実行犯3人組

今回の事件の黒幕であるヴィルギルの元、シュテルンビルトの街を破壊、ヒーロー達と対峙した。
3人とも過去にそれぞれの理由から、シュナイダーに個人的な恨みを抱いており、どこで知り合ったか詳細は不明(おそらく以前の街であると思われる)だが、同じくシュナイダーに復讐を企てるヴィルギルと結託して犯行を行ったと見られる。
新しいキャラクターたち、ジョニー、マックス、カーシャの3人は、「もっているNEXT能力は他を凌駕するものでは
ないけれど、知恵を絞ってそれを上手く利用するタイプ」をコンセプトにしています。
例えばジョニーは、能力自体は非力ですが、拳法使いとして充分強い。
他のふたりもそうですが、能力に奢らず、努力と知恵を駆使してヒーローに立ち向かっていることを強調できればと思っていました。

(『ライジング』パンフレット内・米たに氏インタより抜粋)
3人組の能力について監督の米たに氏は上記のようにコメントしているが、作中の彼らは相当強大なNEXT能力や装備などを所持しているだけでなく、ヒーローへの挨拶目的で起こした事件で無関係の市民を巻き込んでおきながら、計画的犯行に悦に入る様子が見られる等、その言動もかなり悪辣なものである。
「ああいう派手な感じ、嫌いじゃないわ」カーシャが自らの計画を自画自賛し、悦に入っている。
そこへ謎の老人、ジョニー・ウォンが合流し、声をかける。「そちらも抜かりはなかったですかな?」「ああ、一通り挨拶してやった」
計画通りとばかりにマックスが不敵に口元を緩める。

ノベライズ版ライジング(著:高橋悠也)p101より抜粋

◆個人的私怨で無関係の街と住民を襲撃したテロリストたち


【リチャード・マックス】
元プロボクサー。NEXT能力は音波攻撃で、その威力は人を混乱・無力化させるだけでなく、建造物やガラスなども容易く破壊が可能である。
ライジング本編では、リチャードの攻撃により割れたガラスの雨をヒーロー達へ降らせる描写があり、その直撃を喰らえば大怪我か最悪致命傷を負う者がいてもおかしくない状態だったが、そんな彼らに対して一切の躊躇も手加減をしている様子も見られなかった。
0562:スローで倒れこむ3人にガラスの雨が降り注ぐ。
0563:3人を激しく打ち付ける光の雨
(ライジング完成台本p107-108より抜粋)


次の瞬間、ヒーローたちの付近の窓ガラスが一気に割れる。窓ガラスの破片は鋭利な刃物と化し、倒れ込むヒーロー
三人の頭上からまるで光の雨のように降り注いでくる。逃げ切れない。無数のガラスの破片がヒーローたちに降りかかる。
(ノベライズ版ライジングp96より抜粋)
フェスティバルのパレード襲撃時は、下水制御室で職員たちを能力で無力化させてから制御レバーを作動(詳細は後述)。
街に大量の下水を吹き出させたり街を瓦礫の山にした時や、折紙の手裏剣(小型・複数)攻撃をその身に受けても何の反応も示さなかったが、一度姿を消したと思われた折紙が再度登場して彼に手裏剣を投げつけた時には、何故か驚愕しながら避けている。

【カーシャ・グラハム】
実行犯の紅一点で、元ダンサー。分身できるNEXT能力と、重量や材質及び調達ルート一切不明のチャクラムのような武器を操り、その威力は歩道橋やオブジェ等も容易に切断する事ができる。
パレード襲撃時にガス制御室でレバーを作動(後述)させた後は、シュナイダーを救出しようと移動中のバーナビーを足止めした。
彼女もリチャード同様市民に危害を加える事に躊躇はないどころか、「市民にオイタしちゃうかも~♪」と破壊行為を楽しんでいるような発言をしている。

謎の武器で歩道橋を破壊するカーシャ wiki以外への転載禁止
【1】歩道橋を渡ってオーナー救助に向かうバーナビーを止めるため、カッター状の円盤を投げて歩道橋を切断
【2】切断された部分が落下
【3】一般道を走行中のタンカーの上に落下し・・・
【4】タンカーが破壊される(何故か引火・爆発などの描写はなし)
【5】後続車が巻き込まれる様子を、間一髪で落下を免れて歩道橋から見下ろすバーナビー

かつてはシュナイダーに気に入られ、彼の庇護下で活動していたが、やがて彼らに飽きたシュナイダーの気まぐれにより放り出され、居場所を失った。
2人とも仕事場を奪ったシュナイダーに恨みを持っているようだが、才能があればジムや店は何とかなるだろうし、シュナイダーの行動(思いつきで取り入れたり飽きたらあっさり切り捨てる等)を知っている業界の人間からすれば、シュナイダーがこのふたりを放り出したと解ればすぐにでも新たな仕事の話が来そうなものだが?
そうじゃないとすれば、単に自分達の実力不足が招いた逆恨みからシュテルンビルトの街と市民を脅かしてるだけという最低の人物である。

【ジョニー・ウォン】
元僧侶。対象者のトラウマを刺激して悪夢を見せる能力と、特定の属性攻撃を吸収(無効化?)する装置を搭載した時計や装備・武器等でヒーロー達を翻弄する。
高橋氏によるノベライズ版によれば、事件を起こす以前の彼は、真面目で勤勉な僧侶であったらしい。
ジョニーは寺の僧侶として神に仕え、地域の人々に奉公。世の為人の為に尽くすことに生き甲斐を感じていた。
ところがある日、寺は強制立ち退きに遭い、建物がショベルカーで取り壊されてしまう。
シュナイダーが土地を買収し、リゾート施設を建てようとしていたのだ。
ジョニーら僧侶は一丸となってガーゴイルテクニカに対し、訴訟を起こした。が、シュナイダーは金に物を言わせて有能な弁護団を雇い、ジョニーたちは敗訴。
ジョニーら僧侶は皆、居場所を失う羽目になったー。

(ノベライズ版ライジングp203より抜粋。一部書式変更・原文ママ)

シュナイダーが「ここをキャンプ地とするリゾート施設にする」という無茶苦茶な理由で彼の寺院を取り壊したという事だが、堂塔をはじめ僧侶たちが暮らす僧院や墓所など、いち実業家がどのような力技で寺院の取り壊しができたのか疑問である。
また、生き甲斐として奉公していた程であったにも関わらず、その対象である地域の人々は、僧侶が一丸となって訴訟を起こしても反対運動や協力どころか、事が起きた後の支え合い的活動など手を差し伸べる気配もなかったようである。

パレード襲撃時は地下配電室で制御レバーを作動(後述)。その後対峙したブルーローズとドラゴンキッドのNEXT攻撃を無効化させながら彼女達を滅多打ちにした上、侮辱的な言葉を浴びせていた。


昏倒した市民と動物 wiki以外への転載禁止
街中では不特定多数の無辜の市民だけでなく公僕である警官や、市民の連れていたペットの犬まで能力の犠牲にしている。人間はともかく動物に一体どのようなトラウマが?
動物と言えど過剰なストレスは死を招きかねないのに、市民の愛犬までも巻き込むジョニーの能力は、無益な殺生や暴力を禁じている宗教的観点や動物愛護的観点からも悪辣非道な行為に当たる。
p111:ストーンサークルパークに大勢の人とポリスマンが倒れているのを見つけるファイヤーエンブレム。T•B。

p113ニタニタするジョニー、何かの気配に気づく。

(ライジング完全台本より抜粋)
ヒーローで気丈なネイサンですら一時昏睡状態に陥ったのだから、一般人が喰らおうものなら悪夢に囚われたまま一生眠り続けたり、仮に事件後ジョニーが能力を解除等して目覚めたとしても(ただし「ライジング」でジョニーが被害者達を解除したような描写は無い)、生涯消えないPTSDを抱える可能性が高い。

ジョニーの身につけているアイテムも、振動させることで凍らない効果がありますし、
着ている服は絶縁体で電気を通さない。
(ライジング版KOW・SUPER FANBOOK内米たに氏インタより)


ブルーローズの攻撃を無効化するジョニー wiki以外への転載禁止
ジョニーがこの装置を用いる際、『Cells Alive System』と表示されている(画像参照)。
【セルアライブシステム冷凍】(セルアライブシステムれいとう、Cells Alive System冷凍)
は、従来の冷凍技法による食品の凍結融解に伴う食味の低下を大幅に低減することを可能にした冷凍技術。
CAS冷凍、CAS凍結、細胞蘇生システムともいう。(Wikipediaより)
本来の『Cells Alive System』は食品用に開発された冷凍技法であるが、「ライジング」でジョニーがこの装置を作動させて得られる効果は、何故か冷凍ではなく解凍のようである。

ジョニーのデザインは、キャラクター原案の桂氏によると「公式から『チベットの僧侶風で、武器は三節棍で(桂画集2 P066コメントより抜粋)』との依頼によるもの」らしいが、いくら『○○風』とはいえ非暴力主義で、唯一の対抗手段が文字通り自らの身をもって行うしかできないチベット僧をモデルに犯罪者キャラを作るのは如何なものだろうか。

ただし、上記のシュナイダーを憎む動機や理由についてノベライズ版(著:高橋悠也)では記されているものの、ライジング本編を観るだけでは汲み取れない設定である。
シュナイダーに復讐したくなる動機はあっても、無関係で罪のないシュテルンビルトの市民に対してあれだけの事をしたのだから、被害を被った市民からすればシュナイダーと同じかそれ以上の悪人に見えるだろう。

◆シュナイダーからの仕打ち~事件発生までの彼らの足取りは?

詳しい期間は不明だが、彼らは以前の街でシュナイダーによって失職&寺院を壊されてから今まで、どうやって生き延びてきたのだろうか?
あれだけの大破壊を実行するには彼らの能力だけでは不十分なので、相当入念にシュテルンビルトの中枢機関等を調査する時間や相応の資金も必要になってくる。
仕事や居場所を奪われた3人がフェスティバル当日まで潜伏生活を送るには、首謀者であるヴィルギルのポケットマネーだけで賄うのは到底不可能かと思われるので、シュテルンビルトの市内外に協力者や内通者の援助がなければ無理なのではないだろうか?

また、たった4人で人口2000万の大都市を完膚なきまでに破壊できるほど大掛かりな事件を起こせるという事は、3人組とヴィルギルは監督の米たに氏曰く「他を凌駕するものではないけれど、知恵を絞って上手く利用する」どころか、相当強大で危険なNEXTであるかと思われる。
そのようなNEXTが人知れず本来住んでいた街や国から姿を消したのが分かったら、普通は各国や都市の司法局に「要注意人物」として手配書の類や連絡が行きそうなものだが。
あるいはヴィルギルも3人組も、自分達がNEXTである事を元いた街の司法局に隠していたのだろうか?(又は元の街にはそうしたNEXTを管理する司法局がなかったのか?)

◆大都市のライフラインの鍵は『いかにも下げちゃダメっぽいレバー』

※ちなみにこの『いかにも下げちゃダメっぽいレバー』は、西田氏による脚本原文ママである。(詳細は下記参照)

時間に合わせてそれぞれのレバーに手をかける3人 wiki以外への転載禁止
フェスティバルのパレード襲撃の際、3人組はそれぞれの待機場所からこの『いかにも下げちゃダメっぽいレバー』を作動させ、街を文字通り破壊しているが、幾つかの不可解な点も浮かび上がっている。

0832:下水制御室。耳を押さえて倒れている職員たち。マックス、いかにも下げちゃダメっぽいレバーに手をかけ、時計をモニター表示している。
0833:分割画面でカットIN。
(1)マックス時計UP(2)レバーに手をかけるカーシャ(3)カーシャの指輪モニター(4)懐中時計を見ながら鍵に手をかけるジョニー
(5)懐中時計UP(6)会場の時計台

0894:時計台の針が夜7時ピッタリになる
0835:パレード会場が揺れ、ダンサーたちがよろける。
0836:揺れに反応する空中のスカイハイ。
0837:揺れに反応するドラゴンキッド。
0838:揺れに反応する折紙サイクロン。
0839:揺れに反応するロックバイソン。
0840:特別観覧席の人々も揺れに反応し立ち上がる。更に揺れる。

0841:カニ型のフロート車の下からものすごい勢いで下水が噴出する。逃げるダンサーたち。
0842:パレード俯瞰。あちこちから下水が噴出している。
0843:マンホールが飛んできて小屋を破壊する。
0844:パレード俯瞰。噴出した下水が降り注いで逃げ惑う人々。
0845:建物の明かりが一斉に消え、スパークが走り爆発が起きる。逃げ惑う人々。
0846:パレード会場奥のビルもスパークが走り爆発する。
0847:パレード俯瞰。あちこちで噴出した下水と爆発が起きている。会場とビル街の境目で巨大なガス爆発が起きる。
0848:爆風にあおられる人々。
0849:会場奥をガス爆発が襲う。
0850:爆発によって観覧席やフロート車がひっくり返る。炎と黒煙が立ち込める。傾いていく時計台。

0856:煙の中を逃げてくる楓、安寿、村正。楓の側で下水が噴出、楓の前にも下水が噴出する。
0857 一気に地面が割れ瓦礫に巻き込まれる楓。
0858:楓とはぐれる安寿、村正。地面が一気にせり上がり奥へ流れる

ライジング版kING OF WORKS(KOW)完成台本より抜粋


3人組がもたらした街の惨状 wiki以外への転載禁止

【1】19:00にタイミングをあわせる意味は?
→19:00に別途事前設置した起爆装置的な何か爆破という計画だったのなら、もっと余裕を持ったタイミングで止めないと、制御が完全に間に合わない可能性も出てくる。
【2】制御レバーは爆薬等の起爆の切欠だった?
→相当数の爆薬の事前設置とそれらを複数(少なくとも3つの)制御レバーと連動させる事前工作を施す必要有。
 つまり、これらが可能だという事は、かなりの手腕かつ明確な破壊行為を持ったプロテロリストの仕業という事になる。
【3】制御レバーが街のライフラインのすべての鍵で、動かすだけで起爆その他が可能だった?
→それほどまでに大事につながる制御レバーなら、普段からセキュリティ対策をもっと万全にしておくべきである。
「シュテルンビルトの女神伝説に基づいた事件で、思想犯が大穴を空けるのでは」等と事前に予測していたのなら、警備強化対象リスト入りは必須ではないだろうか?

第一、あそこまで街の機能が麻痺するような万能な『いかにも下げちゃダメっぽいレバー』があるのなら、TV版でクリームが利用しない手はない。(自分の頭髪を刺し入れたぬいぐるみを操るNEXT能力を持つ彼女は、それを用いて軍用のパワードスーツの大軍を指揮。シュテルンビルトの要所を制圧した後、全市民を人質にジェイクの解放を要求した)
そして、そこまで重要なレバーなら普段から安全対策やテロ対策などをもっと講じておかないとおかしい。
過去に頻発していた水害から三層都市構造になったシュテルンビルトの重要な制御機関をあのように無策で放置してあるのはどうなのだろうか?
マーベリックなき後のシュテルンビルトの市長ならば、正に今までの汚名返上とばかりに行政手腕の見せ所にでもなりそうなものを。

◆思想犯だから、死者は出ません?悪いのは全部シュナイダー!

上記のシナリオや画像から伺える街の惨状を見ても、これで死者がでないのはおかしい。
3人組の行った事は、単に瓦礫撤去だけではなく下水まみれからの街の復旧で、消毒洗浄作業しないと確実に伝染病が流行る最悪なテロに該当する。
(事実、作中3人組がそんな制御レバーのもたらす絶大な街破壊効果に特に後悔も動揺もしていない所から、自分達の行動にまったく罪の意識を持っていないように見える)

プロデューサーの松井千夏氏は、彼ら3人組と共にいたヴィルギルについて「人を殺していなければ(ヒーローに)なれるかも?」とコメントしていた(詳細はヴィルギル・ディングフェルダー(アンドリュー・スコット)の項目を参照)が、他所の街(あるいは国)のNEXTがテロ紛いの大事件起こしてあれだけの損害を出したのだから、本来なら凶悪な(国際)テロリストとしてヴィルギルを筆頭に最高刑を言い渡されてもおかしくない。
しかし、あれだけの事をしておきながら、エピローグでは彼らが刑務所内で心穏やかに過ごす描写があり「いい人」扱いであった。

刑務所での3人組とヴィルギル wiki以外への転載禁止

仮にもしも本当に奇跡的に死者は出ていなかったとしても、彼らが破壊の限りを尽くしたシュテルンビルトの建築物や車等私財及び公共の施設を修復する金は、どこから出るのだという話である。
損害を受けたシュテルンビルトの企業や個人は、「皆悪いのはシュナイダー。彼らは実は善良な人たちだから、今回の事は仕方ないよね☆」で、やられ損の泣き寝入りだとでもいうのだろうか?

どうやらライジングにおいて「思想犯」というのは、どんなNEXT能力や凶悪犯罪よりも万能な魔法の言葉のようである。
最終更新:2016年01月20日 02:29