「…んー?
あー。ふわふわ。眠いね。寒いと眠くなるんだ、アタシは。
…ああ。挨拶かい? そりゃどーも。
アタシの名前は、村田彩華(むらた さいか)だよ。
ま、適当にやれば?
世の中には、肩肘張るところもあればそうしないでいいところがあるって事。
アタシの今日のやる気は開店休業だ。アンタはどう?」


「……んー? なに。
まだなんか用かい?
アンタも熱心だね。ナニに熱心かは知らないけど。
…ああ、駄目だ。せっかくいい気分でまどろんでいたのに目が覚めてきた…。
アンタ、眠い時にボーッとしてるの、幸せって思った事ないかい?
アタシは幸せなんだな。それが。
……で、その幸せが今逃げたわけなんだけど」


「んー、なにー?
なんか急に、眠くなった。
ああー、いい感じ。
アンタ。アタシが倒れたら支えててね」


村田は眠そうだ。
ぼーっとしている。


村田はたき火をして
焼き芋を作って食べている。
食べた時のもふっという感じが幸せそうだ。


「アンタも暇だねえ。
アタシと良く話すなんてさ。
えっへっへ。
ひょっとして、アタシの隠された魅力に気づいた?」
(どこに隠れてるの?)
「多分、服の下。なんちゃってー。
アタシってギャグの才能もあるかしら」
(は?)
「そうかー。
じゃ、知らず知らずのうちにメロメロなんだね。
いやはや、いい女も大変だ」
彩華はにっこり笑いました。
「なんちゃってー」


「…アタシの親は本当にバカでね。
外面がよければなんでも良いって感じだったのさ。
私も昔はバカだったから、お人形さんみたいに言う通りにしてたよ。
でもね、結果は悲惨なもの。
親は離婚するわ、母親は飲んだくれで娘の顔を見ようともしない。
アタシの親は優等生でいい子だったんだけどね。
…優等生やっても、いい子でも、結局何も変わらなかったのさ。
娘が言われたとおりしてもなんの意味もないって思うのも仕方ないと
思わない?」


「…結局のところ、優等生だったり、いい子だったりするのと、幸せなのかどうかに関係はない。
そういうのは人それぞれだって。
そしてアタシの幸せは、のんびりすることだったってワケさ。
急いで何かに追いかけられるようにして生きるのは、あんまり幸せって奴じゃないね。
私の場合はね」


「あ、言い忘れた。
アタシの昔話、したよね。アレには続きがあるの。
アタシは追われるのは嫌いだけど、戦うのは大好きなんだ。
逃げるのも強制されるのも趣味に合わないってだけ。
自分の意思で戦うのがアタシの幸せだ」
彩華はにっこり笑いました。
「わかったらマシな命令をだしな。
最後までつきあってやるよ」(戦闘開始時)


「んー、ああ?
いいんだよ。
普段は眠そうでもアクビしてても。
シメるとこシメて、勇敢に戦えばそれでいいのさ。
ま、少なくともアタシはそうだ。
外面必死こいて格好つけるより、ずっと可愛いだろ?
え、可愛くない?
作ってる女より全然いいと思うんだけどなあ。
アタシは自然派なんだ」


「広い戦場でアタシの頼りは小隊長であるアンタだけ。
あんたに預けたこの命、か。
んー、これってロマンスの一つなのかな。
いや、ギャンブルかも。うわー、勝率悪そう…。
ま、なっちまったもんはしかたない。
アタシは一所懸命やるから、アンタも頑張るしか…」(戦闘開始時)


「人間苦しくなる時はありえそうもない事を、思ったより本気で信じるもんだよ。
ペンギンがしゃべるとかペンギンが戦うとか…なんでまあ、そんな悲しい事を思うのかね。
…悲しいだろ?
このバカな戦争に動物まで巻き込まれてるんだ。
お偉いさんが何だかんだ言っても、幻獣ってのをはびこらせた原因は、人間同士のいさかいに一部の人間が幻獣を引き込んだせいさ
幻獣共生派なんてレッテルはって区別してるけどサ。
結局、同じ人間なわけなんだよねえ。
ま、別の奴だっていいたい気持ちはわかるけど、どこまでいっても客観的には人間の身内争いだ。
それに他の生き物をまきこむってのはね…。
罪深すぎるよ。
アタシはそういうのはヤダ」


村田「よ。なにさ?」
菅原「…その、先輩。
  いえ、きっと私のことなんか覚えてないと思いますけど。
  実は私、ずっと前から先輩の事知ってました。あこがれてました。
  でも…。
  …なんで先輩は変わったんですか。
  そんな目立たなくなっちゃったんですか!?」
村田「変わったんじゃなくて、これが地なのさ」
菅原「私がききたいのはそんな答えじゃありません!
  なんで悟りきったような事を言うんですか!?
  …アナタが一番、わからず屋で格好良かったくせに!
  私はアナ…アンタみたいにはならない。
  絶対ならない。
  アンタが16で変わったんなら、16になるまでに私は死んでやる!」
村田「バカだね、アンタ。
  アンタが死んでも何の解決にもなってないじゃないか。
  庭掃除でもして焼き芋焼いてきなよ。
  結構うまいからさ」
菅原「…バカ!
  ……バカバカ!」
村田「あらー。走って行っちゃった」
菅原「…なんで、なんでよ……。
  なんで焼き芋なのよ……。
  嫌い、嫌い、大嫌い……」


「んー。
世の中は上っ面しか見てない奴で一杯だね。
ギスギスして一生懸命とりつくろうアタシの方が良かったなんて、んー。
それとも昔のアタシの演技が良かったのかなあ。
……んー。
あ、アタシ女優やればよかったかも。
アハハハ、やっぱ似合わないかな?」


菅原「…なんで、なんでなのよ……。
  なんで焼き芋なのよ……。
  嫌い、嫌い、大嫌い……。」


「え、なに?
あの子まだ落ち込んでるの?
はー、しつこいねえ。…ま、仕方ないか。
もとはと言えば、アタシの親の見栄や、アタシがまいたもんだしね。
ちょっと、手伝って。…着替えるから。
見てもいいけど、一生アタシにささげる事になるからね」
20分後 校舎玄関
「なに?
この格好?
昔はこんな格好で歩いてたんだな。
うわ、今着るとウエストきつい!
お腹に痕が残っちゃう!」
次の瞬間、彩華は別人のように
雰囲気を変えるとさっそうと歩き出した。
廊下をすれ違う菅原の表情が変わる。
「今だけは前にもどって言ってあげるわ。
私、何も捨てた覚えはなくってよ。
ただ新しいものも、手に入れただけ。
あなたにわかれとは言わないわ。
でも、私を遠巻きに見るだけが、あなたではない。
違うかしら。
それだけよ。
私の事は、忘れていいわ」
彩華はさっそうと歩いていった。
呆然としていたら、その日が終わった…。


「あの時のアタシ、なかなかよかったでしょ。
やっぱアタシ、いい女優になれそうだよねえ。
仕事、急がしそうだから、やらないけど」


菅原「せ、先輩。
  いえ。
  お、お姉さま。
  やっぱり私には、お姉さましかいません!」
村田「はあ?」
菅原「大好きです!」
菅原は走っていった。
村田「あちゃー。逆効果だったか。
  んー、世の中うまくいかない感じ」


「んー。
アンタ、なんか。休みが足りてない。
ほら、こっちに来い」
腕をひっぱられて
彩華の部屋にやってきました。
「ほらほらほら」
腕をひっぱられて引き寄せられ、
膝枕されました。
「うん、たまには昼寝してみなよ。
アタシもアンタの顔眺めてるからさ。
え?
あんまり他人の顔見るなんて、ないだろ?
アタシは時間のつぶし方を知ってるからね。
そういうのもちょっと幸せなんだな。
えっへへー」
色々な意味で今日は一日終わりました。


「アタシはこうやってのんびりアンタと話しているのが好きだなー。
えっへへー。
今の、グッと来た? 可愛いでしょ」
(ま、まあ…)
彩華はにっこり笑いました。
「でしょ?」
(どこが!)
「えー、この魅力がわかんないのぉ?
アンタも型にはまってるねえ。
可愛い可愛くないなんて、ほんとは形なんかないんだよ?
愛があればなんでも可愛いもんさ。
全てのものは可愛いし、同時に可愛くないものでもある。
それを可愛いと思うのも、思わないのも心の型ってやつだよ。
アンタの心の型はどっかで見たようなものだ。
でもアタシには、アンタの心はどっかで見た事のあるものじゃ嫌だって思ってる。
アンタはアンタだ。世界でただ一人の。
だから、ほらほらほら。
アタシをほめてみなさいって。
気持ちいいわよー」


「ねえ、耳貸して。
よしよし。
これも日ごろからエサやったりして飼いならしてるかいだね」
彩華はあなたの耳元に口を寄せた。
(なんか期待した?)
「ぷ。
アハハハ。
最高っ、その顔可愛い!
よしよし。
なでてやるから怒らない怒らない」


「雪はいいね。
春も夏も秋も冬も、アタシはみんな好きだなあ。
え?
だって季節には悪意がないじゃない。
だったら後は、好きでいるのも嫌いなのも、気持ちの問題。
アタシは悪意のないものを嫌うほど心は狭くない。
アンタもそうなるしか。
いいよお? アタシの居場所は。
いい風が吹いてる」
(そうか、試してみるかな)
「それがいい」
(隣に立ってみる)
彩華はにっこり笑って頭をあずけました。


「……ねえ。春が来たらさ。
二人で、散歩に行かない?
いいでしょ。約束。
……よしよし、やっぱり餌付けは重要だ」


(村田 彩華ED)
北海道から、支援が駆けつけて戦いが学兵の
ものから大人のものになる頃には、春が来て
いました。
随分まったんですよ。冬も好きですけど、春も、
大好きですからね。
 (108警護師団に
    配属されていた学生兵の手記より)

あなたがその日も会議室で、やる事もなく、ボーとしていると、にこにこ笑いながら村田 彩華が入ってきた。
手にはバスケットを持っている。
「やっ。ひまそうだね。最近は。
いいっていって。いいじゃん。暇な事はいい事だよ。
という事で、覚えてる?」
(散歩?)
「そう!」
村田 彩華は嬉しそうにバスケットを揺らして見せた。
「この日のために凍えそうな日も生きてきたんだ。
アンタは付き合う義務があるんだよ。

さ、いくよ。せえの」

あなたは腕をひっぱられるようにして、散歩に出かけました。
思ったよりずっと、寒くはありませんでした。
(まだ、寒いんじゃないか)
「ちょっとくらい寒くてもいいの。寒かったら抱きつくから。
この日のために生きてきたんだ。
アンタは付き合う義務があるんだよ。
なーんてね。いこういこう」
あなたは腕をひっぱられるようにして、散歩に出かけました。
思ったよりずっと、寒くはありませんでした。



村田彩華 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

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最終更新:2006年09月01日 01:41