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「しゅくしょうしゃしゃきⅣ」(2008/01/20 (日) 10:49:48) の最新版変更点
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風呂場の方からまだシャワーの音が聞こえる。<br>
一体橘はどれだけ丹念に掃除してるんだ?<br>
今時の洗剤には擦らずキレイなんてのもあるんだ。そう無闇に時間をかけるもんじゃない。<br>
「おい橘いつまでやってるんだ。水が無駄……」</p>
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「…………早く閉めてください。」<br>
「スマン。ごゆっくり。」<br>
一番風呂ですか橘さん………湯船に入ってくれていて助かったぜ。肩から上しか見えなかったからな。<br>
危なかった。それにしても女ってのは皆風呂に入る時は髪を上げるものなのだろうか。<br>
ポニーでないのが残念だがやはり纏め髪にうなじは………その…そそるな。<br>
いかん橘相手に何を言ってるんだ俺は。</p>
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<p>《しゅくしょうしゃしゃきⅣ》</p>
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<p>「というわけでハルヒがデカくなり佐々木がちっちゃくなったわけだ。」<br>
「くっくっ…やはり原因は君かロリキョン」<br>
「傍迷惑な話なのです!やっぱり力は佐々木さんにこそ相応しいのです!」<br>
結局夕飯は佐々木宅で食べることになり、三人であの大鍋を囲んでいる。<br>
佐々木曰く、当初の予定とは若干違っているらしい。<br>
鍋の中身が余りものを突っ込んだだけに見えるのはそういうことなのだろうか。しかし沢庵とかおはぎは冗談だよな……?美味いから良いが。</p>
<p>「やっぱり冬場は鍋料理が定番ですね!流石佐々木さんです!外身も中身も素晴らしいのです!」<br>
「ああ、ホントに美味いなこの鍋。何で出汁を取ったんだ?鳥ガラか?」<br>
ガラにもなくそんなことを聞いてみる。……別に言ってみたかっただけだ気にするな。</p>
<p>「なに、普通の出汁パックさ。ホントはツインテールで採りたかったんだけどね…くっくっくっくっく………」<br>
「ああエビの味らしいな。しかし佐々木が空想の生き物を話に出すなんて珍しいな。」ガラじゃない…いやなんでもない。<br>
「あ、佐々木さん一番風呂有り難う御座いました。気持ち良かったです!」<br>
「そうかい、それはよかった。しかし橘さん見事に(死亡)フラグ折ったね。キョンのが少し移ったのかな?寝てしまった僕も悪いが…」<br>
なんのことだ?</p>
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ところで俺は当初普通に帰るつもりだったのだが、誰だってこんな佐々木に上目遣いでしかも泣きそうになりながら「本当に帰っちゃうのかい…」なんて言われれば断れないだろう。<br>
今の佐々木の微笑みや泣き顔の破壊力に比べればビキニ水爆など可愛いものだ。<br>
………………少し落ち着こう…。</p>
<p>さて話をもどして…<br>
「うん、かなり脱線してしまったね。で、トドのつまり僕は最低でも後三日はこのままな訳だ。」<br>
長門が言うのだからそうなのだろう。疑問形だったのは気になるが…<br>
「まぁその間は俺が面倒見てやるからな。気長に待とうぜ。」<br>
授業で疲れた心を朝比奈さんに癒してもらい、ハルヒや古泉によるストレスを縮小佐々木に癒してもらう……良い生活じゃないか。<br>
「面倒みてくれるのは大変嬉しいけれど、君は一つ大事なことを失念しているよ、キョン。」<br>
大事なこと……<br>
他に何か問題があったか?</p>
<p>「もう忘れたのかい…?最初に僕に尋ねてきたのは君だと言うのに。」<br>
俺、何か佐々木に聞いたか?すまん。覚えていないんだが</p>
<p>「呆れた…僕の両親だよ。三日後の日曜には帰っくるはずだ。」<br>
………忘れてた。<br>
ていうか7歳児(推定)に呆れられる俺って……<br>
『キョンさんのまえだから強がってるのですよ佐々木さんは。』<br>
『別に気にしたりしないから普通でいいのだが…橘のほうがよっぽど子供っぽいしな。』<br>
『さっきのこと佐々木さんや涼宮さんに言いますよ?』<br>
『ゴメンナサイ』<br>
この間一秒。目で会話だ。<br>
「突然幼くなった娘を見たらどう思うだろうね。もしかして僕だと気付かないかもね。」<br>
佐々木はくつくつと偽悪的に含み笑っている。<br>
なんかお前の両親も意外とそうやって笑って受け入れてくれそうなもんだがな。何故そう思うのかはわからんが。<br>
何にせよ佐々木を戻すなら急がないとな。</p>
<p>「ところでキョン。君に折り入って頼みがあるんだが。」<br>
「なんだ。何でも言ってみろ。」<br>
今の俺はお前の頼みなら何でも聞けそうだ。</p>
<p>「今日から僕と一緒に暮らして欲しい。」<br>
ブーッ!!<br>
コーヒーを吐くのは松田優作であっていただろうか。<br>
「な、なんでだ?手伝いなら泊まる必要ないだろ?」<br>
「この体だといろいろと不便だろう?………それに………少し心細いし…」<br>
そうかそうか心細いか。<br>
橘、ニヤニヤするな。なぁ佐々木。わかっててそれやってるのか?<br>
「え?何がだい?」<br>
いや………。いいだろう。側にいてやろうじゃないか。<br>
「ありがとう。そう言ってくれると思ったよ。」<br>
中学時代に幾度となく見たはずの微笑みだが、あの時とは違う悪戯っぽさと愛らしさが溢れている。<br>
若干嫌な予感がしないでもないが、そこはスルーして騙されてみてもいいかなと思った。文句ある奴は表へ出ろ。この佐々木について小一時間語ってやる。</p>
<p>「佐々木さん。既成事実さえ作ってしまえばこっちの勝ちです!頑張ってください!」<br>
本当に何を言ってるんだろうこのエスパーは?</p>
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夕食後、佐々木家を出た俺と橘だが、互いに特に話すこともなく分かれ道で別れた。………さっきのことがあるから話づらかったのもあるが。<br>
別れたあと橘が向かった方から「我が偉大なる首領佐々木さんに、栄光あれぇぇぇ!!」と聞こえたが、無理矢理風の音だったと自分に言い聞かせた。<br>
そういえば仮面〇イダーにそうやって死んだ敵幹部がいたな。ブ〇ック将軍だったか……?今思えばヒルカ〇レオンて正直微みょ……いや、やめておこう。スマン。<br>
って一体俺は誰に謝ってるんだ。</p>
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三日分の着替えや教科書その他諸々を小さめの旅行鞄に詰め込み、古泉にアリバイ作りのために(留守電だったが)電話をし、自転車で家を出た。<br>
例によって妹もついて来たがったが、軽く無視だ。そんな作られた上目遣いがこの俺に通用するはずがないだろう妹よ?</p>
<p>「ただいま佐々木。」<br>
「おかえりキョン。お疲れ様、荷物重かったろう?」<br>
会話だけなら新婚夫婦だな。見た目は親子……いやそれはないか。年の離れた兄妹辺りが妥当だ。<br>
「いや、大丈夫だ。そんな大荷物じゃないしな。」<br>
正直着替えを持って来る必要もなさそうなものだが……。<br>
「そうかい。じゃあ…ご飯はもう食べたから、お、お風呂?そそそそれともぼ……」<br>
そうだな……疲れたから風呂かな。あ、お前先の方がいいか?<br>
「………いや。先に入っていてくれるかな。」<br>
どうした佐々木。顔真っ赤だぞ。<br>
熱でもあるんじゃ……<br>
「いいいいいから早くお風呂に入りなよ!」<br>
変な奴だな。<br>
じゃあ先に頂くぜ。<br>
「うん…………先に入っていてくれ…。」</p>
<p>ふぃー。いい湯だなっと。<br>
しかし広いなここのうちの湯船は。<br>
ちょっとした旅館程あるんじゃないか?<br>
橘が掃除に手間取ったのもうなずけるな。<br>
「そうだろう。これは我が家のしきたりに乗っ取って作られたのだよ。皆で入れるようにと広めにね。裸の付き合いというやつさ。まぁ尤もそのしきたりは何年も前に廃れてしまったのだけどね。」<br>
ほう凄いな、裸の付き合いか……………ってなんでいるんだ佐々木!!!!<br>
「なんでってここは私の家だよ?居るに決まってるじゃないか。」<br>
そうじゃないどうして風呂場にいるのか聞いてるんだ!!しかもお前バスタオル一枚だなんてそんなはしたない!女の子だろ!<br>
「いいじゃないか。時間が勿体ない。湯も冷めるしね。それに私は構わないよ、隠す所は隠している訳だし。」<br>
お前がよくても俺がよくないぞいろいろと!<br>
色々がなんなのかは聞くなよ答え辛いからな!<br>
「ほらキョン。体洗うからそっち向いててくれるかなぁ?」<br>
お、おう。すまん…って酒臭っ!!お前呑んでるだろ!<br>
「ブブー!八海山なんてただジュースだよぉー!!くっくっくっ……まぁ少しばかりアルコールははいっているけどね…アハハハハハ」<br>
完全に出来上がってやがる………畜生これじゃあ出るに出れねぇ……<br>
ていうか7歳児(推定)が酒(しかも八海山)呑んで平気なのか?アルコールの摂取は成長期の体に悪影響なんだぞ!<br>
そんなだから胸も……「何をボソボソ言ってるんだい?胸とか聞こえたけれど?ねぇキョンくん……?」<br>
ぐぁぁぁぁ耳に息を吹き掛けないでくれぇぇ……<br>
「君はいつもないない言うけど中学生のころの私とは違うんだ!ほら見ろぉぉぉ」だぁぁ絡み酒かこいつ!!見れるわけないだろ!</p>
<p>「その目にしっかり焼き付けろ私は貧乳じゃぁ……」フラッ…</p>
<p>お、おっと、佐々木?おい、大丈夫か!おい!佐々木………!!</p>
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「ふぅ。僕としたことが上せて倒れてしまうとはね…」<br>
「いや、上せたって言うより酒呑んですぐ風呂にはいるもんだから代謝がよくなってアルコールの回りが……ってどうでもいいか。語るのは俺の役じゃないしな。<br>
それにしても大丈夫か?痛いところないか?」<br>
「くっくっ…平気だよ。君が支えてくれたようだからね。すこし頭痛はするけど……」<br>
良かった……心配したんだぞ。<br>
「それはすまない。ところで僕は何故バスタオルで簀巻き状態なんだい?しかも手も巻き込まれて動けないんだが。」<br>
スマン。なるべく見ないようにするにはそうせざるを得なかったんだ。<br>
「そうかい。僕はてっきりロリキョンのことだからこういう場合は丁寧に隅から隅まで拭いて服も着せてくれるのかと……」<br>
まてまて今は7歳児体型とはいえ佐々木にそんなことはできん。<br>
「なら僕じゃなかったらやっていたのかい?流石はロリキョンだ。」<br>
「い、いやそういうわけじゃなくてだな……って俺はロリキョンじゃない!」<br>
「くっくっ…冗談だよ。君がそんなやつじゃないのは僕が最もよく知るところだ。ただこれで風邪を引いてしまったら責任取って貰うよ。」<br>
ああ………<br>
笑えない。二日連続でロリコン扱いか……<br>
俺が何をしたって言うんだ……。</p>
<p>「まぁ尤も、僕は君がどんな趣味だろうと構わないけどね。」<br>
そう言って笑った佐々木の顔は風呂上がりで上気したのも相俟ってか、とても7歳児には見えない程色っぽかった。</p>
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