第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡
- 第14話 「燈兎」
和田「主砲ッ!!!榴弾!!!撃てェ!!」
ウォース・パイトのMKS40 2mmが焔を放つ。
ウォース・パイトのMKS40 2mmが焔を放つ。
グワワアーン!!
橋の左側の建物が粉々になって吹き飛んだ。
ミラーは爆風で地面に思いっきり叩きつけられ、頭部のバイザーが衝撃で砕け散った。
キイイイイイインン・・・・
耳鳴りが激しい。よろよろと起き上がるミラー。
目の前でライベンが機関銃を撃ちながら何か叫んでいるが、うまく聞き取れない。
目の前でライベンが機関銃を撃ちながら何か叫んでいるが、うまく聞き取れない。
ウォース・パイトが機関砲を撃ちまくる。ビシバシとガレキが吹き飛び砕け散る。
ミラーは、ぼんやりとしながら辺りを眺める。
周りはぐちゃぐちゃに散らばった神姫の武装や残骸でいっぱいだった。オイルがダラダラと垂れ流れ、橋の下の川に流れ落ち、厚い油膜を作っている。
フランシスがうつぶせになって倒れているマイクを揺さぶる。
フランシス「マイク!!・・・くそ・・・くそったれ・・・」
フランシス「マイク!!・・・くそ・・・くそったれ・・・」
□天使型MMS 「マイク」 Sクラス 撃破
すでにマイクは、ぐったりとして目からは光が失われ絶命していた。胸部にはぽっかりと穴が空き、オイルがタラタラと流れ落ちていた。
ミラー「マイク・・・」
ミラーは動かなくなったマイクの体を揺さぶる。
ミラー「マイクーーー!!!」
ライベンがバシッとミラーの顔を叩く。
ライベン「しっかりしてください!!ミラー!!!」
ミラー「はあはあ・・・ら、ライベン」
ミラー「はあはあ・・・ら、ライベン」
ドルンドルウウウン!!ブルンブルン!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
ウォース・パイトはエンジンの出力をあげ、巨体を震わせながらゆっくりと橋を渡る。
和田「正面!機関砲撃て!!蹂躙しろ!!」
パイト「イエス、マスター」
パイト「イエス、マスター」
ダダッダダダン!!
ミラーとライベン、フランシスの隠れている塀に向かって射撃を行うパイト。
ライベン「うわああ!!」
フランシス「ミラーさん!?」
フランシス「ミラーさん!?」
ミラーはさっと立ち上がると靴下に爆弾を詰めた即席の靴下爆弾を引っ掴むと橋の真ん中に投げ飛ばした。
ライベン「ミラー!!出たら撃たれるぞ!!」
ミラー「・・・・」
ミラー「・・・・」
ミラーは何も言わずウォース・パイト目掛けて走った。
パイト「正面に敵神姫!!」
和田「・・・主砲、撃て!」
和田「・・・主砲、撃て!」
ダアアアアアン!!!
MKS40 2mmが真っ赤な炎を吐き出す。
ドオオオオン!!!!
ミラーの足元に着弾し、右脚部が吹き飛び、胸部に深く破片が突き刺さる。
ミラー「ぐうう・・・」
爆風で吹き飛んで橋の中央に取り残されるミラー。
パイト「!?主砲の照準がずれた!」
和田「さっきの吸着爆弾のせいでターレットが歪んだか!ええい!!かまわん!!面倒だッこのまま、踏み潰せ!!!巨体で押し潰してやれ!!!」
パイト「了解!!」
ドルンドルウウウンン・・グオオオオオオオオオン!!!ゴゴゴゴゴンゴゴゴゴンゴゴッゴ・・・ゴオン
和田「さっきの吸着爆弾のせいでターレットが歪んだか!ええい!!かまわん!!面倒だッこのまま、踏み潰せ!!!巨体で押し潰してやれ!!!」
パイト「了解!!」
ドルンドルウウウンン・・グオオオオオオオオオン!!!ゴゴゴゴゴンゴゴゴゴンゴゴッゴ・・・ゴオン
低い重低音を奏でながらパイトが前進する。
ミラー「う・・・・あ・・・ぐ」
ミラーは胸部をぎゅっと押さえ、キッとパイトを睨む。
ミラーは胸部をぎゅっと押さえ、キッとパイトを睨む。
土煙の中からパイトの巨体が迫る。バキバキとガレキや神姫の残骸を踏み潰しながら・・・
ミラーはリアパーツからカロッテP12、短銃を取り出すとパイト目掛けて発砲する。
パン!!パン!!
パイト「!!敵機発砲!!」
和田「悪あがきをォ・・・ハンドガンごときでこの重装甲戦艦型神姫が落ちるものかァ!!!」
和田「悪あがきをォ・・・ハンドガンごときでこの重装甲戦艦型神姫が落ちるものかァ!!!」
ゴゴゴゴゴンゴゴゴゴンゴゴッゴ・・・ゴオン・・・ゴオゴゴゴゴオゴゴ・・・
ミラー「・・・」
無言で短銃を発砲し続けるミラー。
無言で短銃を発砲し続けるミラー。
パン・・・パン・・・・
カキン!!コオオオーン!!
ミラーの放った弾丸はパイトに命中せずに橋の真ん中のガレキや神姫の残骸にばかり当たる。
和田「ヘタクソ!どこを狙っている」
パイト「・・ク・・クソッタレ・・・」
パイトの顔がさーーーと青ざめる
和田「?どうした?」
パイト「・・ク・・クソッタレ・・・」
パイトの顔がさーーーと青ざめる
和田「?どうした?」
パイトの目線を追う、和田・・・パイトのすぐ足元に爆弾が詰められた靴下が転がっていた。
和田「ぶっ!!!ぜ、全速後退!!ぜ、前方に爆薬がァ!!!」
ミラー「・・・・おせえェ・・・よ・・・」
ミラーがカロッテの引き金を引く。
パン
弾丸はまっすぐに靴下爆弾の導火線に命中し火花が上がると同時に、パイトの巨体のすぐ下で爆発する。
ドキュアーーーーグワクァアアアーーーーンーーーーーーーーーーーーー!!!
橋の真ん中で巨大な戦艦型神姫が乗り、ただでさえ軋んでいた橋は爆発の衝撃に耐え切られずに、物凄い衝撃と爆音を奏でながら崩壊した。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・ガラガラガラ・・・ズドオオオオオオン
パイト「う・・うわああああああああああああ!!!」
橋と共に引きずり込まれるパイト。
和田「きゅ、急速上昇!!機関最大出力!!」
橋と共に引きずり込まれるパイト。
和田「きゅ、急速上昇!!機関最大出力!!」
ドルンドルウウウウン!!キュキュキュ・・・ドルウルルン!!
パイト「き、機関、さきほどの爆発で損傷!!だ、ダメです!!ま、マスタァアアアアアアア!!」
ドズウウウウウン!!
神姫の残骸とオイルでぬめる橋の下のドブ川に崩れ落ちる橋と共に落下するパイト。さらに追い討ちをかけるようにパイの炎が油膜に引火し、大爆発を起す。
ドンドンドオオオオーーーン!!バキューーーン!!バッガアアアーーーーーン!!
パイト「火が、火が燃え移って!!!あ・・・」
真っ赤な紅蓮の炎がパイトを包み、内部の爆弾に引火し、爆発はさらなる爆発を呼んだ。
ズドム・・・・ドグワアアアアグワンンンンンンンーーーーーンンンン・・・・ボウムウウウン・・・・・ウンウンウン・・・
黒煙がもくもくと立ち昇る。
真っ赤な紅蓮の炎がパイトを包み、内部の爆弾に引火し、爆発はさらなる爆発を呼んだ。
ズドム・・・・ドグワアアアアグワンンンンンンンーーーーーンンンン・・・・ボウムウウウン・・・・・ウンウンウン・・・
黒煙がもくもくと立ち昇る。
ライベンとフランシスがミラーの元に駆ける。
ライベン「ミラー!!」
フランシス「ミラーさん!!」
フランシス「ミラーさん!!」
ミラー「・・・ライベン・・・フランシス・・・」
ミラーが虚ろな目でつぶやく。
ミラーが虚ろな目でつぶやく。
ミラー「ライベン・・・悪運が強いな」
ライベン「喋るな、大丈夫だ・・・助かる」
ライベン「喋るな、大丈夫だ・・・助かる」
ゴンゴオオゴン・・・ゴオオオオン
低いエンジン音が黒煙の中から聞こえる。
ゴンゴゴンゴンゴンゴンゴン
□重装甲戦艦型MMS 「ウォース・パイト」 SSクラス 二つ名「オールド・レディ」
パイト「はあはあはあ・・・よくもよくも、ここまでコケにして腐りやがって・・・ェ・・・」
轟々と炎に包まれ、あちこちで小規模な爆発を繰り返しながらもウォース・パイトの巨体がゆっくりと橋の下からせりあがって来る。
ライベン「や、ヤロウ・・・あれだけのダメージを喰らって・・・ま、まだ生きているのか!?」
フランシス「ば、化け物め!!」
フランシスはぎゅっとミラーを抱きしめる。
フランシス「ば、化け物め!!」
フランシスはぎゅっとミラーを抱きしめる。
ゴンゴンゴンゴンゴン
ウォース・パイトのMKS40 2mm主砲がミラーたちに向けられる。
和田「ふふふ、最後に勝つのは私たちだ!!!死ねェ!!」
そのとき、ひゅんと縞々のソックスがパイトの艦橋ブロックに投げ込まれた。
パイト「し、縞々のソックス!?」
シューー・・・・
ソックスの中には爆薬がこんもりと入っており火が入っていた。
パイト「畜生!」
ドッガアーーン!!
□重装甲戦艦型MMS 「ウォース・パイト」 SSクラス 二つ名「オールド・レディ」 撃破
パイとの艦橋ブロックが粉々に吹き飛び、グラリと巨体が力なく墜落していった。
ズ、ズズウズズズズウン・・・・ボゥウウム・・・ボン・・・ズズズン・・・
ライベン「な・・・」
フランシス「アパル」
フランシス「アパル」
橋の反対側にアパルが泣きながら片方の靴下をぎゅっと握り締めて立っていた。
アパル「わ、わたし・・・ひく・・ひっく・・・お、臆病で・・・最低で・・よ・・弱くて・・・仲間を・・・みんなを・・・見棄てて・・・う・・ううう・・一人で泣いていて・・・でもでも・・・でも・・・ううううう・・・ああああああああ!!」
ぺたんと崩れ落ちて泣きじゃくるアパル。
ミラー「・・・アパル・・・大丈夫・・・大丈夫だ・・・みんないる・・・」
そういうとミラーはすっと目を閉じた。
そういうとミラーはすっと目を閉じた。
□ウサギ型MMS 「ミラー」 Sクラス 撃破
ライベン「そうです・・・大丈夫です・・・みんないます」
フランシスはぎゅっとミラーの手を抱きしめた。
フランシス「みんながいるから、勝てました・・・大丈夫です」
フランシスはぎゅっとミラーの手を抱きしめた。
フランシス「みんながいるから、勝てました・・・大丈夫です」
ライベンは、廃墟ステージを見渡した。
崩れ落ち朽ち果てた建物、道は砲弾の空薬莢と神姫の武装や残骸、ガレキが散乱し、あちこちで火が燃えてパチパチと音を立ている。くすんだ灰色の巨大な戦艦型神姫の骸が横たわり、その周りにはバラバラになった神姫だったのもが散らばっている。
ライベン「・・・バトルロンドは戦いの旋律・・・終わらない旋律とはよく言ったものだぜ・・・」
アパル「靴下・・・マスターからもらった・・・靴下・・・片方だけに・・・なっちゃた・・・」
フランシス「アパル・・・」
フランシス「アパル・・・」
虚ろな目で靴下を握り締めるアパル。
廃墟ステージでの戦闘は終了した。
このステージには当初、30体あまりの神姫がいたが、以下の3体を覗いてすべて全滅した。
□ハイスピードトライク型 「ライベン」 Aクラス
オーナー名「後藤 敦」♂ 26歳 職業 メーカー営業マン
オーナー名「後藤 敦」♂ 26歳 職業 メーカー営業マン
□種型 「アパル」 Cクラス
オーナー名「小森 創介」♂ 13歳 職業 中学生
オーナー名「小森 創介」♂ 13歳 職業 中学生
□天使コマンド型「フランシス」 Cクラス
オーナー名「草尾 毅」♂ 17歳 職業 中学生
オーナー名「草尾 毅」♂ 17歳 職業 中学生
To be continued・・・・・・・・