ゆっくりいじめ系1079 僕とわがまままりさのギスギスしたごっこ遊び

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犬と同じでゆっくりを飼うならばたまには散歩に連れて行ってやる必要はある。 とは言うもののゆっくりはそのゆっくりしたいという性質上犬ほど頻繁に散歩を必要とはしない。 まりさの散歩は多くて三日に一度ほどといったところで 僕にとって朝早くに連れて行くのはそれほど苦にはならなかった。 まりさを飼う前は毎朝犬のミケを散歩に連れて行くのが習慣になっていたのだから それほど早く歩かないし遠くにも行かないまりさの散歩はむしろ楽なくらいだった。 といっても、好きでもない相手の散歩に付き合うのはあまり楽しくないので ミケがいたころのように何か趣向を凝らすようなことはなく 適当に近所を一回りしてすぐ帰ってくるのに始終していた。 とはいうもののたまには外に連れて行くついでに遊ばせないとうるさいので 月に一回は僕か妹が公園にまりさを連れて行って遊ぶようにはしていた。 そして今日は僕がその番になったというわけだ。 「ゆっゆっゆ、まりさのすぴーどにめをまわさないでね!」 「いやゆっくりしろよ」 公園の中を縦横無尽に跳ね回りながらまりさは僕の動きを見て見下すような顔で見上げた。 「あ、ゆっくりだ!」 そんなぐだぐだな空気の中で時間が過ぎようとしていた時 突然かわいらしい声が割り込んできた。 「ゆっくりしていってね!」 まりさはとりあえずその幼児の方に振り向いて反射的に挨拶を返した。 「あ、お隣の…Aくんだったよね」 僕はまりさに興味津々の視線を向ける幼児に向かって尋ねた。 「これ兄ちゃんの?買ったの?」 僕の問いは無視してAは自分の興味の赴くままに まりさに駆け寄ってしゃがみ込んでつんつんとその頬を突っついた。 「ゆ!まりさはおにいさんのおやぶんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ああ、家で飼ってるペットなんだ 今日は散歩でね」 さらっとまりさが身の程知らずな事をほざいているが無視して僕はまりさとの関係をAに話した。 「へぇーそーなのかー」 Aは話半分に聞きながら面白そうにまりさの頬を引っ張ったり突付いたりつねったりして弄繰り回していた。 まりさも最初はされるがままにしていたが段々と痛くなってきたらしくその内身を捩って逃げ出そうとし始めた。 「ゆ、ゆっふひやへへへ!」 「すごい!のびる!すごいのびる!」 顔の横幅が通常時の倍になるほどまりさの頬を引っ張ってAは目を輝かせ興奮気味に声を上げた。 「こら、Aちゃん!痛がってるからやめなさい!」 「あ、別に大丈夫ですよ」 見かねて止めに入ってきたAの母親に僕は宥めるように言った。 「じゃあほかのあそびしよ!」 あっさりまりさの頬を弄るのをやめて別の遊びを考え始めたAと 頬から手を離されてほっとしたまりさの顔を見て僕は少し残念に思った。 「ゆう、しかたないからまりさがあそんであげるよ」 まりさはやれやれという風に目を伏せてかぶりをふったが、頬が伸びてべろんと垂れてるままでは様にならない。 Aはそんなまりさを見てケラケラと笑うとこう言った。 「じゃあヒーローごっこやろ!兄ちゃんが怪獣ね!」 「え、ああうんわかった」 いきなり指差し付きでの大抜擢を受けて僕は少しびっくりしたものの 快くその申し出を受けることにした。 Aくんの母親が苦笑しながらすみませんとお辞儀をしたのでいえいえと手を振る。 「がおーたーべちゃうぞー」 「怪獣だ!やっつけてやる!バンバン!バンバン!」 とりあえず慣れないながらもたどたどしく怪獣っぽいことを言ってみると Aはお母さんから受け取ったビカビカ光って音のなる銃をこちらに向けて撃って来る。 「ぐぎゃーおー」 無論弾は出ないがとりあえず胸とか押さえて呻きながら痛がるフリをしてみると Aは嬉しそうにさらに素敵光線銃を乱射した。 「ゆ?ゆ?なにしてるの?まりさにもゆっくりりかいできるようにおしえてね!」 遊びの内容が飲み込めないまりさが僕とAを交互に見ながら困惑の表情を浮かべる。 「怪獣のお兄さんやっつけてるの!」 そんなまりさにAは限りなく単純明快に解説した。 「ゆっくりりかいしたよ!まりさもおにいさんやっつける!」 即座に理解したまりさは僕の足元に向かって体当たりを繰り返した。 「ゆっゆっゆないてあやまるならいまのうちだよ! いまならまりさのうんうんたべたらゆるしてあげるからね!」 「がーおー」 僕はなんだかイラっとしたのでごっこ遊びにかこつけてまりさを軽く蹴り飛ばした。 「ゆっべえええええええええ!?」 まりさは顔面を変形させながらゴロゴロとAの足元まで転がっていった。 「ど、どぼぢでま゛り゛ざおにいざんなんがにまげぢゃうのおおお…!?」 僕は今までは勝てると思っていたのか、と半眼でまりさを見下ろしながら心中で呻いた。 なんだか腹が立ってきたのでこのまままりさを中心に攻めようと両手を振り上げながら近づいていくと Aが膝を付いてまりさに寄り添いながら熱っぽく言った。 「このままじゃいけない!これをつかうんだまりさ!」 そう言って手渡したのは例のビカビカ光って音の出る素敵光線銃だった。 「ゆ…こ、これをつかえばいいんだね ゆっくりりかいしたよ…!」 まりさは苦しそうに体を起こすと口に素敵光線銃を咥えた。 舌をトリガーに巻きつけてトリガーを引くと光線銃は光りながらやかましく音を立てた。 「まりさにはむかったことをこうかいしてね!」 まりさは勝利を確信したのかニヤリと口許を歪めて言った。 「いっけー!」 「ぐあーやられたー」 Aの表情からああここは倒れとく場面だなと感じ取って僕は断末魔を上げながらその場にうつぶせに倒れこんだ。 服に砂が付いたがまあ別にお気に入りの服というわけでも無いので気にしない。 「ちぇっくめいと!」 僕はAがテレビで見た決め台詞をポーズつきでキメているのを見上げながら微笑ましい気持ちになった。 「ゆっへっへっへっへしょせんおにいさんはまりさのてきじゃなかったね!」 まりさが僕の背中に飛び乗ってドスドスと跳ねながら驕り高ぶった声で言った。 見るまでもなくふてぶてしい腹の立つ表情をしていることだろう。 苛立って険悪な表情を浮かべているのを純真なAに見られたくなくて僕は俯いた。 「兄ちゃん、つぎはなにしてあそぶ?」 そんな僕にAはとことこと歩み寄るとしゃがみ込んで顔を覗き込みながら尋ねた。 それを聞いて、多分まりさはきょとんとした表情をした後呆れ顔で言ったのだろう。 「ゆ?なにいってるの?おにいさんはまりさがやっつけてしんだんだからもうあそべないんだよ? そんなこともわからないの?なんなの?ばかなの?し」 「おっけー次は何して遊ぶ?」 僕は黒い笑みを浮かべながら 背中の上でしたり顔でほざいているであろうまりさを無視して起き上がった。 ゴロゴロと僕の背中を転がり落ちてまりさは地面にキスした。 「ど、どおいうごどおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 立ち上がって体の砂を払っている僕を見てまりさは目を見開いて大声を上げた。 死んでいたはずの相手が蘇ったことにまりさは戦慄した。 「さっきからなにいってんの?ごっこなんだからしぬわけないじゃん」 正論である。 「う゛ぞづぎいいいいいいいい!!ごれ゛づがえばおにいざんだおぜるっでいっだどにいいいいい!!」 あっさりと言ってのけるAをまりさは涙ながらに睨みつけながら批難した。 どうやら本当にアレで倒せると信じていたようだ。 純真、というには何か違う気がする。 「兄ちゃん、こいつ何いってるの?」 僕がリアクションに困っていると、Aは何やらみょんな物を見るかのようにまりさを指差した。 「あー、何なんだろうねほんと」 僕は返答に困って頭を掻いた。 「も゛う゛い゛い゛!お゛ばえ゛がら゛や゛っづげでや゛るう゛ぞづぎいいい!!」 そう言ってまりさは怒りを露にしながら 地面に落ちていた素敵光線銃を舌で拾うと、その引き金を引いた。 ビカビカと光りながら光線銃がけたたましく鳴った。 「バーリア!」 そう言ってAは空中に手で円を書いた。 そして悠然とまりさに近づいていく。 「どぼぢでぎがな゛いのおおおおお!?」 Aに何の変化も起こらないことにまりさは驚愕の表情を浮かべた。 「だってバリアしたもん」 正論である。 「も゛う゛い゛い゛!ごんな゛の゛い゛ら゛ない!!」 そう言ってまりさは役に立たない素敵光線銃を投げ捨てた。 「あー!せっかくかしてあげたのになんですてるのさー! それつかわないんならこんどはまりさが怪獣やってね」 そうしてAはその辺の木の枝を拾うとそれでまりさを突っつき始めた。 「でたな怪獣!くらえー!」 ツンツンペシペシと木の枝を振り回されてまりさは体中を赤く腫れさせながら言った。 「や゛べでよおおおおおおおおお!!! どぼぢでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」 さっきまでの怒りはどこへやら まりさは涙を撒き散らして転がりながら木の枝の猛攻から逃げている。 自業自得だろと思いながら眺めている僕にAの母親が声をかけた。 「あの…あれいいんですか?痛そうですけど」 「いや、僕も普段思いっきりまりさと遊んであげあられないんで Aくんが一杯遊んでくれてるんでまりさも泣きながら喜んでますよ」 「そうなんですか、ごめんなさいね家ってペット飼った事無いからそういうのわからなくて」 そう言うとAの母も納得したようで息子の様子を眺めながらベンチで一休みし始めた。 「お゛に゛い゛ざんだずげでよおおおおおおおおおおおおお!!!」 心中で『ざまあみろ』と呟きながら僕はニコニコとAと遊ぶまりさを見守った。 「しゅーと!」 「ゆぽべ!?」 Aの遊びはいつの間にかサッカーになっていた。 Aが思い切りまりさを蹴ると美しい曲線を描いて宙を舞いながらまりさはゴミ箱にぶつかりその場にドスンと落ちた。 コテン、と頭の上にゴミ箱から空き缶が落ちる。 「そろそろ帰るわよ」 「はーい!」 母の呼び声にAは空き缶を拾ってゴミ箱に戻すと ボロボロになり体の至る所を赤く腫れさせて土まみれになった みすぼらしいゴミクズ状態のまりさを抱えて僕のところに駆け寄ると まりさを差し出しながら言った。 「ありがとう兄ちゃん!またこんどかしてね!」 「ああ、もちろん」 「も゛う゛や゛だあ゛ああああ゛あ゛あああああああああああ!!」 気絶状態からぱっと目を覚まして泣き叫ぶまりさを無視して、僕は家に帰っていくA一家を見送ったのだった。 [[このSSに感想を付ける>感想フォーム]]

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