「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

死に際の真実

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匿名ユーザー

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DB(デスティニーブラスト)のパルマフィオキーナをTJのシールドが受ける。

「こんな嘘ばかりで固めた世界を創る為に!アンタはあの時裏切ったのか!?」
「違う!俺は、俺は!」

そのまま掌でTJ(トゥルージャスティス)の腕ごとシールドを押し返し、僅かに距離を置く。

「違わないさ!そして俺達に刃を向け、仲間を、ミネルバの皆を、レイを、……ルナを、殺したんだろう!!」

ブーメランを放つDBに、アスランは的確に腕でそれを捌く。

「それは…。…俺は、それでも…」
「それでも、何だって言うんだ!?」

ブーメランの戻りに併せてもう一方のビームブーメランを展開し手に持ったまま、DBが再度TJに迫る。

「俺はそれでも、今更歩んできた道を戻る事だけはしない!」

アスランの中で、何かが弾ける。

戻ってきたブーメランを今度は足で弾き、同時にサーベルの柄でDBの手持ちの方のブーメランの取っ手部分を受ける。

「そうだ。確かに俺はお前達を裏切り、傷付けた」

そうして受けた柄を瞬時に弾き返し、TJはシールド基部にマウントされたアンカーを放つ。

「だが、もう今更どうしようも無いじゃないか!?俺はあの時裏切って、今の世界を創り上げる手助けをして。それで今更またこっちを裏切れって言うのか!?
シン、俺は…、俺だって、本当はもう戦いたくなんて無いんだ!最初の戦争で親友と殺し合って、次はまた同胞と殺し合って!!」

アンカーに右腕を取られ、DBがTJに引き寄せられる。

「もう沢山だ!俺だって本当は、月の幼年学校でキラや他の友達に囲まれて、平和に笑って居たかった!プラントでだって、イザークの変な意地に付き合わされたり、ディアッカの性質の悪い冗談に苦笑したり、……ニコルのピアノだって!」

アンカーで引き寄せたDBの右腕を足のビームカッターで切断する。

「ぐぅうっ!」
「だがもう全ては戻らない!ならせめて、裏切ってでも付いたラクスやキラ、カガリの力になると決めた!今の俺が決めたんだ!もうこれ以上、争ったり、悩んだりするのなんて、嫌なんだ!!」

勢い込んで今度は胴体を切断せんと迫る右脚を、DBの左脚が食い止めた。

「だから、なんだ?」
「な、に?」

前は回し蹴りに回し蹴りを併せて脚を持っていかれた。
だから、今回はTJの脛を足の裏、踵で受けて止めたのだ。
DB左脚部のスラスターが爆発を起こし、大破する。
が、確かにTJの脚を実体部分で食い止めている。

「アンタ、『戻らない』って言ったよな?過去に起こしたことは戻らないって。確かにそうだ。アンタが今更何をしようが、ルナやレイは戻らない」

大破した脚でTJの脚を弾き返し、その脚でTJの顔面に回し蹴りをお見舞いする。
DBの脚の部品が飛び散り、TJのアンテナを僅かに曲げる。

「でもな、こんな世界を創り上げて、いったい何になるんだ?アンタも知ってるだろう?俺達の組織のリーダー、ユウナを。
あの人だって今も普段はちゃらんぽらんだけど、過去を確かに抱えて、背負って、世界を変えようと自分の足で立って頑張ってる!」

TJのもう一方の脚による攻撃を避け、一旦距離を置く。

「他にも、生まれつき出来損ないだとかって言う奴も居れば、今も砂漠に緑を育てようと未来を望んでいる奴らだって!でも今のアンタは違うだろ!?ただ悩むのが、痛い思いをするのが嫌で逃げてるだけじゃないか!!自分の物じゃない、借り物の自由と正義を殻にして、うずくまってるだけだ!」

「…それはシン、お前もじゃないのか?お前だって自分の復讐の隠れ蓑にレジスタンスの理想を利用して、自分を隠して戦っているんだろう?俺と一体何が違う!?」

「いいや、俺はもう、復讐のために戦っている訳じゃない。ルナを、レイを、仲間を、マユを、家族を、そしてステラを奪われた悲しみも憎しみも、忘れないよう傷として心に刻んでる。
でも、だからって復讐をしたところで皆が戻るわけじゃない。そうだろ!?だから今俺は、明日を生きたい!皆が得られなかった明日を!こんな鳥籠みたいな世界に来る明日じゃなく、本当の明日を!!」

「………!」

DBの背中が輝く。

ビームウィングを広げ、残像を残してTJに迫る。
パルマフィオキーナを槍状に収束させ、そののコクピットを狙う。

「オオオォォオオォオオオ!!!」

光の槍がその胸を貫いた時、何故かTJは防御すらせず、微動だにしなかった。

(ああ、そうか)
閃光に包まれてアスランは思う。

(最初にヘリオポリスでキラを見かけた時から、ずっと悩み続けて来たけど)
実際、絶命するまでの時間はそう長くは無い。
それでも、残された時間の中で、思う。

(俺はずっと、あんな風に自分に納得の行く答えが欲しかっただけだったのかもな…)
ピシリとヘルメットの正面にヒビが入る。

(そんなことに気付かなかったなんて、俺は本当にバカだな)

『──しょうがないよ。コーディネィターでも、バカはバカだ』

ふと一瞬、今はもう遠い、少女の面影に焦がれる。
(フ…。シンのお陰かな、気付けたのは)

「…シン、ありが」

真実の正義は、大きな閃光になって消えた。

「………」
閃光を見つめた後、一言も残さずにシンは宙域を離れていった。
悩み続けた男の最後の言葉は、誰にも届きはしなかった。

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