てゐ魂 第三話

ハイハイ、またこの劇場に来てくださるとは
お客さんも案外物好きですね。
いや、ゆっくり好きと、言ったほうが良いのかね?

今回の話も一癖あるゆっくりがでてきます。
しかも、この物語の主役と深い関係に当たるゆっくり、
これで一波乱起こらないなんて、何かの冗談でございましょう。



さて、例によってここで一つ忠告を。



この話は銀魂のパロディでございます。
ロクでもないゆっくりが出て来たり、
ゆっくりがひどい目に合うこともあります。

それらが気に入らない方は席をお立ちになってください、
全て受け入れると言う方はここで座って物語をどうぞ!

では、てゐ魂の始まり、始まり!


























てゐ魂  第3話「だからニートは二次設定だと言っている稀ガス!」



「ちょっと!いい加減家賃を払え!もう半年も滞納してんじゃないかい!」

スナック封魔録の二階にある万屋てゐ!
その出入り口の前で怒鳴っている緑髪と三角帽子が特徴の胴なしゆっくり、
彼女こそがスナック封魔録のママさん、「みま」である。
顔に刻まれたその皺は、ゆぶき町四天王の貫禄をかもし出している。

「~~~。」

と、そこで扉を開けててゐがひょこッと顔を出した。
寝起きなので、寝惚けなまこだし、非常に酷い寝癖だ、
てゐが何度かお辞儀をすると、髪の毛からチャリン、チャリン、と何かが零れ落ちた。

「……それじゃ。」

てゐはぴしゃりと扉を閉める。
跡に残されたのは、みまとその目の前に落ちている300円
てゐが髪の毛から落とした300円だ。

「300円で何しろって言うのさ~!」

みまは扉をぶち破って部屋に戻ってもうひと眠りしようとしていたてゐに体当たりをかました。
そのまま玄関前まで引きずり出して口論を始める。

「300円あれば星蓮船の体験版が買えるじゃん!」

「何処で買えと言うんだい!?もう博霊例大祭は終わってるよ!?」

「夏コミで買うとか。」

「本編出てるだろうがぁああああああああああ!」

朝っぱらからギャーギャー喚くゆっくりが二匹。
その様子を、今日も今日とで通勤に来ていたれみりゃが下から見ていた。


「…何やってるんだど、てゐさんは…。」

上で騒いでいる様子を見たれみりゃは深いため息をついた。

「…あの馬鹿ウサギ、ぜんぜん懲りてないわね~。今度滞納したら事務所追い出すってみまさん言ってたのに。」


そういいながらスナック封魔録の掃除をしている胴なしゆっくりの名はことひめ。
ちょい役なので、説明省略。「ちょ、酷い。」


「まぁ、あんないい加減な駄目ウサギに家賃きっちり払えなんて言うのが土台無理な話なんだど。
 ッて言うか、れみりゃにもいい加減給料払って欲しいんだど……。」

「え?あいつあんた達にも給料払ってないの?」

「この間、てんこが「何で私の給料が桃なのか?」とか言って愚痴ってたど・・・。」

「・・・あんた達、絶対再就職考えたほうが良いって。」


「とにかくいい加減家賃払いな!?」

「払え痛くても払えないよ!ウチにはもうちくわと30点しかない!どうだ参ったか!」

「参ってるのはあんたの方じゃないのかい!?つか30点!?」


と、まぁこんな感じで上でも下でも色々と会話が繰り広げられていたスナック封魔録、
と、突然聞こえてきた、一匹のゆっくりの声。

「う、うわぁ!?ゆっくり退いてねぇええええ!」

「え!?ええぇ!?」

「な、何、いきなり何!?」


ドガアッ!?


「!?」

「な、何の音だい!?」


一回の方から聞こえてきた轟音に、てゐとみまもビックリする。

「おいぃ!?いきなり聞こえてきた轟音にきゅうきょカカッと駆けつけた!」

玄関廊下の奥からそう言っててんこも駆けつけてくる。
勿論、後ろにきめら丸も居る。
とにかく、何が起こったのか確認するため、てゐ達はすぐに階段を下りて一回へと向かった。


「あ、あわわわわ・・・・。」

「び、ビックリした、ビックリしたど!」


万屋横の階段を下りて、一階の店先まで降り立てゐたちが目撃した物は、凄惨な光景だった。
スナック封魔録の店先に、スィーが煙を上げてつっこんでいたのだ、
その傍には腰を抜かしているれみりゃとことひめ、
そして、ボロボロになった一匹のまりさが転がっていた。


「あぁ~!店がえらい事になってるじゃないか!」


みまはスィーがつっこんだ所為で無茶苦茶になった店先を見て悲鳴を上げている。

「れみりゃ、何があったの、これ!?」

てゐがれみりゃにそう問いかける。

「そ、そのまりさがスィーの操縦を誤って店に突っ込んできたんだどぉ~・・・・。」

れみりゃは完全にビビった様子でボロボロになっているまりさの方を羽で指差した。
そのまりさに向かって怒鳴りかけているゆっくりがいる。

「あんた!これから店を開ける準備をしなくちゃいけないのに、どうしてくれるのさ!
 弁償だね!今からこの口座に10万円ほど振り込んできな!」
ことひめだ。
ことひめはボロボロまりさに向かってそう怒鳴りかけると、なにやら紙切れをまりさに突きつけている。

「怪我人に向かって何してるのさ、あんた。」

と、凄い剣幕で怒鳴りかけていることひめに向かって体当たりを繰り出すみま。
みまはすぐにまりさの身体をしげしげと見つめて、こう言った。

「こりゃあすぐに病院に担ぎ込んだ方が良いね、誰か救急スィーを読んできな!」

みまはてゐ達に向かってそう指示を出す。
一番最初に行動に移したのはてんこだった。

「よし、私がカカッと病院まで行ってくる!」

そう言っててんこはトンズラの構えに写る。

「あのさ、そんな事するより、普通に電話した方が早いから。」

てゐはそんなてんこにツッコミを入れた。


「う、うう……。」


と、そこでボロボロまりさが立ち上がる、
「あ、ちょっと!救急車がすぐに来るから大人しく……。」
みまの忠告も聞かず、まりさはてゐ達にズリズリと這いより寄って行く。

「ちょ、何かズリズリ寄られると気持ち悪いんだけど。」

ちょっとドン引きしながらてゐはまりさにそう話しかける。
そんなてゐに対してまりさがようやく口を開く。
「う、あ、あんたに頼みがあるんだぜ…。」
そういって帽子がパカッと開く。
帽子の下から、小さな小包が出てきた。

「こ、これをまりさの代わりにかわいいれいむのお家に届けて欲しいんだぜ…。」

「は?」

「ま、まりさは、飛脚のお仕事をしてるんだぜ…けど、まさかこんなドジをするとは思わなかったぜ。」

飛脚?
言われててゐは店先に突っ込んだスィーを見てみた。
見るとスィーの横に運の文字か刻まれてるし、運ぶ途中だった荷物も散らばっている。
どうやらこのまりさが言ってるのは本当の事のようだ。

「た、頼むぜ、こいつは正午までには絶対届けなくちゃ行けないんだぜ。
 届けられなかったらまりさはクビだ、だから……。」

「ちょ、い、いきなりそんな事言われても……。」

「た、頼んだぜ……。」

そこで、まりさはばたりと倒れこむ、どうやら気絶したようだ。
倒れた弾みで頭の上に乗っていた小包が地面に転げ落ちる、それをてんこが拾い上げた。

「……え、エートォ。」

「おいぃ?いぇゐ、これは面倒なことになりそうな予感がするのだが?」

「ど、どうするんだど、てゐさん……。」

てゐ、れみりゃ、てんこの3匹のゆっくりはお互いに顔を見合わせた。


~☆~


「…えーと、とりあえず、ここであってる…よね。」

「多分、間違いないと思うど。」

……結局、小包をかわいいれいむのおうちに届けることになったてゐ達。
かわいいれいむのおうちはゆっくりの国の中でも有名な建物、すぐにその場所にたどり着くことは出来た。

「随分、でかい建物だな。」

てんこが目の前にある建物を見てそう感想を漏らす。
巨大な門と塀で囲まれたその建物は本当に巨大な建物だった。
……が、まぁなんて言うか、そのデザインはおうちなんて呼ばれている事に違和感を感じさせないデザインをしていた。
一言で言えば、何かやたらと可愛らしい装飾と色合いをしているのだ、
まるで、リカちゃんハウスのような。

「はぁ、何でこんなところまで荷物を届けなくちゃいけないんだか。」

てゐはそういって髪の中から小さな小包を取り出した。
小包を見つめて、ため息をつく。

「……愚痴ってもしょうがないし、とりあえず用件を済ませますか。」

てゐは門の前の地面に取り付けられている大きなスイッチの上に飛び乗った。
このスイッチはゆっくり用のインターホンである。

プニ~。

インターホンというにはちょっと間の抜けた音があたりに響き渡る。
暫くして、巨大な門が少し開いて中から一人の胴付きゆっくりが出てきた。


 r'ア'"`ヽ.,_ _,,..-=-、    _,. -rァ
     i7::::::::;>''"´:: ̄ ̄`"''<´:::::::::!(
     r!:::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::/i'
     ^Y:::::;:::::i:::::::::/i::::::i:::::::;:::::::;::::Y (_
     ./i::::::i:::/!--/ |:::;ハ_!_::i::::::i:::::::i r'ヽ.   
     く:::L__ハ/(ヒ_]   レ' ヒ_ン );ハ::::ハ:::::|_,ゝ
     ヽヘ「7""  ,___,  ""レ7´)/:::iヽ;:::i
i´`とン' ´`ヽ!,人   ヽ _ン   7_/'´':::::::! i:::!
ヽ.,_//」 、_,ノ:::::ノ>.、、,___, _,,.イ:::!、__!7ノ__. レ'   
   i   ゝ-ァ'/ /)_iヽ/ /(/ゝ、.,_ノ   ̄「iー-、
  ノ〈)    `  /::::ソ^ヽ、/」::_r' _/ /」      |つ  
「あら?胴無しのゆっくりがこのかわいいれいむに何の用?」


現れたのは、巫女服を着た胴付きのれいむだった。
ぶっちゃけ、かわいいれいむというのは、身体がついたれいむ族の総称である。
彼女達の殆どはゆっくりの国の重役についているエリートであり、
目の前のリカちゃんハウスも外見に反して重要な建物である。


「…あ~あんたがかわいいれいむ?ちょっと物を届けに来たんだけど。」

「ちょ、かわいいれいむは一応この国の偉い人達何だからそんな態度はどうなのかと思うど!」


かなり無礼な態度で話しかけたてゐにれみりゃが慌ててフォローを入れる。
「……何、このかわいいれいむ達に向かってその口調は無いんじゃないの?馬鹿なの?死ぬの?」
かわいいれいむは不快な態度をしつこいくらいなまでに表現した。
「とりあえず、これ受け取って欲しいんだけど。」
そんな不快な表情のかわいいれいむに向かっててゐは両耳に挟んで小包を差し出した。


「なに、その怪しい小包!そんなあからさまに怪しい物は受け取れないね!」


かわいいれいむはその小包を拒否した。
      • が、用件を済ませてとっととおうちに帰りたいてゐとしてはここで引く訳には行かない。
「まぁまぁ、受け取って!中身はあんた達の好きなあまあまかもしれないよ!」

「あまあまと言えばれいむたちが素直に受け取ると思ってるの!?馬鹿なの!?死ぬの!?」

「さっきから馬鹿なの死ぬの言いすぎだよ!良いから受け取れって!」

「しつこい!」


バシイッ!


かわいいれいむは小包を払いのけた!
小包が両耳からはずれて、空中を舞う、
『あ。』
てゐ達は思わず声を上げて、小包の行方を目で追いかける。
それは、かわいいれいむのおうちの塀の中に入り込む、
その次の瞬間・・・。


ドガァアアアアンッ!


派手な爆発と共に、かわいいれいむのおうちの一角が吹き飛んだ。

「え?」

「ど?」

「おいいいいいぃ!?」

突然の事に、呆然とするしかない、てゐたち。
「か、かわいいでぃぶのおおうぢがぁああああああああああ!?」
その横で、かわいいれいむが凄い絶叫を上げた。

「…あ、よ、用件も済ませたし、私達も帰ろっか。」

「りょ、了解だど。」

「ミステリーを残すために騒ぐかわいいれいむを他所に私達はそっと立ち去った。」

そういってコソコソと逃げ出すてゐ達。
かわいいれいむはそんなてゐ達をキッと睨みつけた。

「そこのゆっくり達、れいむ達のゆっくりプレイスを爆破しておいて・・・。」



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             ,'= iゝ、イ人レ/_ルヽ=', i   十
           十 i イ i (ヒ_]     ヒ_ン ).ヽイ i |
             レリイi/// ,___,  ///| .|、i .||
              !Y!.   ヽ _ン    「 !ノ i | 
               L.',.          L」 ノ| .| 
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               レ ル`rー--─ ´ルレ レ´
               γ´⌒´-−ヾvーヽ⌒ヽ
              /⌒  ィ    `i´  ); `ヽ
              /    ノ^ 、___¥__人  |
              !  ,,,ノ爻\_ _人 ノr;^ >  )
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              ヽ_  \ )ゝ、__,+、_ア〃 /
                ヽ、___ ヽ.=┬─┬〈  ソ、
                  〈J .〉、| 香 |, |ヽ-´
                  /""  | 霖 |: |
                  レ   :| 堂 :| リ
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                  | ,,  ソ  ヽ  )
                 .,ゝ   )  イ ヽ ノ
                 y `レl   〈´  リ
                 /   ノ   |   |
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                 〉 〈      〉  |
                /  ::|    (_ヽ \、
               (。mnノ      `ヽnm
「ただで帰れると思ってるんじゃねえだろうな!」


説明しよう!
かわいいれいむの怒りが有頂天に達したとき、かわいいれいむは腋巫女服に隠された全身ガチムチ筋肉ボディを露にするのだ!
勿論、これに狙われたゆっくりはアーっ!!!な目に合うのだ!

「お前ら!出て来い!」

「ああん!あんかけチャーハン!!!!!」

マッチョボディのかわいいれいむは仲間を呼んだ!
かわいいれいむB、C、D・・・とにかく沢山現れた!
勿論全員筋肉だ!


「うわぁあああああああああ!」


大量に現れたマッチョれいむに脅えて逃げ出すてゐ達!
「逃がすかぁ!」
かわいいれいむ・・・いや、もうガチムチれいむがてゐたちを追いかける!
そして、先頭を切っていたガチムチれいむの腕が伸びる!


ガシッ!


ガチムチれいむの腕はてんこの腕を掴んだ!
「おいいいいいいぃ!?ちょ、これは洒落になってないでしょ!」
腕をつかまれて叫ぶてんこ。

「さらばてんこ!お前の尻の穴の犠牲は無駄にしない!」

「だど!」

てゐとれみりゃはてんこを見捨てて逃げようとする!
早い!この判断の速さは正に神業級!

ガシイッ!

しかし、てゐたちの逃げ足より、てんこがれみりゃの羽を掴むのが早かった!
「!?」
羽を捕まれて身動きが取れなくなったれみりゃは、とっさに目前のてゐの耳にかみついた!
「あだぁ!?」
ガチムチれいむがてんこの腕を掴み、てんこがれみりゃの羽を掴み、れみりゃがてゐの耳に噛み付く。

「おいぃ、パーティが仲間を見捨てて逃げるなんて卑怯にも程があるでしょう?」

「むむむ!むむむむむむむむ!(いたい、むちゃくちゃ痛いど!)」

「私はもっと痛い!二人とも、地獄には自分達だけで行きなさいって!」

「そうは行かない!地獄に落ちるなら全員で行くべきそうすべき!」

醜い争いを繰り広げるてゐとてんこに、羽を引っ張られて痛がるれみりゃ。
「お前ら!今すぐその場でパンツレスリングの刑だ!」
てんこの腕を掴んでいるマッスルれいむとは別のマッスルれいむ達がてゐ達に真っ直ぐ向かってくる!
あっという間にてゐ達を囲むマッスルれいむ達。
このままではてゐ達は強制パンツレスリングをさせられてしまう!
てんこはとにかく、てゐとれみりゃはどうやってパンツレスリングをするのか気になるけど!


「ちょっと。」


と、その時、一匹の胴つきゆっくりがマッスルれいむ達に話しかけてきた。
虚無僧のような格好の所為で種族がわからないが、声はこれでもかと言うほど透き通っている。

「何だ!これかられいむ達はパンツレスリングを…。」

「たかがゆっくり3匹にそんな大勢でパンツレスリング?大人気ないったらないわね。」

怒鳴りつけてきたマッスルれいむに対してクスクスと上品に笑う虚無僧ゆっくり。
マッスルれいむは小ばかにされたようなムカつく気分に襲われた。

「てめえ…何笑ってやがる!」

どすうっ!

マッスルれいむは怒りに任せて虚無僧ゆっくりの胴体部にボディブローを叩き込む!
虚無僧ゆっくりは身体をくの字に折り曲げた。

「全く、そういう行動が大人気ないって言ってるでしょうが。」

…が、虚無僧ゆっくりはうめく様子も無くそう呟いた。
そして、次の瞬間…。
何と、虚無僧ゆっくりの頭と身体が離れた。

「え!?」

いくら何でも、身体と頭を分離できるゆっくりなんてものはこの世界にいない、
一体何が起こったのか、マッスルれいむは思わず驚きの声を上げる。

「あ~義体が壊れちゃったじゃない、これ高いのよ。」

分離した虚無僧ゆっくりの頭が、崩れ落ちた胴体の方を見てそう呟いた。
胴体はあちこちで煙と火花を上げている。
この胴体は、胴なしゆっくりが胴体代わりに使う機械仕掛の身体・・・通称、義体だったのだ。

「逃がすかあっ!」

目の前で起きた光景を見て、呆然としているマッスルれいむとは別のマッスルれいむが、宙を舞う虚無僧ゆっくりの頭を捕まえようとする。


スポッ!


しかし、捕まえることが出来たのは、虚無僧ゆっくりの被っていた藁の籠の部分だけだった。




外れてしまった籠の下から、とても美しく長い黒髪が現れた。
他のゆっくりとは明らかに違う気品とカリスマがそのゆっくりから溢れている。
その余りの美しさに、その場にいたマッチョれいむが全員見ほれてしまった。

「さて、まずはてゐとそのお友達を助けなくちゃね。」

そのゆっくりは目を閉じて頭の中でこう念じた。

〝クロックアップ″

その瞬間、そのゆっくりの姿が消えた。

「!?」

「ど、何処に消えた!?」

黒髪ゆっくりの姿が消えて、マッスルれいむ達は慌てふためく。
次の瞬間!

シュンっ!

「!?」

「お、おいどうした!」

「大変だ…れいむの…れいむのパンツが消えてしまった!」

「何だって!?」

マッスルれいむ達の視線がそのゆっくりに集中する!
確かにそのマッスれいむの股間にパンツの姿は無く、大事なところが手で隠されている。
      • 今、その手の下には何があるの?って言った奴、けーねに説教されて行きなさい。

シュンっ!シュンっ!シュンっ!

次の瞬間、次々とマッスルれいむ達のパンツが消えていく!

「!?ああ!れいむもパンツが無いよ!」

「うわぁああああ!どこにきえたんだぁああああ!?」

「スースーする~~~~!」

説明しよう!マッスルれいむにとって自分のパンツはアイアンディティーなのだ!
だから奪われると凄くゆっくり出来ないのだ!
皆もマッスルれいむにあーっされそうになったらパンツを脱がしてみよう!

と、言うわけでドンドン消えていく自分達のパンツに大混乱を起こすマッスルれいむ達。
もう股間を隠したり、混乱の余りケツドラムを始める馬鹿がいたりと大騒ぎ!
ゆえに、自分達が囲んでいたてゐ達も姿がなくなってることに誰も気がつかなかった。


シュン。


パニック状態のマッスルれいむ達から少し離れた位置に、黒髪のゆっくりが現れた。
そのゆっくりの黒髪は、まるで触手の様に動いており、
その先にはマッスルれいむ達から強奪したパンツが絡まっていた。
「仕方なかったとは言え、汚い物に触っちゃったわね、後でちゃんとケアしておかなくちゃ。
黒髪ゆっくりはそう言って、奪い取ったマッスルれいむのパンツをキッチリたたんで置いていく。


「…………。」


てゐ達は、そんなかぐやの目の前で呆然としていた。

「…い、今ありのままに起こった事を話すど、
 『かわいいれいむ達に囲まれていたのかと思ったら、いつの間にかその囲みを破っていた。』」

「一体、今何が起こったんですか?教えてください。」

呆然とするれみりゃとてんことは対照的に、てゐは目の前でキッチリと髪の毛を器用に操ってパンツを折りたたんでいるゆっくりをじっと見つめていた。
そのゆっくりもてゐの視線に気づき、てゐの方を向いてこう言った。

「まったく、ちょっと見ないうちにふ抜けたものね、てゐ。」

てゐの口から、声が漏れる。

「あ、あんた…もしかしててるよ?」

サクッ!

次の瞬間、てゐのデコに何かが刺さった。
黒髪のゆっくりの髪先が、鋭い切っ先となっててゐのデコに突き刺さったのだ。

「…あんた、ホントに人の名前を覚えないわね!私はてるよじゃない、かぐやよ!」

かぐやと名乗った黒髪のゆっくりは、てゐの目前まで近づいてそう言った。
「あ~そうだったっけ?」
キス寸前まで面が近づいているのに、てゐは全く動じた様子も無く、そう言った。
と、そんなてゐにれみりゃが問いかけてくる。

「…えーと、てゐさん、そのゆっくりとはお知り合いなのかど?」

それを聞いたてゐは何とも難しそうな顔をする。
「え~と、まぁ、なんて言うか・・・。」

「ちょっとてゐ、流石にここはゆっくりしている場合じゃないわよ。」

と、かぐやがてゐ達にそう忠告する。
…改めて辺りを見回すと、遠くからパトスィーのサイレンの音が聞こえてくるし、騒ぎを聞きつけて野次馬達も集まってきている。
「ちょ、これは不味いど~!下手したられみりゃ達が逮捕されちゃうど!」
このままじっとしていたら、自分達が捕まるのは火を見るより明らかだった。

「私達の隠れ家に案内してあげるわ。」

かぐやはそう言うと、一本のホイッスルを取り出し、それを口に咥えた。

「来なさい!テルヨフ!」

ピィイイイイイイッ!

ホイッスルから、高らかな音が響き渡る。
それと同時に、向こう側から何かが滑ってきた。


       ,. -‐'::┐__,,.._
      /::::::::::::::l-‐─-='、ニー -,,,__,
     /::::::::::::::_::ノ ノ )    ヽ.:::::::_::::::::::::::::;l.'-―‐ ' "´ヽ.
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     |:::::::::::::::::::::_l.    、_)   | V,-,-,-,-(         |ヽ、,ノ
     |:::::ヽ::::::_::::_:l l )     ./∧ーーーー<        |‐'"
.    `、::::::::::::::_:<      ,イ:;:-‐―‐-、.--、      |' ー、'"`ヽ
     ヽ::::::::::::::::l:::ー-‐<__フ     /   i.      |  |  ノ
       ヽ、::::::: ̄ ー‐-‐::::::::<!、    l_,,..-< _   /,..-‐''"
        丶.:::::::、;;;;__:::::::::::::::::`_、_l:::::;;::l    ヽ/
            ̄ ̄ ̄ ̄ ' ー ―――-┘'


なんて言うか、どう表現したら良いのかわからないものだった。
AAがなければ、表現することはほぼ不可能だったに違いない。
「え~と、あれは一体何なんだど?」
やってきたものをみて、かぐやに問いかけるれみりゃ。

「さあ、みんなテルヨフに乗って!」

かぐやはやってきた物(テルヨフ)の上に乗っててゐ達にそう呼びかけた。
「ちょ、れみりゃのことは無視なのかど!?」
そんなれみりゃの言葉を無視しててゐもてんこもテルヨフの上に乗っかった。

「れみりゃ!あんたも乗らないと置いてけぼりを食らうよ!」

「う、うわあああ!それは勘弁だどぉ~!」

てゐの言葉を受けて、慌ててれみりゃもテルヨフの上に飛び乗った。

「さあ!私達の住みかに案内するわ!」

かぐやがそういうと、てゐ達を乗せたテルヨフ仰向けに横になったまま地面を滑るように走り出す!
そして、テルヨフは遥か道の向こうへと消え去っていった。



…その様子を影から見守っている一匹のゆっくりがいた。
緑の髪を持つ胴つきのゆっくりのその名は大妖精、通称、大ちゃん。
大ちゃんは通信機を取り出すと何処かに連絡を始めた。

「こちら大妖精、かぐやは自分のアジトに向かったようです。
 引き続き追跡を続行、アジトを突き止めます。」

その通信機の受信先、そこはどこかの建物の一室だった。
部屋の中では、沢山の胴つきのゆっくり達が礼儀正しく座っている。
みな、顔つきがゆっくりとは思えないほど凛々しく、力強い。
その中で最も力強い瞳を持ったゆっくり、レティが立ち上がる。

「ゆーぎ所長!、指示をお願いします。」

レティは上座に立つ胴つきゆっくりに話しかける。
その胴つきゆっくりは、巨大な一本の赤い角が猛々しいゆっくりだった。
ゆーぎと呼ばれたゆっくりは下座にいるゆっくりたちに向かって、こう呼びかけた。


「かぐやが拠点にしている建物を突き止め次第、全員でそこを叩いて一網打尽にする!」


その言葉で、胴つきゆっくりたちは一斉に刀を構えるのであった。


~☆~


ゆっくりできる旅館、永遠亭。
それが、てゐ達を乗せたテルヨフがたどり着いた建物の名前だった。
「こっちよ。」
かぐやに案内されてたどり着いた一室。
そこには沢山の胴なしゆっくりが待っていた。

「あ!かぐやさんが帰ってきたぜ!」

「ゆっくりしていってね!」

胴なしゆっくりたちは、かぐやの姿を見るなり、お決まりの挨拶をする。

「ハイハイ、ゆっくりしていってねは良いから、お客さん達を丁重におもてなしする準備を始めてね。」

「ゆっくり理解したよ!」

かぐやの指示を受けて、ゆっくり達はおもてなしの準備を始めた。
「え、えーと、この人達はかぐやの仲間さんなんだど?」
れみりゃはかぐやにそう問いかける。
「ええ、そうよ、みんな良いゆっくりばかりだから安心してね。」
かぐやの答えたとおり、ここに居るゆっくり達はみんな文字通りゆっくりした雰囲気をかもし出している。
てゐ達は机の前の座布団に並んで座る。
やがて、てゐ達の前に、文字通りゆっくりした御馳走が並べられた。

「さあさ皆さん!ゆっくりムシャムシャしていってね!」

「え!?これ全部食べて良いのかど!?」

「おかわりは自由だぜ!」

「9杯でいい。」

食べて良いって事で、れみりゃとてんこはその御馳走をムシャムシャ食べ始める。
「むーしゃむーしゃ、幸せ~!」
ご飯を食べたら、やっぱりお約束の台詞を言う二匹のゆっくりが居た。

「ハイ!君はどんべえが好物だってかぐやさんが言ってたから。」

てゐの前には、どんべえがドン、と置かれる。
勿論、このどんべぇもただのどんべえじゃない、
何と、ウコッケイの卵が割り入れられているのだ、しかも二つ。
てゐは耳で箸を持つと、器用にどんべえを食べ始めた。
「ムシャムシャ、幸せ。」
食べ終わるとてゐは棒読み気味にそう呟いた。

「てゐ、おかわりはまだまだ在るわよ。」

かぐやがてゐに向かってそう言った。
彼女の言うとおり、後ろでは胴なしゆっくり達が、いつでもどんべえを食べられるようにスタンバイしていた。

「…随分と豪勢な食事を出すんだね。」

てゐはかぐやに向かってそう話しかける。

「まあ、当然でしょ、これは新しい仲間の歓迎会なんだから。」

かぐやの言葉にれみりゃとてんこの口が止まる。
「ハイ!おかわりだよ!」
ゆっくりの一匹が、てゐの前に新しいどんべえを置く、
しかし、てゐはどんべえを食べずに、じっとかぐやを見ている。
「新しい仲間って、誰の事だど?」
れみりゃはかぐやにそう問いかける。
しかし、かぐやはまたもれみりゃの言葉を無視しててゐに向かってこう言った。


「率直に言うわてゐ、貴方の力をまた貸して欲しいの、
 私たち、反逆ゆっくりの為にね。」


かぐやの言葉を聞いててゐは、おかわりとして置かれたどんべえを全部食べると、こう呟いた。

「………てるよ、あんたまだそんな事やってたの?相変わらず馬鹿だねえ。」

「馬鹿といわれても、永遠にゆっくりしてしまったゆっくり達の為にも、今更やめるわけにはいかないでしょ。
 あとてるよじゃなくてかぐやよ。」

二人の間に、冷たい空気が流れる。
「え~!?こ、こいつら、反逆ゆっくりだったのかど!?」
一方、れみりゃはかぐやの言葉を受けて、全身を振るわせる。
「おいぃ?何でこいつ等に脅えているんですか?」
てんこは何故れみりゃが脅えているのか理解できず、首をかしげている。

「て、てんこちゃん、反逆ゆっくりを知らないのかど!?
 この国では有名な話なのに!」

「私はヴァナ出身だからな、この国の事はあまりちょっとしか知らない。」

「あ、そう言えばそうだったど、じゃあちょっと説明してあげるど~。」

そういってれみりゃは説明を始めた。

胴付きゆっくり達が台頭し始め、文明を発展させ始めた頃、
このまま胴付きゆっくり達が図に乗り始めたらみんながゆっくり出来なくなるんじゃないかと一部の胴無しゆっくり達が考え始めた。
やがて、彼らは胴付きゆっくり達の台頭を阻止するため、反逆ゆっくりとなって一致団結で胴付きゆっくり達に立ち向かった。
だが、その時点で胴付きゆっくりと反逆ゆっくり達の戦闘力の差は確定的に明らかな位開いていた。
胴付きゆっくり達は高い身体能力だけではなく、人間の文化を参考にマシンガンや戦車などの武器まで生み出していたからだ。
それに対し、胴無しゆっくりが殆どであった反逆ゆっくり達には体当たりや投石といった原始的な攻撃手段しか持たない、
その圧倒的な差を埋める事は出来なかった。
結局反逆ゆっくり達は全て胴無しゆっくりの手によって粛清されて全滅したと…。

「全滅した…筈だったけど、まだこんなに生き残りが居たなんて…。」

れみりゃは驚いた様子で部屋中に居るゆっくり達を見回した。
先ほどは何だかのんびりしているように見えたゆっくり達の顔つきが今は恐ろしげに見える。
原始的な攻撃手段しか持たなかったかつての反逆ゆっくり達は、
場合によってはダイナマイトを口に咥えて胴付きゆっくり達がゆっくりしている建物に突入
自らもろとも胴付きゆっくりを爆破するなんていう無茶なことまでやってのけたという話まである
そんな物騒な連中に囲まれてるとわかったれみりゃは、後頭部に冷たい物を感じたのであった。

「居なくなったと思っていたらまた現れるなんてのは良くあること。」

そう言ってウンウンと頷くてんこ。

てゐとかぐやのにらみ合いはその間も続いていた。

「てゐ、もう一回言うわ、私達反逆ゆっくりの仲間に入りなさい。」

「だから何で私がてるよの手伝いしなくちゃいけないの?めんどくさ、パスパス。」

「そんな事を言ってももう後戻りは出来ないわよ。」

そういってかぐやがゆっくり達に目配せする。
すると、ゆっくりの一匹がテレビのスイッチを入れる。 
テレビが映し出したのは、ニュース番組だ。
ナレーターをしているのはゆっくりようむだったが・・・。

「みょん!みょんみょんみょんみょんみょん!ちーんぽ!」

…ようむはみょんとちんぽしか喋れなかった。
何でこいつをニュースキャスターにした?テレビ局。
「…チャンネル変えて。」
てるよがそう言うと、ゆっくりはチャンネルを変えた。
今度はきめぇ丸がキャスターをしている、ちゃんと聞き取ることが出来そうだ。

「今日未明に起こったかわいいれいむのおうち爆破事件はここの所活発な活動をしている
 反逆ゆっくり達の仕業という線が強まりました。
 警察は、現場の目撃談から、3匹のゆっくりを反逆ゆっくりの一員として行方を追っています。」

そして、テレビ画面に容疑者の顔が映る。
…手書きで書かれたそれは明らかにてゐ、れみりゃ、てんこの顔であった。
「うわあ、何か完全にあの爆発れみりゃたちの所為にされてるどぉ…。」
この状況にはもうれみりゃもあきれ返るしかなかった。
「この似顔絵おかしいだろ、私はもっと美人だ。」
てんこはテレビの似顔絵に文句を言っている。

「ね、これであんたは表の世界に顔を出す訳には行かないでしょ?」

「…あんたもいい性格してるね。」

てゐとかぐやの間には、正にゆっくり出来ない空気が流れていた。
そんな状況ではあったが、れみりゃは一つ、質問したいことがあった。

「…あ、あの~てるよさん…。」

「てるよじゃなくてかぐやよ!」

「……かぐやさん、何でそんな執拗にてゐさんを仲間に引き入れようとするのだど?
 言っちゃ悪いけど、このゆっくり、嘘つきでいい加減な駄目ゆっくりだど。」

「駄目ゆっくりで悪かったね。」

れみりゃの質問を受けてかぐやはクスリと笑う。

「てゐ、あんた自分の事こいつらに話してなかったの?」

「言った所で意味ないじゃん?」

「だったら貴方にも教えてあげるわ、てゐはね、昔は私達の仲間――つまり反逆ゆっくりだったのよ。
 懐かしいわね、こいつと一緒に胴付きゆっくりを相手に戦ったあの日は…。」



「…えぇ!?」

「それはマジな話ですか!?」


れみりゃとてんこは本日一番の驚きを感じた、
この駄目ゆっくりが反逆ゆっくりとして胴付きゆっくりと戦っていた?
れみりゃとてんこはてゐの顔を見て、信じられないといった表情をしていた。


「…昔の話じゃん、今となっては邪気眼と同レベルの黒歴史だよ。」


てゐはそういって3杯目のどんぶりを食べ始める。
そんなてゐに向かってかぐやはこう言った。



「かつて『白ウサ』と言われ、敵はおろか味方までその強さに震え上がったと言うその実力…
 私達は今、その力を必要としてるのよ。
 力を貸してくれないと言うのなら・・・強硬手段に出るわよ、てゐ。」


周りのゆっくり達がいつの間にか全員スペルカードを構えていた。
「れ、れみりゃ達はどうなっちゃうんだど?」
「こ、これは全然syれになっていないでしょう…。」
「…。」
れみりゃとてんこが緊張する中、てゐは我関せずとどんべぇを食べていた。




作者 かに

  • 胴無しゆっくりはどこを脱がすんだ?マッスルれいむ自体パンツはいてないしw -- 名無しさん (2011-02-05 13:57:15)
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最終更新:2011年02月05日 13:57