「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

ちいさなてのひら

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11がつ10にち
きょう、ぴーすがーでぃあんのひとたちがうちにきました。
「じょうきょうがあっかしたのでてったいします」といっていました。
おとうさんとおかあさんはそういわれるととてもおどろいて、おとうさんはおこりだして、おかうさんはとてもつかれたかおをしていました。


11がつ25にち
きょう、おとうさんが、がるなはんへ、きんじょのおとうさんたちといっしょにでかけました。
なんでも、たべものがそこならてにはいるかもしれないそうです。
いっしょにいきたいといったら、おとうさんはとてもこわいかおでおこりました。


12がつ6にち
きょう、おとうさんたちがかえってきました。
れじすたんすのひとたちから、たべものをわけてもらったそうです。
おかあさんは、「みんなでひっこしましょう」といいましたが、おとうさんは「ちあんがよくないからもうしばらくまちなさい」といいました。
わたしは、がるなはんへいったことがなかったので、ちょっとがっかりしました。


12がつ8にち
おとうさんたちが、また、がるなはんへいきました。
おかあさんは「あぶないからよしてください」といいましたが、おとうさんは「おみやげをたくさんもってくるよ」といいました。
わたしは、おとうさんに、よいこにしているからはやくかえってきてね、といいました。


12がつ26にち
きょう、おかあさんはいちにちじゅうないていました。
「ぴーすがーでぃあんにがるなはんがせんめつされた」そうです。
「せんめつってなに?」ときくと、おかあさんはないてしまいました。
せんめつってなんだろう?


1がつ2にち
おかあさんがベットからおきてこないので、しんぱいになってようすをみにいくと、とてもぐあいがわるそうでした。
おかあさんは「しんぱいないから」といいました。
はやくげんきになればいいとおもいます。


1がつ10にち
おかあさんがきのうからめをさましません。
きっとつかれているんだとおもいました。
だからきょうはゆっくりねかせてあげました。


1がつ20にち
たべものがなくなってもう2にちになります。
おかあさんはずっとねています。きっとうんとつかれていたんだとおもいます。
はやくおとうさんがたべものをもってきてくれないかなあ。
そうしたらおかあさんもげんきになるのに。


2がつ2にち
とてもおなかがへりました。
はやくおとうさ

ジェスの手にした日記は、そこで止まっていた。
カメラを取り出すと、無言で、一枚一枚、一ページごとにフィルムに納めていく。
そして、作業を終えると、ベッドに横たわる持ち主の少年の枕元にそっと置いた。
もはやこの少年が飢える事は無い。この悪夢のような世界から、彼は隔絶された。
「ソラ、そっちはどうだ?」
渇き切ったジェスの声が廃屋に響くと、母親の寝室を覗きに行ったソラが戻ってくる。
「…この子より先に餓死したんですね。自分の食べる分全てをあげてたんだとおもいます」
かつてのソラを知る者が今の彼女を見たら、別人だと思うだろう。
まるで、身体の真ん中に芯が入ったかのような今の彼女を。
「ごめんね、君にはもう何もしてあげられないの。本当に、ごめんね」
命の枯れ果てた少年の頬を、ソラはそっと撫でる。

「で、どうだった?」
ジープで待っていたカイトに問われ、ジェスは首を振る。
「駄目だったよ。ここらは全滅かもな」
「インフラが全部死んで、立ち行かなくなったんですね」
そうソラが呟く。
「これが生き延びる為の最後の策だとしたら…私達、生き延びたって胸を張って言えるんでしょうかね?」

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