ふっとばし力





ふっとばし力(KB)

ふっとばし力(KB: Knockback)は、ファイターのふっとびの強さを表すゲーム内部のパラメータである。
攻撃がヒットすると、攻撃のダメージやリアクション値、蓄積ダメージなどをもとにふっとばし力が計算される。
ふっとばし力が大きいほど、ふっとび時のふっとび速度ふっとび硬直の値が大きくなる。
単位は定められていないが、80のふっとばし力は「80 units of KB」もしくは単に「80 KB」と表記されることが多い。

やや複雑な計算式を用いるため、ふっとばし力の具体的な値が知りたい場合は Smash Ultimate Calculator のサイトを用いるとよい。
使い方 を参考に数値等を入力することで、特定の攻撃判定をヒットさせた場合のふっとばし力を知ることができる。





リアクション値

「リアクション値」とは、ふっとばし力の大きさを決める攻撃判定ごとのパラメータのこと。
全ての攻撃判定には個別のリアクション値がされており、基本的には内部データの解析で判明する隠しパラメータである。*1
特定のワザ(攻撃判定)のリアクション値を知りたい場合は、 Smash Ultimate Data Viewer を参考にするとよい。

リアクション値の実体は、以下の3種類のパラメータである。
このwikiでは基本的に英語名(KBG・BKB・FKB)で表記する。
X時代からのプレイヤーは日本語名を使う場合が多く、どの名称を使用しても本質的には変わらない。
英語名 日本語名 説明
KBG
(Knock-Back Growth)
R.E.値
(Reaction Effected)
リアクション影響値。もしくはR影響値。内部名はr_eff
敵の蓄積ダメージによるふっとばしの「伸びのよさ」、傾き。
ネスの後投げはこの値が大きいため、高%になると大きくふっとばすことができるが低%ではあまりふっとばせない。
BKB
(Base Knock-Back)
R.A.値
(Reaction Added)
リアクション付加値。もしくはR付加値。内部名はr_add
敵の蓄積ダメージに依存しないふっとばしの「最低量」、切片。
ネスの前投げはこの値が大きいため、低%でも大きくふっとばすことができる。
FKB
(Fixed Knock-Back)
R.F.値
(Reaction Fixed)
リアクション固定値。もしくはR固定値。内部名はr_fix
通常の攻撃判定には設定されていないが、一部の多段ワザなどに設定されている。
これが設定されている攻撃判定は、敵の%にまったく依存せず常にふっとばしが一定となる。
また、ほかほか補正による影響も受けない。
なお、R.E.値はKBGを100で割った値として定義されていることもある。
(本質的には同じ。初代スマブラ拳ではKBGそのもの。)


リアクション値の意味

リアクション値は、グラフで感覚的に理解するのがよい。

以下では、具体的にネスの前投げと後投げで重量100のクラウドをふっとばした際のふっとばし力を考える。
ネスの前投げと後投げは、以下に示すようにそれぞれ極端なリアクション値が設定されている。
ワザ ダメージ KBG BKB
前投げ 11.0% (13.2%) 10 120
後投げ 11.0% (13.2%) 130 15

この時、敵(クラウド)の蓄積ダメージとふっとばし力の推移は以下のようになる。
青線が前投げ赤線が後投げ
また点線は、ネスの蓄積ダメージが100.0%約1.056倍のほかほか補正がかかった際のふっとばし力である。

前投げは、KBGが小さくBKBが大きいため、低%の相手を強くふっとばすことができるが、蓄積ダメージによる伸びは少ない。
後投げは、KBGが大きくBKBが小さいため、低%の相手はあまりふっとせないが、蓄積ダメージによる伸びが大きい。


実際にここまで極端なリアクション値が設定されているケースはあまりないが、アップデートでリアクション値の変更があった場合にイメージしやすくなる。
数値は厳密には正確でないため、参考程度に。
KBGが100から120に増加した場合
KBGは、グラフの傾きの大きさに影響を与える値である。
➡ グラフの傾きが1.2倍になったと考えればよい。
BKBが100から120に増加した場合
BKBは、グラフの切片の大きさに影響を与える値である。
➡ グラフがY方向に+20だけ平行移動したと考えればよい。





ふっとばし力の計算(基本)

基本計算式

ふっとばし力の基本計算式は以下で与えられる。
KB = [{(0.1 + ダメージ * 0.05) * 敵% / W' * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値
ただし W' = (100 + 敵重量) / 200

敵%には、「1on1補正が適用されなかったと仮定した場合における、攻撃ヒット後の敵の蓄積ダメージ」を使用する。
よって、単発ワザであれば1on1補正はふっとばしに影響をまったく与えないが、多段ワザの場合は最終ヒット直前の蓄積ダメージが増えるため1on1補正の恩恵を受ける。
補正値は、状況に応じて使用されているふっとばし倍率を使用する。
最も代表的なのがほかほか補正で、その他に しゃがみ補正 などが存在する。

この式は初代スマブラから変わっておらず、64公式の初代スマブラ拳では隠しページでその仕様が解説されている。
+ 初代スマブラ拳における説明
64公式ページ では、ふっとばし力計算の式を次のように紹介している。
ただし、
R影響値 = KBG / 100
重さ = 1 / W' = 200 / (100 + 敵重量)
として解釈する必要がある。
特にR影響値については「KBG(2~3桁)を100で割るか否か」が、この式と同ページ内の用語解説とで食い違っている。



ワンパターン相殺(OP相殺)

基本計算式内のダメージの部分は実戦では ワンパターン相殺 を考慮する必要があり、以下の値を用いる。
ダメージ = 攻撃判定の基礎ダメージ * {1 + 0.3 * (OP補正値 - 1)}
トレーニングモードの「ワンパターン相殺:OFF」の状態では、攻撃判定の基礎ダメージそのものを計算に使う(OP補正値を1.0として扱う)。

式の通り、KB計算用のダメージへのOP補正の影響はダメージ変化量そのものの0.3倍しかない。
例えば、基礎ダメージが20.0%の攻撃判定を、OPボーナスあり(OP補正値が1.05)でヒットさせた場合を考える。
このとき敵の蓄積ダメージは20.0 * 1.05 = 21.0%だけ増加するが、ふっとばし力計算のダメージ部分は20.3%の攻撃判定として扱われる。

スマブラX以前は0.3倍の補正が存在していなかったため、OP相殺がふっとばし力に与える影響がかなり大きかった。


ほかほか補正

基本計算式内の補正値として、以下のほかほか補正値を乗ずる。
ほかほか補正 = 1 + (自% - 35) * (1.1 - 1) / (150 - 35)

自%の変域は35 ~ 150%なので、ほかほか補正値は自%が増加するにつれ以下のように増加していく。
蓄積ダメージ ほかほか補正値 説明
0 ~ 35% 1.0倍 35%以下では常に1.0倍。
35 ~ 150% 1.0倍 ~ 1.1倍 ダメージ増加につれて、ほかほか補正も直線的に増加。
150% ~ 1.1倍 150%以上では常に1.1倍。
なお、トレーニングモードの「ワンパターン相殺:OFF」の状態では、ほかほか補正値は常に1.0で計算される。

今作では、FKBが設定されている攻撃判定にはほかほか補正がかからない。
この変更により、前作で見られたようないわゆる多段ワザの「すっぽ抜け」が起こりづらくなった。


FKBがゼロでない攻撃判定の計算式

FKBにゼロでない値が設定されている場合は、計算式内の敵%10に、ダメージFKB値として計算する。
攻撃判定のダメージが計算式に出てないため、ワンパターン相殺の影響を受けない
また、今作ではFKBが設定されている攻撃判定にはほかほか補正がかからない。

KB (FKB) = [{(0.1 + FKB * 0.05) * 10 / W' * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値
ただし W' = (100 + 敵重量)/200





ふっとばし力の計算(発展)

ふっとばし補正

自分や相手が特定の状態にあるとき、もしくは特定のゲーム設定が有効なときは、与えるふっとばし力に「補正値」がかかる。

相手がしゃがみ状態のとき
相手がしゃがみ状態のときは、ふっとばし力に0.85倍の補正がかかる。
しゃがみ状態と判定されるのは「しゃがみ開始モーション中(1F目から)」と「しゃがみ待機モーション中」のみ。
「しゃがみ復帰モーション中(下強の全体フレームの後など)」に攻撃を与えた場合は補正はかからない。
ちなみに、しゃがみ状態にある相手に攻撃を当てた場合は双方のヒットストップが0.67倍になる *2

対地メテオとなる攻撃を敵にヒットさせたとき
対地メテオとなる攻撃を敵にヒットさせたときは、ふっとばし力に0.8倍の補正がかかる。

自分の状態、もしくはヒットさせた攻撃に特殊なパラメータが設定されている場合

ファイター 状態 与ふっとばし倍率 被ふっとばし倍率 補足
パートナー・常時 - 1.02倍 被ダメージ倍率も1.02倍。Ver.9.0.0より前は共に1.05倍
モナドアーツ・盾 0.8倍 0.5倍 与ダメージ倍率・被ダメージ倍率はともに0.5倍
モナドアーツ・斬 0.65倍 - 与ダメージ倍率・被ダメージ倍率はそれぞれ1.4倍1.3倍
モナドアーツ・撃 1.25倍 1.2倍 与ダメージ倍率は0.3倍。カービィの与ふっとばし倍率は1.15倍
リベンジ 1.0 ~ 1.2倍 - リベンジの程度やヒットしたワザによって倍率が変化する(詳しくは 別ページ 参照)。
ためる 1.2倍 - 与ダメージ倍率も1.2倍
バイキルト 1.1倍 - 与ダメージ倍率も1.6倍
ピオリム - 1.1倍
横必殺ワザ1
(瞬発百裂キック)
1.0 ~ 1.12倍 - 自身の蓄積ダメージが50.0 ~ 150.0%に増加するにつれて与ふっとばし倍率も上昇する。

その他
  • for以前はスマッシュホールド中に攻撃を受けた時にも補正がかかっていたが、今作では廃止された。
  • 相手が氷結状態のときは、ふっとばし力に0.25倍の補正がかかる。
  • ルール設定で「ふっとび率」を変更した場合は、その値がそのまま補正値としてかかる。
  • 勝ちあがり乱闘やスピリッツ戦など、特殊なふっとび率・ふっとばし率が設定されている場合はその値がそのまま補正値としてかかる。


重量固定ワザの計算式

攻撃判定にSetWeight = Trueが設定されている場合、必ず敵重量100としてふっとばし力を計算する。
このフラグが設定されているワザ(重量固定ワザ)のKB計算式は以下のようになる。
KB (重量固定) = [{(0.1 + ダメージ * 0.05) * 敵% * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値

重量固定は主にすっぽぬけなどを防止するためのシステムで、今作では非常に多くの多段ワザや弱攻撃などに設定されている。
基本的に遠くまでふっとばすワザには設定されていないが、ロイの通常空中攻撃は(おそらく設定ミスで)Hit 2にこのフラグが設定されてしまっている。
つまり、ロイの通常空中攻撃はピチューでもクッパでもふっとばし力が同じになるように設定されている。

他の例外としては、格闘Miiの横必殺ワザ1(瞬発百裂キック)の最終ヒットが該当する。
この攻撃判定は重量固定フラグがオンに設定されているにも関わらず、ファイターごとの撃墜%が大きく変動する。
これは、重量固定ワザの「ふっとび角度が70 ~ 110°の場合でもふっとび時専用の重量値・落下速度を使用しない」という仕様が影響している。
つまりファイターの重力値や最大落下速度が撃墜%に大きく影響しているため、クッパよりもフォックスの方が撃墜しづらいという直感に反する現象が発生する。
(これはふっとび後の性質の話で、ふっとばし力自体は全ファイターで共通である。)


特殊な属性をもつ攻撃判定

特殊な 属性 をもつ攻撃判定は、ファイターごとの効果時間の差をなくすために敵重量100にしてふっとばし力を計算する。
これに該当するのは、ねむり・埋め・投げ埋め・麻痺・かなしばりなど。


その他特殊な計算式

チコに攻撃をヒットさせた場合
チコの重量は、100として計算する。また、敵%の代わりに以下の値を使用する。
チコの蓄積ダメージ + 30:チコがロゼッタから切り離されていないとき
チコの蓄積ダメージ + 15:チコがロゼッタから切り離されているとき

通常必殺ワザでファイターを吸い込んでいるときのデデデに攻撃をヒットさせた場合
敵重量の計算の後にかけられる1.4の数値に0.25倍の補正がかかる。
KB = [{敵% * (0.1 + ダメージ * 0.05) * 200 / (デデデ重量 + 100) * 1.4 * 0.25 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値





ダメージ補正の影響

攻撃ダメージに何らかの補正がかかっているとき、計算式(再掲↓)の敵%ダメージの項がその影響を受けうる。
KB = [{(0.1 + ダメージ * 0.05) * 敵% / W' * 1.4 + 18} * KBG * 0.01 + BKB] * 補正値
ただし W' = (100 + 敵重量) / 200

攻撃ダメージへの補正のタイプは大きく「ダメージ補正タイプ」「攻撃判定ダメージ補正タイプ」に分けられ、補正の種類によって計算式への影響が異なる。


ダメージ補正タイプ

ダメージ補正タイプは、攻撃判定のダメージは変化せず、与・被ダメージ量のみが変化する。
また、被ダメージ補正がかかるのはやられ判定にヒットした場合だけなので、被ダメージ補正がかかっている状態でガードしてもシールドの削り量が増えるということはない。
対して、与ダメージ補正に関しては敵のシールドを攻撃した場合にも補正がかかる。

式中の敵%はダメージ補正の分だけ変化するが、ダメージは補正前のダメージ量を計算に用いる。
そのため、ふっとばし力はそれほど変化しない。
例として、以下の2つのケースにおけるふっとばし力はどちらもヒット後の蓄積ダメージが102.0%になり、まったく同じになる。
与ダメージ倍率
A:1.2倍の与ダメージ補正がかかった状態で、100.0%の相手に10.0%の攻撃をヒットさせた場合
B:通常の状態で、102.0%の相手に10.0%の攻撃をヒットさせた場合

被ダメージ倍率
A:1.2倍の被ダメージ補正がかかった状態で、100.0%の蓄積ダメージ下で10.0%の攻撃を受けた場合
B:通常の状態で、102.0%の蓄積ダメージ下で10.0%の攻撃を受けた場合

ファイター 状態 与ダメージ倍率 被ダメージ倍率 補足
共通 小ジャンプ補正 0.85倍
ペイント状態 1.0 ~ 1.5倍 ペイント量によって増加。
パートナー・常時 1.02倍 被ふっとばし倍率も1.02倍
腹式呼吸 0.9倍
本体 1.15倍
クラウン 0.88倍
モナドアーツ・翔 1.3倍
モナドアーツ・盾 0.5倍 被ふっとばし倍率も0.5倍
モナドアーツ・斬 1.3倍
バイキルト 1.2倍
片翼 1.3倍


攻撃判定ダメージ補正タイプ

攻撃判定ダメージ補正タイプは、敵%の変化だけでなく、増減した後の数値をダメージとして式中で用いる。
そのため、ふっとばし力が劇的に変化する。
ファイター 状態・ワザ 倍率 補足
共通 スマッシュホールド 1.0 ~ 1.4倍 60F溜めると最大に達する。
一部のスマッシュ攻撃は最大倍率が異なる(詳細は 別ページ 参照)。
カウンター・反射など -
溜め系の必殺ワザなど - 一部例外あり。
波導補正 0.6 ~ 1.8倍 詳細は 別ページ 参照。
腹式呼吸 1.2 ~ 1.25倍 輪の収束速度に応じて変化。


ふっとばし力に影響しないダメージ補正

以下の状態やワザの効力中は、敵ファイターに与えるダメージ量は変化するが、ダメージの増分はふっとばし力には影響を与えない。
したがって、ヒット後の蓄積ダメージは変化するが、ふっとばしにはまったく影響を与えない。
(別に設定されている与ふっとばし倍率による影響を受ける。)
ファイター 状態・ワザ ダメージ補正率 補足
共通 1on1補正 1.2倍
モナドアーツ・疾 0.7倍
モナドアーツ・盾 0.5倍 与ふっとばし倍率も0.8倍
モナドアーツ・斬 1.4倍 与ふっとばし倍率も0.65倍。カービィのダメージ補正率は1.3倍
モナドアーツ・撃 0.3倍 与ふっとばし倍率も1.25倍(カービィは1.15倍)。
チコ(切り離し時) 1.5倍
ためる 1.2倍 与ふっとばし倍率も1.2倍
バイキルト 1.6倍 与ふっとばし倍率も1.1倍





その他

ふっとばし力依存のヘビーアーマー

一定以下のふっとばし力を無効化するタイプ
ふっとばし力のしきい値が設定されており、それ以下のふっとばし力を無効化できる(ダメージは受ける)。
しきい値を超えるふっとばし力の攻撃を受けた場合、普通にふっとぶ。
X, forのヨッシーのふんばりジャンプはこのタイプ。
ファイター 状態・ワザ しきい値
共通 埋まり中 90KB
リフティング
大アイテム所持中
80KB
ひるみにくい体 19KB
横必殺ワザ
(乗車中)
20KB
上必殺ワザ
(溜め中)
30KB

受けるふっとばし力を減少させるタイプ
相手の攻撃によって受けるふっとばし力が減少する。
減少後の数値が0以下になる場合、そのふっとばしを無効化する。
64, DX, SPのふんばりジャンプや、for以前の埋まり状態はこのタイプ。
ファイター 状態・ワザ 減少量
共通 メタル状態 サイズ倍率 * 30 KB
ふんばりジャンプ 120 KB





参考






コメント

最終更新:2021年05月04日 06:55

*1 倒れふっとびとなるしきい値を2点決定するなどすれば、検証で算出することも一応可能。

*2 forではしゃがみ状態だったファイターのみヒットストップが0.67倍だった。