成長、戦乙女を護る騎士(前半)
新たなる力“アルファル”を与えてから数日。私の“妹”たる神姫達は、
模擬戦のみならず普段の手伝いにまで、騎士を動員する事が多くなった。
マスターの“クセ”を学習して成長する以上、確かにこれはいい選択だ。
私・槇野晶もそれを容認し、微笑ましく見ている。今日も……の様だな。
ちょっとした用事から帰ってきた私は、その様子を暫し眺める事とする。
模擬戦のみならず普段の手伝いにまで、騎士を動員する事が多くなった。
マスターの“クセ”を学習して成長する以上、確かにこれはいい選択だ。
私・槇野晶もそれを容認し、微笑ましく見ている。今日も……の様だな。
ちょっとした用事から帰ってきた私は、その様子を暫し眺める事とする。
「その湯飲み持ってくださいですの、フィオナ~♪んしょ、んしょ……」
『Yes,sir(重いですが、やります)』
「あれ……も、モリアン?三月分のレシートはこれで全部なんですか?」
『Negative(他にもありますよ)』
「……ん、それ位で拭き掃除は十分なんだよアルサス。指令は以上かな」
『Ja(お疲れ様でした)』
『Yes,sir(重いですが、やります)』
「あれ……も、モリアン?三月分のレシートはこれで全部なんですか?」
『Negative(他にもありますよ)』
「……ん、それ位で拭き掃除は十分なんだよアルサス。指令は以上かな」
『Ja(お疲れ様でした)』
ん?『受け答えしているではないか』だと?有無、妹達が少し寂しいと
言うのでな、YES/NOだけは発声出来る様にした。本来必要ないのだが、
そういう『一見無駄な所にも拘る』のが、今回のコンセプトなのでな。
無駄といえば、“アルファル”の躯そのものもそうだ。本来は戦闘用に
フレームが最適化されており、日々の雑務をやらせるには向かぬのだ。
言うのでな、YES/NOだけは発声出来る様にした。本来必要ないのだが、
そういう『一見無駄な所にも拘る』のが、今回のコンセプトなのでな。
無駄といえば、“アルファル”の躯そのものもそうだ。本来は戦闘用に
フレームが最適化されており、日々の雑務をやらせるには向かぬのだ。
「どうだ。新しいお前達の手足、考えの通り動く様になってきたのか?」
「あ、マイスター帰ってらしたんですか?ええ、随分馴染んできました」
「そうか。ならイベントでの稼ぎを全て注ぎ込んで、作った甲斐がある」
「マイスターの感性で作られた、神姫用のサポートオートマトンだもん」
「最初は“接合”する感覚に戸惑いましたけど、今はもう平気ですの♪」
「あ、マイスター帰ってらしたんですか?ええ、随分馴染んできました」
「そうか。ならイベントでの稼ぎを全て注ぎ込んで、作った甲斐がある」
「マイスターの感性で作られた、神姫用のサポートオートマトンだもん」
「最初は“接合”する感覚に戸惑いましたけど、今はもう平気ですの♪」
だが、その何気ない挙動を覚えさせる事こそが彼女らの発展に繋がる。
本来のぷちマスィーンズも、主との連携が最初から完璧な訳ではない。
いくら私が“偏執狂”じみた拘りと芸術品の如き精緻を折り込んでも、
それを扱いこなす神姫達が能力を引き出せねば、足手まといなだけだ。
フリルの様な彫金を施した装甲の騎士を眺め、“妹”達の活躍を想う。
本来のぷちマスィーンズも、主との連携が最初から完璧な訳ではない。
いくら私が“偏執狂”じみた拘りと芸術品の如き精緻を折り込んでも、
それを扱いこなす神姫達が能力を引き出せねば、足手まといなだけだ。
フリルの様な彫金を施した装甲の騎士を眺め、“妹”達の活躍を想う。
「……マイスター?突然でれーってにやけちゃって、変なんだよ?」
「む!?す、すまん。お前達が何処まで、引き出せているかとなっ」
「この子たち、ですか?ここ数日の特訓で、随分こなれてきました」
「あっ!お仕事も終わりましたし、マイスターに見せてみますの?」
「ボクは賛成だよ。試合も来週に迫ってるし、成果が欲しいもんね」
「あ、あたしもやりますっ!マイスター、そう言う訳ですから……」
「模擬戦がしたい、という事か?よし分かった、今すぐ準備しよう」
「む!?す、すまん。お前達が何処まで、引き出せているかとなっ」
「この子たち、ですか?ここ数日の特訓で、随分こなれてきました」
「あっ!お仕事も終わりましたし、マイスターに見せてみますの?」
「ボクは賛成だよ。試合も来週に迫ってるし、成果が欲しいもんね」
「あ、あたしもやりますっ!マイスター、そう言う訳ですから……」
「模擬戦がしたい、という事か?よし分かった、今すぐ準備しよう」
懇願する“妹”達の笑顔を見て、多少の自信がついたと窺える。ならば
見せてもらおうと、彼女らを抱きかかえてトレーニングマシンを起動。
その間に“アルファル”は、元のケースに入って自らその蓋を閉じた。
私はそのケースを、サイドボードに装填していく。これがキモなのだ。
このケースごとサイドボードに収める事で、スマートに準備が出来る!
耳のピアスを確認した“シルフィード”姿の三姉妹も、ポッドに入る。
見せてもらおうと、彼女らを抱きかかえてトレーニングマシンを起動。
その間に“アルファル”は、元のケースに入って自らその蓋を閉じた。
私はそのケースを、サイドボードに装填していく。これがキモなのだ。
このケースごとサイドボードに収める事で、スマートに準備が出来る!
耳のピアスを確認した“シルフィード”姿の三姉妹も、ポッドに入る。
「よし、準備は整った。ネイキッド三体とぷちを……368機出そうか」
「いくらでも大丈夫ですの~♪皆、マイスターを驚かせてあげますの!」
「はい!“アルファルの戦い”が、確立してきたんですよマイスター?」
「……元は全く同じ超AIと機体構造。それをどう活かすか、なんだよ」
「見せてもらおうか、どう活かしてくるのかをな。では……往くぞッ!」
「いくらでも大丈夫ですの~♪皆、マイスターを驚かせてあげますの!」
「はい!“アルファルの戦い”が、確立してきたんですよマイスター?」
「……元は全く同じ超AIと機体構造。それをどう活かすか、なんだよ」
「見せてもらおうか、どう活かしてくるのかをな。では……往くぞッ!」
バトルフィールドの設定を入力し、ゴーサインを出す。舞台設定は街だ。
ビルや店舗が幾つか立ち並ぶ物の、幅広い道路があり広さも感じさせる。
デフォルトとも言える、典型的な地形。そこを、無数の敵が埋め尽くす。
そう、最初から皆は囲まれているのだ。しかも個々に分断された形でな。
ビルや店舗が幾つか立ち並ぶ物の、幅広い道路があり広さも感じさせる。
デフォルトとも言える、典型的な地形。そこを、無数の敵が埋め尽くす。
そう、最初から皆は囲まれているのだ。しかも個々に分断された形でな。
「さて、と。まずはロッテか……見せてみろ、フィオナとの連携をな!」
「はいですの♪じゃあ、早速呼んでみますの……“フィオナ”ッ!」
『Yes,sir(支援します)』
「はいですの♪じゃあ、早速呼んでみますの……“フィオナ”ッ!」
『Yes,sir(支援します)』
まずはロッテの様子を見る事にする。彼女は、ネイキッドに率いられた
無数のぷちに狙われていた。ライナストを抜いてはいるが、ダメージの
蓄積は避けられない……そんな状況に飛び込んできた、無数の光弾ッ!
飛びかかろうとしたぷちが数機、地面へと無情に叩き落とされていく。
無数のぷちに狙われていた。ライナストを抜いてはいるが、ダメージの
蓄積は避けられない……そんな状況に飛び込んできた、無数の光弾ッ!
飛びかかろうとしたぷちが数機、地面へと無情に叩き落とされていく。
『Gyaaaaaaaaaaaaaaa!?』
「ふぅ……ナイスアシスト、ですのっ!!」
『ギィッ!?』
「ふぅ……ナイスアシスト、ですのっ!!」
『ギィッ!?』
仮想敵の全員が上空に気を取られると、そこにはガトリングを展開した
円盤の姿があった。騎士・フィオナの“クルーザー・フィギュア”だ。
フィオナの援護射撃を受けて、ロッテはそのまま目の前のネイキッドに
タックルをかまし、一撃必殺を計る。ライナストを突き刺して……ッ!
円盤の姿があった。騎士・フィオナの“クルーザー・フィギュア”だ。
フィオナの援護射撃を受けて、ロッテはそのまま目の前のネイキッドに
タックルをかまし、一撃必殺を計る。ライナストを突き刺して……ッ!
「“砕け”、ライナストッ!!」
『ギァァァァァァァー!?!』
『Grrrrrrry!?』
『ギァァァァァァァー!?!』
『Grrrrrrry!?』
ネイキッドの体内で雷を解き放つ。内から焼き尽くされた敵は、そのまま
ロッテに放り棄てられ、地面に転がる。致命傷ではないが、スタン効果で
立ち上がれない様だ。そのフォローをせんとぷちが動こうとした。だが!
ロッテに放り棄てられ、地面に転がる。致命傷ではないが、スタン効果で
立ち上がれない様だ。そのフォローをせんとぷちが動こうとした。だが!
「フィオナ、このまま突破しますの。露払いをッ!」
『Yes,sir(お任せ下さい)』
『Ahhhhh!?』
「ほう。“ソニック・ブランド”に目を付けたか」
「使えるモノは何でも使う!それがコンセプトだと思いましたの♪」
『Yes,sir(お任せ下さい)』
『Ahhhhh!?』
「ほう。“ソニック・ブランド”に目を付けたか」
「使えるモノは何でも使う!それがコンセプトだと思いましたの♪」
滑空してきたUFOが群がるぷちの中に突入、そのまま蹴散らしていく。
大気を用いた“斬る”防御システムを、“ソニック・ブランド”と言う。
本来は装甲強度の低い“アルファル”を実体弾から保護する為にあるが、
私の努力も虚しく、『装甲は堅く回避も得意』という反則的なスペックは
得られなかった……そう、この騎士は“絶大な一撃”に対して弱いのだ。
可変パターンは幾つか有るが、瞬間防御力には常に限界が付きまとった。
大気を用いた“斬る”防御システムを、“ソニック・ブランド”と言う。
本来は装甲強度の低い“アルファル”を実体弾から保護する為にあるが、
私の努力も虚しく、『装甲は堅く回避も得意』という反則的なスペックは
得られなかった……そう、この騎士は“絶大な一撃”に対して弱いのだ。
可変パターンは幾つか有るが、瞬間防御力には常に限界が付きまとった。
「ぷちの一撃ならば多少は耐えると踏んだか、だが過信するなよ?」
「分かってますの♪ほらほら、邪魔しないで下さいですのっ!!」
『Shagyaaaaaaaaaaaaaaaa!?!』
「分かってますの♪ほらほら、邪魔しないで下さいですのっ!!」
『Shagyaaaaaaaaaaaaaaaa!?!』
だがロッテは的確なダメージ量を見切って、騎士を“盾”にしている。
“W.I.N.K.”の副作用により、“アルファル”の傷は己の痛みとなる。
それが分かってきたのか、避けるべき時は避けさせ一方で大胆に使う。
そして自らも手にした魔剣でぷちを華麗に切り払って、突破していく。
その姿に、白兵戦が不得意な天使型神姫の戦い方を見る事は出来ない。
ロッテもリーダーとして日々成長している、という事だろうな。有無。
“W.I.N.K.”の副作用により、“アルファル”の傷は己の痛みとなる。
それが分かってきたのか、避けるべき時は避けさせ一方で大胆に使う。
そして自らも手にした魔剣でぷちを華麗に切り払って、突破していく。
その姿に、白兵戦が不得意な天使型神姫の戦い方を見る事は出来ない。
ロッテもリーダーとして日々成長している、という事だろうな。有無。
『Grrrrrrrrrrrraaaaaaaaaaaa!!!!!!』
「フィオナ、このままぷちとネイキッドを引きつけますの♪」
『Yes,sir(頑張りましょう)』
「フィオナ、このままぷちとネイキッドを引きつけますの♪」
『Yes,sir(頑張りましょう)』
──────戦う貴方も、素敵だよ。