「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

イザークとディアッカ2

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戦闘はあっけなく終了した。
旧式のMSで果敢にも統合政府に反旗を翻した挑んだ勇敢な――だが愚かなレジスタンスは、ただ1機の新鋭機に敗退した。
部隊主力を預かっていたディアッカが戦場に到着した時、目にしたのは死屍累々たるバクゥやジンの残骸――そして佇む1機のストライクブレードだった。
「おい、無茶すんなよ! 何で俺たちの到着まで待たなかった」
安堵の思いを噛み殺しながら、イザーク機に通信を繋ぐディアッカ。だが、モニター越しに返ってきたのは冷笑だった。
『おいディアッカ、こんな雑魚どもに俺が遅れを取るとでも思ったのか?』
笑わせるなと嘯き、暗い笑みを浮かべる戦友の姿に、ディアッカは暗澹とした思いになった。
(俺は、間違っていたのか――?)
あの日、自裁を決意したイザークの手から銃を奪ったのは自分だ。
だがその結果、イザークは溺れた。酒でも麻薬でもない、狂信という最悪の毒に。
「まあ、いいさ」
通信機を切り、ディアッカは呟いた。その口元には皮肉げな笑みが浮かぶ。
たとえどうなろうとも、彼自身は最後までイザークを見届けるつもりだった。それが報われぬ戦友に示せる、せめてもの誠意と思っていた。
無論、保身のために一応の手は打っていたが。


それぞれの愛機から降りたイザークとディアッカは戦場の処理を指揮していた。
もっとも具体的な指示を出すのはディアッカで、イザークは気のない視線で周囲を見回していただけだったが。
「ん」
イザークの視線が、部下によって連行されるパイロットに止まる。
 確か、指揮官機とおぼしきゲイツを操っていた男だ。よれよれの緑服には似合わない中々の手練れだった。
無論、イザークの敵ではなかったが。
かつてカーペンタリア基地のおかれていたオーストラリアには、彼等のようなザフト崩れのレジスタンスも珍しくない。
「イザーク・ジュール、この裏切り者が!」
その声に、イザークの形のいい眉が跳ね上がった。
「今、何と言った?」
脇腹に明らかな致命傷を負っていたその指揮官は、イザークの反応を見て愉快そうに笑った。
「ほう、まだ恥じる心を持っていたのか、売国奴! 国を裏切り、友軍を撃ち、今はオーブの狗になった貴様が!!」
「貴様ァーッ!!」
イザークの端正な顔が、憤怒に歪んだ。
腰の銃を抜くと、明らかな死相の浮かんだ男の顔を銃把で殴りつける。鈍い音と共に血がしぶいた。
「俺が裏切り者だと! 平和のため、ラクス様のために戦うこの俺が! 貴様ら反逆者ごときがそう呼ぶか!!」
殴る。殴る。殴る。何度も何度も何度も。その度に、赤いものと白い何かが周囲に飛び散った。
部下の兵士が怯えた表情で後ずさるのにも、イザークは気付かなかった。
「言ってみろ!! ええ、もう一度言ってみろ!! どうした、聞こえ――」
「いい加減にしろ!!」
ディアッカが止めた時、既に男は息絶えていた。肩で息をしていたイザークが、ゆっくりとディアッカを振り返る。
「おい、イザーク――」
「問題ない。害虫を一匹、駆除しただけだ」
その顔は、まるで悪鬼のようだった。

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