久しぶり


スキピオ猫は久しぶりだという
顔をしている。

自己紹介


いつのまにか部隊に紛れ込んでいて、
主人面しているその猫を、スキピオという。
純白の毛並みで、美しい高級猫だった。

尻尾を立てて歩く


スキピオは尻尾を立てて歩いている。
今日も元気そうだ。

「ふふん」


スキピオは、あなたを見て
「ふふん」という顔をしている。

虫の鳴く声


スキピオは、虫の鳴く声に耳を傾けている。
風流な猫だ。

子犬に餌


スキピオは、迷子の子犬に餌をやっている。
こいつ、メスなのかな?
あなたが持ち上げると、怒ってあなたの手を
ひっかきました。

王様のようだ


スキピオは、動物兵器達や野生の生き物に
囲まれている。
まるで王様のようだ。
元々猫は偉そうで、スキピオは特別
偉そうだけど。

「ふふん」2


スキピオは、あなたを見て
「ふふん」という顔をしている。
(偉そうだな、お前)
スキピオは、にゃーんと鳴きました。
(人間臭い猫だ)
スキピオは、変な顔をしました。

夜明け


スキピオは、夜明けを見ています。
まるで祈るように、願うように。

百獣の王


スキピオが百獣の王のように、
にゃーんと鳴いた。
その声に返事するように、
鵺や鳥や、山々の動物達が
一斉に咆哮しました。

絵本・きへいのはなし


スキピオは絵本に見入っています。
あなたも読みますか?
(はい)
きへいのおはなし
エヅ・タカヒロ
むかしむかし そのむかし ひとはたいようと
ともだちで ほしぼしのこえをきくことが
できました。
つきのささやきも あさつゆのこえも
きくことができました。
しかしひとはしあわせになることにこだわりすぎ
たいようのこえをきくのをやめました
ほしぼしにせをむけ つきのめぐみも
わすれました。
じぶんのへやにとじこもり
じぶんたちのともしたあかりこそが
すべてだとおもったのです。
ここはあかるい ここはあたたかい。
ぼくのへやには なんでもある。
そとにでるひつようも ない。
まどのそとでは たいようはかげり
ほしぼしはおち つきはうかばず
はなはかれ あさつゆがなくても
ひとは それを たにんごとだといいました。
ひとりのひとのこが それはおかしいと
いいました。
じぶんだけがよければ それでいいのかと。
うすくらくても いいじゃないか。
さむくても いいじゃないか。
ひとり あたたかい それよりも。
ひとりの ひとのこは こころには まどがあり
そのまどは いつもあいていました。
それを はじといいます。
ひとりのひとのこは はじをもっていました。
ひとりのひとのこは ひとであることをはじて
きへいになり
じぶんのへやをすてて そとにでます。
たいようと ほしぼしと
また ともだちになるために。
ひとよりも きへいがえらいときは
たまにあります。
それは きへいがはじを しるからでしょう。
これは そういうおはなしです。

・・・きへいってどんな生き物だろう?
あなたがそう思っていると、
スキピオはあなたを見てうなずきました。
そして走り去っていった。
(いいえ)

聖騎士


スキピオは、夜明けを見ています。
まるで出陣の前の聖騎士が祈るように見えます。
スキピオは胸を張り、にゃーんと叫びました。

虫の鳴く声2

スキピオは、虫の鳴く音に耳を傾けています。
そして歌いだしました。
「ニャンニャンニャー。
ニャニャニャンニャー」

尻尾を立てて歩く2


スキピオは、尻尾を立てて歩いています。
ぶっとい前脚が地面を叩くたびに、
大地が揺らぐような気がします。
それは正義の女神が肩に乗っているせいだと、
耳元で声が聞こえた気がしました。

カラス


木の葉をくわえたカラス達が、
スキピオの周りに集まっています。
あなたも見ますか?
(はい)
[PC]
「まるで、戦術地図だな・・・」
あなたがそうつぶやくと、
スキピオはにやりと笑いました。
(いいえ)

虫の鳴く声3


スキピオと子犬は、
虫の鳴く声に耳を傾けています。
そして、歌いだしました。
[スキピオ]
「ニャンニャンニャー。
ニャニャニャンニャー」
[子犬]
「ワンワンワン。
ワンワン、ワン」


共に夜明け


あなたとスキピオは、夜明けを見ています。
そして祈りました。
誰にでもなく、自分自身の勇気が、
今日もまた続きますようにと。
スキピオは胸を張り、にゃーんと叫びました。
あなたは、おお! と叫びました。

虫の鳴く声4


スキピオと子犬と鵺達は、
虫の鳴く声に耳を傾けています。
そして、歌いだしました。
[スキピオ]
「ニャンニャンニャー。
ニャニャニャンニャー」
[子犬]
「ワンワンワン。
ワンワン、ワン」
[鵺]
「ギャース!
バーウバウバウ、オーン!」

百獣の王


スキピオが百獣の王のように、
にゃーんと鳴いた。
その声に返事するように、
鵺や鳥や、山々の動物達が
一斉に咆哮しました。
そして、あなたを見てうなずきました。
まるで世界の帝王のように。

恥を知るか


「おまえは恥を知るか。ひとりのひとのこよ」
(知っています)
「では、今より人を名乗るのをやめ、
山岳騎兵を名乗るがよかろう。
人族からは獣臭いと言われるかもしれないが、
・・・・・・だがそれでもマシなのだ。
薄暗くても寒くても、独り暖かいそれよりは。
我らは人を見下げ果てたが山岳騎兵は歓迎する。
そして、自称人を駆逐し、いつかそなたが
人を名乗ることを願う。
落ちぶれた人の名誉を復権し、忘れ去られた恥の
言葉を、再び大地に刻み込むのだ」
(いえ知りません)
「……愚かなり。」

虫の鳴く声5


スキピオと子犬と鵺達と鳥達は虫の鳴く声に
耳を傾けています。
そして歌いだしました。
[スキピオ]
「ニャンニャンニャー。ニャニャニャンニャー」
[子犬]
「ワンワンワン。ワンワン、ワン」
[鵺]
ギャース!バーウバウバウオーン!」
貴方もまた、口を開き、一緒に歌を歌いました。

我が背に乗れ


「我が背に乗れ、騎兵よ。
騎兵の騎兵たるは友の背にのってこそよ。
そなたの友には我がなろう」
スキピオは尻尾を振ると
巨大化しました。
「乗れ!」

善き神々

スキピオが百獣の王のようににゃーんと鳴くと。
その声に返事するように、鵺や鳥や、山々の
動物達が一斉に咆哮しました。
それはこの地でもまた、反撃を開始するという
ときの声。善き神々は復活し、戦いを再開する
ことでしょう。

善きゆめとあしきゆめ


「強すぎるものは、族よりはなれる。
人語をしゃべる猫はすでに猫族ではない。
なんでも殺せる者は、既に人族ではない。
人の外の世界には、人外の理がある。
猫の外の世界には、猫外の理があるように。
外の世界を、ゆめという。外の理はゆめの理だ。
理は二つに分けられる。善きほうと、あしき
ほうに。心が動けば、それが己の属する理よ。
命は善きだけでは生きていけぬ。だがあしき
だけでもまたしかり。今はあしきが現実にまで
あふれでて、世界を飲み込もうとしている。
あしきゆめをゆめの世界まで押し返す者が必要だ。
現実で戦う善き神々と英雄が必要だ。
人を飛び出した山岳騎兵の神よ。
そなたの力が必要だ」

戦う意味


朝日が昇る中、神海那美が一生懸命看護
しています。
声をかけ、包帯を取替え、懸命に。懸命に。
貴方の背で猫がいいました。
「・・・・・・。
戦う意味を思い出したか。騎兵よ。
明日死んでも希望が残ればそれで良いとは思った
か。同胞よ。
では戦おう。我らこそは絶望の天敵だ。
我らこそはやらねばならぬことと、心からやり
たいことが一致した、恥を知る者だ。
既に野球の神も漫画の神も、戦いをはじめている。
我らもまた、戦いをはじめよう。
あしきゆめをゆめの世界まで押し返すのだ」

正義の砦


スキピオと子犬と鵺達と鳥達と花々と貴方は
虫の鳴く音に耳を傾けています。
そして歌いだしました。
[虫]
「準備はよいかおのおの方、古今東西老若男女、
天上天下に我らの歌をきかせるのだ」
[全員]
「承知!」
[スキピオ]
「それは悲しみが深ければ深いほど絶望が濃ければ
濃いほどに 燦然と輝く一条の光」
[子犬]
「それは夜が深ければ深いほど 闇が濃ければ濃い
ほどに 天を見上げよと言うときの声」
[鵺]
「それは光の姫君なり ただ一人からなる世界の
守り」
[鳥達]
「世の姫君が百万あれど 恥を知るものただ一人
世に捨てられし稀代の嘘つき」
[PC]
「嘘はつかれた
世界はきっと良くなると
それこそ世界の守りなり」
[全員]
「善き神々は恋をした 嘘を真にせんとした
我は世界の守りの守り、守りの守りの守り
守りはここに この中に
かの姫君 踊る者 黒き暴風の歌い手を従え
闇を相手に闘争を始めたり」
[虫達]
「それはどれだけ離れていても
光り輝く黄金のすばる
それは我らが得たる最後の絶技よ」
[子犬]
「星の輝きを我が胸に 貴方を想う喜びを
絶望の海への航海も 今なら怖れずできるだろう」
[スキピオ]
「それは最弱にして最強の ただ一つからなる
世界の守り それは万古の盟約にして 万世不変
の自然法則」
[鵺]
「それは勇気の妻にして 嵐を統べる一人の娘
それは光の姫君なり ただ一人からなる正義の砦」
[鳥達]
「世に軍勢が百万あれど 難攻不落はただ一つ
世に捨てられし可憐な嘘つき」
[PC]
「嘘はつかれた 世界はきっと良くなると
それこそ正義の砦なり
善き神々は定めを裏切り 嘘を真にせんとした」
[全員]
「愛はどれだけ遠くても
光り輝く黄金のすばる
愛は我らが得たる最後の絶技よ
その輝きを我が胸に 貴方を想う喜びを
それだけあれば闇を越え
何度も死ぬこと出来るだろう」

善き神々2


スキピオが百獣の王としてにゃーんと鳴くと。
その声に返事するように、
鵺や鳥や、山々の動物達が一斉に咆哮しました。
善き神々は山を降り、この国の津々浦々で戦いを
再開するでしょう。

じっと見つめる


スキピオ猫は、
じっと貴方を見上げている。
(戦いが終わったら連れて行け?)(連れて行くってどこに?)

スキピオ猫は、
じっと貴方を見上げている。


(分かった)(お互い生き残ったらね)

スキピオ猫は、それでもう何もかも
満足したように大あくびをすると
顔を洗いました。




エンディング


そういやあの猫、最後までいたなあ。

-山岳騎兵の言葉

その日撤退を支援するヘリの群れが来た日、
貴方は最後にヘリに乗って、下の山々を
名残惜しそうに見ていた。
スキピオ猫は貴方の膝の上で丸くなり、
たまに尻尾を振っている。
(ねえ、次はいつしゃべるの?)
(猫をなでる)
スキピオ猫は、喉をならして
片目を開けて貴方を見上げた。
(まあ、どちらでもいいか)
(そうか。次は南の島か)
スキピオ猫は、アクビをして
貴方の膝の上で爪をといだ。
それが、貴方とこの不思議な猫の、
物語の最後であった。

スキピオ 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年07月27日 01:44