64-126 佐々木さんと湖に行きたい

キョン「こんな時間に、湖?って最初は思ったが‥、なかなかいいもんだな。」

佐々木「ふふ、思いつきで言ってみたんだが、その甲斐はあったみたいだね。」

とある湖、二人の男女が会話をしている。
その腰から下は水に浸かっており、二人は足を投げ出す形で並んで星を見ていた。

キョン「‥露天風呂みたいだな。」

佐々木「くっく、確かにそうだね。しかも混浴だよ、‥二人の貸切になってるけどね。」

いつもの調子の会話、だがここ最近、二人の関係はわずかだが確かに変わりつつある。
しかし、それに気づいているのは少女のほうであり、その変化の原因も自身であると理解していた。

キョン「‥こうやってると、本当に温泉に行きたくなってくるな。もっとも、もう少し寒くなってからのほうがありがたみはあるが。」

佐々木「‥‥。」

わずかな変化、それは少女を悩ませていた。
しかしその悩みは決して苦しいだけではなく、時に少女はせつなさ、時には心地よささえ感じていた。

ザバアッ

キョン「!?お、おい、髪まで浸かるとあとで大変だぞ!?」

佐々木「‥‥いいんだ‥、それより‥温泉、僕も一緒に行ってもいいかな?キミさえよければ‥」

キョン「‥‥。」

ザバァ

キョン「もちろんだ、というより当然お前も来るものと考えてたぞ。‥っ、気持ちいいけど、あとで絶対後悔するな‥。」

佐々木「‥‥くっく、‥だね。」

満点の星空の下、二人の男女が仲良く浅瀬に寝転んでいる。
二人の関係、その変化の行き着く先が二人にとって良いことなのか、またはその逆か‥
月明かりに照らし出された少女の顔は、そんな悩みなど微塵も感じさせない満足そうな笑顔をしていた。

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最終更新:2012年03月10日 21:33
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