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*中嶋聡「『新型うつ病』のデタラメ」(2012)
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**評価
★★★☆
**ひとこと
最近増える「新型うつ病」に関して、批判的な立場の精神科が記したもの。
「うつ病」とはどういうものなのか、抑うつとの違いが分かりやすい。
また「新型うつ病」が急増した背景についても、単なる社会現象としてではなく
簡便法の導入などがあったことなどが書かれていて腑に落ちる内容だった。
ただ、新型うつ病と称される人々に直面した場合の対処策にはならないのだが。。。
終盤に書かれていた「PTSD」に対する「放っておくやさしさ」については
興味深く、もう少し掘り起こして考えてみたい内容だった。
----
**分類
-[[医学・歯学・薬学>ジャンル別一覧 医学・歯学・薬学]]
-新書
**目次
----
-はじめに
--「新型うつ病」は社会問題である
--「新型うつ病」はなぜ生まれたのか
--その社会的弊害
-第一章「新型うつ病」とは何か
-+「新型うつ病」とはどのような病気か
-+-「新型うつ病」の症例
-+-「従来型うつ病」の症例
-+-「新旧うつ病」の違いとは
-+-「軽症」と「新型」の違い
-+-「病気?」と疑問を感じる症例
-+うつ病概念の歴史
-+-「うつ」と「うつ病」 一体どう違うのか
-+-クレペリン、シュナイダー、ヤスパース
-+-テレンバッハの「メランコリー親和型」
-+-「うつ病」と「躁うつ病」(「双極性障害」)の区別
-+-笠原・木村分類の登場
-+-DSM-Ⅲの出現、そしてDSM-Ⅳ-TR、ICD-10へ
-+「新型うつ病」の位置づけ
-+-新しいうつ病概念の登場
-+-うつ病概念拡大への異論
-+-「うつ病」と「抑うつ体験反応」の区別 柏瀬の提案より
-+-うつ病をうつ病たらしめる「異質性」
-+-症状の異質性
-+-経過の異質性
-+-医師・患者関係の異質性
-+-うつ病の「異質性」と「同質性」
-+-「新型うつ病」とは何か
-+-抑うつ状態の全貌
-+「新型うつ病」はなぜ生まれたか その三つの要因
-+-精神病理学の衰退
-+-薬物が「うつ病」を増やした
-+-SSRIの出現
-+-製薬会社による激しいプロモーション
-+-「精神科」が「心療内科」へ
-+-精神力の低下
-+-肥大する自己愛
-+-自分の気持ちは自分でコントロールせよ
-第二章「新型うつ病」がもたらした社会的弊害
-+休職をめぐる問題
-+-休職は癖になる
-+-医師の社会的責任
-+-休職するためだけに求められる診断書
-+-自分で診断書を用意する人
-+簡単にもらえる傷病手当金
-+-休職しても給料の六割
-+-病気を隠れ蓑にした利権
-+しばしばもらえる障害年金
-+-うつ病で障害が残るのか
-+-「うつ病で障害年金 完全マニュアル」
-+-診断書があるかないかは死活問題
-+-障害年金を求める二つのケース
-+公費医療・サラ金・奨学金返済・給食費免除・その他の保障や利点
-+-診断書一枚で借金返済
-+労働紛争の不思議な結末 富士通四国システムズ事件
-+-パワハラな診断結果
-+-一千万円を超える「賠償金」
-+-触らぬ神に祟りなし
-第三章 精神科診療からみた現代社会
-+「何でも人のせい」という風潮
-+-こんなのもパワハラ?
-+-「休んで迷惑をかける」から「休めるなら休もう」へ
-+-虐待のサバイバー?
-+「何でも病気」という風潮
-+-不安やうつは病気か?
-+-彼女に浮気されたショックで精神科受診
-+-「性格ではなく病気である」の弊害
-+-病名をほしがる人たち
-+-利害を伴う病名弊害
-+-放っておくやさしさ
-+「『知らない私』のせい」という風潮
-+-「知らないうちに手首を切っていた」
-+-依存症は意志が弱いせいではない?
-+-「無理しないで」どうなる?
-+-ストレスが成長を促す
-おわりに
**[[気になる表現>気になる表現一覧]]
----
**メモ
-新型うつ病の社会的弊害
-+病態の本質に見合った、適切な治療がどのようなものか、見出しあぐねている
-+「うつ病」という病名がついた社員を抱える企業が、どう対応したらよいのか困惑している
-従来型うつvs新型うつ
--関連する気質
---新型:スチューデント・アパシー、退却傾向と無気力
---従来型:執着気質、メランコリー性格
--病前性格
---新型:自己自身への愛着、規範に対して「ストレス」であると抵抗、秩序への否定的感情と漠然とした万能感、もともと仕事熱心ではない
---従来型:社会的役割・模範への愛着、規範に対して好意的で同一化、秩序を愛し、配慮的で几帳面、基本的に仕事熱心
--症状の特徴
---新型:不全感と倦怠、回避と他罰的感情、衝動的な自傷、一方で“軽やかな”自殺企図
---従来型:焦燥と抑制、疲弊と罪業感、完遂しかねない“熟慮した”自殺企図
**参考文献
-阿部隆明・大塚公一郎・永野満「『未熟型うつ病』の臨床精神病理学的検討」
-阿部隆明「未熟型うつ病」
-安西兪「過労自殺と企業の安全配慮義務の問題」
-土井隆義「友だち地獄」
-原田憲一「精神科診断学はどこに向かうのか」
-広瀬徹也「抑うつ症候群」
-広瀬徹也「『逃避型抑うつ』再考」
-ホ-ウィッツ、ウェイクフィールド「それは『うつ』ではない」
-細川てんてん「ツレがうつになりまして」
-茨木のり子「自分の感受性くらい」
-五木寛之・香山リカ「鬱の力」
-笠原嘉「軽症うつ病」
-笠原嘉・木村敏「うつ状態の臨床的分類に関する研究」
-柏瀬宏隆「病名呼称:『うつ病』と『抑うつ』」
-香山リカ「「私はうつ」と言いたがる人たち」
-幸田露伴「五重塔」
-クレペリン「精神医学総論」
-松浪克文・山下喜弘「社会変動とうつ病」
-松波克文「現代型うつ病とうつ病をめぐって」
-三國雅彦「裁判官でも診断できるDSM-Ⅳなどの操作的診断」
-[[森真一「ほんとうはこわい『やさしさ社会』]]
-本橋伸高「難治性うつ病・慢性うつ病」
-中安信夫「うつ病は増えてはいない」
-大平健「やさしさの精神病理」
-シュナイダー「臨床精神病理学序説」
-シュナイダー「新版 臨床政審病理学」
-シュルテ「精神療法研究」
-樽味伸・神庭重信「うつ病の社会文化的試論 とくに『ディスチミア親和型うつ病』について」
-テレンバッハ「メランコリー」
-富高辰一郎「なぜうつ病の人が増えたのか」
-冨澤治「『治るうつ病』と『治らないうつ病』」
-内村鑑三「代表的日本人」
-内海健「存在の耐えがたき空虚」
-内海健「うつ病の心理」
-渡辺哲夫「二〇世紀精神病理学史」
*中嶋聡「『新型うつ病』のデタラメ」(2012)
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**評価
★★★☆
**ひとこと
最近増える「新型うつ病」に関して、批判的な立場の精神科が記したもの。
「うつ病」とはどういうものなのか、抑うつとの違いが分かりやすい。
また「新型うつ病」が急増した背景についても、単なる社会現象としてではなく
簡便法の導入などがあったことなどが書かれていて腑に落ちる内容だった。
ただ、新型うつ病と称される人々に直面した場合の対処策にはならないのだが。。。
終盤に書かれていた「PTSD」に対する「放っておくやさしさ」については
興味深く、もう少し掘り起こして考えてみたい内容だった。
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**分類
-[[医学・歯学・薬学>ジャンル別一覧 医学・歯学・薬学]]
-新書
**目次
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-はじめに
--「新型うつ病」は社会問題である
--「新型うつ病」はなぜ生まれたのか
--その社会的弊害
-第一章「新型うつ病」とは何か
-+「新型うつ病」とはどのような病気か
-+-「新型うつ病」の症例
-+-「従来型うつ病」の症例
-+-「新旧うつ病」の違いとは
-+-「軽症」と「新型」の違い
-+-「病気?」と疑問を感じる症例
-+うつ病概念の歴史
-+-「うつ」と「うつ病」 一体どう違うのか
-+-クレペリン、シュナイダー、ヤスパース
-+-テレンバッハの「メランコリー親和型」
-+-「うつ病」と「躁うつ病」(「双極性障害」)の区別
-+-笠原・木村分類の登場
-+-DSM-Ⅲの出現、そしてDSM-Ⅳ-TR、ICD-10へ
-+「新型うつ病」の位置づけ
-+-新しいうつ病概念の登場
-+-うつ病概念拡大への異論
-+-「うつ病」と「抑うつ体験反応」の区別 柏瀬の提案より
-+-うつ病をうつ病たらしめる「異質性」
-+-症状の異質性
-+-経過の異質性
-+-医師・患者関係の異質性
-+-うつ病の「異質性」と「同質性」
-+-「新型うつ病」とは何か
-+-抑うつ状態の全貌
-+「新型うつ病」はなぜ生まれたか その三つの要因
-+-精神病理学の衰退
-+-薬物が「うつ病」を増やした
-+-SSRIの出現
-+-製薬会社による激しいプロモーション
-+-「精神科」が「心療内科」へ
-+-精神力の低下
-+-肥大する自己愛
-+-自分の気持ちは自分でコントロールせよ
-第二章「新型うつ病」がもたらした社会的弊害
-+休職をめぐる問題
-+-休職は癖になる
-+-医師の社会的責任
-+-休職するためだけに求められる診断書
-+-自分で診断書を用意する人
-+簡単にもらえる傷病手当金
-+-休職しても給料の六割
-+-病気を隠れ蓑にした利権
-+しばしばもらえる障害年金
-+-うつ病で障害が残るのか
-+-「うつ病で障害年金 完全マニュアル」
-+-診断書があるかないかは死活問題
-+-障害年金を求める二つのケース
-+公費医療・サラ金・奨学金返済・給食費免除・その他の保障や利点
-+-診断書一枚で借金返済
-+労働紛争の不思議な結末 富士通四国システムズ事件
-+-パワハラな診断結果
-+-一千万円を超える「賠償金」
-+-触らぬ神に祟りなし
-第三章 精神科診療からみた現代社会
-+「何でも人のせい」という風潮
-+-こんなのもパワハラ?
-+-「休んで迷惑をかける」から「休めるなら休もう」へ
-+-虐待のサバイバー?
-+「何でも病気」という風潮
-+-不安やうつは病気か?
-+-彼女に浮気されたショックで精神科受診
-+-「性格ではなく病気である」の弊害
-+-病名をほしがる人たち
-+-利害を伴う病名弊害
-+-放っておくやさしさ
-+「『知らない私』のせい」という風潮
-+-「知らないうちに手首を切っていた」
-+-依存症は意志が弱いせいではない?
-+-「無理しないで」どうなる?
-+-ストレスが成長を促す
-おわりに
**[[気になる表現>気になる表現一覧]]
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**メモ
-新型うつ病の社会的弊害
-+病態の本質に見合った、適切な治療がどのようなものか、見出しあぐねている
-+「うつ病」という病名がついた社員を抱える企業が、どう対応したらよいのか困惑している
-従来型うつvs新型うつ
--関連する気質
---新型:スチューデント・アパシー、退却傾向と無気力
---従来型:執着気質、メランコリー性格
--病前性格
---新型:自己自身への愛着、規範に対して「ストレス」であると抵抗、秩序への否定的感情と漠然とした万能感、もともと仕事熱心ではない
---従来型:社会的役割・模範への愛着、規範に対して好意的で同一化、秩序を愛し、配慮的で几帳面、基本的に仕事熱心
--症状の特徴
---新型:不全感と倦怠、回避と他罰的感情、衝動的な自傷、一方で“軽やかな”自殺企図
---従来型:焦燥と抑制、疲弊と罪業感、完遂しかねない“熟慮した”自殺企図
-クレペリン:すべての精神疾患を学問的に記述し、体系的に分類。躁鬱病を定義。
-シュナイダー:躁鬱病の本質が生気的(身体的)であることを主張。精神的異常を偏き(正常と連続した量的な異常)と疾患に分ける。
-ヤスパース:「了解」という概念を定義
-テレンバッハ:メランコリー親和型
-DSM-Ⅲ:1980年に米国で発表された診断基準。原則的に表れている症状だけをもとに診断するもの(=操作的な診断基準)
**参考文献
-阿部隆明・大塚公一郎・永野満「『未熟型うつ病』の臨床精神病理学的検討」
-阿部隆明「未熟型うつ病」
-安西兪「過労自殺と企業の安全配慮義務の問題」
-土井隆義「友だち地獄」
-原田憲一「精神科診断学はどこに向かうのか」
-広瀬徹也「抑うつ症候群」
-広瀬徹也「『逃避型抑うつ』再考」
-ホ-ウィッツ、ウェイクフィールド「それは『うつ』ではない」
-細川てんてん「ツレがうつになりまして」
-茨木のり子「自分の感受性くらい」
-五木寛之・香山リカ「鬱の力」
-笠原嘉「軽症うつ病」
-笠原嘉・木村敏「うつ状態の臨床的分類に関する研究」
-柏瀬宏隆「病名呼称:『うつ病』と『抑うつ』」
-香山リカ「「私はうつ」と言いたがる人たち」
-幸田露伴「五重塔」
-クレペリン「精神医学総論」
-松浪克文・山下喜弘「社会変動とうつ病」
-松波克文「現代型うつ病とうつ病をめぐって」
-三國雅彦「裁判官でも診断できるDSM-Ⅳなどの操作的診断」
-[[森真一「ほんとうはこわい『やさしさ社会』]]
-本橋伸高「難治性うつ病・慢性うつ病」
-中安信夫「うつ病は増えてはいない」
-大平健「やさしさの精神病理」
-シュナイダー「臨床精神病理学序説」
-シュナイダー「新版 臨床政審病理学」
-シュルテ「精神療法研究」
-樽味伸・神庭重信「うつ病の社会文化的試論 とくに『ディスチミア親和型うつ病』について」
-テレンバッハ「メランコリー」
-富高辰一郎「なぜうつ病の人が増えたのか」
-冨澤治「『治るうつ病』と『治らないうつ病』」
-内村鑑三「代表的日本人」
-内海健「存在の耐えがたき空虚」
-内海健「うつ病の心理」
-渡辺哲夫「二〇世紀精神病理学史」