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『欲望と戦争』あとがき

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ハインリヒ=クレッチマー著「欲望と戦争」あとがきより


『正義』『悪』―――
誰もが一度は口にする言葉―――
人は自らの思想(又は自身)を『正義』として掲げる。

そしてそれを妨害しようとする者を『悪』と位置づける。
いつの時代でもそれは変わることの無い光景。それが争い。
だがその『正義』と『悪』
それは人が自らを強引に正当化させるための偽善の言葉であるのではないかと私は思う。

戦争の起こる経過を簡略にわかりやすくする。
路肩で人間Xが人間Yにぶつかったとしよう。
YはXに謝罪を求める。
ここが分岐路である。
普通ならXがYに謝罪してそこでこの問題は解決。すなわち和平である。
だが残念ながら現在では九割九分和平には至らない。
大抵ここでXが何らかの言い掛かりをつけ、謝罪をしない、又は逆にYに謝罪を求めたりする。

こうなると泥沼だ。
この泥沼が国家間対立である。
やがて口論になる。

Xの言い分が「Yがよそ見をしていたからだ」
対するYの言い分は「ぶつかってきたのは明らかにX」
そのうち「慰謝料を払え」だの「訴えるぞ」だの面倒なことになる。
ここまで泥沼化するともはやどちらが悪いとかそのような問題ではなくなってしまう。
こうなると大抵喧嘩である。この喧嘩がイコール戦争だ。

そしてここで一番大事なのがXがYにつけた言い掛かりだ。
この言い掛かりはすなわち各国又は個人の利害にあたる。

人は「欲張り」だ。

最初はどんな些細なことでも人は「自分に得する」ようにしようとする。
そのうちに最初の原因などすっかり忘れてひたすら利益を得ようとする。
問題なのは現代における戦争の発生原因は大半がこの利益をめぐってであることだ。
元々生き物が争うのは命を危険にさらしてでも受け入れることなどできないときである。
かつては皆そういう生き物だった。

だが『知恵』を身につけた生き物:人間は同時に『欲望』をも持ってしまった。
いつもその『欲望』を他の生き物には無い豊かな『知恵』によって実現させようとして進化してきた人類は、
ついに利益の為に世界の構図を好き勝手に創りかえる力(すなわち遺伝子操作)までを手に入れてしまった。
絶望を通り越すほどの犠牲を出して。

だがこの遺伝子を操作する力は地球の汚点とも言える人の歴史の転換点になり得ると私は思う。
なんらかの技術で世界中に住む人々に一斉に『欲望』を消す遺伝子操作を施せば、
これ以上の虚しい犠牲は防げるのではないだろうか。

「人は『欲望』を持ったが故に醜い果て無き争いを繰り返す下劣な生き物になってしまった。
が、この『欲望』さえ無くせば、本来在るべき生き物に戻れるのではないか。」


最後にこれは幼き日に家族を全て失い、人の業をこの目で直に目撃し、果て無き争いに絶望した老人の持論であり、
決して自分の考えを他人に押し付けるような意図は無いことをここに記す。
恐らくこの本が世界中に出回るころには私はもうこの世にはいないだろう。

C,E78 11月15日  ハインリヒ=クレッチマー

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