「12-543「佐々木さんキョンを匿う」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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放課後の廊下を駆け抜け階段を駆け上がり、ぐるりと校舎を回りたどり着いたのは自分の教室だった。
あいつがいたら俺はおしまいだ。が、一か八かの賭けで教室のドアを勢い良く開けた。
「佐々木っ」
助かった、と思ったね、佐々木の姿を見たら。
「そんなに慌ててどうしたというのだい?キミらしくない」
息を切らして助けを求める俺に対して冷静な口調で対応してくれるあたりはさすがは佐々木だ。
多少は驚いた表情を見せたものの冷静そのものでいてくれたお陰で話が進む。
「お前の中での俺のイメージがどんなんだか知らないが助けてくれ」
そう、俺は緊急車両的に非常時である。
「ふむ。助けてあげることは構わないのだが、どのように助けてほしいのか説明していただけるとありがたい」
「匿ってくれればいい」
そう言ったときに遠くで物音がした。早く隠れなければ、と焦る俺の心境をさっしてくれたのか、佐々木はニッコリ微笑んだ。
「なぜ?とは聞かないほうがいいのかな?」
微笑に少しずつ意地悪の要素を加えた笑顔だ。今の俺には佐々木が天使に見えないでもない。
「鬼ごっこしてたんだが、捕まったらひどい罰ゲームが待ってるんだ。捕まるわけには、いかない」
「ならば僕のスカートの中に入り込むといい。きっと見つからないだろう」
くっくっくっと独特のうめき声に似た笑いをこぼしてスカートを微妙にあげた。
「すまん、助かる」
俺は佐々木のスカートの中に入った。白く細い足に挟まれている。
「中河がきたら俺はいないと言ってくれ」
・・・・・・、佐々木の返答はない。もしかしたらもう中河はきてるのだろうか。
数分の時が立ったのちに白い足が徐々に閉まってきた。
「どうした?」
小さい声で佐々木に聞くが、返事はない。
スカートから脱出して佐々木を見ると、顔を赤くしてフリーズしている。どうしたんだろう。
幸いなことに佐々木のスカートの中にいる間におにごっこの制限時間は超過していたため、もう隠れる必要はない。
「佐々木、助かったよ」
返事がない。佐々木は息すらしてないんじゃないかというくらい微動だにしない。俺は少し考えたのち、少し時間が立てば元に戻るだろうと思った。
そして、佐々木をお姫様抱っこと呼ばれる手法で持ち上げてもって帰ることにする。
こうして平和な日々は過ぎ去ってゆく。