「吾輩は猫である」

  中学3年の時、その日にあった模試の答え合わせを佐々木としていた時の話だ。
「問3の答えは『こうきゅうにっき』か?」
「ちがうよ、あれは『さらしなにっき』と読む方が正しいね」
君は本当に受験生としての自覚があるのかい?と、佐々木が溜息をつく。
溜息つきたいのはこっちだ。どうも国語ってのは苦手なんだよなぁ・・・
「そういえば、我が輩は猫である、ってあれは誰が書いたんだ?」
佐々木は驚いたような顔をすると、
「夏目漱石だよ。キョン・・・これは小学生でも答えられるよ」
「まぁ、確かにそうなんだがな。俺は猫が書いたと思うんだ」 
「キョン。君は最近頑張っていると思うよ。そう、ちょっと頑張りすぎてしまったようだね。うん、そうに違いない」 
おーい、俺は決して壊れてないぞ。そんな憐れむような目で見るな。
「読んでみたらそんな気がしたんだよな。なんでかわからんが」
「そうだね。猫の視点から人間という動物の習性を風刺しているわけだからね」
そういうことだ。同じ人間であそこまで客観的に自分たちのことを分析できないだろ。
「君の感性は独特なものがあるよね。全く素直なのか捻くれてるのか・・・」
 俺が捻くれている?そりゃ宇宙人やら、未来人やら、超能力者みたいな連中なんざいないと思うし、
しかし、こんなことで捻くれてるだのいっていたら世界の7割は捻くれ者だな。
「それもそうなんだがね。君が捻くれているのはもっと違うところだと思うよ」
ますますわからん。 もっと分かりやすく頼む。
「なんと言えばいいかな・・・そうだね、君の場合は他人からの好意を素直に受けるべきだよ」
好意?なるほど。今度からお前の家にお邪魔したときは出された茶菓子は全部頂くことにしよう。
「君らしい回答だね・・・」
ん?なんで残念そうなんだ?
「兎に角、恐らくだけど君は国語が苦手と言うわけではなく、必要以上に難しく捉えすぎなんだよ」
そうか、シンプルに考えろってことか。
「その通りだよ。何事もシンプルにね」
その後、佐々木は何故か念を押してシンプルに考えろだの、素直な思考を持てだの言ってきた。
全く、人から見ると俺はそんなに捻くれているのか?
一度シャミセンの視点から自分を見てみたいもんだな。

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最終更新:2008年10月15日 18:11
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