目次
味
しょっぱいだけで美味しくない
- 概要
- 漬け物を食べると酷くしょっぱい。
- 原因
- 塩分が多い。
- 糠床の熟成が足りない。
- 対処
- 塩分が多い場合は、糠と水を足して全体の塩分濃度を下げる。
- 熟成が足りない場合は、捨て漬けをして糠床を熟成させる。
旨味がない
- 概要
- 塩分は申し分ないが、美味しさが感じられない。
- 原因
- 酵母が育っていない。(糠床の熟成が不十分)
- 旨味成分が入っていない。
- 対処
- 昆布や干し椎茸などの旨味成分を入れる。
シュワシュワする/ピリピリする
- 概要
- 漬け物を食べると口の中で野菜がシュワシュワする。
- 炭酸ガスが発生しています。
- ただの炭酸ガスなので無害です。
- 原因
- 酵母の過剰発酵で炭酸ガスが大量に生成されます。
- それが野菜の中に入り込むことで起こります。
- 過剰発酵は塩分濃度が低いと起こります。
- 対策
- 塩分を増やして酸度を下げる。
- もう十分にしょっぱいのに改善されない場合は、塩だけでなく糠も足して全体の酵母の濃度を下げます。
- 一週間ほどで改善されます。
- 夏場は涼しい場所に移動する。
酸っぱい
酸っぱい匂いがする
を参照。
苦い・えぐい
- 概要
- 本来は苦味のない野菜なのに、酷く苦かったりエグ味がある状態。
- どの糠床でも起こるとは限らない。
- 原因
- 長期に渡って漬かっている糠床は、場合により苦味やエグ味が出てきます。
- これは野菜に含まれる苦味の成分が少しずつ蓄積して起こるものです。
- 体に害はありませんが、気になる程に苦味が濃くなった場合は対処が必要です。
- 対処
- ヘタなど苦味のある部分を切り落としてから漬ける。
- ある程度糠を捨て、新しい糠を足して苦味を薄めていく。
匂い・臭い
腐敗臭がする
- 概要
- 雑菌が繁殖すると独特の臭いを発します。
- 鼻につく刺激臭や生臭さが特徴です。
- 原因
- 糠床の掻き混ぜを怠ったり、糠床のpH値がアルカリ性に傾くと雑菌が繁殖しやすくなります。
- 糠床を守る乳酸菌は酸性の環境で活発に活動します。
- また、動物性のものを糠床に入れると雑菌が繁殖しやすくなります。
- 鰹節など動物性の旨味調味料を入れる時は十分注意して下さい。
- 対処
- 水分が多い場合は、スポンジなどで吸い取って糠床の水分量を少なくします。
- それでも糠床が緩い場合は1/3~1/2ほど糠を捨て、新しい糠を足します。
- 塩分濃度が低い場合は、塩を足して塩分濃度を高めます。
- 水分を減らし塩分濃度を上げる事が糠床回復への最善手段です。
- 糠床が元に戻るまでは、捨て漬けも含め野菜は入れないようにしましょう。
- 鷹の爪や粉からしも入れるとより良いでしょう。
- 生臭さや刺激臭が消えたら、捨て漬けをして今度は味の確認もして下さい。
- 関連
- すぐ腐敗してしまう
酸っぱい匂いがする
- 概要
- 酸っぱい匂いの原因は乳酸菌や酵母菌、産膜酵母によるものです。
- 過剰発酵を起こしているとアルコールやシンナーのような刺激臭がします。
- 独特の酸味は乳酸菌によるものなので、問題はありません。
- しかし、ツンとくる腐敗臭は雑菌によるものです。
- 原因
- 塩が足りない、糠床の酸度が強い。
- 対処
- 糠を舐めて塩分が少ないと感じたら塩を足して良く混ぜます。
- 塩分が足りていると感じた場合は、卵の殻を入れます。
- 殻のアルカリ性で酸性が強くなった糠床を中和します。
- 卵の殻は膜を剥がして細かく砕いて入れます。
- 卵の殻に付着した菌が気になる場合は、きな粉などで代用可能です。
- 夏場は涼しい場所に移動する。
- 参考
- 卵の殻については豆知識ページの次の項目をご覧下さい。
- 卵の殻
- 卵の殻は危険?
- 補足
- 酸っぱくなりすぎた糠床を元に戻すのに塩を使う理由ですが、塩が酸味を抑えるのではありません。
- 塩によって酸味の元になっている乳酸菌の活動を抑える事が目的です。
- 適度な酸味に戻ったら、増えすぎた塩分は下げる必要があります。
- 塩に強い乳酸菌ですら活動が弱まる程の塩分濃度では、野菜が塩っぱくなり過ぎてしまいます。
- 酸っぱくなりすぎた糠床を元に戻す時は、塩と同時に緩くなった糠床の水抜きもしましょう。
- 過剰に増えた乳酸菌を弱らせた塩を余分な水分と一緒に取り出せます。
- 水抜き用の容器に溜まった水はかなり塩っ辛いはずです。
- こうする事で、高めた塩分濃度と余分な水分を同時に短期間で正常な値まで戻す事が出来ます。
- 卵の殻やきな粉を使わない、塩だけで元に戻す場合の知識として頭の隅にでも置いておいて下さい。
野菜同士の匂い移り
- 概要
- セロリの匂いがする蕪など、野菜同士で匂いが移ったり混ざったりしてしまう。
- 原因
- 野菜に含まれる匂い成分が水分と一緒に糠床に染み出し、それを別の野菜が吸ってしまう。
- 糠床自体に匂いが残っているの、匂いの元になる野菜が入っていなくても起こる。
- 対処
- 柑橘類系の皮を入れて香り付けをし、野菜独特の青臭さなどを消す。
- 皮は乾燥させてから入れた方が良い。
- なかなか消えない場合は、糠の何割かを捨てて入れ替えを行う。
セメダインの様な匂い
- 概要
- 糠床からセメダイン臭がする。
- 原因
- 雑菌の繁殖による腐敗と、過剰発酵による二種類があります。
- 雑菌による物も場合、掻き雑ぜが足りないと起こります。
- また塩分濃度が低くても起こります。
- 対処
- 雑菌によるものの場合、よく掻き混ぜる必要があります。
- よく掻き混ぜて、塩を入れて塩分濃度を高めます。
- 更に、唐辛子や粉からしを入れて殺菌効果を高めましょう。
- 過剰発酵による場合は、涼しい場所に置いて発酵を抑えます。
- 糠床の水分が多い場合は、少し固めに調整しましょう。
- 関連
- 匂いに関する豆知識
- 蜜柑の皮などを入れて匂いでごまかすのもいいですが、
- 別の匂いでごまかす方法はあくまでも乳酸菌や酵母、産膜酵母の過剰発酵の場合のみです。
- 雑菌の繁殖によるセメダイン臭などの刺激臭は、匂いでごまかしても元の菌を減らさないと意味がありません。
- まず、よく掻き混ぜて塩を足し、涼しい場所で様子を見ましょう。
- それで変化があれば過剰発酵の可能性が高いので匂いで誤魔化す方法が使えます。
- 変化が無い場合は、雑菌による可能性が高いので殺菌する必要があります。
見た目
表面に白いカビができた
- 概要
- 白いカビのようなものは産膜酵母と呼ばれる物です。
- 少量なら問題はありませんが、大量に増えると味と風味が落ちます。
- 腐った訳ではありませんので安心して下さい。
- 原因
- 糠床の塩分濃度が足りず、酸度が強くなると発生します。
- 対処
- 塩を足して良く掻き混ぜます。
- 一週間ほどで改善します。
- 白いカビ状の物が大量に発生している場合は取り除きますが、少量であればそのまま混ぜ込んでも問題ありません。
- 過剰に発生しなければ、産膜酵母は芳醇な香りの元になります。
表面に色の付いた菌のようなものが発生
- 概要
- 雑菌が繁殖しています。
- 少量であれば問題ありませんが、看過は出来ません。
- 色は、黒、灰色、赤、緑、青、オレンジなど様々で、基本的に白以外は危険な菌です。
- 原因
- 動物性の物を糠床に大量に入れた。
- 糠床の掻き混ぜが足りない。
- 放置し過ぎた。
- 雑菌は常に存在しますが、それを乳酸菌が抑えています。
- 乳酸菌は増えすぎると酸っぱくなりますが、少なくなると腐敗を防ぐ手立てがなくなります。
- 対処
- 糠床の表面の色が変わった部分を捨てます。
- 掘り返しても腐敗臭がする場合は内部まで雑菌が繁殖しています。
- その場合は、2/3まはた3/4を捨ててそれを種にして一から糠床を作り直します。
- 糠床の容器を空けただけで腐敗臭が立ちこめる程に腐敗した場合は、全て捨てて下さい。
- 関連
- 表面が灰色(黒っぽい)になった
表面が灰色(黒っぽい)になった
- 概要
- それ自体が糠床表面に直接現れる場合と、産膜酵母が変色するケース等がある。
- 原因
- 糠床に含まれる脂質などが空気に触れて酸化したもの。
- 糠床に含まれるアミノ酸と糖類が反応したもの。
- 糠床の置き場所の温度が高め。
- 上記などが主な原因と考えられる。
- 対処
- いわゆる糠床の匂いとは違うが、人体には無害。ただし腐敗臭が無いものに限る。
- ただし、発酵臭や風味が強めになるなど変化の起きる可能性があるので、ニンニク、タマネギ、鰹節などを投入した糠床は要注意かもしれない。
- 混ぜ込みに不安な場合は、変色した灰色(黒っぽい)部分を取り除いて、新しい糠と塩を補充し、涼しい場所や冷蔵庫に移す。
- 場合によっては塩を足す。
- 関連
- 表面に色の付いた菌のようなものが発生
野菜が変色した・色落ちした
- 概要
- 漬けた野菜の色が変色したり、周りの糠に野菜の色が付着してしまう。
- 原因
- 野菜に含まれる色素成分が、pH値の変化や酸化により変色したもの。
- または、水溶性の色素が染み出して周りの糠に付着したもの。
- 対処
- 豆知識「野菜の変色・色落ち」の項を参照。
表面に水が溜まった
- 概要
- 糠床の表面に水たまりが出来る。
- 原因
- 糠が蓄えきれなくなった水分が染み出た物。
- 対処
- 過剰な水分は糠床の腐敗の原因になります。
- スポンジなどで取り除きます。
- 市販の水を溜める瓶を入れてもいいでしょう。
- また、水は旨味と栄養が溶け出しています。
- 糠床の固さと相談しながら調節することをお勧めします。
ニンニクが緑色/青緑に変色した
- 概要
- 漬けたニンニクが緑色/青緑に変色する。
- 原因
- まず、ニンニクに含まれる硫黄化合物アリインが、刺激によりアリシンに変化。
- そのアリシンが酸性である糠床と反応して分解し、ニンニクに含まれる鉄分と反応して変色する。
- タマネギでも起こる。
- 対処
- 人体無害。
- 食べても全く問題はありません。
その他
糠床の熟成が進まない
- 概要
- 捨て漬けをしても熟成の進みが遅い。
- 熟成が未熟だと旨味が少なく風味も悪い。
- 原因
- 温度が低く、菌の活動が鈍くなっている。
- 捨て漬けの量が足りない。
- 水分が少なすぎる。
- 対処
- 保管場所が寒い場合は少し暖かい場所に移動する。
- ビールや日本酒などを入れて、発酵の手助けをする。
- 入れすぎると過剰発酵してしまう。
- 関連
- シュワシュワする
ちゃんと管理してるのにすぐ腐敗する
- 概要
- 日々の管理を怠っていないのに、糠床がすぐに傷んでしまう。
- 原因
- 動物性の旨味成分を使っている。
- 野菜以外の物を漬けている。
- 乳酸菌が少ない。
- 卵の殻を入れすぎている。
- 対処
- 煮干しや鰹節など、動物性のものを入れると雑菌が繁殖しやすくなります。
- 使用を控えるか、唐辛子や粉からしを増やして雑菌を殺して下さい。
- アルカリ性に傾いたpH値を酸性に戻す。