まおうゲルゾーマを たおすために 7つのオーブを すべて あつめ オーブに みちびかれし せんし 「ぎょくじん」を なかまにした ヨシヒコたちは ゲルゾーマが まつ さいごのダンジョン 「まおうだいしんでん」に のりこんだ。 ゲルゾーマを ほんとうに たおすために ひつような ぶき 「トドメのつるぎ」を てにいれ いま ヨシヒコたちは ゲルゾーマのへやへと むかう・・・。▼ |
ムラサキは ベホマズンを となえた! ヨシヒコの キズが かいふくした! ダンジョーの キズが かいふくした! ムラサキの キズが かいふくした! メレブの キズが かいふくした!▼ |
ムラサキは スクルトを となえた! ヨシヒコの しゅびりょくが ふえた! ダンジョーの しゅびりょくが ふえた! ムラサキの しゅびりょくが ふえた! メレブの しゅびりょくが ふえた!▼ |
ヨシヒコ「お前が魔王か」
魔王ゲルゾーマ「ようこそ、この魔王ゲルゾーマの大神殿へ」
メレブ「ほほう、魔王はゲルゾーマという名か」
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【オンエア時にカットされたシーン】 |
魔王ゲルゾーマ「仏が集めるよう告げた装備は、そろえてきたのかな?」
ムラサキ「なんでそのことを!」
魔王ゲルゾーマ「知っているさ。私と戦いに来る者たちへの、私からのプレゼントだ」
ムラサキ「あのクソ仏、単に魔王の罠にはめてくれたってわけかよ……」
魔王ゲルゾーマ「罠ではない。私は確かにそれらの装備が恐怖だ」
ダンジョー「なぜわざわざ、俺たちにそれを渡す?」
魔王ゲルゾーマ「欲しいのさ、恐怖が…… 私は恐怖を感じることでもっと強くなる。そして、もっともっと多くの魔物たちを生み出すことができる…… 私を守ってくれる魔物たちをな」
ヨシヒコ「その恐怖との戯れも、今日で最後だ」
魔王ゲルゾーマ「そうかもしれん。なぜなら、お前が初めて7つのオーブをそろえし勇者……」
メレブ「なるほど? 貴様の弱点を突く『助け人』を携えずに来たというわけだな、他の勇者たちは」
魔王ゲルゾーマ「そうだ」
ダンジョー「では、今日がお前の最後だ」
ムラサキ「こっちは7人の助け人と、3つの宝を持ってんだよ」
魔王ゲルゾーマ「ああ~、怖い。そんなにそろえられたら、いかな私でも負けるかもしれん」
メレブ「ふふふ、臆したか魔王。しかし、逃げられんぞ。ブラズーレ!」
魔王ゲルゾーマ「……ん? んん……? ブラがずれている感じがする。魔王なのに…… 俺、魔王なのに……」
ムラサキ「おいおいおい、魔王がこいつのヘボ呪文かかっちゃっていいわけ!? ちょろすぎ!」
ヨシヒコ「油断するな。目の前にいるのは魔王だぞ」
魔王ゲルゾーマ「ええい!」
まおうゲルゾーマの こうげき! ヨシヒコたちは それほど ダメージを うけていない!▼ |
メレブ「全く効かぬ」
ムラサキ「スクルトかけてあるからな!」
ヨシヒコ「ブラがズレてる感じがしたまま葬ってやる!」
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ヨシヒコ「世界の平和のために、消えてもらうぞ魔王。7人の助け人、召喚!!」
ヨシヒコは いままで あつめた オーブを すべて つかった!▼ |
魔王ゲルゾーマ「なんだとっ!?」
メレブ「これで貴様も終わりぞ!」
ヨシヒコ「7人の助け人よ、今こそ魔王の弱点を突いてくれ!」
ヨシヒコ「何っ!?」
メレブ「さぁ、ほら、みんな! さぁ、みんな…… あれ?」
ムラサキ「なんで……?」
ダンジョー「おい、どういうことだ?」
魔王ゲルゾーマ「……どうした」
ヨシヒコ「なぜだ……」
魔王ゲルゾーマ「どしたの?」
メレブ「あ、いや、あの…… どうしたんだろう…… あれ? なんだろ? あれ?」
魔王ゲルゾーマ「来ないの? 助け人」
メレブ「あ、いや、そう…… ですね…… 来ないというか…… なんでだろう? なんでだろう」
ムラサキ「よ、ヨシヒコ、あの、『召喚』って、言った?」
ヨシヒコ「言った!」
メレブ「聞いた! 確かに聞いた。 ……あれ? おかしいな、なんで出てこない…… ちょっと待ってください、なんで出てこない? あ、なんか不具合かな、これ……」
魔王ゲルゾーマ「来なかったら、勝てないよ? 私に」
メレブ「いや、わかってます、わかってます! あの…… これだって、あの、『トドメの剣』ですもんね。『トドメ』ですもん。それまでに7人の手で、あなたをこう、弱らせないと、ダメですよね?」
魔王ゲルゾーマ「だと思うけど」
ムラサキ「何? 何? ねぇねぇ、ここにきて不具合とかさぁ、これまでの冒険の意味が何もないんだけど!」
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【オンエア時にカットされたシーン】 |
ダンジョー「ヨシヒコ! ヨシヒコ、もう1回投げてみろ」
ヨシヒコ「わかりました。 ……出でよ、7人の助け人! 召喚!!」
ヨシヒコは いままで あつめた オーブを すべて つかった! しかし なにも おこらなかった!▼ |
メレブ「うん、変えてみたな? セリフな。『出でよ』使ったな」
ヨシヒコ「………」
メレブ「ただ、『出でよ』を使って『出てこない』となると……」
魔王ゲルゾーマ「それならば私から攻撃させてもらおうか」
メレブ「あっ、あっ、ちょっと待って、一瞬、一瞬。魔王っち、待って。一瞬待っち。え、何? これは何? 仏じゃないとわかんねーか? この問題は」
ダンジョー「だが、さすがの仏も魔王の神殿には出れんだろ」
ムラサキ「『さすがの仏』ってほどの仏でもねーしな」
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魔王ゲルゾーマ「ねぇ、何待ち?」
メレブ「あっ、ちょっと待ってください! あの、じゃあ楽に…… 楽にお待ちください、楽にお待ちあれ、ください」
魔王ゲルゾーマ「じゃあ、魔物生み出してるよ?」
メレブ「あっ…… まぁ、そうですねー…… まぁ、その、魔物生み出しといていただいて結構…… うん、大丈夫です。すみません」
まおうゲルゾーマは だまって まものを うみだす さぎょうを さいかいした。▼ |
ヨシヒコ「………」
ダンジョー「………」
ムラサキ「………」
メレブ「………」
ヨシヒコたちは もういちど 7つのオーブを よく しらべてみた。▼ |
ムラサキ「……あっ、仏!!」
仏「オッス、オラ仏!」
なんと ブルーオーブに ほとけの かおが うつしだされた!▼ |
メレブ「おい、コラ、仏! なんで助け人来ねーんだよ?」
ヨシヒコ「召喚しても出てきてくれません。どうしてですか、仏?」
仏「うん、あのね、これホントちょっと申し訳ないんだけどね、言うのホント申し訳ないんだけどもね…… あのですね、スケジュール」
ヨシヒコ「なんだとっ!?」
仏「うん…… あのね、ちょっと忙しい人ばっかり集めちゃった。7人。もうね、もうめっちゃ忙しい人ばっかをね、ブッキングしちゃったね」
メレブ「ブッキングとか言うな」
仏「うん、まぁ…… こういうこともありますわ」
ダンジョー「『こういうこともありますわ』ではないっ!!」
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【オンエア時にカットされたシーン】 |
ムラサキ「お前がみんなのスケジュールを調整するんちゃうんか!」
仏「えー、なんで? 仏さぁ、マネージャーじゃないもん」
メレブ「いや、しかし、7人もいたら、1人くらいは合うであろうよ、なんぼ忙しかろうともよ!」
仏「うん、まぁ…… ちょいちょい、縫い仕事を入れていると思われる」
メレブ「お前が言うな」
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ヨシヒコ「仏、私たちがこの状態で魔王に勝つにはどうすれば!?」
仏「うん、わかった。1つだけ方法を教えよう」
メレブ「あるんかい、あるならはよ言えや~」
仏「うん…… 逃げろ」
ヨシヒコ「なっ……!?」
メレブ「は?」
仏「もう、とにかく逃げろ。ね? それで、7人のスケジュールが合った時に、また改めて魔王に戦いを挑むのだ」
ムラサキ「魔王から逃げられるわけねーだろ!?」
仏「大丈夫大丈夫、逃げれる逃げれる! あの、今ほら、あの、魔物を生み出すのにさ、夢中だからさ。逃げれるって、うん。じゃあ、あの、私は、今から、あの、他のドラマの撮影がある故」
ダンジョー「おい、お前もか!」
ヨシヒコ「………」
ダンジョー「………」
ムラサキ「………」
メレブ「………」
まおうゲルゾーマは だまって まものを うみだす さぎょうに しゅうちゅうしている。▼ |
ヨシヒコ「どうしますか? 逃げますか?」
メレブ「だな」
ムラサキ「仕方ないよね……」
ダンジョー「ああ……」
ヨシヒコ「逃げましょう」
メレブ「うむ」
ムラサキ「魔物生み出すの大好きっ子な、あれ」
ヨシヒコ「また来るぞ、魔王!!」
ヨシヒコは いきなり おおごえで すてぜりふを いった!▼ |
メレブ「おい、おい、おい! びっくりした、俺がびっくりして俺もでかい声になっちゃった…… やめて、気づくじゃん」
しかし まおうゲルゾーマは まものを うみだす さぎょうに しゅうちゅうしている。▼ |
ダンジョー「おお…… なかなかの集中力だ。まったく気づいていない」
魔王ゲルゾーマ「待て」
あんのじょう まおうゲルゾーマは すでに きづいていた。▼ |
メレブ「ですよねー、魔王っちから逃げられるわけないっすよねー」
魔王ゲルゾーマ「逃げてもいいんだけどさ」
ムラサキ「あっ、いいんすか?」
魔王ゲルゾーマ「その前に、1つ……」
まおうゲルゾーマは むねから ひかりを はなった! なんと まおうゲルゾーマが はなった ひかりを あびた トドメのつるぎは とけてしまった!▼ |
ヨシヒコ「なんだと……!?」
魔王ゲルゾーマ「さっ、逃げていいよん」
ヨシヒコ「とどめを刺すはずの剣が……」
魔王ゲルゾーマ「早く逃げなさいよ。そしていつでもどうぞ……!!」
ヨシヒコ「ゲルゾーマ……」
メレブ「ここはお言葉に甘えよう、ヨシヒコ」
ヨシヒコたちは にげだした! ・・・ ゲルゾーマから にげた ヨシヒコは すっかり こころが おれてしまった。▼ |
ヨシヒコ「勝てない…… どうやっても勝てない……」
ダンジョー「あきらめるな。次に7人のスケジュールが合う時に戦いを挑めば、勝機はある」
ヨシヒコ「しかしトドメの剣が……」
ムラサキ「んなもんなくたって根性でなんとかなんだろ! 今までだってそうやって勝ってきたろ?」
ヨシヒコ「ゲルゾーマは、私たちを簡単に逃がした。今まであれほどまでに余裕がある魔王はいなかった…… それほど強いということだ。私たちに全く恐怖していなかった!」
メレブ「ヨシヒコ、考えよ。そして、仏のお告げを待とうではないか」
ヨシヒコ「………」
ダンジョー「………」
ムラサキ「………」
メレブ「………」
ヨシヒコたちは ひとまず さくせんを かんがえはじめた。▼ |
ヨシヒコ「……1つ、私に考えが」
メレブ「ん? なんだ?」
ヨシヒコ「魔王を倒すの…… あきらめましょう」
ダンジョー「………」
ムラサキ「………」
メレブ「……ん? ごめん、ちょっと、もう一度言って。なんて言ったかわからなかった、もう一度言っ……」
ヨシヒコ「何度でも言います!! もう魔王は倒さなくていい!!」
メレブ「わー……」
ムラサキ「最終回で来たかー……」
ダンジョー「臆したか、ヨシヒコ!」
ヨシヒコ「臆しました!! 永遠に命を奪われるんですよ!? そんなことはあり得ない!! 私は絶対に死にたくないっ!!」
メレブ「ヒーローもので、ヒーローが100パー言っちゃいけないセリフ、オンパレード」
ヨシヒコ「私は世界の平和より自分の命が大事だ!!」
ダンジョー「それ以上言うな!!」
ヨシヒコ「
今まではいくら死んでも、
とりあえず私だけが生き返り、
稼いだお金で皆さんを生き返らすことができた。しかし、次はそれができないんですよ!?」
メレブ「……なぜ、負ける前提で物を言う?」
ムラサキ「ヨシヒコ大好きなちびっ子たちが、ガッカリしてるぜ……?」
メレブ「まぁ、ガッカリさせ続けるのがヨシヒコなのだが」
ヨシヒコ「とにかく!! 私はもう魔王を倒さない!!」
ムラサキ「おい、待てよヨシヒコ!」
そのとき どこからともなく らいめいが とどろいた!▼ |
メレブ「そら来た、仏のお告げ!」
ほとけが あらわれた・・・? ・・・ なにやら ほとけの ようすが おかしい。▼ |
仏?「ヨシヒコ……」
メレブ「わっ!?」
ヨシヒコ「黒い、仏……?」
メレブ「なんで仏が黒いんじゃ、ボケェ!」
黒い仏「ヨシヒコ…… 魔王を倒さずとも、この冒険を終わらせる方法はあるぞ」
ヨシヒコ「なんですって!?」
ヨシヒコは くろいほとけによって どこかに とばされた! ・・・ ヨシヒコの めのまえに あか あお きいろの 3つの とびらが ある。▼ |
黒い仏「ヨシヒコよ、ここは『終わりの祠』だ」
ヨシヒコ「終わりの、祠……」
黒い仏「お前はこの中のいずれかの祠で、この冒険を終わらせることができる」
ヨシヒコ「すごい……!!」
黒い仏「それは、それは、魔王を倒すよりもはるかに素晴らしい冒険の終わりだ」
ヨシヒコ「……行かせてください、私を『素晴らしい冒険の終わり』に!」
黒い仏「選ぶがいい。どの終わりの祠がいいのか?」
ヨシヒコ「………」
魔王退治をあきらめたことを責められたヨシヒコは、みんなの前から姿を消してしまいました。
外はもう、夜。その上、一面、激しい吹雪に覆われて、前を見ることもままなりません。
ダンジョー、ムラサキ、メレブは、それでも必死になってヨシヒコを探し続けました。
ダンジョー「ヨシヒコー!! 戻ってきて、俺を許すと言ってくれー!!」
ムラサキ「ヨシヒコ、どこ行っちゃったの!? ヨシヒコー!!」
その頃、メレブは、村はずれの教会で倒れているヨシヒコを見つけていました。
厳しい寒さの中、何も食べず、魔王からも仲間からもひたすら逃げ続けたヨシヒコの命は、すでに風前の灯火となっていました。
メレブは、そんなヨシヒコの服の乱れを優しく直してあげました。
ヨシヒコ「メレブさん…… 私、魔王に負けちゃいました……」
メレブ「よいのだ。負けても、よいのだ」
ヨシヒコとメレブは、一緒に協会の床に横たわりました。
ヨシヒコ「メレブさん、疲れたでしょう? 私も疲れたんです。なんだかとても眠いんです、メレブさん……」
ヨシヒコとメレブは、力尽き、息絶えました。しかし、その死に顔は安らかでした。
すると…… そこへ、天使が降りてきたのです。
メレブそっくりの変な髪形をし、変なホクロを持った天使たちは、ヨシヒコとメレブの亡骸に近づくと、それをそっと抱え上げました。
……ヨシヒコとメレブは、今まで退治してきた魔物たちがたくさんいる、遠いお国へ行きました。
もうこれからは、魔物を倒すことも、女に惑わされることも、ドSになることもなく、みんな一緒に、いつまでも楽しく暮らすことでしょう……。
ヨシヒコ「違うっ!! なんだこれは!?」
黒い仏「どうした」
ヨシヒコ「死んでるじゃないか!!」
黒い仏「しかし、美しかったろ?」
ヨシヒコ「美しさなんて、どうでもいい。私は死なずにこの冒険を終わらせたいのだ!」
黒い仏「わかった」
ヨシヒコ「魔王を倒さずとも死なずに、『なんとなく、収まった感じ』で冒険を終わらせたいのだ!」
黒い仏「わかったから。次の祠に入ってみろ、きっとお前の望み通りの冒険の終わりがあるはずだ」
ヨシヒコ「……わかった」
最終話 カボイの村の中心で もう魔王なんかどうでもいいと叫んだ ヨシヒコ
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【オンエア時にカットされたシーン】 |
ヨシヒコ(逃げたらダメだ)
「どうして逃げてはいけないの?」
ヨシヒコ(逃げたらつらいんだ)
「つらいことから逃げ出したの?」
ヨシヒコ(つらかったんだ)
「つらいことがわかってるなら、それでよかろう」「そう、つらかったら逃げてもいいのよ」「本当に嫌だったら、逃げ出してもいいんだぜ」
ヨシヒコ(でも、嫌だ。逃げるのはもう嫌なんだ)
「逃げることのつらさを知ったから。だから逃げるのが嫌なのね」
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ヨシヒコ(これは…… 何もない世界…… 誰もいない世界……)
「自由の世界」
ヨシヒコ(自由?)
「魔王なんか倒さなくてもいい、自由の世界だよ」
ヨシヒコ(そんな…… どうしたらいいかわからん……)
「自分のイメージがないのだな」「漠然としているんだ」「何もつかめない世界」
ヨシヒコ(私は…… 私は、魔王に負けた……)
「お前、バカなの? お前が1人でそう思ってるだけだぜ?」「負けても、いいんだぜ」
ヨシヒコ(私は卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫で……)
「自分がわかれば、優しくできるであろう」
ヨシヒコ「私は魔王に負けた。しかし冒険は、終わらせられるかもしれない。私はここにいていいのかもしれない…… 私はここにいたい!」
「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「Congratulation」「おめでとう」「おめでとうー!!」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「……うむ」
ヨシヒコ「ありがとう」
仲間に、ありがとう
魔王に、さようなら
そして、すべての視聴者に
おやすみなさい
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ヨシヒコ「意味がわからん!!」
黒い仏「どうしてだ? すべてがうやむやで、意味がわからない、素晴らしい終わり方だろう」
ヨシヒコ「うやむやすぎる!! なんなんだ、『魔王に、さようなら』とは!!」
黒い仏「そのままの意味だ」
ヨシヒコ「……ダメだ。やはり魔王を倒さなくては、冒険を終わらすことができないのか」
黒い仏「終わりの祠は、もう1つ残っているぞ?」
ヨシヒコ「もういい!!」
現実、っぽい感じの、どこか──。
ヨシヒコ(ヘラ男)「……ダメだわ、ボスキャラ強すぎる(笑)」
やっていたテレビゲームを投げ出して、誰かに電話をかけるヨシヒコ。
その恰好は、肩までだらしなく伸ばした長髪に厚い眼鏡。精悍さの欠片もない。
ヨシヒコ(ヘラ男)「……早っ(笑) もしもし? 遊ぼうぜ。今、家。今ね、ゲームしてた。いや、今回ボスキャラ強すぎるんだよ(笑) もう、なんか、エンドロール、もう見なくていいかなって思って。もうなんかボスキャラ見るだけで十分かなって…… うん。あー、うん、じゃ7時、駅に着くのね…… なんでもいいよ? ……あー、いいね、『笑笑』ね(笑) はい、じゃ後でね」
電話を切り、玄関へ向かう。不意にインターホンが鳴った。
「宅配便でーす」
ヨシヒコ(ヘラ男)「はーい」
仏「はい、えー、Amazonからお荷物です」
ヨシヒコ(ヘラ男)「うわー、箱でかっ」
仏「えっと、ハンコいただけますか」
ヨシヒコ(ヘラ男)「あー…… あの、アレ、拇印でもいいですか」
仏「あっ、そんな君はボインちゃんが好きなのかい?」
ヨシヒコ(ヘラ男)「あ…… ま、そっすね(笑)」
仏「うん」
ヨシヒコ(ヘラ男)「ハハハ(笑)」
ヨシヒコは ヘラヘラ わらっている。 ほとけも ヘラヘラ わらいだした。▼ |
仏「笑ってダメとも!!」
ほとけは いきなり ヨシヒコを マジで ぶんなぐった!▼ |
仏「はい、仏、お邪魔しまーす」
ヨシヒコ(ヘラ男)「ちょっ、なんなんですか、勝手に入んないでくださいよ…… すごいっすね、勝手に入るとか(笑)」
仏「えーと、ご覧の通りわたくしはですね、えー、
隣の晩御飯を食べに来たわけでも、そして、
除菌のできる洗剤を試してもらいに来たわけでもございません。わたくしは仏でございます」
ヨシヒコ(ヘラ男)「仏? え、なんかあれですか? 怪しい宗教とか?」
仏「うん、仏教。仏の教えと書いて仏教、常識でしょこれ」
ヨシヒコ(ヘラ男)「あー、はぁ…… で、なん、なんすか? その仏が(笑)」
仏「うん、あのー、今、君さぁ、ボスキャラが強いからってさぁ、あの、ゲームを終了しちゃったでしょ」
ヨシヒコ(ヘラ男)「あー、今回ちょっと無理っすね(笑)」
仏「え? なんで? その、1回負けただけでさ…… あの、あきらミングしちゃった?」
ヨシヒコ(ヘラ男)「え~、いや、わかるんすよね、なんか、1回やると。『あ、多分今回勝てねーなー』って(笑)」
仏「うん、何笑ってんだ?」
仏「ちょっ、何笑ってんだよ?」
仏「……あのさぁ、あの…… それだとやった甲斐がないじゃん。やっぱ最後さ、やっぱボスキャラを倒してエンドロールを見て、それでね、えーと、最後に、堀井雄二さんの名前を見ないとさ、終われないじゃないか」
ヨシヒコ(ヘラ男)「いや、もう今回は見なくていいです」
仏「あの、それでさ、ヘラ男はさ…… ヘラ男はこれから何をしようとしてるの?」
ヨシヒコ(ヘラ男)「飲みに行きます。笑笑へ」
仏「ヘラ男はなんでそうまでして笑笑?」
ヨシヒコ(ヘラ男)「いやもう、その名の通り、笑笑行ったら、笑いが止まらないんす(笑)」
仏「うっそー、そんなことないだろうよ」
ヨシヒコ(ヘラ男)「めっちゃ安いんすよ、めっちゃうまいし!」
仏「えっ? あの…… でもさ、そんなにさ…… えっ、君は一体、笑笑のなんなの?」
ヨシヒコ(ヘラ男)「……笑笑…… いや、だってもう、なんか、あれが…… 結局、ボスキャラが強いのがよくないですね」
仏「そうか…… もうちょっとこれ、こいつにはねぇ、ちょっと、これはもう、これしかないんで、もう、ちょっと仏的に久しぶりだけれども…… ちょっとあの、やります。これは」
仏「もしよかったらみんなも、久しぶりだから、あの、ご唱和して、一緒に。いい? ……そんなお前に、仏ビーム」
ほとけは ほとけビームを はなった! ヨシヒコは もとに もどった!▼ |
ヨシヒコ「私は…… 私は何を……」
仏「うむ…… お前は、魔王との戦いから逃避するあまり、お前の頭の中で、この戦いをゲームとして処理しようとしていたぞ」
ヨシヒコ「なんということだ……」
仏「何度でも言うが、魔王に、お前の故郷・カボイの村が滅ぼされてもいいのか?」
ヨシヒコ「ダメだ…… そんなことはさせない」
仏「うん。今、あちらでは、お前の仲間たちが、魔王を倒すためにお前を待っておる。今すぐ、あちらの世界に戻るがよい」
ヨシヒコ「わかりました。しかし、どうすれば……」
仏「これに乗れ」
ほとけは どこかで みたような ドラゴンを よびだした! ヨシヒコは ドラゴンに のって もうそうのせかいを とびだした!▼ |
仏「魔王を倒す答えは、終わりの祠・第3の祠にあるぞ」
ヨシヒコ「わかりました!!」
ムラサキ「おい! ヨシヒコ、お前どこ行ってたんだよ?」
ヨシヒコ「詳しい話はあとだ。仏が魔王を倒す鍵がここにあると申された」
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【オンエア時にカットされたシーン】 |
ムラサキ「なんか、景色がかすんでるね?」
ダンジョー「俺もそんな気がするが…… ま、気のせいだろう」
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メレブ「ん? 中から声がするぞ」
ダンジョー「ほんとだな。何話してるんだ?」
村人A「オザル様はこの剣を岩から引き抜いた者を、勇者として薬草を探す旅に出すと言っていたよな」
村人B「ただ、この剣、めっちゃ簡単に引き抜けんだよね。ほら」
村人C「わかった! じゃあさ、あいつバカだからさ、みんなで岩から抜けないふりして、あいつが抜く番になったら、誰かヒモで引っ張ればよくない?」
村人A「それがいい!」
村人B「そしたら、あいつが旅に出ることになるな。バカだから、その気になってすぐ旅に出るぜ」
村人A「OK、それじゃ行こうか」
むらびとたちが ほこらから でてきた。 ヨシヒコたちは いそいで ほこらの かげに かくれた。 ・・・ ヨシヒコたちは ほこらに はいってみた。 おおきな いわに ごうかで つよそうな つるぎが つきささっている。▼ |
ムラサキ「どういうこと?」
仏「ヨシヒコよ、それが本物のトドメの剣だ」
ヨシヒコ「なんですって!?」
仏「ねぇー、お前らホントに魔王にコロッと騙されてたねー? なんでもない剣をつかまされて、それ溶かされて、ビビらされて……」
ダンジョー「そうだったのか……」
メレブ「よくわからんが、ヨシヒコよ、この剣をいただいておけ」
ダンジョー「しかし何やらこの後、この剣が必要だとか話していたぞ?」
メレブ「では、代わりにいざないの剣でも挿しておけ。魔王を倒せば、もう私たちが戦うこともあるまい」
ヨシヒコ「……はい」
ヨシヒコは いわに ささった トドメのつるぎと いざないのつるぎを こうかんした。 ヨシヒコは トドメのつるぎを てにいれた。 ヨシヒコは トドメのつるぎを そうびした。▼ |
オザル「我こそは勇者と思う者は、前に出よ!」
村人たち「おぉ!」「俺が行く!」
村のバカな若者「よし。俺も行こう」
若者の妹「やめてください、兄様。兄様に争いごとは向きません」
村のバカな若者「向くも向かないもない。村が苦しんでるんだ」
ヨシヒコたちは そのようすを かげから みていた。▼ |
メレブ「なんと……
我々は時空を超えていたのか」
ムラサキ「この旅の終わりが、ヨシヒコの旅の始まりのきっかけだったとはね」
ダンジョー「難しくてよくわからん……」
仏「それではさっそく、魔王ゲルゾーマの神殿に連れて行こうぞ」
ヨシヒコ「ちょっと待ってください、仏」
仏「ん?」
※ここからの展開は映像ソフト版準拠でお送りします。
ヨシヒコたちは まおうだいしんでんに もどってきた!▼ |
魔王ゲルゾーマ「ほほう、思ったよりも早く戻ったな?」
ヨシヒコ「私はお前を倒す本当のトドメの剣を手に入れた」
魔王ゲルゾーマ「……また仏か。困ったものだ…… また勇者の屍が増えるというもの」
ダンジョー「それはわからんぞ? 地獄に落ちるのは、お前の番かもしれんぞ」
魔王ゲルゾーマ「大した自信だな。ほざく根拠はあるのかな?」
ヨシヒコ「出でよ、7人の助け人!!」
ヨシヒコは 7にんの ぎょくじんを しょうかんした!▼ |
ヨシヒコ「皆さん、ありがとうございます」
玉人たち「………」
よく みると ぎょくじんの かおは みんな おめんだった。▼ |
メレブ「……おっと? これは…… いるようで、いない……? あの、これって、合成……?」
ムラサキ「いるだろ」
メレブ「やっぱ、あの、スケジュールが……」
ムラサキ「合ったろ、今日。ねぇ?」
メレブ「1人もかぁ、無理かぁ…… わかりました…… あ、います。います…… お願いします、どうぞ」
ムラサキ「ゲルゾーマ! 逃げ出すなら今のうちだよ!」
魔王ゲルゾーマ「どうしようかなぁー。困りましたねー?」
ヨシヒコ「皆さん、その玉を奴に向かって投げるのです!」
玉人たち「………」
ヨシヒコ「返事は!?」
メレブ「わかれ、ヨシヒコ。この方たちは今、しゃべれない。 ……それでは、お願いします」
7にんの ぎょくじん?は まおうゲルゾーマに それぞれが もつ オーブを なげつけた! まおうゲルゾーマの 7つの じゃくてんが はかいされた!▼ |
魔王ゲルゾーマ「うおぉぉぉっ!!」
ムラサキ「えー? ヨシヒコの剣、必要なかったじゃん!」
ヨシヒコ「いや、違う。皆さん、構えて!」
まおうゲルゾーマの からだが あやしく うごめきだした! まおうゲルゾーマは しょうたいを あらわした!▼ |
メレブ「これが、ゲルゾーマの真の姿か」
魔王ゲルゾーマ「ああぁ…… 久しぶりだ。勇者よ、私を目覚めさせてしまったな」
ヨシヒコ「もう一度だ! あなたたちは魔王の弱点を突く玉を自ら生み出すことができる。それがあなたたちの玉人たる理由だ。もう一度だ、もう一度玉を生み出し奴に投げるのです!」
7にんの ぎょくじん?は ふたたび オーブを うみだした!▼ |
メレブ「玉人に、こんな力があろうとは……」
ムラサキ「まさに、運命の助け人だな」
7にんの ぎょくじん?は ふたたび オーブを なげつけた! まおうゲルゾーマの 7つの じゃくてんが はかいされた!▼ |
ムラサキ「やった!」
ダンジョー「今だ、ヨシヒコ! とどめを刺せ!!」
ヨシヒコ「はい!!」
魔王ゲルゾーマ「き、貴様…… このゲルゾーマを……」
メレブ「やったぞ!」
ダンジョー「これぞ、トドメの剣!」
ヨシヒコ「これで…… これで世界に平穏が戻る……」
魔王ゲルゾーマ「……今までの私ならば、ここで終わりだった」
ヨシヒコ「……なんだとっ!?」
なんと まおうゲルゾーマが おきあがり さらなる へんしんを とげた!▼ |
メレブ「嘘だろ……!?」
ムラサキ「なんじゃ、こりゃ!?」
ダンジョー「ひるむなっ!!」
まおうゲルゾーマは おたけびを あげた! ぎょくじんのオーブは くだけちった! なんと 7にんの ぎょくじん?は ぜんいん きえてしまった!▼ |
ヨシヒコ「……何っ!?」
ムラサキ「ふざけんなっ!! メラゾーマ!!」
ムラサキは メラゾーマを となえた! まおうゲルゾーマに じゃっかんの ダメージ!▼ |
メレブ「そして…… フタメガンテ!!」
メレブは フタメガンテを となえた! まおうゲルゾーマには きかなかった! まおうゲルゾーマの こうげき! ムラサキは しんでしまった! メレブは しんでしまった!▼ |
ヨシヒコ「ムラサキ!! メレブさん!!」
ダンジョー「俺様の炎の剣、受けてみよっ!!」
ダンジョーは かえんぎりを はなった! まおうゲルゾーマに かなりの ダメージ!▼ |
ダンジョー「どうだ……」
まおうゲルゾーマは じこさいせいを した! まおうゲルゾーマの キズが かいふくした! まおうゲルゾーマの こうげき! ダンジョーは しんでしまった!▼ |
ヨシヒコ「ダンジョーさんっ!!」
魔王ゲルゾーマ「知っているな? 私に殺された者は二度とよみがえらん。貴様の仲間は永遠に死んだのだ!」
ヨシヒコ「許さん…… 私はお前を許さん!!」
ヨシヒコの こうげき! しかし ヨシヒコの こうげきは かたてで はじかれた!▼ |
魔王ゲルゾーマ「何度言わせる? 私は常に進化しているのだ」
まおうゲルゾーマは クチから じゃあくなちからの かたまりを はきだした! ヨシヒコは はげしい ダメージを うけた!▼ |
魔王ゲルゾーマ「ここまで私を追い込んだ勇者はお前だけだ。褒めてやる」
ヨシヒコ「………」
ヨシヒコは ちからを ふりしぼって たちあがった。▼ |
魔王ゲルゾーマ「……何? どういうことだ……?」
な なんと ヨシヒコたちが・・・! かぞえきれないほどの ヨシヒコたちが まおうゲルゾーマの まえに あらわれた!▼ |
魔王ゲルゾーマ「な…… なんということだ!?」
ヨシヒコ「これはすべて私だ…… 過去から招きし私だ!! 私は…… お前を絶対に許さない!! ぬぅあああーーーーっ!!!!」
ヨシヒコAの こうげき! ヨシヒコBの こうげき! ヨシヒコCの こうげき! ヨシヒコDの こうげき! ヨシヒコEの こうげき! ヨシヒコFの こうげき! ・・・ まおうゲルゾーマは むすうの ヨシヒコに むらがられ こうげきも ぼうぎょも できない!▼ |
魔王ゲルゾーマ「なんということだ…… 私が、人間にやられるとは……!!」
ヨシヒコ「……ダンジョーさん…… ムラサキ…… メレブさん…… うわぁぁぁーっ!!」
たったひとり いきのこった ヨシヒコに どこからか ほとけのこえが きこえてきた。▼ |
仏「勇者ヨシヒコよ、よくぞ魔王を倒してくれた。では、この戦いの記憶を消し去り…… 元いた時代に、戻ってもらうぞ」
ヨシヒコ「………」
さいごに のこった ヨシヒコは もと いた じだいに おくりかえされた・・・。▼ |
ヨシヒコ「……ここは……」
やけに もみあげの めだつ せんしが とうぞくと たたかっている。 もみあげの めだつ せんしは とうぞくを きりすて ヨシヒコの ところに ちかづいてきた。▼ |
ヨシヒコ「……ダンジョーさん……」
ヨシヒコは もみあげの めだつ せんしに かけよった!▼ |
ヨシヒコ「ダンジョーさん!」
ダンジョー「ん? なぜ俺の名を知っている…… まぁいいか。嫌な時代になったものだ…… 皆、人間は疫病に苦しみ救いを求める……」
ヨシヒコ「この先の山に向かいましょう!」
ダンジョー「話を聞け!」
ヨシヒコ「そこに行けば、私を狙うおなごに会えるのです」
ダンジョー「……何を言ってる?」
ヨシヒコ「そのおなごを仲間にして、ウッサンの村に向かうと、金髪の教祖がいます。その人も仲間にしましょう!」
ヨシヒコは ダンジョーの てをひいて かけだした!▼ |
ダンジョー「おい!? 小僧、何言ってる!」
ダンジョーが なかまに くわわった! ムラサキが なかまに くわわった! メレブが なかまに くわわった!▼ |
ヨシヒコ(仏のうっかりで、昨日の私が冒険に旅立った直後に戻された。私は再び、仲間と共に魔王ガリアスを倒す旅に出たのだ…… しかし、この時空の歪みが魔界にも歪みをもたらし、とてつもなく恐ろしい敵が生まれ出ていることに、この時の私たちは全く気づいていなかった……)
ヨシヒコ(……などと言っておくと、年末年始の時代劇6時間特番として戻ってこられるかもしれないので、とりあえず言ってみた私だ)
いまさらですが このドラマは フィクションであり とうじょうする じんぶつ だんたいは かくうです
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最終更新:2023年11月30日 21:45