度も繰り返したテストプレイでの経験則だ、参考にして欲しい。




■■リザルト■■

 物語は終わった。さて、RPG経験者であればわかるだろう。しばし、未経験の新たな友の為に解説をする。
 多くのRPGでは、セッションの終了を迎えた際に経験点と呼ばれるものを配布する。この経験点を消費して、キャラクターを成長させることが出来るのだ。
 ニンジャスレイヤー:the チャブRPGでも同様に、経験点としてSPを与えることにしている。
 また、このSPはキャラクターにではなく、PLとGMに与えられるものだ。配布されたSPを自分の所持しているどのキャラクターに使用することも自由である。ゴウランガ状態になったキャラクターにSPをもらっても、もう使えないだろう?
 以下に、取得SPの算出方法を示しておく。


  • セッションを無事に終えた(5~10点)
 キャラクターの生死や結末は問わない。物語として、しっかりと結末を迎えられたのなら全てのPLは5点から10点のSPを得る。
 GMはシナリオの難易度や、達成具合、プレイ時間の長さ(あまりに長引いてしまったのなら、多めに渡してやると良い)を考慮して、点数を決めること。
  • PCが最後まで生き残った(2点)
 PCが死亡せず、物語を終えたのなら2点のSPを得る。これは安易にゴウランガ状態を迎えるべきではないという戒めの為だ。ここぞという時にだけ、ゴウランガ状態を選択して欲しい。
  • "生き様"を貫いた(ひとつにつき1点)
 "生き様"を完遂していれば、達成した"生き様"ひとつにつき1点のSPを得る。この際参照するのは、書き換え後の"生き様"であることに注意すること。
 また、この評価を下すのはGM、他のPL、観客である。
  • ワザマエカウンター(消費したワザマエカウンターの数を10で割った点数(切り上げ)。最大3点まで)
 ワザマエカウンターとはつまり、どれだけ物語に素晴らしい演技を添えたかというバロメータである。またこれは、他者が君の演技を認めたという意味でもある。独りよがりの演技ではワザマエカウンターはもらえないのだから。遠慮無く経験点を受け取って欲しい。


 以上の四種の項目を確認し、その合計点数の経験点を各PLは受け取ること。
 巻末に経験点用のメモとして、少しばかり洒落たシートを掲載した。ぜひ使って欲しい。
 さて、GMは? と経験者諸君は思っただろう。苦労してセッションを成功に導いたGMに、何か報酬はないのかと。
 その答えが以下だ。次はGM用経験点の算出方法を掲載する。


  • セッションを楽しめた(3点)
  • 気に入ったNPCがいた(3点)
  • NPCの演技が素晴らしかった(3点)
  • また遊びたいか(3点)


 以上の四種の項目を、PLそれぞれが判断し、GMに宣告して欲しい。喧嘩のもとになる? 構うものか。
 僕はひどいGMを何人も見てきた。素晴らしいGMも何人も見てきた。
 けれどその両者がいつも同じだけの評価しかされないことに、少しばかり憤慨している。
 PLはそのGMが、君たちをちゃんと楽しませたのかどうか、正直に判断すればいい。辛口に評価しようとか、そういういらない気遣いも必要ない。
 純粋に楽しかったなら、GMに経験点を上げて欲しい。彼、または彼女は君たちを楽しませる為にシナリオを用意したはずなのだから。
 さてこの時気をつけるのは、全てのPLが別々に評価をする、ということだ。PLの数が倍になれば、合計経験点も倍になる。
 多人数のセッションは非常に大変だ。GMにはこれくらいのご褒美があっていいだろう?
 ※この算出方法だと、PLとGMが一対一のセッションではGMの取得SPの方が少なくなってしまう。その場合にはPLが望むのであれば、PLと同じだけの経験点を得る、としても良い。


■■キャラクターの成長■■

 キャラクターは日々成長するものだ。それを表すのがこのルールだ。
 セッションを通じて得たSPを消費することで、キャラクターを強化出来るのだ。
 成長に必要なSPはキャラクターメイキングと共通である。
 また、セッションを通じてキャラクターが経験したことによって、現在の「クラス」が相応しくなくなった、と考えた場合、「クラスを焼き付かせる」ことができる。

▼クラスを焼き付かせる▼

 既にそのクラスを所持していることが相応しくない状況下となったキャラクターは、「クラスを焼き付かせる」ことが出来る。
 これを行うことで、過去にはそのクラスであったが、現在はそうではない、という時間の移り変わりや、環境の変化を描くことが出来る。
 方法は単純で、キャラクターシートのクラスの前後を、黒塗りの四角形記号(訳注:■記号のことだと思われる)で挟むだけでいい。
 そうした場合、そのクラスは今後のセッションで一切の恩恵を授けることはない。
 ただし、それが欠点として動く場合(不利な要素を含んでいる場合)は、GMの判断によって適用されることがある。
 また、焼き付かせた場合、そのクラスを取得する為に必要な消費SPの半分(切り捨て)を新たに得ることが出来る。
 「クラスを焼き付かせる」ことが出来るのは、1セッションの終了ごとに、1個までである。
 ただし、GMが特に認めた場合には、この限りではない。

▼"生き様"を刻む▼

 セッションが終了した時、キャラクターは所持している"生き様"からふたつまでを選択して、残しておくことが出来る。
 それ以外の"生き様"は消去される。次回に持ち越すことは出来ない。
最終更新:2013年03月03日 22:39
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。