「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

塵は塵に(ダスト最終戦・完敗ver)

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「塵は塵に」
かつてない歓喜がリヴァイブの面々を包み込んでいた。
東ユーラシア地区における統一連合の支配拠点たる第137基地を、
ピースガーディアンのトップエースのみが搭乗を許されるフリーダムブリンガーを擁するあの第137基地を攻略することに成功したのだ。
情報操作、陽動作戦、奇襲の挙句ダストとシグナス2機の3機がかりの交戦ではあったが、結果としてシグナス2機は中破したものの、ダストは装備をいくつか破壊されただけでほぼ無傷でFBに止めを刺すことに成功したのだ。
交戦開始からダストのビームサーベルがFBのコックピットを貫く瞬間までを映像に収めることができて、ユウナは至極満足であった。この映像は味方には希望を、敵には動揺を与えることができるだろう。

ユウナ「なにせFB一機でシグナス20機は買えるだろうからねぇ」
いつもどおりの軽口にも喜びの気配が立ち込めている。リーダーたるもの、喜ぶときは人一倍喜ぶべきなのだ。

ソラ「こんなに皆が喜んでるの、初めて見ました。」
ユウナ「僕だってそうさ。今日の勝利は大局的に見れば小さなものだけど、リヴァイブにとってはものすごく大きい。」
コニール「シンと大尉、少尉が戻りました。シグナスは当分使えそうもないですね。」
ユウナ「よし、長居は無用だ。本拠地(ホーム)に帰るとしよう。」
ソラ「今夜はご馳走ですね」
笑いながらユウナが答えようとしたそのとき、司令部をかねたトレーラーの通信機器から聞きなれぬ声が響いた。

キラ「こちらはエターナルフリーダム、キラ=ヤマトです。我々PGは、あなた方リヴァイブを平和を害する存在と断定し、ラクス=クラインの名の下に最優先で排除することを決定しました。これが最後の警告です。今投降すれば命は保障します。15分以内に投降の意思が示されない場合は全力をもってあなたがたを駆逐することになります。どうか賢明な判断を。」

笑顔は掻き消え、紅潮した頬は一瞬で蒼白になる。勝利の喜びから一転、リヴァイブは恐怖と絶望のなかに叩き落された。EFの敵となること、それは絶対的な敗北と同義であった。

ソラ「ど、ど、ど、ど、どうするんです?キ、キ、キラ様・・・じゃなかったキラさんが来ちゃったらかないっこないですよぅ。」
ユウナ「こうゆう時は・・・」
あくまで笑みを絶やさぬユウナ。だがソラの目にもはっきりと彼の額に浮かぶ汗が見える。
ユウナ「三十六計逃げるにしかず、ってね。」
コニール「賛成」
ユウナ「奇襲に使った坑道が彼らの知識の範囲外であることは彼ら自身が明らかにしてくれた。あそこに逃げ切れれば・・・」

再び通信機器から、今度は彼らに馴染み深い声が響く。
シン「時間はどれだけ必要だ?」
ユウナが答えるより先にソラとコニールが叫ぶ
ソラ「戦うつもりなんですか!?」
コニール「ダスト一機でどうにかなる相手か、わからないあんたじゃないでしょう!」
シン「リーダー!」
ユウナ「30分・・・30分あれば、坑道を通って索敵範囲外に逃げ出せる。」
シン「EFの現在地は!?」
オペレーター「あと4分で目視できます!とんでもないスピードです!」
シン「わかった。俺が足止めする。今すぐ逃げろ!」
ソラ・コニール「シンさん!・シン!」
シン「大丈夫だ。死ぬつもりはない。リーダー、例の花火は俺のタイミングで打ち上げるぞ!」
ユウナ「了解した。総員!逃げるぞ!」

137基地の中央にダストを立たせ、シンは一人苦笑する。
シン「逃げなれてるだけのことはある・・・」
笑みを消し、視線を仲間の逃げた方角から外して最大望遠にしたモニターを見やる。すでにEFのバーニアの光がかすかに確認できる。
シン「さて、本来なら意地でも気付かれたくない所だが・・・」
ダストがビームライフルを構え、みるみる大きくなるEFに照準を合わせる。
シン「とっくにこっちには気づいてるだろうに・・・余裕のつもりか」
限界射程距離にEFが入った瞬間、シンはトリガーを引いた。
放たれたビームを事も無げにかわしたEFが、ビームサーベルを抜刀する。すでに基地が無人であることを知らないキラが、味方を巻き込むのを恐れて接近戦を選んだのだ。ここまではシンの計算どおりだった。
シン「ぐあっ!」
ダストにもビームサーベルを抜刀させ、EFの光刃を受け止めたはずだった。だが圧倒的なパワーの差からダストは吹き飛ばされ、バランスを崩す。追撃を覚悟したシンだが、EFは動きを止めた。

キラ「その機体ではあなたに勝ち目はありません!無駄な抵抗はもうやめて下さい!」
シン「無駄な抵抗かどうかはこっちが決めることだ!今までも、そしてこれからもな!」
シン(この偽善者め!)
ダストが再びビームライフルを斉射する。それをことごとく回避し、瞬時にEFがダストに肉薄する。
シン「くうっ!」
キラ「勝ち目は無いと言っている!」
2体が交差するその一瞬、EFのサーベルが一閃する。ぎりぎりで避けるダスト。だが右肩部の装甲が切れとび、間接部がむき出しになる。
自らの損傷を気遣うことをせず、シンは千載一遇のチャンスが到来したのを見逃さなかった。EFが基地司令部の直上で反転したその瞬間、シンは「花火」を打ち上げた。
司令部を中心に設置した爆弾がいっせいに爆発し、目もくらむ閃光と
激しい爆発が巻き起こる。さしものEFもバランスを崩し、キラは目標を見失った。
キラ「な・・・っ!?」
シン「とった!」
ダストがEFの背後上方に跳び、振りかざしたビームサーベルがまさにEFを両断するかに見えた。だがキラは瞬時に混乱から立ち直り、全力でEFを急上昇させた。切りかかったダストは下から体当たりを喰らった形になり、シンは思わぬ逆襲を受け、目を回した。
キラ「・・・!」
既に気遣うべき味方がいないこと、更に目の前の機体を駆るパイロットがかなりの腕を持っていることを悟ったキラは、EFの全砲門を開き、ダストに火線を浴びせかける。
シンの視界が閃光で埋め尽くされた瞬間、

種が 弾けた

キラは勝利を確信していた。だが次の瞬間、爆風の中からビームが数条射掛けられてきた。回避が間に合わず、ビームシールドを展開させるEF。次の瞬間、右腕にサーベルを展開させ、左腕でビームライフルを乱射しながらダストが突っ込んできた。再びその圧倒的な火力を集中させるEF。だが信じがたいことに、ダストは何発か機体に掠らせながらも致命傷を負うことなく距離を縮めてきた。
横なぎに払ったダストの一閃を跳躍してかわし、直下にビームライフルを放つEF。ダストの左腕と左脚が消し飛ぶ。
シン・キラ「チッ!」
双方ともに敵に止めをさせなかったことを悔しがる。だが苛立ちという面ではキラのほうが明らかに勝っていた。今の一撃でダストは胴体部を貫かれているはずだったのだ。だが現実には目の前の機体は未だ無謀としか思えない抵抗を続けている。
キラ「これまでだ!」
バランスを崩したかに見えるダストに再びビームライフルの銃口を向けるEF。ダストがこちらに正面を向けた瞬間、キラは引き金をひいた。だがまたしても予想外のことが起こった。なんとダストはEFのビームをビームサーベルで弾きとばしたのだ!
キラ(銃口の角度から着弾点を読みきったとでも言うの!?)
シン「うおおおおおぉっ!!」
渾身の突きを放つダスト。一瞬反応が遅れ、EFの胴体部に擦過傷ができる。
キラ「はあっ!」
閃光が走り、ダストの右腕、右脚、頭部が瞬時に切断される。あっという間に抵抗力を奪われ、地に堕ちるダスト。頭をしこたまぶつけ、気を失うシン。
キラとEFの完全勝利であった。

キラ「・・・」
キラはしばらくの間、『損傷軽微』の文字が点滅するモニターを眺めていた。
ラクスが彼にストライクフリーダムを与えて以来、彼の機体を傷つけたものはいなかった。彼我の戦力を比べた場合、このような結果は納得のいくものでは無かった。
キラ「彼は、もしや・・・」
キラの脳裏に浮かぶのは、かつて性能で劣るはずのインパルスで彼のフリーダムを撃破したザフトのパイロットのことだった。キラは自分が最高のコーディネーターであることを受け入れていた。それがどういう意味かも正確に理解していた。だが彼は決して自分が戦闘において無敵ではないことも知っていたはずではなかったか。
キラ「そこまで君は、今の平和を憎むのか・・・」

シン「う・・・っ」
意識を取り戻したシン。コックピットの中は全て真っ暗である。
シン「負けちまったな・・・やっぱ。」
と、ハッチをこじ開ける音がし、真っ暗なコックピットに光が差し込む。
「手を上げろ!!」
高圧的な声が響き、複数の銃口が目に入る。
言われたままに手を上げるシン。ふと、パイロットスーツの手首に埋め込まれた時計に目をやる。
シン(いや・・・俺の勝ち・・・だな)
「出ろ!」
引きずり出され、手錠をかけられるシン。高かった日がもう沈もうとしている。ふとあたりを見渡すが、EFの姿はない。
見るも無惨なダストを見やる。長らく彼とともに戦ってきた愛機も、もう動くことはない。
シン(今までありがとうよ・・・ダスト。だが、安心しろ)
PGの兵士に小銃の先で小突かれ、護送用トラックに歩み寄る。
シン(俺の戦いは、まだ終わらない)

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