レンアイワルド

「空が…目に沁みやがるレン…アイ…」

【名前】 レンアイワルド
【読み方】 れんあいわるど
【声】 逢坂良太
【登場作品】 機界戦隊ゼンカイジャー
【登場話】 第18カイ「いのち短し、恋せよゼンカイ!」
【所属】 キカイトピア/トジテンド王朝
【分類】 キカイノイド
【世界】 レンアイトピア
トジルギア レンアイトジルギア
【名産】 一輪のバラ
【名物】 アイシアロー、だーい突き、長い休暇
【モチーフ】 キューピッド、ハートマーク

【詳細】

クダックに「レンアイトジルギア」を組み込み、ときめいて誕生したワルド怪人。

「恋愛」という概念をモチーフとしたワルドだが、造形としてはわかりやすく、弓矢を引き絞るキューピッド型のロボットが顔となっている。インパクト抜群。
恋のキューピッドと称されるようにキューピッドは恋愛関係との結び付きが強く、横を向いたキューピッドの瞳が右目、弓の弦の上部分に左目がある。
単純にワルドの顔としてもそうだが、よく見ると弓矢の目は右側を向いているようでもあるため、キューピッドと見つめ合うようにも見えるようにデザインされている。

「アイシアロー」という弓矢を持ち、矢を放つことでレンアイパワーを周囲に振りまき、きゅんとする恋のきっかけをそこら中にあふれさせてしまう。
この効果は人間とキカイノイドという人種を超えた組み合わせや、カラフルサンデーや看板等の最早生物ではない物にも反応させてしまう。
さらにレトロワルドのように能力のレベルを上昇させることで、恋に落ちた者達は些細なすれ違いから嫉妬感情を暴走させ諍いを起こしてしまう事が可能。
トレンディな恋に落ちた者達はお互いしか見えなくなる。それは他のことをすべて投げ出してしまうほどに。
それこそがレンアイワルドの、このワルドを送り出したバラシタラの目論見だった。

戦闘においてもアイシアローを使うが、矢のみを振り回して相手の攻撃を捌いたり、アローそのもので強烈な突き技である「だーい突き」を繰り出す等、特殊能力特化というわけでもなく意外と強い。
「私曰く」と恋愛に対する薀蓄を口にするが、恋愛を生み出すワルドながら振られた相手を爆笑したり、おおよそ自分自身がモテる要素を持つとは思えないゲスい性格をしている。

第18カイに登場。
突然介人、ジュラン、ブルーンがいた公園に現れるとアイシアローを発射し周辺を奇怪な恋愛の世界に変えてしまった。
「何かが起きる前に倒す」という介人達はチェンジし応戦するも、アイシアローの矢部分だけをステッキのように振り回して3人の攻撃を捌き切り、
遅れて合流してきたガオーンとマジーヌの方へジュランを蹴っ飛ばしてしまう。
ガオーンとぶつかり文句を言われたジュランは言い争いを始めてしまう…のだが、すぐにアイシアローの効果が発揮されお互いに惚れてしまう。今まで犬猿の仲だったのに。
しかも前の話ではトウメイになったジュランをそこにいることを伝えるためとはいえ、スナップを効かせてぶっ叩いていたのに。

更に遅れてやってきたゾックスはいつもどおりヨホホイヨホホイと歌いながら現れ、ギアダリンガーを叩きながらチェンジしようとしたのだが、そこに現れたメロリアというキカイノイドに歌う様子を一目惚れされ、
さらにはゾックス自体も「おもしれー女」と呼んでレンアイワルドそっちのけで連れ去ってしまう。お前は何処の少女漫画キャラだ。
レンアイトピアの力は徐々に広がっていき、それを確認するやいなや一輪のバラを残してその場から逃走する。

このワルドは上述の通りバラシタラの作戦であり、恋愛に夢中になった者達は他が疎かになるため、それを利用した侵略を目的としたものだった。
ボッコワウスは前回に引き続いて機嫌よく、ゲゲがレトロワルドジシャクワルド等を送り出すなどしたおかげだとご満悦。
しかし当のゲゲ本人は何故かこの侵略方法にドン引きしていた様子で、それをバラシタラが訝しんでいた。

ガオーンとジュランは普段犬猿の仲にも関わらず仲睦まじく振る舞い、ゾックスもメロリアに夢中。
それに落ち込むフリントは励ますマジーヌに恋をし、ブルーンは自分のポップ看板に一目惚れした介人の知り合いの初森花恋といい感じに。
そして介人はといえばヤツデの新作スイーツ、カラフルサンデーに一目惚れしてしまうという始末。地味にゼンカイジャーがほぼ壊滅してしまった瞬間である。

その後レンアイパワーをレベルアップさせることで、各地で乱立した即席カップル達がお互いに嫉妬心や些細なすれ違いによって暴力沙汰に発展。
ゾックスはシンガーソングライターのメロリアの楽曲にダメ出しした結果ビンタされてプライドを粉砕され、ブルーンも初めての気持ちを掴みきれずに花恋に詰め寄った結果反射的に突き飛ばされたため、
「嫌われた」と判断し海岸を歯車混じりの涙を流しながら疾走。
その時レンアイワルドを発見したセッちゃんから居場所を聞いたブルーンは怒りに燃えて現場へと向かう。

そこには経緯はどうあれ恋愛をこじらせ何らかの被害を受けたメンバーが集い、この状況を作り出した張本人であるレンアイワルドへ怒りを向けて一斉にチェンジ。
レンアイワルドはのんきにメンタルブロークンな面々を見て大爆笑していたが、セッちゃんが「何となく」ジェットマンギアの使用を勧めてくる。

すると突然その場にいた全員(何故かゾックスと一緒にやってきたメロリアやフリント含む)メンバーで始まる鳥人戦隊ジェットマンの最終回の再演
結城凱役となった(!)レンアイワルドはひったくり犯役のブルーンのブルーンピッカーの攻撃を脇腹に受けたあたりで正気に戻る。

「はっ!?何だ今の幻覚…。何で白いベンチが?あと、幻覚なのにお腹が痛い…ぐふっ」


自分が巻き込まれた状況に理解が追いつかず困惑している間に、介人のゼンカイフィニッシュバスター、ゾックスのツーカイザー・ゴールドスクランブルの同時攻撃を叩き込まれ、
最期は上述のセリフと共にベンチ諸共爆散した。

その直後燃え残るベンチごとレンアイトジルギアをクダイテストが踏みつけダンレイアイワルドが誕生する。

ダイレンアイワルドも撃破され、レンアイトピアの力が悪用されなくなって効果が切れた後、騒ぎになってしまったことを謝って立ち去っていく初森花恋。
彼女を見送るブルーンのココロは苦しくなっていた。

それは紛れもない…彼の、本物の恋心。

ブルーン「なるほど、これが…恋、でしたか…」


【余談】

最早○○モチーフは初というのが定型文と化しつつあるワルド。モチーフは「恋愛」。
そのため造形に関しての補足となるが、顔にあしらわれたキューピッドは恋愛成就を成す弓矢を持つ天使の羽を持つ幼児という外見だが、キューピッドとは英語読みで本来はギリシア神話に登場するクピードーという神である。

ローマ神話における「エロース」と呼ばれる神と同一視され、古代では若い男性の姿で描かれていたエロースだが、近代に置いてはキューピッドと聞いて真っ先に浮かぶ翼を持つ幼児の姿で描かれる。
弓矢を持つことが多いが、同一視されているクピードー等の要素が混ざったものであるとか。
ただエロースのシンボルは弓矢も含まれている。

エロースは恋心と性愛を司る神であり、黄金で出来た矢に射られると激しい愛情にとりつかれ、逆に鉛で出来た矢に射られた者は恋を嫌悪するようになるという権能を持つ。
同じような権能を持つ神としてカーマというヒンドゥー教に登場する愛の神も存在する。

愛の神と弓矢の結び付きが強く、数も多いのは興味深いが、このワルドのデザインにも含まれ劇中でもエフェクトとして多用されているハートマーク。
Heart、心臓を意味する通り、ハートマークとは心臓を意匠化したものだが、女性の言葉の語尾につけて喜びを示したり、
恋に落ちた表現としてハートに矢が刺さったもの、破局時はハートが割れる等恋愛事情によく使われるマークでもある。

劇中で行われたジェットマン最終回の再演だが、第51話「はばたけ! 鳥人よ」。
戦いを終えて天堂竜、鹿鳴館香の結婚式に向かう途中、結城凱はひったくり犯に刺されてしまい、結婚式に出ることは叶ったものの…
それを30年経った現在公式側が全力で再現したのだから、放送時は話題になった。
ただよく考えてみるとブルーンが演じていたのは結城凱役のレンアイワルドを刺したひったくり犯であり、彼は当然ながらジェットマンではない。
怪人にとどめを刺した攻撃だが、幻覚自体は紛れもなくジェットマンの再演ながらも、止め自体はジェットマンに縁もゆかりもない人物によるもの。
ただその時ブルーンはレンアイワルドに対して凄まじい怒りを抱いていたため、とどめを刺す役柄としては間違っていないのがややこしい。

ちなみに結城凱の生死は明確に描かれておらず、死亡を示唆する場面があったためファンからはほぼ死亡したことで意見は一致していたが、
ゼンカイジャーの10年前に放送された海賊戦隊ゴーカイジャー第28話「翼は永遠に」にて、彼の死亡が公式的に判明した。

最終更新:2023年01月25日 00:38