「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

魂のきらめき

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真空の闇の中に、数多の光芒が光る。
後に第一次L2宙域戦と呼ばれる戦いだ。
月の裏側で挟み込まれたレジスタンス・傭兵連合は、挟み撃ちに遭う前
に二手に分かれて突破を謀った。ヤマト隊VSリバイブ、
フラガ隊VS傭兵連合だ。

場面はヤマト隊VSリバイブ。
性能では勝るはずのラクシズのストライクブレードが、凄まじいまでの志気を
誇る、レジスタンス連合のシグナスに互角の勝負をされている。AI装備の
PA等、艦砲射撃とシグナスの猛攻の前に沈黙していた。
そしてフリーダムブレード、ドム・クルセイターも
シホ、三尉を中心とした、シグナスの防衛網を突破できない。

「何でだ・・・何で君たちはこうも戦いたがるんだ!」
キラは絶叫し、エターナルフリーダムのドラグーンを射出しようとしていた。
そのときだった。エールシグナスの部隊が、エターナルフリーダムに突撃して
きた。キラはMドラグーンを射出、さらにMドラグーンにドラグーンを射出さ
せるべきだが、怒りで冷静さを欠いていた彼はその前にレールガンとライフ
ルの発射態勢を取り、斉射した。エールシグナスが、一機、また一機と落ちて
いくが、それでも対ビームコーティングシールドで防御した数機のエールシグ
ナスが取り付いていく。

「コニス、レイヤー、ハリー!今、逝くぞ!!!」
「アリサ、今、そっちへ逝く、安らかに迎えてくれよ・・・・」
パイロットたちは各々の思いを口にし、
チャフの射出ホースをエターナルフリーダムに向けた。吹き付けられる微少な
、けれども大量の金属片。キラは苛立ち、怒った。
「――――――――!!!」
声にならない絶叫を上げ、エターナルフリーダムの腹部の大出力ビームが火を吹いた。
墜とされるシグナス。満足げな表情で逝くパイロットたち。
そして、
「・・・・!?」
エターナルフリーダムに異変が起きた。出力が下がっていき、射出したままの
マザードラグーンとのアクセスが不安定になっていく。
「チャフにマイクロマシンを仕込んでいたのか・・・・!?」
その通りだった。チャフに仕込まれたマイクロマシンは、エターナルフリーダ
ムの高出力バイパスに必死でウイルスを送り込んでは、熱で消滅していった。
そのウイルスは、かつてテスタメントが使用していた、量子コンピュータ用ウ
イルスであった。量子コンピュータ以外の高性能コンピュータなど、「8」等
を含めて極僅かしか存在しない。
量子通信の発展系でコントロールしているマザードラグーンとのアクセスも不安定だ。
「小賢しいマネをっ!!!」
キラは奥歯をならし、残った出力でマザードラグーンにエネルギーフィールド
の展開とその継続を命令、絶対防御壁に囲まれ、部下に迎撃を命じると、緊急
用の、量子通信ではないサブコンピュータで、ウイルスの駆除を開始した。

レジスタンス連合軍2番艦・格納庫
『・・・・シン・アスカ、一つだけ言っておく。むりに復讐心を捨てようとしなくていい。
いや、今のお前には捨てれないはずだ。今のお前は全てをぶつけていない。だが
……かといって、それを戦いの理由にするヤツは、不様な負け犬だ。』
「カ、カナード・・ッ!?」
『カナード・パルス、ドレッドノート・イータ、出るぞ!』
漆黒のイメージを持つ青年が駆る、勇気あるものの名を持つMSが、戦場へと
征く。
その青年、カナード・パルスに言葉をかけられた真紅の瞳を持つ青年は、
呆然とした後、自嘲気味にハハっとわらった。
「シンさん・・・?」
「どうしたんすか?」
ナラとソラの方に向き直り、青年―――シン・アスカは微笑んでいた。その瞳
に迷いは、無かった。
「そうか・・・・・別にお前らを、お前らの純粋さを見て負い目を感じること
はなかったんだよな。これは、大切な人を失った人間なら、誰でも持つことのある感情だ。
捨てる必要はない。いや、今の俺には捨てれないんだ。全てを駆けて、ぶつか
っていもせず、まだ何も果たしていない俺には・・・・ただ、それを戦いの理
由にしてはいけない。そうだったんだ・・・」
黙って、ナラとソラはシンの話に聞き入る。
「ありがとうな、カナード。・・・・ありがとう、ソラ、ナラ。」
「・・・・・スーパーエースの復活って思っていいんすね?」
笑顔のナラの問いかけにシンは黙ってうなずく。
ソラは、シンの変化がどういう事なのかイマイチつかめず、え?えっ?としど
ろもどろしていた。
『シン!ダストの準備完了だ!ハッチ開放まで後2分!急げ!』
「わかった!・・・・・行ってくる。」
ソラたちにそう言って、シンはダストに乗り込んだ。
『武装類の強化案は予定通りに採用してある。ただし、リミッターは解除する
なよ。・・・・ダストだけじゃない、お前も、死にかねないぞ。』
サイ・アーガイルの声だ。
「わかった。」
『・・・絶対わかってないだろ。まあ、いいや。行ってこい。』
「ああ。」

シホは、どうにかストライクブレードを切り裂きつつ、二番艦のハッチが開く
のを見た。
急いで大尉たちに通信を入れる。
「大尉!」
「ああ、きたな。」
カナード・パルスは、それを見て満足げに微笑むと、気を取り直してフリーダ
ムブレードを1機、撃破した。エターナルフリーダムがコントロールを取り戻
す前に撤退―「アレ」が完成するまでレジスタンス・傭兵連合にはエターナル
フリーダムを倒せる兵器は存在しない―するだけのダメージを追わせねば、エ
ールシグナス隊は犬死になってしてしまう。
ドレッドノート・イータは核エンジン搭載機であり、FBは旧フリーダムと同
程度の性能。しかし、パイロットの腕は、いくらエース部隊のPG隊の超エー
スにのみ与えられるFBのパイロットといえど、カナードには及ばない。FB
はゆっくりと、しかし確実に数を減らしていくだろう。

「シン・アスカ、・・・・・・ダスト『ガンダム』、行きます!」
真紅の瞳は、以前よりも強く、強く、未来を見据えている。迷いのない力強い
言葉と共にダストが飛び出し、レジスタンスの志気が一斉に上がった。

「コードネーム・ダスト・・・・シン・アスカか!墜とすよっ!!」
ヒルダは数機のFBを率いてドム・クルセイター単体でのJSAを仕掛ける。
「うおおおお!!」
シンはそれをかわし、味方のシグナスの小隊に向けてフルバーストアタックを
仕掛けようとしていたFBを、スレイヤーウィップ改で薙ぎ払った。
強烈なエネルギーを帯びた斬鋼線は、隙だらけのFBをあっさりと両断する。
「なっ?!・・・・・・このおおおおお!!」
ヒルダは絶句、ついで絶叫し、サーベルで斬り込む。ダストはFBをウィップ
で薙ぎ払い終えるも、スキが出来ていた。今なら行ける。そして、
「シンっ!!」
ヒルダの思い描いていたものとは違う結果が待っていた。シホの駆るシグナス
が盾となったのだ。シールドがはじけ飛び、脚部を吹っ飛ばすも、宇宙におい
てはそれは関係ない。
そして、その間にスキを無くし、シュベルトゲーベル改をかまえたダストが視
界に移った。

「ヨウラン、マッドのおっさん、副艦長、みんな・・・・俺は今からみんなを
殺したヤツを倒す。けれどそれは復讐のためじゃない。」
シンはつぶやき、溜を解き放ち、
「世界の・・・っ未来のためだ!!」
シュベルトゲーベル改を一閃した。真一文字に、ドムの機体が断たれる。
「なっ!?あ、ウァーーーー!!」
淡い、紅の閃光。それはヒルダが、哀れな狂信者が見た最期の光景だった。

三尉は、SB隊をあらかた片付け、FB隊を撃破しつつエターナルフリーダム
に迫るカナードのドレッドノート・イータを鬼神のごとき威圧感を持って援護
していた。
しかし、徐々にFB隊も立て直し始め、
「このおお!!」
「ぐあっ!!」
少尉のシグナスが、中尉のシグナスがそれぞれ、スラッシュウィザードのアッ
クス、ガナーウィザードのオルトロスを破壊されてしまった。
「諦めるな!もうじきダストが来る!それまで持ちこたえるんだ!。」
大尉が檄を飛ばし、三尉たちも背中を預け合い、再び戦闘に移る。
「早く来い、シン。来なければ俺がヤツを倒すぞ。」
カナードはそう呟き、FBとSBの一斉砲撃をかわすとイータユニットのソー
ドモードを起動、その部隊を薙ぎ払った。もうじきタイムリミットが来る。
間に合うか・・・?

「おおおおおおおおおおお!」
三尉が表情を明るくさせ、カナードは微笑をたたえ、キラは驚愕の表情を浮か
べた。ダストの姿を認識したからだ。増加装甲とブースターによって、エター
ナルフリーダムとは対照的にますます無骨なフォルムになっている。
そして、スレイヤーウィップ改、シュベルトゲーベル改を縦横無尽に薙ぎ払い、
はたから見れば無茶苦茶なやりかたでSBを墜としていく。
「合わせろ。」
カナードの通信にシンは頷き、カナードはそれを確認するとイータ・ユニットのバス
ターモードを起動、発射した。いつのまにかこの戦場に投入された10機が、
6機に減っていたFB。その残り6機の内の2機に、閃光が奔った。フルバーストの乱用でフェイズシフトダウン寸前まで追い込まれていたその内の1機は、2秒と待たずに消失し、それをかわしたもう1機のパイロットは、
「お、おの・・・・れっ!?!」
眼前に迫るダストに驚愕していた。馬鹿な。出現したときとは明らかに速度が
違う。
そのパイロットのミスだった。燃料を使い果たした邪魔なプロペラントタンク
を、カナードの通信に合わせて排除したダストは、彼の予想よりも速い
スピードでFBに取り付き、
「はあああああああ!!」
「があっっ!!」
ビームコーティングされたアーマーシュナイダーを一閃し、ウィップで薙いだ。
無音の爆発と、閃光が奔る。それは、この戦場に投入されていたFBの半数以
上の撃墜を意味していた。その10倍近いシグナスと、パイロットの犠牲と
引き換えに。

護衛のFBは残り2機。もう2機は、三尉たちとシグナスが決死で食い止め
ている。
そして―――――。
ついに、この時がきた。エターナルフリーダムに、ダストとドレッドノート・
イータが、リバイブの二強が迫る。
FBがフルバーストを撃ってきた。ドレッドノート・イータがアルミューレ・
リュミエール・ハンディでダストの盾となり、
「あんた等が正義なら、俺は悪でいい。」
煙の中から、ダストがスレイヤーウィップを射出した。その先端には、BCア
ーマーシュナイダーがセットされている。
「だが、あんた等が箱庭に奪っていった夢は・・・・・」
FBに向けて、真っ正面から放たれたそれを、ビームコーティングのことを失
念していたパイロットはかわさせ、アーマーシュナイダーを先端にセットした
ウィップはマザードラグーンが展開しているフィールドを突破していく―――――。
「それだけは、ガラスケースを砕いて奪い返す!」

「ストライクフリーダム程度の出力だけど・・・・これでも行けるはずだ!」
「届けエエエエエ!!!」
キラがウイルスをどうにか戦闘可能な程度まで駆除し、プログラムを再構築
し、前を見据えると、眼前にアーマーシュナイダーが迫っていた。両手には
ライフル。腹のビームはSフリーダム程度の出力では使えない。かわした。
イーゲルシュテルンが迎撃するも、
シンが、ダストのマニュピレーターで微妙な変化を加えているので当たらず、
結果として胸部の右のバルカンに直撃した。弾薬に引火して連鎖爆発が起こり、
強烈なダメージを内部から加える。衝撃でシステムが一時ダウンした。

その瞬間、その光景を目にすることができていたレジスタンスたちが、歓声を上げた。
世界で初めて、エターナルフリーダムに、特攻以外で直撃を与えたのだから当然だった。

キラはその瞬間、怒りの臨界点を越え、SEEDが、はじけた。
「何で君たちはああああああっっ!!」
マザードラグーンにフィールドを解除させ、ドラグーンを射出させる。フルバ
ーストで薙ぎ払うつもりだ。
ドラグーンはエネルギーを集中していき、

ビームが直撃し、連鎖爆発した。

「何・・っっ!?」
キラは、大きく動揺した。ビームが飛んできた方向を見ると、FB部隊に背を
向けるのを覚悟で、――実際ボロボロになって――、三尉たちのシグナスが、
撃っていた。
シンはこの機会を逃さず、
「ゴメンな、ダスト。」
リミッターを解除した。増加装甲が吹き飛び、機体の生命と引き換えに出力が
跳ね上がっていく。
ダストは、最期の刻を駆ける。

「ここで終わりか。」
「後悔はしてないさね。」
「ああ、やるべきことはやった。」
三尉たちはその光景を見て笑った。センサーが警戒音を鳴らす。しかし動きが
鈍すぎる。死を覚悟した。後ろで爆発が起きた。しかしシグナスたちには新し
いダメージはない。後部カメラには、勇気あるものの名を持つMSが移ってい
た。自らも激戦でボロボロになりながらも、アルミューレ・リュミエール・ハ
ンディで、フルバーストを防いだのだ。
「まだここで死ぬべきではない。」
カナードはそれだけ言って、微笑んだ。
「カナード・パルス・・・・」
「・・・・そうだね・・・私たちはまだ、箱庭を壊しちゃいない。」
「・・・・・援護を、頼む。」
「了解した。」

「何故戦うんだ!今の平和のどこが悪い!」
叫びと共に、エターナルフリーダムのサーベルが一閃する。それをかわしざま
にダストがウィップを薙ぐ。そこへドラグーンがビームを撃つ。
「・・・・・人の活きる世界を、人の手で全て管理するつもりか?神にでもな
ったつもりか、あんた等はああっっ!!!」
シンは叫び、片方のアーマーシュナイダーを投げつける。
「そんなつもりはない!けれども、正しいのは僕らだ!!」
エターナルフリーダムが弾いたそれは、左のウィップに絡め取られ、
「確かに平和だよ、今の世界は。増え続ける犠牲の上でな!」
マザードラグーンを墜としていく。3基が墜ちた。
「犠牲のない平和なんて、なかったんだよ!わかるのか、君に!そのときの僕
の絶望が!」
レールガンを斉射する。しかしその超高速の弾丸さえダストはかわし、
「絶望だと?巫山戯るな、身勝手なアンタは逃げただけだろっっっ!!!」
「なっ・・・・!!」
核心をつかれ、キラが動揺したスキにシュベルトゲーベル改を投げる。いちば
ん近くにあったドラグーンに直撃し、爆発した。
「それだけじゃない!アンタは夢を見ることを諦めただけでなく、他の人たち
の、世界の夢さえも奪った!!!」
「黙れーーーー!!!」
ロングライフルとレールガン、ドラグーンの一斉射撃。右脚部が持って行かれ
た。しかし、怒りで乱れた射撃と、ドラグーンのコントロールは、自爆を招い
た。ダストが攻撃をかわすと、マザードラグーンがさらに2基墜ちていった。
「しまった・・・!!」
「今のアンタのミスは、アンタ等の過ちそのものだ!」
さらにスレイヤーウィップを薙ぐ。もう時間がない。ダストの内部では回路が
悲鳴を上げている頃だ。
1基・・・2基・・・・・3基・・・・ラストだ!
そこで、ついに右のウィップが切断された。
「五月蠅い・・・五月蠅い・・・五月蠅いーーーーー!!」
キラにはもう冷静さなど無かった。むやみやたらに撃ちまくる。
ダストの右腕が吹っ飛んだ。左腕のウィップと、アーマーシュナイダー。残さ
れた武器を分散させるため、アーマーシュナイダーを頭部に叩き込んで、無理
矢理固定する。
「行けええええええええええええ!」
ウィップが最後のドラグーンを引き寄せ、ビームで両断される。同時に、左腕
を近くをかすめたロングライフルが持って行った。しかしその引き寄せられた
最後のドラグーンに、
「駆けろ・・・駆けろ・・・・駆けろおおおお!ダストっ!!!」
スラスターを全開にして、アーマーシュナイダーを無理矢理叩き込んだ。
数秒の後、最後のマザードラグーンが消えた。

「あ・・・ああああああ!あ!あっ!」
キラはトリガーに指をかけた。しかし、ビームは出ない。
「え・・・?」
ウイルスの浸食によってストライクフリーダム程度の出力だった核エンジン。
それは戦闘中に再浸食され、さらにキラの怒りによる乱射でエネルギーが尽き
かけていた。
「う・・・うああああーーーーーーーーーー!!」
絶叫し、エターナルフリーダムが撤退していく。
大将機がやられたことで、SBとFBも一目散に去っていった。
ダストはそれを追わない。いや、追えないのだ。リミッター解除によって、す
でにエンジンは死んでいる。あの最大速度での突撃が最後の力だったのだ。
シンはユウナの戦闘終了宣言とレジスタンスたちの歓声を聞きつつ、
ブラックボックスのデータを緊急用パッケージのディスクにコピーし、スーツ
のバックパックに収納する。
「ありがとうな・・・・お前はもうダストなんかじゃない。・・・・俺達の、誇りだ!」
シンは最後にパネルを軽く撫でてそう言った。脱出装置を起動させる。
接近してきたシグナスに保護してもらい、マニュピレーターの上のシンはもう
一度ダスト――――否、「誇り」の方を向いた。機体のあちこちが
爆発している。敬礼を送る。

そして、レジスタンスたちに誇りをもたらした機体は爆散した。


その後は傭兵連合側にアメノミハシラの援助でサーペントテールが参加、
フラガ隊におされていた傭兵連合に撤退路を築き、傭兵連合はリバイブと合流。
こうして、第一次L2宙域戦は、終結した。

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