■検査する前に
多発性嚢胞腎は遺伝による病気ですので、家系でこの病気
にかかっている人がいるかどうかが大事な点となります。
幼くてもすでに症状が出ている場合は、検査し、それに対
処する必要がありますが、ほとんどが成人になってから症
状が出ますので、小さな時に検査をすることはあまりあり
ません。それは、二つの理由があります。
一つは、検査費用や体に負担をかけても、ADPKDかどうかが
明確に分からないこと。
もう一つは、患者自身がADPKDの病気であるか病気でないか
を知るという、自己決定権があるからです。
ADPKDは知能に影響を与えることもありませんし、治療法も
存在していますので、子供を産む前に調べるということは
あまりありません。
ただし、親族内で重症のADPKD患者がいたり、子供の時から
腎臓が異様に腫れたりしている場合は別です。
この場合は、生まれて来る子供が重症となる場合もあるの
で、検査をする必要があります。
ちなみに、胎児がADPKD患者であることを理由に妊娠中絶を
行う家族は、4~8%です。
勿論、どうあったとしても、医師は両親の意思を尊重する
ことが求められます。
日本では胎児がADPKDであるかどうかを調べることは行われ
ていません。
■腎機能の検査
腎機能を知るには血液検査でクレアチニン(CR)値を測定し
、糸球体濾過量(GFR)を計算して調べます。
腎機能が正常な値は(年齢と男女により異なりますが)、
クレアチニンが0.9mg/dl以下です。
■ADPKDの検査
●分子遺伝学的検査
これはほとんど行いません。
超音波検査等で判断できない場合や、腎移植のドナーにな
る場合などは、この検査が行われます。
●超音波検査
下記のどれかに当てはまれば、ADPKDが疑われます。
30歳未満で、片側もしくは両側の腎臓に2個以上嚢胞がある
。
30~59歳で両側の腎臓にそれぞれ2個以上嚢胞がある。
60歳以上で、両側の腎臓にそれぞれ4個以上嚢胞がある。
この診断基準は、30歳以上のADPKD患者や30歳未満でPKD1遺
伝子変異の患者に対しては100%です。
30歳未満でPKD2遺伝子変異の患者に対しては67%です。
家系にADPKDの人がいない場合で、両側に嚢胞があった場合
で、なおかつPKD以外の腎臓病でないと診断された場合は、
PKDの可能性が強いですが、確定はできません。
超音波検査はほとんどの病院で手軽に行えます。
痛みもありませんので、疑うような症状や、家系にPKD患者
がいる場合は、検査した方が良いと言えます。
家系にPKD患者がいるかどうか分からない場合は、高血圧の
人、くも膜下出血を起こした人がいるかどうかが参考にな
ります。
■間違える可能性のある病気
●常染色体劣性多発性嚢胞腎
●良性単純性腎嚢胞
●単純性肝嚢胞
●他の嚢胞性疾患
●結節性硬化症
●フォンヒッペル・リンドウ病
●口顔指症候群1型
●糸球体嚢胞腎
●Hajdu-Cheney症候群
●他の先天奇形
●限局性腎嚢胞疾患
●後天性腎嚢胞
多発性嚢胞腎は不明な点も多く、治療法などはどんどん変化して行きます。
よって、このサイトに書かれていることが全て正しいわけではありません。
ご自分の病気に関しては、よくお医者さんと相談して決めてください。
このサイトは、ご自身の病気に関して、一切保証しませんし、何の責任も負いません。
最終更新:2009年11月25日 11:35