10-691「ヤンデレ佐々木」

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鈍い痛みと、手首に違和感を感じながら目を覚ます。 足に力が入らず、口の中にも異物感。いったいこれは何だっていうんだ。 「おや、目が覚めたのか、キョン。心配したよ」 声のしたほうを振り向くと、佐々木が俺をみてにっこりと笑いかけてきた。 佐々木、と言いかけたが「ふぐぐっ…」としか声が出せない。 「びっくりしたよ。突然足を踏み外してしまったのだから。まあ、不幸中の幸いという  やつだね、どうやら軽度の骨折だけで済んでいるようだ」 なっ、骨折だと?どうしてそんなことに?というかなぜ俺は手や口を拘束されている? 疑問を立て続けに口に出そうとするが、やはり口からはうめき声しか洩れない。 さっきまで俺は、佐々木と並んで堤防の上を歩いていたはずだが…足を踏み外した? 足を意識すると、とたんに痛みが激しく湧き上がってくる。意識したのがまずかったか。 痛みを感じる箇所を見ると、きちんと手当てがしてあるらしく、包帯も巻かれている。佐 々木がやってくれたのだろうか。しかし、何故拘束する必要があるんだ?周りの様子を見 ても見たことのない部屋だ。それに少なくとも病室のようには見えない。 「ああ、大丈夫だよキョン。僕がきちんと手当てをしてあげる。これでも一通りのことは  身につけたんだよ、心配しなくて良いさ。これからじっくりと…時間をかけて君を看る  ことができる。誰にも邪魔はされないよ」 ど、どういうことだ。いつもと変わらない佐々木の笑顔。だが、いつもと同じ笑みがこれ ほどまでに不安感を煽り立てるものなのか。体を動かそうとして身をよじるが、ガチッと いう音とともに手に抵抗を感じ、布団に倒れこむ。どうやら手首の拘束具が床に固定され ているようだ。いったい何のつもりだ佐々木。ここから出さないつもりか? 倒れた拍子にさらに苦痛が大きくなる。耐え切れずに口から声が洩れる。 「ほらほら、だめじゃないかキョン、安静にしていなくては。せっかく橘さんや九曜さん  に頼んで涼宮さん達から遠ざけてもらったというのに」 笑顔の佐々木がとんでもないことを口走る。ガチャッ。思わず身を起こそうとして、また 布団に倒れこむ。 「動いてしまったら、よくならないだろうキョン?」 邪気のない笑みに恐怖を感じ、必死で身をよじる。ガチャガチャ、ガチャガチャ。足には 力が入らず、手首は床から離れない。まったく意味のない抵抗。と、佐々木がなにか布を 近づけてくる。 「安心したまえ、身の回りの世話は全部僕がしてあげる。突然のことで混乱しているんだ  ろうから、とりあえずは休むといい」 話しながら顔に押し付けてきた布に刺激臭を感じつつ、俺の意識は闇に落ちていった…

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