『禅的シンプルライフ』(PRESIDENT 2011.10.29号別冊).....『風に吹かれて』のなかであったと思う。かつて作家の五木寛之氏は、鎌倉に打たれに行く」と称して,今,脚光を浴びている「禅的シンプルライフ」すなわち捨てると楽になることを実践されていた。臨済宗大徳寺の一休宗純の弟子村田珠光は,「茶禅一味」という境地に到達し,「慢心」と「我執」が茶の湯では最悪であることを記している。この慢心と我執とが世の中蔓延している。ドーパミン漬け,much more を常態とすることで幸福と勘違いする。それは錯覚でバーチャルな感覚にすぎない。多忙であるよりは暇であること,複雑であるより単純であること,多く持つことより少なく持つことなど,リセット,「断捨離」,まさに捨てると楽になる,という。脳の活性化=ドーパミン漬けで刺激的な快感を絶えず求めるのが現代人とか。そうではなく,「心安らかな状態」を維持すること,そのために抗重力筋を管理するセロトニンを活性化することが,本当の幸福につながるらしい。快感をインプットせず,いわば麻薬抜きをする時間をつくること,目的意識を持たないことで,目の前のことに集中することである。被災地の復旧と復興が遅々として進まない。国が、県が、市町村が、なんて行政の階層が邪魔臭い。行政依存が強過ぎる。これにも当てはまりそうだ。楽に対応できることが、苦に変わるような対応に。規律とは自由のためにあるので、不自由になってはならいのです。この雑誌から得られることは他にもある。(2011-10-16)
a PEACOCK in the Land of PENGUINS,BJ Gagher Hateley and Warren H.Schmidt(Berrett Koehler Publishers,Inc.,2001)(『ペンギンの国のクジャク』BJ ギャラガー&ウォレン・H・シュミット(田中一江訳)扶桑社,2002)..... 君はペンギン、それともクジャク?
PIGEONHOLED in the Land of PEGUINS:A Tale of Seeing Beyond Stereotypes(AMACOM,2000)(『ならば,ハトにやらせてみよう!』BJ ギャラガー&ウォレン・H・シュミット(田中一江訳)扶桑社,2003)..... いえいえハト! 『ペンギンの国のクジャク』の続編,あわせ読むと自分はどのタイプ?
THE Mind Map Book, Tony Buzan with Barry Buzan(Penguin,1993)..... 君の思考様式は、直線型、それとも放射型?
The 80/20 Principle:The Secret of Achieving More with Less,Richard Koch(Nicholas Brealey Publishing Ltd.,1997)(『人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ(仁平和夫訳)(TBSブリタニカ,1998))..... イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートの法則。パレートはあのパレート最適のパレートです。
Economic Puppetmasters: Lessons from the Halls of Power,Lawrence B. Lindsey(Aei Press,1998)(『経済を操る人形遣いたち:日米独・経済三国志』(ローレンス・B・リンゼー,神崎泰雄訳,日本経済新聞社,1999).....不良債権処理か景気回復かという二項対立で政策論議がにぎやかです。経済危機管理のあり方が構造改革の決め手であるという意見もあります。3年前に出版された本ですが,「政策の制約は制度に起因する場合が少なくない。これまでの経済運営のやり方では,人形遣いは自分だけで,あるいは組織的にも適切な手を打つことはできなくなっている」という指摘にはうなづける。
The Vices of Economists: The Virtues of the Bourgeoisie,Deirdre N. McCloskey(Amsterdam University Press,1997)(『ノーベル賞経済学者の大罪』(ディアドラ・N・マクロスキー,赤羽隆夫訳,筑摩書房,2002).....現代経済学は,クライン的悪徳,サミュエルソン的悪徳,そしてティンバーゲン的悪徳に導かれている。すなわち,統計の間違った使用,経済学の間違った理論付け,そして公共政策への統計と理論の間違った適用は「経国済民」のためではない! 辛口ですが,非常に真摯な,経済学再生論です。ちなみに,マクロスキー先生は,53歳で女性になった大学教授でも有名です。
The Invisible Heart; An Economic Romance, Russell Robert(The MIT Press,2002).....ラブストーリーで経済学を勉強します。資本主義経済の核心とは。公共政策の必要性、政府の役割について彼女と議論する。こうした知的環境があることは素晴らしいですね。類似の本『ケインズ経済学殺人事件』もあります。(補)資源「分配」という言葉が訳書『インビジブル ハート 恋におちた経済学者』(日本評論社,2003)に出てきます。「配分」(the allocation of resources)と「分配」(the distribution of income)とが混同されています。アビナッシュ・K・デキシットの訳書『経済政策の政治経済学 取引費用政治学アプローチ』にも見いだされます。気にかかる点です。
『ニート:フリーターでもなく失業者でもなく』(玄田有史・曲沼美恵,幻冬社,2004).....Not in Education, Employment, or Training で NEET。確かに社会問題として表面化してきたようですが,基本的にはひとりひとりの問題のようです。社会のしくみに責任を転嫁するのは容易です。それほど人間弱くなったとすれば,そのような国の将来は・・・でしょう。