694 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/01/18(金) 00:23:23
……と、こうして水銀燈と再び契約をしたわけだが。
気がつけば、そろそろ11時になろうかという時間になっていた。
「そろそろ支度しないと、我が家の食客がまちくたびれるな……」
よっこらせ、と立ち上がる。
水銀燈が目を覚ましたし、今日はちょっぴり奮発してやろうか。
「水銀燈、何か食べたいものはあるか?」
「うぅん……今は、何もいらないわ。
この恰好で人前に出るのも、みっともないじゃない」
「ん……」
やっぱり、果てしなく落ち込むのはやめたとはいえ、まだ気持ちが晴れたわけじゃなさそうだ。
確かに、今の状態を受け入れられたわけじゃないし。
俺だって、水銀燈を元の姿に戻してやることを第一に考えてるもんな。
とすると……幸い今日は休日だ、ならば……。
「それじゃあ、水銀燈。
さしあたって、今すぐ何かしてほしいことはあるか?」
「してほしいこと?」
言葉の意味を理解し損ねたのか、怪訝な顔をする水銀燈。
「そう。当面の目標は、水銀燈の身体を直すことだけどさ。
今、なにか不便なことがあるなら、聞いておこうと思って」
今日は休日、そして今日一日は水銀燈のために使うと決めていた。
昼飯が済んでしまえば、午後の時間はたっぷりある。
そして、今の俺は、水銀燈に何かしてやりたい気分でいっぱいだった。
「そうねぇ……」
言われてもすぐには思いつかないのか、水銀燈は虚空に視線をさまよわせる。
が、その視線は、思い出したかのように、破れている自分の服で止まった。
「ああ、そうだわ。
まずは、この破れた服を何とかしてもらおうかしら」
「あ、そうだな」
確かに、破れたままの服を着ていては、体裁が悪いな。
新しい服を用意するなり、繕うなりしてあげないと。
しかし……俺は、物の修理はそれなりに出来ると自負しているが、裁縫は専門外だ。
新しいのを用意するとしても、水銀燈サイズの服なんて何処で手に入れればいいんだ?
「ううん……これは、俺一人じゃいいアイデアが出てこないなぁ」
そうなると、必然と誰かの力を借りなくちゃならないわけで。
昼飯の間に、誰かにそれとなく聞いてみたほうがいいかな?
少なくともここで一人で考えているよりはマシだろう。
「よし、そうと決まれば」
さっそく昼飯の支度にとりかかるとしよう。
っと、そうだ、水銀燈は……。
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最終更新:2008年01月27日 21:33