サモーン・シャケキスタンチン

「クリスマスにチキンを食べるなんて許せない!日本人ならシャケを食え!」

【名前】 サモーン・シャケキスタンチン
【読み方】 さもーん・しゃけきすたんちん
【声】 津久井教生
【登場作品】 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
【登場話】 #45「クリスマスを楽しみに」
【所属】 異世界犯罪者集団ギャングラー
【分類】 ギャングラー怪人
【武装】 釣り竿武器ツリツリケン、新巻ブレイド
【犯罪歴】 シャケハラスメント
【犯罪技】 切り身配り、シャケ料理フルコース攻撃
ルパンコレクション 「飢えた獣のように~Une faim de loup~」
【金庫/識別番号】 腹部/「419」
【化けの皮】 無し
【人間界での犯罪内容】 シャケを食べさせる、押し付ける。営業妨害?
【生物モチーフ】
【その他のモチーフ】 イクラ
【名(名前)の由来】 サーモン
【姓(名字)の由来】 シャケ+アスタキサンチン
【暗証番号の由来】 シャケ

【詳細】

鮭のようなギャングラー怪人。

銀色に輝く鮭をまるごと一匹真っ二つにし、全身の骨格を中央に置き切り開いた身を両肩の付近に配置、そしてむき出しになった胴体から大量のイクラがこぼれ落ちているというかなりグロテスクな姿をしている。
しかし見慣れてくると体中に巻き付いた鮭の切り身等が美味しそうに見えてくる…かもしれない。

釣竿武器ツリツリケンを扱う他、新巻鮭を模した新巻ブレイドで巨大ポーダマンを武装させる事ができる。
腹部の金庫にウルフヘッド型ルパンコレクションの「飢えた獣のように~Une faim de loup~」を格納し極限まで高められた嗅覚を発揮する。

その優れた嗅覚で何をするのかといえば。
チキンを売る店を見つけ、代わりに、シャケ(鮭)を置く

シャケを置く。勝手に。そこが魚屋でも無いのに。


そう、奇妙なことにこのギャングラーはシャケをこよなく愛し、上記のセリフにあるように「日本人ならシャケを食べろ」と主張するのだ。
逆に言えばそれしかしない。
登場した時期はクリスマス。つまり鮭よりもローストチキンやクリスマスケーキが喜ばれる時期である。
というか異世界人であるギャングラーが何故ここまでシャケを好むようになったのか。気になる。

シャケをアピールする手法はなりふり構わず、店で売られているチキンを回収し代わりに切り身を置くのは序の口で(犯罪技「切り身配り」)、
クリスマスにはチキンという人々の固定観念に怒りを燃やし、チキンの代わりにシャケを食べろとその趣向を押し付けるシャケハラスメントを行う。いやシャケハラスメントって何だよ(困惑)。
ギャングラーなのだから配っている切り身もちゃんと食べ物なのか怪しい…と思いきやごく普通の切り身らしく食べられる。毒を盛るという行為はシャケを愛する彼にとって禁忌なのだろうか。
つまりただひたすらシャケを愛するがあまり、それを他人に押し付けるために行動的、というギャングラーの中でもかなり異端な存在。

なお切り身を押し付けられた店がサモーンの立ち去った後、こっそり商品をもとに戻してもルパンコレクションで嗅ぎつけてクレームに来るという面倒臭さ。
もう自分で鮭専門店やったほうがいいのでは?

なお犯罪技にある「シャケ料理フルコース攻撃」とは、敵を鮭を調理するイメージに合わせて一方的に攻撃する技であり、一度発動を許すと回避も防御も出来ないという厄介な技である。
なおコレクションの能力は嗅覚の強化であるため戦闘に寄与せず、その戦闘力は自前で備えているというコレクションに頼らず素で強い意外な強敵。
シャケを押し付けてくるシュールさ、コミカルさで隠れがちだが、一般的なギャングラーでは彼が最後に登場した個体であり、物語も終盤なのでその戦闘力の高さも頷ける。が戦闘以外の行動が全て台無しにしている。
終盤まで生き残っていたから強いというか、こういうことしかしてこなかったから生き残ってしまったかは解釈が分かれるだろう。どうでもいい?まぁいいでしょう。

♯45に登場。
世は正にクリスマスムード一色。
子供達のクリスマスパーティに招待された咲也は、最近暗い出来事が多いことから圭一郎達を元気づけるためジュレを訪れ魁利らに協力を仰ぐ。
それを聞いたノエルはケーキを取ってくるといい、わざわざエックストレインを持ち出しフランスへと向かうのだった。

その後パーティに必要な品の買い出しを行う魁利と咲也の前にサモーンはが出現。
クリスマスに浮かれる人々にシャケを押し付けるシャケハラスメントを行っていた。
「クリスマスにはチキンだろ」と主張する咲也と戦い、一方的な勝利を収める。その際ポーダマン達と抱き合って喜んでいた。
「イクラが溢れる前に」と言いながらその場から撤退するも、すぐに街頭のモニターに映ったサモーン・シャケキスタンチンはクリスマスにはシャケを食えと主張を展開する。

何故チキンを食べるのかという問いに、「美味しいからだ!」と即答した咲也に応じるという録画ではありえないような対応をしつつ主張を終えたサモーンは、あちこちでシャケハラスメントを繰り返しており、
ローストチキンを求めようにも店には50円の鮭しか売っておらず、閉めている店も出ている始末。
子供たちと先輩のためにも「餅のない正月」を避けたい鮭だけに咲也に、「チキンがないクリスマスはラーメンのない海の家のようなもの」というノエルは賛同し、
フランスでブッシュ・ド・ノエルを調達してきた彼は再びフランスに向い、GSPO(国際警察)フランス支部にチキンを買わせそれを持ち帰る。

流石にサモーンでも海外まで手を伸ばせていなかったようで無事にチキンを調達して戻ってきたノエル。
このままでは子供たちに被害が及ぶ可能性があると咲也はサモーンをおびき寄せるために透真に頼み込み、広場で調達してきたチキンをローストしその匂いで釣ろうと考える。
そこへまんまとやってきたサモーンは警察チェンジした2人に対しシャケ料理フルコースに巻き込み、咲也は鮭チャーハン、ノエルは氷頭なますへと調理?し圧倒する。

しかし「クリスマスにはチキンでしょうが!」と主張を曲げない2人の銃撃にふっとばされ、こっそり物陰で待機していた魁利らに金庫を解錠されコレクションを奪われてしまう。
そして怪盗チェンジしたルパンレンジャーの攻撃に翻弄され、ビクトリーストライカーの力でパワーアップしたスーパールパンレッド、さらにサイレンストライカーで武装したスーパールパンエックスの同時必殺技を受け敗北。

ツリツリケンで残された金庫を釣り上げたゴーシュ・ル・メドゥの手で巨大金庫が施され復活。
サイレンルパンカイザー&エックスエンペラースラッシュを相手取る・・と思いきや先程人数差で負けたためか、その場に居たゴーシュに助太刀を頼み込んでポーダマンを巨大化してもらう。
そして巨大になった彼らに新巻ブレイドを配って武装させ、エックスエンペラースラッシュには必殺スモークサーモン返し、サイレンルパンカイザーに超必殺ちゃんちゃん焼きフラッシュを浴びせ操縦席にいる魁利らを高熱で苦しめる。
しかしルパンマグナムスペリオルに攻撃されたスキをつき、ルパンレンジャーにポーダマンを倒されてしまい、素早くビクトリールパンカイザーへと換装したグッティが鮭まみれのクリスマスの幻影を展開。

それに喜んでいる間に体勢を整えた両ロボはグッドストライカーサンタサンダープレゼントを発動、

「シャケはカムバックできない!」


と叫び爆散した。

その後サモーンgs配り歩いた切り身を回収したらしい透真は、それを使って鮭フルコース料理を作りパーティで出す。
咲也とクリスマスパーティーを約束した園児たちは喜んで食べまくり、それを眺めた魁利には「あいつ(=サモーン)も本望なんじゃない?」と言われるのだった。

クリスマスにシャケを食べろと主張し続けたサモーン・シャケキスタンチンの願いはある意味叶ったと言える(それに留まらない活躍をすることになったが以下余談にて)。

【余談】

スーツはリューグ・タマテバッコの改造。
上半身を新造し、下半身等をリペイントしている。リュウグウノツカイが巻き付いたようにデザインされたリューグの身体を鮭の切り身風の配色に塗り替えた。
なお度々「イクラが溢れる」と主張していたサモーンだが、ダメージを受けるとイクラがこぼれ落ちていたあたり、一応本物?らしい。

名前はサーモンのアナグラムと、シャケに赤身を構成するアスタキサンチンという色素を足したもの。
鮭は本来白身魚であり、一般的に知られる鮮やかな色合は餌となる甲殻類に含まれる成分によるもの。
食べるものに体の色が影響される生物というので最も有名なのはザリガニだろう。某無駄知識番組でも「サバを与え続けるとザリガニは青くなる」と紹介されそれを覚えている人は多いのではなかろうか。
ちなみにザリガニの場合は水草など植物に含まれる色素を接種することで赤くなるため、それを食べさせず別の餌を与えると変化する。

モチーフとして鮭が選ばれるのは非常に珍しい。
なおシャケは方言で、元々魚編に生でサケという漢字だったのが明治時代で今の漢字に切り替わった。中国では鮭はふぐのことを指す。

最初から最後までシャケ押しのギャングラーだったが、クリスマスにチキンという風習は日本独自のものらしく、ガチョウや七面鳥を簡単に用意できないためとか。
そのためシャケをクリスマスに食べるというのは間違いではないのだが、ローストチキンのほうが馴染み深いというのもある。要は好み。
ノエルが言うようにフランスで鮭をクリスマスに食べるのは有りなので、主張しすぎなければ民衆に受け入れられたかも、しれない。ギャングラーなので受け入れられるかどうかはあくまでかも、だが。

声を担当したのは爆竜戦隊アバレンジャーにてヤツデンワニを演じたことで有名な津久井教生氏。
前作でも宇宙戦隊キュウレンジャーにてゴネーシを演じている他、多数の怪人、味方キャラの声を担当している。

「クリスマスにシャケを食え」という彼の主張は特撮界隈以外にも波紋を広げ、イオングループは2019年にメリクリサーモンキャンペーンを行い、2020年には「スーパー戦隊クリスマス大鮭戦」という特別番組を放送。
しかもサモーンがそのナビゲーターに選ばれた。キャリゲーターではなくな。
さらに2021年では農林水産省のTwitterにて「クリスマスにはシャケを食え」というハッシュタグを添えて記事を投稿している。

仮面ライダーゼロワンやゼンカイジャー等でもこっそり鮭を主張する小物などが登場する場合もあり、今でもサモーンの魂は生き続けている。ヤツデンワニのように生き残った上でマスコットのような扱いを受けているわけではないのだが。
最もヤツデンワニも優しい怪人枠ではない、なし崩しに生き残って社会的に成功した稀有な怪人であり、ある意味その系譜と言えなくもない。結局爆死したが。

ちなみにクリスマス+シャケという組み合わせが今も各地で騒がれる様子に、咲也役だった横山涼氏は2021年自身のTwitterで「サモーンを倒し損ねてる可能性がある」という内容の書き込みをしている。

「日本人ならシャケを食え」、と主張するサモーンであるが。
実は貝塚から鮭の骨が発見されていることから、日本でも相当古い時代から食されてきたと考えられている。
平安時代では献上品として扱われている事があるなど、その存在はたしかに日本人と結びついていた魚と言える。

あまり関係のないことだが、寿司ネタで「鮭」ではなく「サーモン」と呼ばれているのは日本において鮭は寄生虫の問題から生食せずに灼いて食べる魚という固定概念があったものを、ノルウェーの鮭を生食用として取引するようになり、区別するため生食する鮭をサーモンとするようになったため。
1980年代からサーモンが出回るようになったことから、鮭を生食する文化は意外と若い。約40年くらい。
厳密に言えば日本の鮭はシロザケやギンザケと呼ばれる種類で、ノルウェー等で完全養殖を行い寄生虫をつけずに育てているのはアトランティックサーモンという別種の魚である。

最終更新:2022年12月25日 23:13