【夏休み10】自重不足の背中 後-1

※ほんの少し、暴力的な表現と性的な表現あります
※東方原作の能力やキャラに対しての独自解釈と妄想があります

 特に、八雲藍と人里に関してかなりアレな考えで描写しているので、ご注意を



 前方に戦意に溢れた鬼。後方に怒った神様2人。
 無事ですませる光景が全く描けず、私はずっと無様に立ち尽くすしかありませんでした。
 お互い驚いて、ほんの僅かな間が開きました。
 口火を切ったのは鬼の方でした。

 「そこのゆっくり、ここじゃ邪魔も多かろうて。場所を変えるかい?」
 「ら、らんは、鬼さんとけんかなんかしたくないよ! ゆっくり仲良くしてね……」
 「―――鬼の姐さん?ゆっくりにどんな偏見持ってるか知らないけど、そいつはただのオイナリサンだよ、
  見た目からそんなに強くは見えないけど、実際に強くない只者だよ」
 「ぬ」

 やや表情がゆるみました。

 「そりゃそうか。あの箱みたいな奴とゆかり先生が特別なのかな? 正直焦ってた。すまん」

 今までゆっくりに対してどんな目にあってきたのやら
 鬼の態度に胸を撫で下ろしたい所でしたが、神様2人はそうもいきません。

 「その弱いゆっくりを投げ飛ばしたりしたのは誰だろうね?」
 「正当防衛って言葉知ってるでしょ? 理由なく石頭で殴られたり、蛇投げられたりしたんだから、掴んで投げたって
  お釣りが来ると思うけど?」
 「―――……右の頬を殴られたら左の頬を殴り返す って訳ね ――じゃあこっちも報復の権利はあるでしょう」
 「平和にならないわけだなあ」

 標的はやはり我々で変わり無いのです。
 鬼は一応助け舟を出してくれました

 「神様方、私も焦ってたが、こいつらは」
 「鬼風情が口出しするんじゃないよ」

 ふわり、と気味の悪い柱が浮き上がりました。
 あのゆっくりがさなえがよほど大事なのか、神様達はとても機嫌が悪いご様子でした。 

 「もしかしてアレか。うちのお空に変なものを吹き込んだのって………」
 「あぁ、あのカラス。―――するとあんたも地底のやつかい? 何でか土臭いと思ったら」
 「―――神様ってにゃ、弱いものいじめが好きか?」

 鬼が、いかにも大儀そうに見下した目で顎をのけぞらせた時、柱が動きました。とんでもない重さに見えるのですが。
まるでチョークでも投げるように一瞬のこと!
 鈍い音で地面に突き刺さる柱ですが、その横で、若干紅く腫れた手の甲を、少し困った顔で振っている鬼は
無傷です。
 おそらく、手の甲で弾いたと思われますが、これは改めて鬼の力もさることながら、その皮膚を腫れさせられた
柱も凄い。
 すぐさま無数の他の柱も飛交い始めました!
 悲鳴をあげる間もなく、私はリュックを外され、その中に押し込められました。
 ルーミアさんです。

 「―――ちょっとレベルが違う!」

 鬼と軍神は交戦中
 私は顔だけ僅かに出した状態で、ルーミアさんにリュックごと背負われて逃げるしかありませんでした。
 が―――勢いよく飛んだ先には、かの土着神が先回りしていました。

 「―――なーに、里にまで来て、聞いたことに答えてくれればよい」
 「? ―――――そういうのは信用できないなー」

 ルーミアさんが一歩踏み込むと、視界が真っ黒に変わりました。 真っ暗というよりは、「真っ黒」です。
 光が遮られ、それ以上に墨汁が固まって浮き上がった中に入ったような―――これが、かの「闇を操る程度の能力」
なのでしょう。
 本人や霊夢殿から聞いていたより、遥かに恐怖感を与える能力です。
 それは、あの諏訪子様も同様らしく、闇の中で驚嘆の声が聞こえました。
 そのまま素早く、ルーミアさんは前進し、闇を解かれました。
 振り向くと、諏訪子様は後方で先程と同じ場所で身構えたままなのです。やはり動揺していた様子で―――
――これは「楽しかったといえば楽しかったが、強敵だった」と話される霊夢殿のお話から察するに、あまりにも反応が遅い。
 すぐ様こちらに諏訪子様は追撃を始めました。あっという間に追いつかれそうになり―――同時に、再び闇が展開
されました。

 「うわっ………」

 また驚き焦る声を聞きつつ、私達は闇を解いて90度進路を変えました。
 ――やや途切れ気味に闇を介助するのは、体力の問題もありますが、ルーミアさん自身、闇の中ではご自身も視界が
きかない、という何とも歯がゆい弱点があるためなのです。
 全力で逃げるにも、普段歩きなれていない林の中、自分で足をとられでもしたら意味がありません。
 そこで、ご本人も気づかれたようです。

 「―――これって」

 基礎能力は、恐らく全て諏訪子様の方が上。
 それを前提に気づいた事は

 「あいつ、知らないのかな?」

 ルーミアさんの弱点についてです。
 あれだけ強く視界を遮られた上で、ルーミアさんのみ闇の中でも通常通りに攻撃ができるとなると、確かにこれ以上の脅威は
無いでしょう。


 ――相手を見下しすぎる事は危険ですが、 相手を過大評価してしまことも、同じくらい大きな敗因となる――


 これは霊夢殿に霊夢殿が教えてくださった事です。
 確かにこの状況はよいアドバンテージ。
 しかし、そうした相手の無知をいつまでも利用するのは難しい。こちらはただ毎回進路を変えて逃げるばかりですし、小まめに
闇を解除することから、そろそろ弱点に気づかれる頃でしょう。

 「ならば」

 意を決したようにルーミアさんは踵を返して、諏訪子様に向き合いました。

 「―――そのリュックの中に、全身を隠してなさい。絶対に出てきちゃダメ! 約束して!」
 「は、はい!」

 それでも、私はスキマから何とかその様子を見ることができました。
 諏訪子様は、鉄の輪を放ちながら近づいてきます。

 「―――4m……いや、3mもあれば十分。 まーそれしかできないんだけど」

 接近する諏訪子様を確認し、前傾姿勢で構えるルーミアさんは、何故か片腕を両目に強く押し当てているようでした。
 ―――その間に、放たれた鉄の輪がルーミアさんの前面にいくつか被弾したらしく、絶叫とその衝撃がこちらにも伝わりました!
 それでもルーミアさんはその場から姿勢も崩さず―――
 4度目の闇が広がりました!

 「っああ?」

 じわりと広がったのは、とんでもない、 濃い闇です。
 暗さというものを何かしらの数値として捉える事が出来た場合、例えば自然界の普通の夜の山が100%ならば、今まで展開した闇が
200%。今は、それを上回る400%といったところでしょうか?
 視界以上のものを遮る暗さです。
 これが。瞼を閉じても染み渡ってくるのです。
 「半径3m」と言っていましたが、ある程度減手された空間でしか作れない条件を持った、ルーミアさんの切り札の一つなのでしょう。

 「そのまま絶対にしばらく目を開けないで!」

 私に囁きながら、ルーミアさんは即座に闇を解除しました。
 同時に襲ってきたのは、強い日の光。
 目は固く瞑っているはずなのに、いわば、「マイナス」の状態から急激に「プラス」の視界の利く世界に戻されたのですから、それだけで
目が傷つくほどのダメージになるようです。
 ルーミアさんが、瞑っていただけではなく、腕で押さえていたのはこうこの反動のダメージを防ぐためでしょう。

 「うあああああ!」

 前方からは、激しく呻く諏訪子様の悲鳴。
 最初から目も瞑っていなかったのですから、そのダメージは相当なもののはず。

 「逃げるために作ったと思った?」

 闇の中でも至近距離まで一気に近づき、方向性が確認できれば、十分に対策が取れると諏訪子様は思ったのかも知れません。
 だから、解除される事だけは予想外だったのでしょう。
 お互いの距離は、両目をおさえて苦しんでいるであろう諏訪子様と、迎撃体勢のままのルーミアさんと、十分詰まりました。
 諏訪子様の足を止めたのは、闇ではなく元々あった、日の光。
 そしてそれは、離れて逃げるためではなく―――――ルーミアさん自身が近づいて確実に攻撃するため!

 「喰らえ……」

 結果を見ようと、うっすらと目を開けてみました。
 その時。
 私が入ったりリュックごと、ルーミアさんは横転しました。
 目の前の諏訪子様は見えますが、それは正面の相手です立ち上がろうとしたルーミアさんを、また同じ方向から強い力が打ちのめし
ました。
 ルーミアさんはリュックを無理やり外すと、私ごと更にきつく蓋をしました。
 もう、すぐにでもリュックから出てルーミアさんに駆け寄りたいのですが、私を、今まで一番恐ろしい目でルーミアさんは睨みつけました。

 「だまってな………」

 視界もかなりなれ、その蓋の間から外が見えました。
 こちらを見下ろしている2人がいます。

 ―――本物の東風谷早苗さんでした。

 その横に、寄り添うように腕に絡み付いている方――――誰だか思い出せません。
 痛みよりも、驚愕の声をルーミアさんはあげました。

 「こ、小傘!」
 「まったく………よく考えれば、求聞史記にも書かれていたんですねザコ妖怪だからといって、読み飛ばすのはよくありません」
 「あんた………なにやってるの!?」

 思い出しました。割と最近、UFOを追った時に霊夢殿が通りすがりに倒したと言っていた古傘の妖怪です。
 よく見ると、これ以上無いほど小刻みに震えて項垂れています。
 ルーミアさんは、先程諏訪子様の輪や、無抵抗に早苗さんの弾幕を受けたにも拘らず、いきり立って続けました。

 「リグルやミスティアも、どれだけあんtなを心配したと思ってるjンダ!」
 「ごめんなさい…… ごめんなさい……」

 小傘さんは泣きながら謝り続け、更に早苗さんの腕にしがみつきました。
 早苗さんはさも満足げにルーミアさんを見下して笑っています。

 「ご苦労様。ルーミア(こいつ)の事を教えてくれて。 ――まあ…自分も視界が閉ざされるなんて、マヌケですねえ」
 「あっ………」

 絡まれていた腕を無理やり振りほどき、早苗さんは小傘さんを乱暴に抱き寄せると、ギリギリとこめかみを強い力
で握りました。
 それも、適当に乱暴に扱うというよりは、あえて意図時に荒々しくしているよう。そして、そうした間にも、親指
だけが優しく小傘さんの項から頬を優しくなぞり、小さい円を頬に何度も描くのでした。

 「何を謝ることがあるの?………傘としては何の役にも立たないあなたが、ようやく私に役に立ってくれたじゃ
  ないですか」
 「あぁ……早苗…… 早苗が喜んでくれてるぅ…………  嬉しい……」
 「こ、こが………さ……?」

 小傘さんは恍惚とした表情で、早苗さんにほめられ(?)心から嬉しくてたまらない様子です、その目には、全く生気
というものがありません。
 私も呆然としていると、諏訪子様が立ち直り話しかけてきました。

 「早苗、まずはありがとう!」
 「ちゃんと本は読まないといけませんね」
 「―――それでもさ、ゆっくりさなえをいじめたのはこいつ等に違いないけど、本当に異変と関係あるのかな?」
 「実際に関係あるかどうかは重要ではないのでは? 妖怪ですし、解決の一環としてこいつらをしょっぴけば里の人達も
  それとなく安心するでしょう。 仮に関係なくても、妖怪退治に理由なんて必要すらありません」
 「こっちも終わった………」

 よほどの激闘だったのか、まさに満身創痍という様子で、神奈子様は失神した鬼を片手で何とか引きずって歩いて
こられました。
 嫌な予感しかしません。




 私達は村の入り口の付近にまで連れて行かれました。
 私の入ったリュックは、ルーミアさんの傍らにおいてもらえました。
 集まった周囲の住人は皆何ともいえない顔で、今までとは違った恐怖でした。
 失神したまま、というか豪快に寝ている鬼と、「そろそろどうでもよくなってきた」とぼやくルーミアさんに、あまり人間達は
興味を示しません。
 それでも、グルグルと縄で縛られたまま聞いています。

 「一応、私達何もやっていないんだけど、何があったの?」
 「いや、今朝方のことなんだがね」

 一人の男性が律儀にも指差しました。

 「あれを見てみい」
 「―――うわお」

 最初は、何かの俵か、もしくは土とかかわらとか、農作業に必要な何かだと思い込んでいました。
 そこら辺に転がっているので、探さなくてもよく見て取れ、すぐに間違いだと解りました。
 狐色で、太くて少し短くて、やや丸いもの。
 四斗樽程度のものから、手の平サイズのものまで。
 嫌がらせとしか思えない量で、通行人の大きな妨げになっています。




 ―――オイナリサンでした





 「る、ルーミアさん、これって………」
 「………うん……」
 「全く、一体誰がこんなに大量のオイナリサンをこんな所に…………」
 「こんな事なら、麓の巫女さんに頼めばよかったかな? 山の巫女さん妖怪退治するのは得意だけどねえ」
 「こんなの、処理するのにどれだけかかるんだ……」

 何かしら妖怪の仕業には違いないと思っているのでしょう(ある意味そうだったのですが)。険しい顔は、片づけが
面倒だからという事です。
 早苗さんは、ゆっくりさなえさんを頭に乗せて、他の人間の方々と何かを打ち合わせしています。

 「で、おたくらがこれやったんけ?」
 「…………………」
 「どういう理屈か知らんし、まあ妖怪のやる事だからねえ」
 「――――けど、やって良い事と、悪い事があるだろう」
 「まあま。 ルーミアのせいと決まった訳じゃなし」
 「んだねえ」

 皆必死で台車に乗せてオイナリサンを移動させる傍ら、小さな子供が躓いて、至る所で泣き出し、中には拾って
食べようとするのを止める光景が見受けられました。

 ―――藍様との約束を破ってしまった事で、またしてもこんな事態に………

 「ルーミアさん」
 「んー………」

 早苗さん達に攻撃されたのは、本当に言いがかりとしか言えませんが、元々彼女達が呼ばれたのは、このオイナリサン
のため。
 そして、それを出してしまったのは、完全に私のミス。
 下手をすると、早苗さんに更にひどい事をされるかもしれませんし――――何より、これは周りの人間達も恐れて
いましたが、今は気絶して拘束されている鬼さんが、このまま目覚めたら大惨事となりそうです。
 ここは早く治めるしかありません。

 「それはさ。私がやってしまったんだよ」
 「ルーミア、またおめえかよ」
 「お前さんも、性質の悪い妖怪じゃのう。一昔前の単なる人食いの一匹と思っとったら、最近じゃ意味なく馬や牛に
  パンチを入れて、主婦を無意味に巴投げを食らわせたり、酔っ払って林で寝て周りを驚かせたり、挙句の果てに
  オイナリサンの不法投棄か」
 「これ本当に大変なんだぞ!!!」
 「こっち半分は、お前一人で片付けろよなー!!!」

 最初は、本当にルーミアさんにこうした異変が起せるとは思っていなかったのでしょう。
 そこへ、正直に―――というか、本当に実際に、勘違いというか言いがかりでつれてこられたのですから。
 それをある程度人間の方々も理解していたと思いますが、本当に主犯となれば、碇も一入です。

 本当の元凶はこの私

 まだ会えない霊夢殿に、これでは顔向けできません。
 私は、すぐにリュックから這い出して、謝りたかったのですが、ルーミアさんが頑なに蓋をして出そうとしてくれませんでした。
 やけくそ気味に、自分で掃除を全部やるつもりだといっているのですが……
 いつもなら、朝ご飯の時間です。
 霊夢殿にも会えず、神社を出てしまい、こうして人里に迷惑をかけ何もできない――――霊夢殿にも、藍様にも
誰にも顔向けできませぬ。
 神社を出る前に泣かないと約束したにも拘らず、私は情けなくも、しくしくと泣き出していました
 ルーミアさんに、ここから出して謝らして欲しいと訴えますが、中々な聞いてもらえません。
 そして―――

 私が聞きたくない声を聞かされたたのは、その時でした。

 「お、お、お、お久しぶりですうう~  ルーミアちゃあん」

 聞くだけで自分の中の、情熱や生真面目さ、勤勉さといった大切な要素がガリガリと削られていく、兵器のような声色。
 本当に生物なのでしょうか?
 耳を塞ぎたくても、体を引っ込めているからできません。
 嫌な予感は的中しました。

 「あれ、れえむさん、久しぶり」

 ルーミアさんが知り合いとは知りませんでした。 ショックです。

 「あ、ゆっくりれえむだ」
 「れえむだ、れえむだ」
 「巫女さんのゆっくりかあ」
 「珍しいな。エサを与えてみよう」

 ―――まさか人里にまで認知されていたとは。
 世界が段々信じられなくなってきます。

 「どしたの?人間さんども」
 「見ての通りの有様でさあ れえむどん」
 「ゆわーいv  オイナリサンがいっぱーいvv」
 「どう処理すりゃいいんだか」
 「食べればいいじゃない」

 無茶を言ってはいけません。
 呆れる人間達を他所に、大袈裟な咀嚼音といちいち「むーしゃむーしゃ」と喋るので、実際に食べている様です。

 「しあわせ~」
 「れーむどん。 そんなの食べたらおなか壊すぞ」
 「うーん、大丈夫だよ」

 と、声が近づいたと思ったら

 「ほら……これは乱射魔の仕業だし」

 突然、リュックが開くと、私は外に放り出されました。
 恥ずかしさと突然の事に震えていると、人間達は皆黙っていましたが――やがて歓声があがりました

 「おお、藍様!」
 「藍さまのゆっくりだ!」
 「ゆっくり藍様ね!」
 「ゆっくりでも藍さまはかわいいしかっこいいのう」
 「朝からお目にかかれるなんて何て縁起がいいわあ」


 ――意味がよく解りません。


 「ゆっくり藍様」
 「ら、らん でいいよ! 様をつけるとちょっとへんだからやめてね!」
 「気づきませんで申し訳ありませぬ―――このルーミアに捕まっていたようですが、こやつの処罰はどう…」
 「おう、刺すなら刺せー」
 「ちがうよちがうよ! ルーミアさんは、らんのお友達なの! 助けてリュックに入れてここまで運んでくれて、
  本当はすごくやさしいようかいさんなんだよ! お願いだからいじめないでね?」

 それから、この大量のオイナリサンは―――
 私は早くも再生した尻尾の一つを千切って、人間の一人に渡しました。

 「めいわくかけてごめんなさい! これ、らんがだしちゃったの!」

 手の平の上で、尻尾はオイナリサンに変化します。
 全員顔を見合わせています。

 「ごめんねごめんね? らん、ちゃんとおそうじするから、ルーミアさんと、そこの鬼さん達も許してあげてね?」
 「聞いたか皆の衆! 勇儀さんとルーミアの奴を離して、すぐにオイナリサンを回収だ!」
 「「「「  合点 !!!!!!」」」

 巌を鑿で削ったような筋骨隆々のご老人の掛け声と共に、鬼気迫る勢いで、オイナリサンを、しかも優しく
丁寧に皆回収し始めました。

 「つまみ食いなんぞするんじゃねえぞ!」
 「今日はごちそうだなあ」
 「いやー こんなゴホウビもらっちゃっていいんだか」

 呆然とする私の横で、ルーミアさんが頭をかき、鬼さんが寝ぼけ眼で目を覚まし、2柱とゆっくりさなえさんが、
もの凄く顔をゆがめて呻いていました。

 「常識にまだとらわれているんですね……私達……」


 紅白饅頭が、まだ後でオイナリサンを齧っていました。





 「――霊夢ちゃん、怒ると思うなあ」
 「面目ない」

 何故か鬼さんも一緒に私達は人里から出ていました。

 「留守番してっ って言ってたんでしょ?」
 「でもでも、霊夢殿が心配だし……」
 「ぬう……あの巫女、どこで油を売ってるんだかわからないよ!」

 大分意識がはっきりしてきた鬼さんが、思い出したように言いました。

 「ミコさんって あれか。紅白の?知ってるぞ」
 「…………」
 「え?」
 「いや、私が今通っている道場に」

 日は上りきったので、折角見つけた喫茶店には誰もいないでしょう。
 一端神社に帰ろうとすら思っていたのですが

 「あの喫茶店あるだろ?あのすぐ近くなんだけどさ」
 「もしかして……」

 指圧教室と言っていましたが

 「い、いってみようよ!」

 ちなみに鬼さんは、夏の始め頃に、体のあるゆっくりに地底で敗北したのをきっかけに、地上で鍛え直したいと
思っていた矢先に、その道場の存在を知ったらしく―――
 霊夢殿のメモと、鬼さんの話を頼りに4人で足早にその道場とやらにだドリ着くと、そこは水車小屋でありました。
 私が転んだ小川の先に位置していた訳です。

 「着いたよ。ここが、私が今教えてもらっている 『YUAKIN BLOSSOM』道場さね」
 「………」

 そのネーミングセンスに多少違和感と嫌な予感を覚えましたが、ようやく到着できたのです。

 (ここを開ければ、 霊夢殿にあえるんだね………!!!)

 ―――中では、何かの事情で動けなかった霊夢殿が中にいて、勝手に留守番の中外に出てしまった私を叱り、
ルーミアさんにお礼を言って、そしてしばらく事情を話した後仲直りする。
 そして、今までに起こった事を話しながら3人で(この人数が重要です)神社へ帰り、お茶を飲んで、絵本も読んで、
一昨日までの生活に戻る―――
 そこまで幻視していたのです。
 扉を開きました





 惨劇が待っていました






 霊夢殿は、昨日の紫様と、全く同じ体勢でうつぶせになっておられました。
 その上を、ブミョンブミョンと、マヌケな事この上ない音で飛び跳ねている者があります。


 あろうことか、あの紫様のゆっくり―――紫ババアでした………


 霊夢殿は完全に睡眠に入っておられたようなのですが、上から加えられる圧力に、あの時の紫様と同じ様な吐息を
もらしておられました。
 ―――何が悲しくて、昨日と全く同じ光景を見なくてはならないのでしょうか?
 目の前の光景が信じられず、折角たどり着いた場所がこんな地獄絵図と化しているとは………
 が、先に声をあげたのは、紅白饅頭の方でした

 「ゆっくりゆかり先生。 お客をお連れしましたよ―― っと……」
 「ゆ、ゆかり! 何やってるの!!?」
 「あら……遅かったじゃない」
 「だから何やってんだよ!!!」
 「見れば解るでしょうに………………」
 「そ、そんな巫女さんを騙して指圧して…………」
 「指なんてないわよお?」
 「こ、この泥棒猫!」

 これは霊夢殿に対して言っているのか、紫ババアに言っているのか………?

 「何だよ、その恍惚とした顔は!!! そんな事を昨日から24時間以上もやってたの!?」
 「いや、それは大袈裟だけど……… ウフフフ。霊夢ちゃんったら、こんなにホットケエキみたいになっちゃって………」

 霊夢殿は、本当に気持ち良さそう。
 対して、紫ババアは昨日の紅白饅頭と行為こそ同じでしたが、その顔はあんなに緩んだものではなく―――
どこか、狂気と敵意に満ちたものでした。

 「最近、ルーミアちゃんやキスメちゃんの相談に乗ってあげたり、この巫女さんに私と2人でちょっかい出すようになったり、
  随分色んな所に顔出してるみたいじゃなあい?」
 「ん―――それで、一回剣で頭から刺されたけどなあ」

 そういえば、あの穴はふさがっておりました。

 「前は、私の帽子を船代わりにして川を渡ったり、水槽や蟲籠の中で3日くらい生活して見せて、人間を2人で
  おちょくっては楽しんでいたのに、最近じゃ人間や妖怪に自分から一人でおちょくる事が多いじゃない」
 「まーそうだね」
 「それで…………あんたの興味を引かせる人間や妖怪達が、どんな連中かと思ってさ」

 と、霊夢殿が目を覚ましました。
 よほど気持ちよかったか、焦点が合わず、寝ぼけ眼です。

 「あ……… また寝てた?どれくらい経っちゃったかな…… そろそろ本当に帰らないと」
 「あら、霊夢ちゃん。まだ練習は始まったばかりよ? まだ晩御飯にもなってないから大丈夫。 さあ、御手本のつもりが
  気持ちよくて眠っちゃったわね。今度は教えた事を私にやってちょうだい」
 「……………」
 「ほら…私をあのゆかりんだと思って………」



                       _,.、     /7ヽ.
                      /:::;ヘヽ,.___,:'::∠i:::/_
                     ,':::/´ i::| /::/ /:/   `'' 、
                    ,.'"':;::'、 |:|_/∠、r'-'、_ノ     `ヽ.
                    !  \ゝ'-'"´ ̄; ̄ヽ_>-、_,ノ   i  ……ゆっくりいらっしゃい……
                   rゝ、‐ '" / | !  ,ハ-‐ハ`'ーrヽ、__」、
                   くr'"/  /-‐ /! ,' -‐ ヽ! i`ヾr-r'
                   ノ i  /rr=-, レ'  r=;ァ .ハ /! ,ゝ
                  ,:' /! ,ハ ""  ,___,   ""レ' |/  |
                  /へrヽ 人         7 ,'  i |
                  . ィ个)ン ト>.., _______,,, イ.イ / .ハ ',
                   ( ( (   /: : : : { し' }} : }( 〈  (  ヽ
               /⌒)ー-)ーく: { : : : :∨ 〃: ハ `ヽ) ヽ  )〉
               〃   `勹 : : : :∧ : : ,.ィマ/: }_彡, /   j/
             八=≠ミx.亅: : : :[入彡'^ ハノ| : : ∨  (´
        _..  -─---ヘ   ヾ] : : : : : .{{ : : : 》 |i : :_人  ノし
   /¨ ̄    r‐-‐ '"´ ̄   ) : : : : /`¬⌒\ ̄\ `ー-、
.  '-─  '' ¨ ̄/__,. -─‐‐----ヘL: -┘   \_ `ヽ  `¨ ̄


 「あ………う………うん。 わかっ………た………/// 」



                     / ヽ,         ゝ_,ノヽ、_
         ,'´`ヽ      /   ヽ       / `ヽ、 `ヽ、
         ゝ_,ノヽー‐、 /     ヽ    /     ヽ,  ヽ
         /´   `ヽ、ヽヽへ   ハ ヽ /        ヽ  }
          /       ソ   `ヽ/ V/   \ ヽ|||/ i__ノ
       /        |   \___,,.イ \   /\
       /    ,. -┴‐ '' ´        \/ \
      /                      \    __|_
      /__     __      __    ヽ     / |
     /   /___ノ   { ̄ ̄7'´    ̄/`ヽ\   _ノ 、_|
    __ノ_,. イ´   ノ_,,. ---' ̄ ̄∟___  ′  \
  r'´    ) -‐'' ´             `ヽ、  \   l__ ii
  |  ,. '´     ,           ,、      `ー\   ノ  l
  | /      /!        ハ    |    、<     ノ
 /      ,ィ\ \     /  i./   !   〉<
./   /   / __\ ヽ   /  /__ノノヽイ >    l__ ii
|    i   /./ ト-- i三ヽ  /三三├- ヽ !`ヽ  | <   ノ  l
|    |  i ヽ L_ _|三≡V≡三三L_ __ノ ノ / >    ノ
ゝ-、  |  |iiiiiiしiiiii彡====ミiiiiiiiiiiiしiiiiii/ =
   ヽ.|  |||||||||||  (____〃 U  ||||||||||||レ/      ┃
    |  ノυ    rレVVVVレ\ヽ   U    ! /    ┃
     レ从    υ |l |l/;':.・:゚・;:,'| | |    /  /    ┃
    /   \ υ   /;:.;';.'..,・:/ノノu   /    /      ┃
    ヽ、   `ヽ、/,;:';'; ・:,;:';':/.‐=´   /    /<
      `ヽ、 /j;,.゚r:.;';.'..,・゚・/;;;;     U.  /  / ||||
        / ,;';':.・: ,;';':.・:;/;;;_--‐‐ ''|/ \/


 夜道も、小川への転落も、鬼や神様達の登場よりも強烈でした。
 一瞬本当に意識が飛びましたが、喉から何かを吐しゃした事と、後から鬼さんが背中を撫でてくださった
ので、何とか持ち直しました。

 精神的に追い込まれすぎました。

 何よりショックなのが、霊夢殿が私に気がつかない事よりも、あの紫ババアの誘惑に負けてフラフラと立ち膝を
ついている事です。
 ――単純に、紫様に似ているので興奮しているのか
 ――あの紫ババアに紫様をオーバーラップさせて興奮しているのか
 どちらの事実にも耐え切れません。

 「れ、霊夢殿お…………」
 「ほら…… そこよぉ…… ゆっくり揉んでね」
 「えっと、はい」
 「あー違う。 もう一回御手本を見せるわね。うつぶせになって?」

 霊夢殿は、虚ろな光の無い目で、そのまま本当にうつぶせになりました。
 そして、紫ババアが上からまたマッサージをマヌケな音と共に始めるのです。
 ものの3秒も経たず、霊夢殿は眠ってしまいました。

 「霊夢どのおおおおおおおおおおお!!! うそだああああああああああああああああああああ!!!」
 「ゆ、ゆかりい!!! 巫女さんに 何をしたあ」
 「―――何か眠いだけじゃないかい?」

 鬼さんは冷めた目で言っていますが、私は、あの早苗さんの横にいた小傘という妖怪の事を思い出していました。
霊夢殿のこの目は、まさにあの時の彼女のうつろな色と同じなのでは………?

 「何って? ただこの娘が気持ち良いと思うことをずっと続けてあげただけよ? ゆかりんを気持ちよくさせてあげたい
  みたいだから、文ちゃんに高い報酬払って、チラシ作らせてここに来てもらったんじゃない」
 「―――まさか、魔法使いや、先生やにとりが来られなくなったのも………」
 「感付いてここを見つけられると嫌だから、皆には他の仕事をしてもらいましたv」
 「最初から巧妙に仕組まれた罠だった訳か……」
 「罠ってほどのもんか?」

 さっきから本当に冷めた事しか言わない鬼です。
 憎悪の火を滾らせて睨みつける私達を、鼻で笑い、ボヨンボヨンと跳ねながら、恐ろしい顔で紫ババアは続け
ました。

 「何でこんな事を……」
 「何でって?―――ふんっ! はっきり言って、目障りなのよ!! そこの乱射魔も、この腋を見せびらかしてる巫女も、
  ルーミアちゃんもキスメちゃんも、水橋ちゃんも!」
 「ゆ………かり…?」
 「どいつもこいつも……… 後から会ったくせに、れえむをひきずり回して勝手に構わせて………」
 「…………」
 「何で、私を! 私だけをっ! 見てくれ  ないのよっ!!!」
 「おいおい、ゆかり先生―――」
 「でも、そんな風に傷つくだけ傷ついて何もしないのはもう嫌」

 ポテリ、と按摩をやめ、霊夢殿の背中から飛び降りました。

 「れえむ、 ―――あんたから全てを奪ってやるわ」
 「な、なんだって!!?」
 「まずは、この巫女・霊夢ちゃん」
 「く、くそうっ! なんて事を……………」
 「次に、ルーミア、乱射魔、キスメ、水橋パルスィ、 そして最後は紫………何も出来ない自分の無力さに、
  歯噛みするがいいわ!」
 「ぬうう……」
 「ゆかり先生、それは大人気ないってもんですぜ! しかし、 私達はこうして見ている事しかできないなんて」
 「いや、鬼さん、てつだってもいいんだよ! むしろてつだってね!!!」
 「あ――――――はっはっははっはっはっははh……  うげえっ げほげげほ」

 高笑いに慣れていないようです。
 それはそうでしょう。普通はそんな笑い方はしませんから

 「げほっ げほっ ………」
 「…………………」
 「………………………」
 「…………………」
 「………………………」
 「……げほっ…… あー…………」

 と、その時、フスマが開くと、パタパタという可愛い羽音が聞こえます。
 丸っこいものが入ってきた―――と思ったら、 ゆっくりれみりあでした。

 「うー うー」

 紫ババアの所へ飛んでいきます。

 「ふん っ うざったいわね!!!」

 もの凄く芝居のかかったしぐさで、紫ババアは、胴体を出したまま、軽く、あくまで優しくゆっくりれみりあに回し蹴りを入れました!

 「あいたたぁっ! うー………」
 「ゆ、ゆかりい! そのうーうー言う奴が、何をしたって言うんだ!」
 「ふん、うーうー 煩いから蹴り飛ばしただけよ!文句ある?」
 「おお、健気な奴………ゆかりの悪人っぷりのアピールの演出のために、わざわざ意味もなく登場してくれたか」
 「ううっ……… なんていじましい奴だい、 うーうー言う奴………鬼の私でも解るよ……」

 ゆっくりれみりあは、ぺたりと、窓の枠に止まってこちらの様子を見始めました。

 「てかさあ、ゆかり……」
 「何よ」
 「――――………… お前、元々そんなキャラじゃないよな?」
 「………うん…………」
 「…………何? 何かあった?」
 「今日はたまたま何かそういう気分なのよ」

 「そういう気分」だけで、霊夢殿までこのまま手篭めにされてはたまったものではありません!
 私は、何とか気を持ち直して言いました。

 「紫ばb…… いや、 ゆかりさん!」
 「何よ乱射魔」
 「その…… 紅白饅j………れえむさんの事を好きで、『今日はたまたま何かそういう気分』なのは解るけど、それは間違ってるよ!」

 もう何とか一歩進んで、私は言いました

 「らんも、霊夢殿が大好きだよ!!! 霊夢殿、優ししカッコいいし、可愛いくて強いから、たくさんの御友達がいるよ!
  そりゃ………時々嫉妬もしちゃったよ……」

 だけど

 「だけど、らんはそんな人達にまで、意地悪しようとは思ったことはないよ! 本当に大好きな人なら―本当に――」

 好きな人なら




 「その人の好きなものも、らんは大好きになれるよ!!!」




 ややあって。
 衝撃を受けた顔で、紫ババアは言いました

 「ごめん。上手く聞き取れなかった。 あんた何か良い事言ってたっぽいから、もう一度」
 「その…… 紅白饅j………れえむさんの事を好きで、『今日はたまたま何かそういう気分』なのは解るけど、それは間違ってるよ!」

 もう何とか一歩進んで、私は言いました

 「らんも、霊夢殿が大好きだよ!!! 霊夢殿、優ししカッコいいし、可愛いくて強いから、たくさんの御友達がいるよ!
  そりゃ………時々嫉妬もしちゃったよ……」

 だけど

 「だけど、らんはそんな人達にまで、意地悪しようとは思ったことはないよ! 本当に大好きな人なら―本当に――」

 好きな人なら



 「その人の好きなものも、らんは大好きになれるよ!!!」




 紫ババアは、更に言いました

 「悪い。ちょっと別の事考えてたわ。もう一回頼む」
 「その…… 紅白饅j………れえむさんの事を好きで、『今日はたまたま何かそういう気分』なのは解るけど、それは間違ってるよ!」

 もう何とか一歩進んで、私は言いました

 「らんも、霊夢殿が大好きだよ!!! 霊夢殿、優ししカッコいいし、可愛いくて強いから、たくさんの御友達がいるよ!
  そりゃ………時々嫉妬もしちゃったよ……」

 だけど

 「だけど、らんはそんな人達にまで、意地悪しようとは思ったことはないよ! 本当に大好きな人なら―本当に――」

 好きな人なら



 「その人の好きなものも、らんは大好きになれるよ!!!」




 「あー…… ちょっと他の事思い出してた。もう一回」
 「その…… 紅白饅j………れえむさんの事を好きで、『今日はたまたま何かそういう気分』なのは解るけど、それは間違ってるよ!」

 もう何とか一歩進んで、私は言いました

 「らんも、霊夢殿が大好きだよ!!! 霊夢殿、優ししカッコいいし、可愛いくて強……い…から……」

 限界でした



 「びえええええええええええええん!!! 藍さまあああ! 霊夢どのおお! 紫さまああ! 紫ババアがいじめりゅよおおお!!!」



 心から号泣してしまいました。

 「―――………」
 「ゆかり。流石に罪悪感とか感じない?」
 「感じるけど、ほら、さっきれえむから、全てを奪ってやる とか いきまいちゃったし。今日はそういう気分だし」

 一番辛いのは、この拷問と、鬼さんが本当にやる気をなくしてグビグビとお酒を飲みながらこの光景を見始めたこと。
 そして、何より重要なのですが、いつから私や霊夢殿は、この「紅白饅頭の物」になったのでしょうか?
 泣き続けている内、目の前が真っ暗になって―――
 そう、この体験は―――

 「あらあら?」
 「―――………霊夢、起きてる…?」
 「―――何コレ?」
 「まあいい………ほれ、れえむ、しっかり現実を見なさい!」

 闇が晴れた時
 そこに待っていたのは…………


         ,.--、_,,....,,__,. -- 、   ??
     ,.- '"// ⌒ヽヽ  //⌒l |                    , ' ´ ̄   ̄ ヽ、
   /   l | ___ ___',',nイk___,// ヽ,               Σ,ィ_,,r-^ー^- ,ィ、_ヽ,、
  ,'   ヽ_rゝゝ-' ー',.-、- 、イ、   i              ./`-ィヾ',イレヽイノ.ルヽ::iイ::>/⌒iヽ、
  i  ,.へ_トー'"____,.ィ !  ハ、___ イヽ、イ            〈rヽゝイ!: r=-:::.r=ァ`::::::;'`iイノ,-‐、ノ .)
  r'⌒ r´γ   /__,.i i / V__ハ   ゝ               ノ(  ー=‐' ::::::从 i   `Y´
 〈_,.イ  イ  ,ィ´(ヒ_] レ´ ヒ_ン`!ヽ! ハ               ル.`.ー--‐'"´ルヽ
   i  i .レイl'xxx  ,___,  xxx ! ハ/ヽ
   〉.  i  i '            从 (           :__   _____   ______ :
   i  /〈  lヽ,         ,.イノ Y          :,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ:
  ノ  イ /ヽ、|  i>r--r,=´/  _ハ,          : 'r ´       ..::::::::::::::.、ン、:
  /  /〈  l丶  -´ ⊂////;`)ヽ、/ヽ、__     : ,'==─-      -─==', i :
  人  |ァ;'⌒';r ´ 彡  l,,l,,l,|,iノ    //`ー∠     :i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | :
(.  )、 ハ:::::::::::イ     ,      ヽ!_/ヽ>     : レリイi (◯),  、(◯)::::| .|、i .|| :
 `ム ノl l! ゝ ト / i !__ ハ ハ-‐i- 「__rイ´',      : !Y!""  ,rェェェ、 ".::::「 !ノ i | :
  〈 ,ィ゙l゙l,  l! i  /.ゝ、 レ' /ハ |/   .i      : L.',.   |,r-r-|   .::::L」 ノ| | :
   レ |ヽ  ヽ!ヘ/ i :( ο)ilililili( ο) !┛┗ |      : | ||ヽ、 `ニニ´ .:::::,イ| ||イ| / :
     "ヽ   'ー――'''゛j __, ::::::: |┓┏  |     : レ ル` ー--─ ´ルレ レ´:


 「る…… ルーミアちゃん?」
 「さっきから聞いてりゃ………」
 「顔が……パルパルと…………」
 「私だって…… 好きな人を気持ちよくさせたい って思うのは  オマエラだけだと思うなよ!!?」


 ―――そして――――本当の、数値で表されるならば、300%は越えるでしょう超濃度の闇が、家中に広がりました。
 最後に見たのは、妖怪の本性ではなく、一人の少女として怒っていたルーミアさんの顔。
 そして、全員何故か同じ表情の、ゆっくり3体と鬼さんの驚愕した顔でした。
 今度こそ、意識を失ってしまったのです。


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最終更新:2010年09月03日 21:46