症状

■ADPKD


●初期には無症状
成人になって症状が出ることが多いです。


●両側の腎嚢胞による症状
両方の腎臓に嚢胞ができます。
嚢胞が沢山できると、だんだんと腎臓が大きくなり、お腹が張ってきます。
そのせいで、ご飯が一度にたくさん食べられなくなります。
また、尿の量が少なくなり、体がむくみます。
嚢胞内に細菌が感染すると、熱が出て、背中から腰が痛く(腎臓痛)なります。
嚢胞が沢山でき過ぎて、60%以下しか機能しなくなると腎不全、10%未満になると末期腎不全となり、血液透析が必要になります。
透析が必要になった平均年齢は、男性52.3歳、女性54.5歳です。


●肝臓の嚢胞
肝臓に嚢胞ができます。
自覚症状はありません。
肝臓が機能しなくなることはありません。
まれに、肝臓の嚢胞が大きくなり、胃腸を圧迫することがあります。
また、目や皮膚が黄色くなることもあります。(黄疸:おうだん)
嚢胞が出血したり、嚢胞に細菌が感染したりすると、熱が出たりします。
赤ちゃんを産んだことがある人は、肝嚢胞が重くなります。
嚢胞が破裂すると、急激にお腹が痛くなり、腹水が出ます。
肝嚢胞になる確率は、20歳代では20%、50歳代以降では75%です。
死ぬまでに、男性の60~70%、女性の80%が肝嚢胞になります。


●その他の嚢胞
まれに、くも膜(8%)、膵臓、脾臓、精嚢、子宮、睾丸に嚢胞ができます。症状は軽いです。


●脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)
脳動脈瘤とは、脳の動脈にこぶのように腫れたところができることです。10~30%の人にできます。(一般の人は1~7%)
自覚症状はありません。
家系にくも膜下出血を起こした人は、脳動脈瘤のできる確率が高いので、MRA検査が必要です。
また、30歳以下では発見されないことが多いので、30歳以上になってからMRA検査することも重要です。
MRAで発見されなかった場合、4年に1回程度、再検査します。
破裂すると、くも膜下出血を起こし、生命の危機が生じます。
ただし動脈瘤の全てが破裂するわけではありません。
MRA(エムアールエー)検査により直径5ミリ以上の動脈瘤は診断することができます。これが10ミリ以上になると破裂する危険が高いと考えられます。
また家系にくも膜下出血を起こした人がいると破裂する危険性が高いと考えられます。(家系にいる場合は22%、いない場合は6%)
動脈瘤の破裂した人のほとんどが、破裂時、腎臓は正常で、血圧も30%の人が正常でした。


●僧帽弁逸脱(そうぼうべん-いつだつ)
25%の人にあります。
健常な人間にも、数%はあります。
僧帽弁という心臓にある弁が、中途半端にしか機能していない病気で、不整脈などが起こります。
ほっといてもいい異常から、手術が必要になる異常まで、さまざまです。


●腎結石
腎臓結石、尿路結石とも言います。
10~20%の人にあります。
(腎結石:じんけっせき:尿で溶け切れなかった物が固まったもので、尿と一緒に石のようなものが出て来る。大き過ぎる場合は、破壊する。)


●高血圧
60%の人にあります。
腎機能が低下するよりも前に高血圧になります。
正常血圧の人より高血圧の人の方が腎機能が低下します。


●その他の症状
疲れやすい、だるい、息切れなどがあります。

血尿、尿蛋白、大腸憩室などがあります。

(大腸憩室:だいちょう-けいしつ:大腸にくぼみができること。)


まれですが、胆管(総胆管)の拡張、腎腫瘍があります。


まれですが、大動脈弓拡張があります。

(大動脈弓拡張:だいどうみゃくきゅう-かくちょう:心臓の大動脈弓と呼ばれる部分が太くなること。加齢、動脈硬化、高血圧、大動脈瘤が原因となります。)


まれですが、ドリコエクタジアがあります。

(ドリコエクタジア:動脈が延びたり、変形したりする症状。)


まれですが、頭頸部動脈の解離があります。

(頭頸部動脈の解離:とうけい-ぶ-どうみゃく-の-かいり:首から上にある動脈が、血液が流れてはいけない血管の膜に血液が流れてしまい、血管が剥がれていく病気。)


まれですが、冠動脈瘤があります。

(冠動脈:かんどうみゃく:心臓を取り囲み、心臓の筋肉に酸素を送っている血管。)

(冠動脈瘤:かんどうみゃく-りゅう:冠動脈に、こぶのように腫れたところができること。)


まれですが、腹壁ヘルニアがあります。

(腹壁ヘルニア:ふくへき-ヘルニア:腹の壁の弱い部分から、腹のなかの内臓が腹膜に包まれたまま脱出する病気。お腹がぽっこり出たりする。)


まれですが、鼠径ヘルニアがあります。

(鼠径:そけい:太ももの付け根)

(鼠径ヘルニア:そけい-ヘルニア:鼠径部の筋膜の間から、腹膜や腸の一部が出てくる病気。一般的には脱腸と呼ばれる。)



■ARPKD
多くの人が、生まれた時から発症します。新生児の時に30%の人が呼吸不全で死亡します。幼児は高血圧になり、16歳までに68%の人が高血圧症になります。15歳までに20~45%の人が末期腎不全になります。



多発性嚢胞腎は不明な点も多く、治療法などはどんどん変化して行きます。
よって、このサイトに書かれていることが全て正しいわけではありません。
ご自分の病気に関しては、よくお医者さんと相談して決めてください。
このサイトは、ご自身の病気に関して、一切保証しませんし、何の責任も負いません。


最終更新:2009年11月25日 11:35
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